NHLプレーオフ第1戦でサム・ベネットが物議を起こしたプレーとは

アイスホッケー名勝負

はじめに

 NHLプレーオフの注目カード、トロント・メープルリーフス対フロリダ・パンサーズ第1戦は、想像を超える展開に🔥試合はリーフスの劇的勝利で幕を閉じましたが、注目を集めたのは勝敗だけではありません。

 エルボーによる負傷、沈黙の選手、そして謎の処分ルール…🤔初心者でも理解できるホッケーのドラマをやさしく解説します!🏒✨

参照記事:Toronto Sun1SIMMONS: Panthers’ Sam Bennett has ‘elbows up’ in direction of Leafs’ Stolarz in Game 1

プレイオフ初戦で大波乱!リーフスが劇的勝利🎉

 NHLのプレーオフが盛り上がる中、注目の一戦となったのが、トロント・メープルリーフスとフロリダ・パンサーズの第1戦。その試合はまさにドラマの連続でした。

 かつてリーフスはプレーオフで心の折れるような敗戦を味わっていましたが、今回はその逆だったのです。しかし、リーフスが5-4で勝利したものの、その裏では“ある事件”が話題をさらうことに。試合終盤、フロリダのサム・ベネットがリーフスのゴールテンダー、アンソニー・ストラーズに肘打ちを見舞ったことで、試合の流れが大きく変わったのです。

 ベネットの行動は、NHLファンの間でも大きな議論を呼び、SNSでも意見が飛び交うほど。そして、5月5日・月曜の夜にリーフスのクレイグ・ベルーベ監督がベネットについて見たものは、極めて明確でした。試合後に「明らかな頭へのエルボー2だった。なぜペナルティにならなかったのか分からない。明らかに反則だった」と冷静ながら強い口調で語っています。

その時のインタビュー映像。かなり渋い顔。

 これに対し、モーリス監督は同意しませんでした。「レフェリーはその場に立っていた」とフロリダの指揮官は言っています。そしてその数分後、ベルーベはさらに重要なひと言を口にしました。「まあ、我々は勝ったんだ」と。

様々な映像がネットにアップされていますが、これが一番分りやすいかも。

逃げたベネット、沈黙のチーム…🤐

 普通なら試合後に記者から質問を受けるところですが、ベネットは試合終了後にメディアの前から“雲隠れ”。チームの奥のロッカールームにこもり、まるで「証人保護プログラム3」かのような対応を取っていたとか。

 マッチョマン・サベージ4ばりのエルボーを振り回すのは、どんなホッケー選手にも許されている“特権”でしょう。しかし、それをこの舞台で、国中が注目する中でやるなら、せめて最後までその場に残り、自分の行動を同僚たちの“陪審員”に説明するくらいの度胸は持っていてほしいものです。

 だが、ベネットからの説明は一切ありませんでした。試合後に何も語られることはなく、代わりに彼のチームメイトたちが「そのプレーは見ていなかった」と主張。

 彼の代わりにコメントしたパンサーズのキャプテン、サーシャ・バーコフ(サーシャはロシア語圏で「Alexander(アレクサンドル)」の愛称)も、「僕らの立ち上がりが悪かった。ここでは何のサプライズもない。彼ら(リーフス)の方が立ち上がりは良かった」とだけ話し、肝心の肘打ちについては深く触れず…。

 試合後の記者会見で普段は雄弁なフロリダの監督ポール・モーリスも特に問題視していない様子。逆に攻撃的な姿勢を取り、次の第2戦(スコシアバンク・アリーナ)に話題をすり替えるような形でインタビューを切り上げました。

試合後のインタビュー映像。記事とやや内容が異なるため、他の場所でも取材応対している可能性あり。以下参照。

【追記】まず、トロント・メープルリーフスとのプレーオフ第1戦について、試合開始時の状態が望ましくなかったと語っている。第1ピリオドでは本来の力を発揮できず、相手チームにリードを許してしまったことに言及。しかし、第2ピリオド以降は盛り返し、第3ピリオドでは良いプレーができたと振り返った。試合の立ち上がりが悪かった原因を尋ねられると、コーチングの問題だと答えている。

 ベネットとストラーズのプレーについては、審判がすぐ近くで見ていたため、審判の判断を尊重するしかないと述べ、ストラーズの怪我の回復を願っていることを明かした。リーフスが第1ピリオドでフロリダ・パンサーズを出し抜いたかどうかを尋ねられた際には、相手チームの勢いが良かったと答えている。

 また、ペナルティキル(PK)が5回中5回成功し、チームが射程圏内にとどまることができたことの重要性を強調。これが次の試合へ向けての好材料と考えているようである。再びベネットのストラーズへのエルボーについて質問されると、審判がその場にいたため、リーグが調査を行うだろうと答え、やや「またか」とうんざりした感じ。

まさかの展開、ストラーズがダウン😱

 確かにリーフスは勝利しました。プレーオフ第2ラウンド・第1戦。これは25年に一度あるかないかの出来事かもしれません(そう思うくらい、ここ数年、第1ラウンド敗退が続いた)。

 彼らは勝利を手にしましたが、その過程で正ゴールテンダーを失った可能性があります。そして、この勝利は「息を呑むような、なぜこんなに接戦になったんだ?」と思わせるようなものでした。

 リーフスにとって前半は完璧な立ち上がりでした。スピードも当たりの強さも勝り、試合を支配。一方のパンサーズは、チーム全体で、そして歴史的に見て優れたゴールテンダー、セルゲイ・ボブロフスキーでさえも、特にウィリアム・ニイランダーに対して明確な対応策を持っていませんでした。

 ニイランダーは第1ピリオドに2得点を挙げ、さらにモーガン・ライリーへの美しいサークリングパス5でアシストもし、リーフスに序盤のリードをもたらしています。

 スコアは4-1、完全にリーフスのペース――そう思われたそのとき、事件は起きました。

 試合の半ば、サム・ベネットが、なんとリーフスのゴールテンダー、元チームメイトでもあるストラーズに肘を当てて接触。それを「偶然だった」と呼ぶのは、事故という言葉への侮辱となるでしょう。あれは明らかにベネットの“故意”でした。

 ただし、それはマシュー・カチャックやブラッド・マーシャンドの“故意”とは少し異なる種類のものです。彼らがやるのは、負傷させることが目的ではなく、プレーオフシリーズの結果を変えるための意図的なプレーなのです。

パンサーズに移籍後、大人しくなった?マーシャンドについては、こちらで触れています。ベネットは変わりませんねぇ。

 こうしたプレーは、今やベネットの“得意技”になっています。時には合法的に、時には一線を越えて、時には出場停止を食らうような行為をしながら、彼はセンターとしてパンサーズの中心選手としても輝いています。

 チーム・カナダにいれば愛される選手かもしれませんが、プレーオフで贔屓チームの相手として出てくれば、嫌われる存在になるのは間違いありません。

 その衝撃でストラーズはベンチで前かがみになり、嘔吐するほどに状態が悪化。試合から離脱することになり、その時点でスコアは4-1、それで彼の夜は終わったのです。

 交代で入ったのはジョセフ・ウォル。彼は29分46秒を守り切りましたが、後半はシュート数も増え(前半はわずか9本)、20本のシュート中3点を許し、試合終了2分を切ったところで1点差にまで詰め寄られる苦しい展開に。結局、何とかリードを守り切ってリーフスが勝利を手にしましたが、ストラーズの状態次第では、今後の試合に大きな影響を及ぼすかもしれません。

 第1戦のリーフスには、評価すべき点が多くありました。ニイランダーの爆発力、オーストン・マシューズ、ミッチ・マーナー、マシュー・ナイズから成るラインの強さ。6人のディフェンス陣が見せた結束と、モーガン・ライリーがプレーオフで見せたレベルアップ。スコット・ロートンのラインも安定したパフォーマンスを発揮しています。

この試合のハイライト映像です!

監督の静かな采配が光った🧠

 そんな中、最も光っていたのはベルーベ監督の冷静な対応。第3ピリオドに入り、ウォルがわずか3本のシュートで立て続けに2点を取られた場面でも、監督はタイムアウトを取り、ベンチ裏で静かにチームを見守りました。

 怒鳴るわけでも、戦術を長々と語るわけでもなく、ただ選手たちが自分たちの力で立て直すことを信じていたのです。結果、選手たちはその期待に応えるかのように、なんとか試合をまとめ、白星でシリーズの初戦を飾ったのです。

 この冷静さが、混乱の中でもリーフスが崩れなかった理由かもしれませんね。

 そしてもう一つ、今季リーフスに加入したストラーズの鋭い立ち上がりも目を引きました。彼が水曜の第2戦に出場するかどうかは未定ではありますが。サム・ベネットと同様に。

讃岐猫
讃岐猫

次戦に向けて…注目は“出場するのか”❓

 第2戦は間もなく始まります。NHLでは出場停止になる基準がはっきりしておらず、この“グレーな処分制度”はファンの間でも有名で、「結局誰が何で出場停止になるのか、誰にも分からない」というのが実情です。我々は、その仕組みを理解しようとするのを何年も前に諦めてしまいました…。

 もしリーフスが賢く立ち回るなら、「ゴールテンダーのアンソニー・ストラーズが第2戦に出場できるかどうかは分からない」と言っておくべきだったでしょう。それがベネットの出場停止に繋がるかもしれないのですから。とはいえ、最終的な判断はリーフスの手にはありません。

まとめ:プレーオフは何が起こるかわからない🔥

 試合自体はリーフスが勝利し、最高のスタートを切ったと言えますが、その裏では大きな波紋が広がった今回の一戦。NHLのプレーオフは、ただスコアを追うだけでは見えてこないドラマがたくさん詰まっています。

 初めてNHLを見た方も、今回の試合で「ホッケーってこんなに熱いんだ!」と感じたのではないでしょうか?今回ばかりは熱すぎて、あまり感心できないプレーがあったのは残念です。これから続くプレーオフもどんな展開が待っているのか、注目していきましょう!🏒✨

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. カナダ・トロントで発行されている英語のタブロイド紙。1971年創刊で、現在はPostmedia Network社が運営。保守的な視点の記事が多く、スポーツやエンタメ、地元ニュースを中心に掲載。大胆な見出しや独自の切り口が特徴✨
    ↩︎
  2. アイスホッケーのエルボーヒットは、意図的で予測困難な攻撃であり、相手に重篤な怪我を負わせる可能性が極めて高いため、非常に悪質な反則行為とみなされている。ルール上も厳しく禁じられており、程度に応じて重いペナルティが科せられる。特に頭部や顔面へのヒットは危険性が高く、選手生命を脅かす可能性もある。
    ↩︎
  3. 重大犯罪の証人やその家族を報復から守るための政府による保護措置。安全な避難、住居移転、身分変更、経済的支援、セキュリティ対策などが提供される。これにより、証人は安心して証言でき、事件の解明と司法制度の維持に貢献できる。ただし、対象者は限定され、プライバシーの制限や生活の変化を伴う場合がある。
    ↩︎
  4. マッチョマン・ランディ・サベージは、1980~90年代に活躍したアメリカの伝説的なプロレスラー、ランディ・マリオ・ポッフォのリングネーム。「オーイェー!」のキャッチフレーズ、派手なコスチューム、ハスキーボイスで知られ、WWF(現WWE)やWCWでトップスターとして活躍した。

     技巧的なファイトスタイルとカリスマ性溢れるマイクアピールで多くのファンを魅了し、プロレス界のアイコン的存在。2015年にWWE殿堂入りを果たした。
    ↩︎
  5. 練習ドリルとして行われる円状のパス&フォローの動きを指す場合と、オフェンスゾーンでの戦術として、ディフェンスを動かし隙を作るための円状のパス回しを指す場合もある。また、特定のセットプレーにおける円を描くような選手の動きを指すことも。

     いずれの場合も、パスの精度向上、動き出しの習慣化、状況把握能力の向上、ディフェンスの撹乱などを目的とする。 ↩︎

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