はじめに
3〜4月と言えば、日本は卒業・入学、退職・異動、そして入社と、何かと人の出入りの多いシーズンです。片やこの時期の米国は、 Women’s History Month、すなわち女性史月間に入っています。日本ではあまり耳にしたことのない行事ですが、毎年行われています。
それに因んでか、フライヤーズはスポーツ業界への就職を希望している(あるいは興味を持っている)女性を対象とし、その現場を見学・実体験してもらおうというプランを実行しました。
WBCの盛り上がりも含め、北米四大スポーツの中で、今ひとつ人気面で劣るNHL。こういう動きから、新たな魅力が開拓されることを祈るばかりです。
チームが変わろうとしてる動きの一つなんだろうにゃ。
フライヤーズが良い職場だと思ってもらえたらいいな。
引用元:NHL.com「Flyers inspiring young women through Next Shift mentorship program」。
フライヤーズの新計画
グレース・スワイダーとクイン・メディコは、プロスポーツで働きたいが、どうやって就職すればいいのかよくわからない、多くの若い女性と同じです。
フィラデルフィア・フライヤーズは、彼女達のような人々を念頭に置いて、ネクスト・シフト計画を開始しました。
ネクスト・シフトは、14歳から22歳までの女性24人とフライヤーズの女性社員をペアにした、メンターシップ・プログラムです。
※メンターシップ・プログラム=豊富な知識と職業経験を有した社内の先輩社員(メンター)が、後輩社員(メンティ)に対して行う個別支援活動のこと。キャリア形成上の課題解決を援助して個人の成長を支えるとともに、職場内での悩みや問題解決をサポートする役割。
火曜日のフロリダ・パンサーズ戦の前、この若い女性達は、フライヤーズの様ざまなリーダーや幹部達から、試合中、試合後のそれぞれの役割の舞台裏を見せてもらいました。
ゲームのプレゼンテーションやチケット販売に始まり、広報やコミュニティ関係まで、彼らはさまざまな部門を横断したようです。
これも新GMが打ち出した新機軸なのかにゃ。
ただゾロゾロ付いて歩いて見学するだけじゃ、学べないからね。
2人の参加者の例
ペンシルベニア州ニュータウンのバックス・コミュニティ・カレッジで、スポーツ・マネジメントを専攻するスワイダーさん(22)は、「ひと月前にフライヤーズで働く女性の数を聞かれていたら、おそらく答えられなかったでしょう」と話しています。
※バックス・コミュニティ・カレッジ=3つのキャンパスでの講義に加え、オンライン学習で準学士号や修了証プログラム、継続教育、編入の機会を提供しており、評判はいい。少人数制のクラスによる教授の講義を重視し、これも内外に大きなインパクトを与えている。
大学のあるニュータウンはペンシルベニア州バックス郡の自治区であり、州南東部に位置しており、ニュージャージー州の近く。人口は2300人足らず。
「しかし、今、本当に多くの人がそうであること(フライヤーズで働いていること)を知りましたから、スポーツの世界に自分の居場所があることを実感できるのは、とても嬉しいことです」。
フライヤーズには、170件以上の応募がありました。
Spectacor Sports & Entertainmentの 社長兼最高経営責任者のヴァレリー・カミーリョ は、「その年齢のとき、私はスポーツとエンターテインメントで働きたいと強く思っており、業界についてもっと学び、業界で働く女性に会い、
彼らから学ぶ機会を常に探していました」と述べています。
※ Spectacor Sports & Entertainment=Comcast Spectacorのこと。この会社については、以前ブログで取り上げており、こちらを参照のこと→☆。
また、同社は全米のアリーナ、スタジアム、円形劇場、見本市会場、コンベンションセンターに飲食サービスを提供するOvations Food Servicesを所有。さらフルサービスの発券子会社New Era Ticketsも所有。
「そして、率直に言って、私にはチャンスがなかったのです。そこで、女性史月間を祝うために何をしたいのか、組織的に考えることにした結果、私達は、(フライヤーズの)歴史の中で強調したい瞬間や、偉大な選手、ゲームや組織への貢献者について、
さまざまなアイデアを練っているところです。
※女性史月間=歴史上の出来事、あるいは現代社会の出来事に対して、女性が行った貢献に焦点を当てると定められた月間のことであり、毎年行われる。米国、イギリス、オーストラリアでは国際女性デーである3月8日に合わせて3月に実施される。
ただ振り返るのではなく、前に進むものを作りたいと考えるようになったのです。こうして生まれたのが、このメンタリング・プログラムです」。
女性史月間…、日本には、
こういう行事をやろうという提案すらないにゃあ。
実際に試合を観てもらって勉強
「若い女性のための機会、自分達の時にあったらよかったと思う機会を作り、彼女達には私達に付いてきてもらって、ホッケーチームで働くということがどういうことなのか、見てもらうのです」。
スワイダーは、その晩、カミーリョと過ごした2人の女性のうちの1人でした。夕食を共にした後、スイート・ルームから一緒に観戦し、コンコースを歩いたりしました。
「ゲームで起こることは非常に多く、『ねぇ、ゲームのプレゼンテーションってどうなってるかわかる?だから、そういう風にするんだよ』」とカミーリョは言いました。
『だから、グリッティは今この瞬間、アリーナのこの場所にいるのよ。だから、このような形でスポンサーを紹介しているのよ。氷上の選手達の状況はこうなのよ』ってね。彼女達と話せることはたくさんあります」とコメント。
※グリッティ=フライヤーズの公式マスコット。フライヤーズ・ギアを着用した7フィート(2.1m)のオレンジ色の生き物。
フィラデルフィア・フィリーズのマスコットであるフィリー・ファナティックを描いたデビッド・レイモンドの援助を借り、フライランド・デザインのブライアン・アレンによって。2018年9月24日に導入。
公式伝記によると、グリッティはフライヤーズのホーム・アリーナであるウェルズ・ファーゴ・センター建設後に出現し、その理由は彼の秘密の隠れ家を邪魔したから。
デビュー後数ヶ月以内に、グリッティはインターネットのセンセーションとなり、いくつかのトークショーに出演。
スワイダーには、いつかカミーリョの思い描く役柄をやってもらうことから、彼女が絶句するほど熱狂的な観衆を見せたのです。
カミーリョはフライヤーズの事業運営を監督するだけでなく、親会社スペクタカー・スポーツ&エンターテインメントの社長兼CEOとしてウェルズ・ファーゴ・センターの運営も監督しています。
スワイダーは「大学に入ってからの夢と目標は、常に高いレベルにいることでした」と語っています。「何か問題が起きた時、他の人が私にメールを送らなければならない人になりたい。トップに立ちたいのです」とコメント。
試合前・試合後の仕事も見学
フィラデルフィアのラ・サール大学の2年生である20歳のメディコは、他のメンティよりも経験が長く、ホッケー・コミュニケーションのマネージャーであるミーガン・コグートとゲーム運営コーディネーターのアリー・サミュエルソンと1日を共有しました。
※ラ・サール大学=比較的大きなリベラルアーツの大学でありながら、50人以上の大人数クラスを少なくする取り組みを行う。卒業生にアメリカで活躍するプロ選手が多数いるなど、男女共にスポーツのサークルが盛ん。キャンパス内に大学が運営する大規模な美術館を持つ。
看護学・健康科学の分野において、米国内でも高い評価を受ける。
メディコはコグートと一緒にフライヤーズの朝のスケートに参加し、ジョン・トルトレラ監督や選手たちと一緒に記者会見に参加しました。
その後、試合前にサミュエルソンが資格情報を処理するのを見て、試合中と試合後にはコグートと一緒に試合後のプレス対応をしました。
メディコは「これは私にとって本当に素晴らしい経験です。だって、これは私が将来必ず進みたい道だから」と語っています。「この機会を得ただけで本当に素晴らしいです」。
大学と企業としてのプロ・スポーツの交流、
これも日本はどんどんやるべきだにゃ。
昔、こういう場はなかった
10シーズンをミネソタ・ワイルドの広報担当として過ごし、フライヤーズでの最初のシーズンを迎えているコグートにとっても、それは同じように意味のあることでした。
「私の11年間でさえ、私達のやってきたことは驚くべきことだと思うわ」と彼女は言いました。「より多くの女性がPRに参加するのを見て、素晴らしいことなんじゃないかしら。
…実は、リーグでの11年間で、実際に誰かが私をフォローしに来てもらう最初の機会です」とコメント。
まとめ
コグートの言葉にもあるように、ほんの10年前には考えられなかった計画・試みのようです。新たな視点が加わることによって、より全ての人に受け入れてもらいやすいスポーツに、アイスホッケーがなっていくため、この計画がどんどん進行していってほしいものです。
例えばテレビ中継や配信だけを取ってみても、より分かりやすい解説や絵造りとかもできるでしょうし、耳に馴染みやすい実況方法の開発なんか考えてみてはどうか。
荒々しい部分が魅力の一つになっているスポーツなので、なかなか難しいかもしれませんが、新しいファン開拓には必要だと思います。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!