はじめに
NHLウェスタン決勝第3戦は、3点差を覆す劇的な逆転劇となりました。ベガス・ゴールデンナイツが5-3でコロラド・アバランチを下し、シリーズ3勝0敗と王手をかけています。圧倒的なパック支配率に耐え抜くベガスの勝負強さと、指揮官の奇策が暗転したコロラド。
勝敗を分けた戦術、各選手の働き、そしてスイープか反撃かを占う第4戦の鍵を、プロの視点から徹底分析します。 📝 🔥
参照記事:ESPN「Golden Knights-Avalanche Game 3 takeaways, grades, early look at Game 4」
窮地のアバランチ:機能したはずの「テコ入れ」と、暗転した第2ピリオドの悪夢
背水の陣で第3戦に臨んだコロラド・アバランチの評価は「C-」と厳しいものになりました。ジャレッド・ベドナー監督は、怪我から復帰した名手ケイル・マカーを戦線に戻し、大胆なライン変更を断行。
アルトゥリ・レーコネンをトップラインへ昇格させ、マルティン・ネチャスをナゼム・カドリと共にセカンドラインへ配置、さらにニコラス・ロイをロス・コルトン、ヴァレリ・ニチュシュキンと組ませる第3ラインのセンターに据えました。
この奇策は序盤に見事的中します。アバランチはパワープレーでの得点を含む電撃的な猛攻を見せ、第1ピリオドだけで3-0という最高のリードを築き上げました。誰もがコロラドの逆襲を確信したはずです。
しかし、第2ピリオドに悪夢が訪れます。開始わずか19秒で失点を許すと、4分足らずの間に2ゴールを献上。3試合連続で「5分以内に2ゴール」を奪われる守備の脆さを露呈し、一気に同点に追いつかれます。
さらに追い打ちをかけたのが、大黒柱ネイサン・マッキノンがシュートブロックの際に負傷し、ロッカールームへ下がったアクシデントです。第3ピリオドに復帰したものの本来のスピードはなく、出場時間はわずか4分強。
10分以上もチーム全体のシュートがゼロという致命的な機能不全に陥り、トマシュ・ヘルトルに決定的な4点目を奪われました。パワープレーの形すら作れないまま、試合は一転してスイープ負け寸前という最悪のシナリオへ転がり落ちたのです。
第1ピリオドでのコロラド・アバランチの圧倒的な3得点猛攻から、試合をひっくり返したヘルトルの決勝ゴールまで 、試合の全ゴールと決定的な瞬間を網羅!
【讃岐猫😺の深堀りコラム】氷上の最高権力者が抱える「右膝の爆弾」:スイープ寸前のアバランチに問われる覚悟
ウェスタン・カンファレンス決勝第3戦で露呈したコロラド・アバランチの構造的欠陥、そして大黒柱ネイサン・マッキノンの負傷退場劇は、北米の主要ホッケーメディアや辛口の評論家たちの間で文字通り「終戦」のシグナルとして議論されている。
レギュラーシーズンでプレジデンツ・トロフィー(リーグ最高勝率チームへの授与)を獲得し、121ポイント(55勝16敗11延長負)を積み上げた絶対的な優勝候補が、なぜベガス・ゴールデンナイツを前にスイープ(4戦全敗)の屈辱に怯えているのか。
その舞台裏は、戦術的な破綻と絶対的エースの強靭すぎる責任感が交錯する極限状態である。
まず、戦術面で多くの専門家が指摘するのが、指揮官ジャレッド・ベドナーによる「焦燥感から生まれたディフェンス崩壊」である。第3戦では負傷明けのケイル・マカーが待望の復帰を果たし、アバランチの守備陣は本来の強度を取り戻すはずであった。
しかし、ベドナー監督が講じた大胆なライン再編は、第1ピリオドの3得点という目先の果実をもたらした一方で、守備の連携を著しく損ねる結果となった。
第2ピリオド開始わずか19秒での失点を皮切りに、4分間で同点に追いつかれた場面について、北米メディアの解説陣は「ライン変更によるケミストリーの喪失が、ベガスの素早いトランジションに完全に裏をかかれた」と断定している。
アバランチは3試合連続で「5分以内に2ゴール」を献上しており、このシステミックな守備の脆さは、単なる個人のミスではなく戦術的破綻を意味する。
そして、事態を決定的に悪化させたのが、第2ピリオド残り約8分の場面で発生したマッキノンのアクシデントである。ベガスのDFシア・セオドアが放った強烈なワンタイマー・スラップショットを身を挺してブロックした際、パックはマッキノンの右膝の内側を直撃した。
氷上に崩れ落ち、悶絶しながらもパックをクリアした彼の執念は、ゴーリーのスコット・ウェッジウッドに「彼を氷上から降ろすには、殺すしかない」と言わしめるほどの凄まじさであった。
その後一度はロッカールームに下がったものの、第3ピリオドのパワープレーや6人攻撃(ゴーリーを下げた状態)の局面で再びリンクに戻った事実が、アバランチの絶望的な「マッキノン依存度」を物語っている。
事実、第3ピリオドでの彼の出場時間は4分強に制限され、トレードマークである爆発的なスピードは完全に失われていた。
メディアや評論家が最も注目しているのは、東部時間5月26日火曜日の夜に控える第4戦に、マッキノンが出場できるのかという点である。
ベドナー監督は「ショットが膝に直撃した直後は衝撃が大きい。トレーナーが迅速に処置をし、本来の動きができる状態へどれだけ早く戻せるかだ」と語り、公式な記者会見でもそのステータスを「不透明(uncertain)」としている。
ホッケー評論家たちの分析によれば、マッキノンほどの勝負の鬼であれば、骨折などの致命的な損傷でない限り、チームのシーズン終了(エリミネーション)がかかった大一番に強行出場することは確実視されている。
しかし問題は「出られるか」ではなく、「機能するか」である。レギュラーシーズンで53ゴールを挙げ、ロケット・リチャード・トロフィーを獲得した男が、右膝に爆弾を抱えた状態でベガスの強固なチェックをかわせるはずがない。
現在のアバランチはマッキノン以外のフォワード陣からの得点力が完全に枯渇しており、彼が本来の100%のスピードを発揮できない場合、ベガスの必勝パターンに飲み込まれ、2023年以来のスタンレーカップ決勝進出の切符を易々と渡すことになるというのが、衆目の一致する冷徹な見立てである。
出典リスト
NHL.com, “MacKinnon’s status uncertain with Avalanche season on brink in Western Final“, May 26, 2026
TSN, “Avalanche’s MacKinnon briefly exits Game 3 with apparent injury“, May 25, 2026
Yardbarker, “Avalanche in Trouble After Game 3 Collapse: MacKinnon Injury Update“, May 25, 2026
絶対王者の底力:ゴールデンナイツが見せた驚異の修正力と「選手層の厚み」
見事な逆転劇で勝利を収めたベガス・ゴールデンナイツの評価は「B+」です。今プレーオフで何度もビハインドを跳ね返してきた彼らですが、3点差をひっくり返した今回の怒涛の反撃はまさに別格でした。反撃の狼煙を上げたのは、カンファレンス決勝初出場となったマーク・ストーンです。
第1ピリオドにショートハンドゴールを許し、前戦でパワープレーを4回すべて失敗した鬱憤を晴らすかのように、見事なパワープレーゴールを突き刺しました。これを機に流れを掴むと、ウィリアム・カールソンが今プレーオフ初ゴールを決め、ミッチ・マーナーもこの試合2つ目となるアシストを記録。
スター選手たちが大舞台で期待通りの仕事を果たし、チームを牽引します。
さらにベガスの真の恐ろしさは、その圧倒的な選手層の厚さにあります。試合を振り出しに戻したキーガン・コールサーの同点弾がそれを証明していました。シリーズ初戦でもディラン・コグランやニック・ダウドといった脇役が得点を挙げており、主力だけに依存しない全員ホッケーが徹底されています。
攻撃陣の4連続ゴールに目を奪われがちですが、泥臭い肉弾戦でもアバランチを圧倒。イワン・バルバシェフ、ブレット・ハウデン、コール・スミス、コールサー、ストーンの5人がそれぞれ3ヒット以上を放ち、チーム全体で34ヒットを記録しました。
ショットシェア41.82%という劣勢を耐え抜き、勝利をもぎ取るタフさは流石の一言です。
【讃岐猫😺の深堀りコラム】スター軍団の皮を剥いだ破壊兵器:ベガスが誇る「ボトム6」の冷徹なるゲーム支配
ベガス・ゴールデンナイツといえば、潤沢な資金力と積極的なトレードで集められた、一握りのスター選手たちがスポットライトを浴びる「ギャラクティコ(銀河系軍団)」というイメージが根強い。
しかし、この2026年プレーオフにおいて北米のホッケー評論家やアナリストたちが一様に驚嘆し、対戦相手を絶望させているのは、その華やかなスターの影に隠れた「ボトム6(第3・第4ライン)」および脇役ディフェンス陣の圧倒的な費用対効果と、その規格外のゲーム支配力である。
北米のホッケーメディアによる最新の戦術分析によると、現在のベガスはトップラインに依存した歪なチームではなく、むしろ「どのラインが出場しても相手のトップラインを無力化できる」という、近代ホッケーの理想郷を体現していると評価されている。
第3戦でアバランチの息の根を止めたキーガン・コールサーをはじめ、今オフに加入したコール・スミスやブレット・ハウデンらで構成される下位ラインは、単なる時間稼ぎの役割を完全に超越している。彼らはレギュラーシーズンから一貫して、高度な先進指標であるアドバンスド・スタッツにおいて驚異的な数値を叩き出してきた。
特に、相手にパックを支配されている時間帯(ショットシェア41.82%という劣勢)であっても、自陣ブルーライン付近での強固な壁となり、ハイデンジャー(決定的な失点危機)に陥る確率を極限まで低く抑え込む能力はリーグ随一である。
評論家陣は「ベガスのボトム6は、相手のファーストラインと対峙した際、実質的にその攻撃力を相殺するだけの守備的インテリジェンスとフィジカルを兼ね備えている」と断言する。
この「脇役の反乱」を可能にしている背景には、GMのケリー・マクリモンによる冷徹かつ緻密なサラリーキャップマネジメントの勝利がある。
サラリーキャップが8800万ドルに設定されている2025-26シーズンにおいて、ベガスは主力に巨額の契約を集中させる一方で、ボトムロスターを年俸100万ドルから250万ドル前後の「低コストかつ高強度な実力者」で固めることに成功した。
メディアの契約動向レポートによると、今シーズン終了後にフリーエージェント(UFA)を迎えるコールサーやハウデンといった脇役たちに対し、すでに他チームからは「次期キャプテン候補」「上位ラインを任せられるタフガイ」として、現在の倍近い年俸でのオファーが噂されているほど評価が急騰している。
つまり、現在のベガスは「他チームなら第2ラインで主力を張れるレベルの選手を、第3・第4ラインに幽閉している」状態であり、これがプレーオフという短期決戦において、泥臭い肉弾戦(34ヒット)での圧倒的なアドバンテージを生み出している。
スター選手たちがマークを厳しくされ、スタミナを消耗するカンファレンス決勝において、こうした脇役たちが代わる代わるヒーローとして台頭する構造こそが、対戦相手にとって最大の恐怖である。
アバランチがネイサン・マッキノンという個の力に依存し、その負傷によってドミノ倒しのように崩壊したのとは対照的に、ベガスは誰か一人が欠けても代わりの歯車が機能する「システムとしての強さ」を証明している。
評論家陣は、このボトム6の圧倒的な層の厚さこそが、ベガスが2023年以来となるスタンレーカップ奪還を果たすための「真のコア」であると結論付けている。
出典リスト
Review Journal, “Golden Knights shake up bottom-6 forwards heading into trade deadline“, March 5, 2026
NHL.com, “Golden Knights roster at a glance for Stanley Cup Playoffs“, April 16, 2026
NHL.com, “Howden raises game in Stanley Cup Playoffs, helps Golden Knights reach 2nd round“, May 2, 2026
運命の第4戦・キーマン分析:崖っぷちの守護神と、帰ってきた「真のリーダー」
シーズン終了の危機を迎えるアバランチにおいて、最も注目すべきはゴーリーのスコット・ウェッジウッドです。ジャレッド・ベドナー監督は第2戦後、彼の失点について厳しく言及しており、この第3戦後も同様の不満を抱いている可能性があります。
特に今回は、アバランチが許した被シュート数が、このシリーズで最も少ない22本に留まった試合でした。指揮官は第3戦を前に大幅なライン変更を行いましたが、異なる結果を求めてさらなる荒療治に出るのでしょうか。
第4戦ではマッケンジー・ブラックウッドを起用するのか、それともウェッジウッドを続投させるのか、その決断がチームの命運を左右します。
対するベガスの鍵を握るのは、やはり右ウィングのマーク・ストーンです。彼が戦線に復帰した際、チームがどう変化するか注目されていましたが、この試合で1ゴール・1アシストを記録し、その価値を証明しました。さらに特筆すべきは守備面での多大な貢献です。
ゴールデンナイツは第1・第2ピリオドだけで計28本のシュートを浴びながらも、第3ピリオド以降はアバランチの猛攻をわずか7本に抑え込みました。4ヒットを放ち攻守両面で驚異的な存在感を発揮するストーンの存在は、チームの戦術に大きな選択肢を与えています。
ロスター全体をフル活用して戦うベガスにとって、彼はまさに勝利への羅針盤と言えるでしょう。
シリーズ決着か、意地の反撃か:大黒柱のコンディションとベガスの「必勝パターン」
第4戦の最大の焦点は、アバランチの大黒柱ネイサン・マッキノンの状態がどこまで回復しているか、そしてどんな役割を果たせるかです。第3ピリオドに不屈の精神でリンクへ戻ったものの、いつもの爆発的なスピードは影を潜めていました。
得点が必要な緊迫した場面でも、彼ほどのスターとしては異例となる合計4分強の出場時間に留まったことが、怪我の深刻さを物語っています。チームが不名誉なスイープ負けを回避するために克服すべき課題は山積みですが、最優先事項が彼の復活であることは間違いありません。
現在のアバランチは彼以外の選手からの得点力が著しく不足しており、マッキノンの復調なしに逆転サヨナラ劇は不可能です。
アバランチのべドナー監督の記者会見。3-3に追いつかれた後の第3ピリオド、選手の起用法について。マッキノン不在時、「どう対応していけばいいのか分からない」と弱音も。
一方、ゴールデンナイツのお馴染みの戦い方が第4戦でも炸裂し、シリーズ決着へ繋がるのかも注目です。アバランチ側の視点に立てば、第4戦では可能な限りパックを支配し、相手にチャンスを与えずにリードを広げることが唯一の勝機に思えるでしょう。
しかし、それこそがベガスの恐ろしい罠なのです。今プレーオフのベガスは、長時間パックを持たれて劣勢に立たされても決して崩れず、耐え抜いた後に電撃的なゴールを奪って試合をひっくり返す「必勝パターン」を確立しています。
この独自のスタイルで3勝0敗という圧倒的優位を築いた彼らが、次戦も同じ展開を再現すれば、スイープでの勝ち抜け、そして2023年以来となるスタンレーカップ決勝進出の栄冠が一気に現実味を帯びてきます。

うーん、アバランチの選手層の方が厚くて、ナイツはちょっとヤバいんじゃないか?と予想してたんだけど、全く逆になったにゃ。ナイツ新監督トルトレラの戦術に合う選手が意外と多くて、彼らの才能が一気に花開いた感はある。アバランチはゴールテンダー難だよね、プレーオフに入っても。爆発的な攻撃力がそれを覆い隠してたんだけど、レギュラーシーズン最終盤から出てたボロが、ここに来て一気に吹き出てしまった。これは厳しい。
まとめ
ウェスタン決勝第3戦は、ベガスの驚異的な修正力とアバランチの誤算が明暗を分けました。3点差を跳ね返して王手をかけたゴールデンナイツが、このまま2023年以来の栄冠へ突き進むのか。それとも背水の陣のコロラドが、満身創痍の大黒柱マッキノンと共に意地を見せるのか。
運命の第4戦、氷上の熱いドラマから一瞬たりとも目が離せません!🏒 🏁

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

