はじめに
NHL開幕前の順位予想で、あまり高評価ではなかった昨シーズンのチャンピオン、ベガス・ゴールデンナイツ。昨シーズンとほぼ同じメンバーで戦うため、戦術研究されていて、さすがに思うように勝てないのではないか、というのが大方の予想でした。
ところが、蓋を開けてみると、戦力が落ちるどころか全く危なげない試合運びで、ここまで連勝街道を突き進んでいます。今後、シーズンが進んでいく中で、必ずペースダウンの時期があると思われますが、今の調子なら、それも短期間なのではないでしょうか。
そんな難攻不落の王者ベガスに挑んだのが、18歳の若武者、いや若鷹コナー・ベダード(シカゴ・ブラックホークス)。こちらも開幕からロースターに名を連ね、印象的な仕事を続けています。今回は、彼のホーム初お目見え試合についてお届けします。
記事にもあるけど、32チーム中、最も遅くホームゲームを開催したのが、
シカゴなんだにゃ。
シカゴのファンは若鷹の勇姿を今か今かと待ち望んでいただろうな。
引用元:tsn.ca「Bedard scores in defeat as Blackhawks fall to Golden Knights」
本気モードのベガスは止まらない!
ラスベガスにとって、スタンレーカップ獲得による二日酔いは、これにて終了です。
ゴールデンナイツは今のところ完璧です。
第3ピリオド、ニコラス・ロイ(センター、26歳)、マーク・ストーン(右ウィング、31歳)、ポール・コッター(左ウィング、23歳)が得点し、10月21日(土曜日)の夜、無敗のゴールデンナイツがコナー・ベダード(センター、18歳)とシカゴ・ブラックホークスを5-3で破りました。
シカゴのホーム開幕戦で、ベダードは最初のシュートで得点を決めましたが、ラスベガスの優れた選手層は、再建中のブラックホークスには手に負えないことが証明されたのです。ゴールデンナイツは6連勝で、スタンレーカップ初のタイトル防衛に乗り出しました。
「我々は良いホッケーをしている」とディフェンスのブレイデン・マクナブ(32歳)は語っています。「自分たちのゲームで気に入らない部分もあるけど、勝つ方法を見つけてはいるよ」。
ベガスでは、ウィリアム・カールソン(センター、30歳)とジョナサン・マーシェソー(右ウィング、32歳)も得点し、ベガスはフランチャイズ記録となるスタートダッシュを切りました。アドイン・ヒル(ゴールテンダー、27歳)は21セーブを挙げています。
第3ピリオド開始と同時に叩く!
ラスベガスの監督、ブルース・キャシディは「第2ピリオドを終えて、本当に勝ちたいのならば、もっといいプレーが必要だとわかったんだ。ウチのチームはよく対応できたと思ってるよ」と語りました。
今シーズン、開幕からシカゴは遠征しており、2勝3敗の成績でホームに戻ってきたところでした。そのシカゴでは、リース・ジョンソン(右ウィング、25歳)とコーリー・ペリー(右ウィング、38歳)が得点し、アーヴィッド・セーダーブロム(ゴールテンダー、24歳)はシュートを19回止めています。
ベガスは、第3ピリオド開始わずか13秒、キーガン・コレサール(右ウィング、26歳)からの完璧なセンタリングパスをロイがゴールに叩き込み、出鼻をくじくのに成功しました。
「それは、彼らにとってちょっと致命的だったんじゃないかな」とカールソンは言っています。
ブラックホークスは第3ピリオドに2回のパワープレイのチャンスがありましたが、ゴールデンナイツが2回とも潰してしまいました。
マイケル・アマディオ(右ウィング、27歳)のゴールへの突進が、13分47秒、ストーンの今季初ゴールをお膳立てし、コッターが、16分9秒、パワープレーでゴールを決めて、スコアを5-2としたのです。
シカゴのルーク・リチャードソン監督は、「我々は40分間、本当にいいチームとしのぎを削って戦った」と振り返りました。「あのような形で、第3ピリオドをスタートさせたのは残念だった」。
要所を締めるベガスの守備が勝因の1つかにゃ。
危ない場面もそれなりにあって、シカゴの反撃を許すんだけど、ここ一番に強い。
ペース配分がしっかりしたチームという印象を受けた。
観客にパワーを与える18歳
シカゴは、ホーム開幕戦を開催した最後のNHLチームです。試合前のイベントでは、7月に70歳で亡くなった前オーナーのロッキー・ワーツ1への追悼が行われました。ベダードは選手紹介で最も大きな拍手喝采を浴びています。
第1ピリオド開始わずか90秒のパワープレーで、ベダードがスロットからヒルを打ち破り、この試合最初のシュートを決めると、会場は大いに盛り上がりました。彼が出場した6試合で、2ゴール目となります。
シカゴのディフェンスマン、コナー・マーフィー(30歳)は「観客の喝采を目の当たりにし、そのゴールは生まれるべくして生まれた、当然のものだったよ」と語りました。
「彼のゴールは、間違いなく試合会場全体とチームにエネルギーを与えてくれたね。それを試合開始すぐに見ることができて、とてもクールだった」。
ベダードは、2013年1月22日、エドモントンでのネイル・ヤクポフ2(左ウィング、30歳。現在、KHLのネフテヒミク・ニジネカムスク所属)以来となる、全体1位指名選手のホームゲームでの得点者となったのです。
また、18歳96日という年齢は、1984年10月11日にエディー・オルチク3が18歳56日で記録したのに次いで、ホーム開幕戦で得点したフランチャイズ史上2番目に若い選手となりました。
有利なパワープレーで得点できないのは痛い
シカゴは、ベガスとのパワープレー5回のうち、得点できたのは1回きりでした。今シーズンのマン・アドバンテージでは、27回中2回しかものにしておらず、2つのショートハンドゴール(相手側の人数が少ないにもかかわらず、得点されること)も許しています。
「パワープレーで1本入ったのは大きかったと思う」とベダードは言いました。「でも、(試合に敗けた)今となっては、それほどいい気分じゃない。ゴールの瞬間は確かに素晴らしかったけどね」。
(シカゴの)リードは短命でした。カールソンはベガスの他の選手のプレーに応え、4分5秒、(ベガスの)パワープレー中、バックハンド4で1-1の同点に追いついています。
第2ピリオドも互いにゴールを決め合いました。7分30秒、マーシェソーのシュートがセーダーブロムの足をすり抜けてゴールデンナイツがリードします。しかし8分50秒、ジョンソンが巧みにパックを方向転換させ、ブラックホークスが同点に追いつきました。
2試合連続ゴールを決めていたマーシェソーは、この試合で今シーズン3ゴール目を決めたことになります。ジョンソンにとってはシーズン初ゴールでした。
昨シーズンほどではないけど、やはりシカゴの守備は脆いかにゃ。
あとスタミナとメンタルの強さ不足。
今回の第3ピリオドのように、守備の連携に不安を感じるのか、
得点されるとガタガタって行ってしまう。
両チームのケガ人の状況
ケガからの回復
キャシディは、ディフェンスマンのアレックス・ピエトランジェロ(33歳)がスケートを再開していると話しています。10月12日、サンノゼで行われたベガスが4-1で勝利した試合で、ピエトランジェロはシュートを側頭部に受けて退場しました。
注目すべき事項
ブラックホークスのフォワード、フィリップ・クラシェフ(センター、24歳。左手首の負傷)とコリン・ブラックウェル(右ウィング、30歳。下半身の負傷)が、チームの朝のスケートに参加しています。
リチャードソンは、「これで彼らはおそらくトップ・チームに戻り、最初の朝のスケートでどうだったかを見て、うまくいけば月曜日から本格的に練習を始められるようになるだろう」と話しました。
クラシェフとブラックウェルが復帰したため、フォワードのコール・グットマン(センター、24歳)がアメリカン・ホッケー・リーグのロックフォードへ移りました。
まとめ
若鷹の先制ゴールが、鋼鉄の騎士を本気にさせてしまったようです。再建中のシカゴは攻撃の選択肢も少なく、今後、これを増やしていかないと、昨シーズン同様の手詰まり感が出てきそうです。まだ各チームが手探り状態の今のうちに、それをやっておいた方がいいでしょう。
ベダードには独特のスター性を感じました。ゴツい選手の多い間、まるで牛若丸のように飛び回る…いや、滑りまくって、スイスイと追い抜いていくプレー・スタイル。スピードに乗った時、誰も捕まえきれず、あっという間に相手ゴール前に顔を出しているポジショニングの良さ。
線の細い選手なので、このポジショニングの良さと俊敏性が生命線となってくるでしょう。監督がどんなペース配分で起用し、ベダードに長いシーズンを乗り切らせるか。とにかく大きなケガをしないことと疲れをためないこと、彼の場合、これに尽きます。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 詳しくはこちら→☆。
↩︎ - ロシア、ニジネカムスク出身。2012年のNHLドラフト全体1位として、エドモントン・オイラーズから指名。
ドラフトでの指名順位、NHLでのキャリアの短さ(6シーズン)、総得点の少なさ(350試合・62ゴール)から、NHL史上最大のドラフト失敗の1人とされている。
↩︎ - 詳細はこちら→☆。
↩︎ - スティックのバックハンド側で打つシュートのこと。アイスホッケーのスティックのブレードは、選手の体のボトムハンド側(体の方を向いた内側)にある。バックハンド・シュートは、スティックの反対側(体の外側)で打つシュートのこと。
バックハンドで打つ場合、威力がないため、ゴール前の至近距離からシュートを打つ時に使われる。 ↩︎