はじめに
ドラフトが終わり、移籍交渉が本格化した7月1日以降、早くも来シーズンの陣容を整えつつあるチームが出てきています。多くはフリーエージェント選手の獲得合戦なのですが、それ以外に来年以降のドラフト指名権と選手の交換トレードも多いです。
また、シーズン中に他チームの契約最終年選手を獲得し、チームに有益な働きをした選手と契約延長交渉をし、そのままチームに残留する選手もいれば、その逆で期待に沿わなかった選手は無制限フリーエージェントとして放出…というパターンもあります。
今回は贔屓チームの一つ、アリゾナ・コヨーテズの補強状況を概観します。ホームアリーナ建設問題で揺れるコヨーテズですが、弱点である得点力アップに向けて、着々と陣容を整えつつあるようです。
このチームの場合、フォワードのファースト・ラインは、
NHLの他チームに引けを取らない3人を揃えているんだにゃ。
問題は、どのようにセカンド以降を組み立てていくかなんだ。
引用元:NHL.com「Coyotes add Zucker, Kerfoot in quest to boost offensive punch」。
ようこそ!主要な新加入選手
ジェイソン・ザッカー、F(フォワード):31歳の彼は7月1日に単年契約を結びました。ザッカーは昨シーズン、ピッツバーグ・ペンギンズで78試合に出場して48ポイント(27ゴール、21アシスト)を挙げ、これで20ゴールを5回記録したことになります。
…ショーン・ドゥルジ、D(ディフェンス):6月24日、ロサンゼルス・キングスとのトレードで、24歳の彼は、2024年のNHLドラフトの2巡目指名権と引き換えに獲得しました。
昨シーズン、ドゥルジはNHLで2度目となる72試合で38ポイント(9ゴール、29アシスト)を記録し、プレーオフでも6試合で1ゴールを挙げています。
…ニック・ビュグスタッド、F:昨シーズン、30歳の彼はコヨーテズとエドモントン・オイラーズでレギュラーシーズン78試合に出場して29ポイント(17ゴール、12アシスト)を挙げ、エドモントンではポストシーズン12試合に出場して3ゴールを挙げた後、7月1日に2年契約を結びました。
…アレクサンダー・カーフット、F:7月1日、28歳の彼は2年契約を結んでいます。昨シーズン、カーフットはトロント・メープルリーフスで82試合に出場して32ポイント(10ゴール、22アシスト)を記録し、プレーオフでは11試合に出場して2ゴールを挙げました。
…トロイ・ステッチャー、D:7月1日、29歳の彼は単年契約を結んでいます。3月3日、アリゾナはステッチャーをカルガリー・フレームスにトレードしました。昨シーズン、81試合で合計14ポイント(3ゴール、11アシスト)を記録しています。
ザッカー、ドゥルジ、ビュグスタッドは、前所属チームでも実績を挙げてきた選手だにゃ。ビュグスタッドはプレーオフでイマイチだったけど、まだ老け込む選手じゃない。
今までありがとう!主要な移籍選手
クリスチャン・フィッシャー、F:7月2日、デトロイト・レッドウィングスと1年契約を締結しました。昨シーズン、フィッシャーは80試合で27ポイント(13ゴール、14アシスト)を記録しています。
…ザック・カシアン、F:契約最終シーズンを迎え、コヨーテズに買い取られ無制限フリーエージェントとなったカシアンは、昨シーズン、51試合で2ゴール、マイナス18でした(7月13日現在、移籍先未定)。
…パトリック・ネメス、D:契約を買い取られたもう一人の選手、ネメスは75試合で5アシスト、マイナス7の成績を残しています(7月13日現在、移籍先未定)。
…コナー・マッキー、D:7月1日、ニューヨーク・レンジャーズと1年契約を結びました。昨シーズン、マッキーはフレームスとコヨーテズで30試合に出場して、7ポイント(3ゴール、4アシスト)を記録しています。
下部組織等から昇格しそうな選手
ローガン・クーリー、F:19歳の彼は2022年のNHLドラフトで全体3位指名され、ミネソタ大学では昨シーズン、新入生として39試合に出場して60ポイント(22ゴール、38アシスト)を記録し、NCAAディビジョンIでは、ミシガン大のフォワード、アダム・ファンティリの65本に次いで2位でした。
2023年のIIHF世界ジュニア選手権での米国代表7試合にて、クーリーは14ポイント(7ゴール、7アシスト)を挙げ、カナダ代表FWコナー・ベダード(23ポイント;9ゴール、14アシスト)に次いで2位となっています。
…コナー・ギーキー、F:2022年、全体11位で指名された19歳の彼は、昨シーズン、ウェスタン・ホッケーリーグのウィニペグで自己最高の35ゴールと77ポイントを記録しました。
ギーキーはプレーオフ19試合で17ポイント(6ゴール、11アシスト)を記録し、ウィニペグは(レギュラー・シーズンで)シアトルに5ゲーム差で敗れたものの、WHL決勝に進出しています。
コヨーテズではトップナインの可能性もありますが、準備ができていなければ、もう1シーズン、WHLでプレーしなければなりません。
2人共フォワードだし、得点力不足のチームにとって、上で使われてもおかしくない年齢なんだにゃ。トレーニング・キャンプ等でどこまで成長した姿を見せられるか。
有名選手の2世もいます
…ジョシュ・ドーン、F:2021年のNHLドラフトの2巡目(全体37位)で指名された21歳の彼は、昨シーズン、AHLで14試合に出場して6ポイント(3ゴール、3アシスト)を記録し、プロホッケーデビューを果たしました。
コヨーテズのアイコンであるシェーン・ドーンの息子はアリゾナ州立大学の2年生で、39試合に出場して38ポイント(16ゴール、22アシスト)を記録しています。
※シェーン・ドーン= コヨーテズ永久欠番19番を付けていた、伝説の右ウィング。現在はコヨーテズのフロントで、開発責任者として活躍中。
コヨーテズの前身、フェニックス・コヨーテズ時代からチームの前線を牽引し、2016-17シーズン、NHLで最も長くキャプテンを務めた選手となった。
…ヤン・イェニク、F:この22歳の選手は、NHLで17試合に出場して5ポイント(4ゴール、1アシスト)を挙げました。
2018年のNHLドラフトの第3ラウンド(全体65位)で指名されたイェニクは、昨シーズン、AHLのツーソンで30試合に出場して23ポイント(7ゴール、16アシスト)を記録しています。
今後、補強すべき点
スコアラーの選手層。昨シーズン、NHL27位の1試合平均2.74ゴールを記録したチームにとって、ザッカーとカーフットの2人が、(入ると)予想されるセカンドラインにパンチを加える必要があります。
昨シーズン、82試合でゴール(19)、アシスト(24)、ポイント(43)でNHLのキャリアハイを記録した23歳のフォワード、バレット・ヘイトンの飛躍も必要です。
セカンドラインを盤石にするために、もう1枚選手が欲しいってことかにゃ。
カップ戦決勝を争った2チームを見てると、
ファーストとセカンドの力の差がほとんどなかった。
チームからのコメント
「組織としての私たちの現状を見ると、私たちがどれだけ多くの指名権を獲得してきたか、単にそれを獲得しただけでなく、氷上にいるチームの質が非常に良いものになっていることこそ、誇りに思っている点です。
今、私たちはより良いチームになるための新たな一歩を踏み出すことができます。私たちは、多くのドラフト指名選手と多くの才能がチームにやってくることで、その一歩を踏み出しています」。–コヨーテズのゼネラルマネージャー、ビル・アームストロング
※コヨーテズGMについては、こちらを参照のこと→☆。
ファンタジー・フォーカス
ドゥルジは、主にセカンドユニットでプレーしているにもかかわらず、過去2シーズン合計でのパワープレイ・ポイント(31;3ゴール、28アシスト)で、NHLディフェンス中、29位にランクされています。
得点力の高いクレイトン・ケラーやニック・シュマルツと常に接することで、ドゥルジはマン・アドバンテージ(一方のホッケー・チームで、ペナルティ・ボックスにプレーヤーがいる場合に発生する状況)での出場時間や成績が急上昇する可能性があります。
このディフェンスマンはファンタジー・スリーパーの上昇株であり、今シーズン(2023ー24)、彼のポジションでトップ20に入る現実的なチャンスを手にすることができたのです。—ピート・ジェンセン(ファンタジーのディレクター)
※ファンタジー・スリーパー=ネット上のシミュレーション・ゲーム。このゲームでは毎試合ごとに、実際にNHLに所属する選手数名を選んで「ヴァーチャル・チーム」を結成する。
そして、これらの選手の実際の試合での実績や勝利への貢献度に応じて、プレイヤーがポイントを獲得するというルールになっている。
来シーズン、ファンタジー・スリーパーに参加しようかにゃ…。
2023-24シーズン、予想ラインナップ
(フォワード)
クレイトン・ケラー–バレット・ヘイトン–ニック・シュマルツ
アレクサンダー・カーフット–トラヴィス・ボイド–ジェイソン・ザッカー
マティアス・マッチェリ–ニック・ビュグスタッド–ローソン・クラウス
リアム・オブライエン–ジャック・マクベイン–ディラン・ゲンサーダー
(ディフェンス)
J.J.モーザー–ヴィクター・セーダーストロム
ジュウソ・バリマキ–トロイ・ステッカー
ショーン・ドゥルジ–ジョシュ・ブラウン
(ゴールテンダー)
カレル・ヴェイメルカ
コナー・イングラム
まとめ
ドゥルジはサード・ラインに入ってるけど、実力的にはトップでもおかしくないと思います。相手が1人足りない時、確実に優位に立てる展開を作っていかないと、コヨーテズのような下位チームはやはり苦しくなってきます。ドゥルジはそれを補える選手の1人になりそうです。
サラリー・キャップにどれだけ余裕があるのか分かりませんが、フリーエージェントで未契約の大物がまだまだいますから、ここぞという時に頼りになるベテランを補強してもいいように思います。試合途中で緊張の糸が切れて、大量失点する試合も多かったので…。
もうひと工夫していくのか、ここで打ち止めなのか。ユニークなGMさんのチームだけに、気になります。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!