はじめに
NHLの激動のシーズンを振り返る際、常に議論の的となるのが「期待通りの活躍を見せたヒーロー」と「不完全燃焼に終わった実力者」の存在です。氷上の数字は残酷なまでに現実を突きつけますが、そこには単なる得点数以上のドラマが隠されています。
本稿では、各チームの命運を左右したMVPと、厳しい視線にさらされた選手たちを徹底分析。勝利の方程式を解き明かした者、そして誤算の渦中にいた者の姿から、現在のNHLの勢力図を浮き彫りにします。🏒
参照記事:The Athletic「Every NHL team’s MVP and most disappointing player in the 2025-26 regular season」
フロリダ&トロントの強豪、その栄光と影
アトランティック・ディビジョンの強豪、タンパベイ・ライトニングとトロント・メープルリーフス。この両雄のシーズンは、対照的な個人成績によって彩られました。
まずライトニングのMVPは、文句なしにニキータ・クチェロフです。ハート記念賞の最有力候補でもある彼は、先読みの能力とシュートを武器に攻撃を牽引。貢献度を示すネットレーティングは+31を叩き出し、ネイサン・マッキノンに次ぐリーグ2位を記録しました。⚡️
対して、誤算となったのはニック・ポールです。60分換算のポイントは加入後最低の1.39に沈み、彼が氷上にいる際の得点力低下が顕著に。オフェンシブ・レーティング-4.6はチームワースト2位という厳しい数字でした。
一方、メープルリーフスのMVPはウィリアム・ニーランダーです。17試合を欠場しながらも、キャリア最高の100ポイントペースでチーム首位の得点をマークしました。
期待外れだったのは、キャンプで4年延長契約を結んだアンソニー・ストラーズ。昨季セーブ率リーグ1位の輝きは影を潜め、原因不明の怪我と再負傷に苦しみました。結果、セーブ率は.900を下回り、守護神としての期待を裏切る形となりました。🍁
日本時間で本日・4月16日に行われたオタワ・セネターズvs.トロント・メイプルリーフス戦のハイライト映像。ニランダー一人が元気なリーフス、今季最終戦も敗戦…。
新天地ユタと西の雄バンクーバー、明示された課題
今季から新たな歴史を刻み始めたユタ・マンモス。その記念すべき初代MVPはクレイトン・ケラーで決まりでしょう。チームトップの83ポイントを記録し、2位に11ポイント差をつける孤軍奮闘を見せました。
特にローガン・クーリーの離脱中、彼のラインが披露した圧倒的なパフォーマンスはチームをプレーオフ圏内へと押し上げる原動力となりました。🏔️
一方で、年平均250万ドルの2年契約で迎えられたブランドン・タネフは、ボトムシックスとしての役割を全遂できず。52試合で0ゴール・3アシストという数字はあまりに寂しく、5対5の状況下ではシュート数や失点数で相手に完全に圧倒される結果となりました。
西の強豪バンクーバー・カナックスでは、DFフィリップ・ヒロネックの貢献が光りました。チームが5対5で劣勢を強いられる中、彼が氷上にいる時間帯だけは高い競争力を維持。まさに「テフロン」のごとき安定感で、文句なしのチームMVPに選出されました。🛡️
対照的に、オフの目玉補強だった34歳のエヴァンダー・ケインは期待を大きく裏切りました。身体的な強さを欠き、5対5での生産性も極めて低く、さらにはミスを連発。トレードデッドラインまでにレンタル移籍させることすら叶わず、チームにとって重い誤算となりました。🚢
【讃岐猫😻の深堀りコラム】氷上の孤軍奮闘と「誤算」の終焉:2026年カナックスの混迷
2025-26シーズンのバンクーバー・カナックスを振り返る際、フィリップ・ヒロネックという「唯一の希望」と、エヴァンダー・ケインという「最大の足かせ」の対比ほど、現在のチームの機能不全を雄弁に物語るものはない。
まず、ヒロネックの働きは特筆に値する。(移籍するまでの)クイン・ヒューズとの不動のトップペアとして、今季彼はキャリアハイとなる32ポイント(5ゴール、27アシスト)を記録する勢いを見せた。
特に2026年1月に病欠や負傷から復帰して以降の安定感は凄まじく、彼が氷上にいる時間帯の期待ゴール率(xGF%)は常にチーム平均を大きく上回っている。
2024年に結んだ8年総額5800万ドルの超長期契約が、現時点ではチームにとって「唯一成功した先行投資」となっている事実は皮肉と言わざるを得ない。彼はまさに、沈みゆく船の中で独り防波堤となって耐え続けた。
対照的に、ベテランのエヴァンダー・ケインがもたらした落胆は、フロントの補強戦略の破綻を象徴している。34歳を迎えたケインは、2026年4月のレギュラーシーズン最終盤、上半身の負傷により戦列を離脱。
今季を13ゴール、31ポイント、そして屈辱的なマイナス20というスタッツで終えることとなった。かつての身体的な威圧感は影を潜め、5対5の局面で相手に付け入る隙を与える場面が目立った。
さらに致命的だったのは、3月のトレードデッドラインにおける失態である。最下位に沈むチームにとって、今季限りで契約が切れるケインは格好の資産となるはずだった。しかし、パフォーマンスの低迷と高額な給与、そして勝負どころで見せた競争力の欠如が「売り物」としての価値を完全に消失させた。
結果としてレンタル移籍すら成立せず、再建のためのドラフト指名権を得る機会も逸した。この「動かせなかった不良債権」という事実は、来季以降のロスター刷新に重い影を落としているのである。
出典:
Daily Faceoff, “Filip Hronek – NHL Player News, Rankings, Stats” (Updated: Jan 31, 2026)
Sportsnet, “Canucks’ uncompetitive deadline week continues with lopsided loss” (Mar 3, 2026)
The Hockey Writers, “Canucks Fail to Take Advantage of Seller’s Market at 2026 NHL Trade Deadline” (Mar 7, 2026)
Rotowire / FOX Sports, “Evander Kane – NHL News & Rumors: Likely done for season” (Apr 15, 2026)

カナックスで大きく期待を裏切ったのは、監督なんじゃないかにゃ…。最初から最後までパッとしなかったし、「次はカナックス戦かぁ、勝てるかな」って感じで、事実、調子落としていた他のチームがカナックスに勝って、勢い取り戻した展開があったような。エヴァンダー・ケインの獲得に見られるように、補強も強い意志みたいなものがなくて。しばらく厳しいかな。
砂漠の王者ベガスと首都の守護神、命運を握るセンター
ベガス・ゴールデンナイツで、最高のシーズンとは言えずともMVPに相応しいのはジャック・アイケルです。チーム最多ポイントを記録し、フォワード陣で断トツの出場時間を誇る彼は、均等人数時に最も手強い相手と対峙し、スペシャルチームの両翼をも担う大黒柱でした。🎰
一方、最大の誤算はサンノゼから加入したトマシュ・ヘルトルです。パワープレーではゴール前の強さを見せたものの、5対5の局面で攻撃を牽引できず、結果としてチームワーストのオンアイス・レーティング「-16」という不名誉な数字を叩き出しました。
ヘルトルはそんな悪い選手じゃないんだけど、何か存在が消えているというか、イマイチパッとしないというか。シャークスにいたら、ずっと頼れる兄貴分的存在になったと思うが。
ワシントン・キャピタルズでは、ローガン・トンプソンが救世主となりました。シーズン終盤のセーブ率は.912、さらに「期待される以上の失点阻止数(GSAE)」でリーグ首位の58.3を記録。ヴェジーナ賞ファイナリスト級の活躍であり、彼がいなければプレーオフの夢は早々に潰えていたでしょう。🧤
対照的なのが、腹部手術で3ヶ月を失ったピエール=リュック・デュボアです。怪我は不運でしたが、彼が「1番センター」として期待された役割を全うできなかったことで、チームは長期間の停滞を余儀なくされました。攻撃型DFへと成長したジェイコブ・チクランの奮闘もありましたが、デュボアの不在を埋めるには至りませんでした。🦅
カナディアン・プライドを懸けたウィニペグの再構築
ウィニペグ・ジェッツにおいて、ディフェンスの要であるジョシュ・モリッシーの存在感は唯一無二でした。チームが彼を中心にフォワードのラインを組み替えるほど、その信頼は絶大です。統計データもその重要性を裏付けています。
モリッシーがカイル・コナーやマーク・シャイフェリーと共に5対5で出場した際、チームは45得点・30失点と大きく勝ち越しました。しかし、彼がベンチに下がると、同コンビは34得点・25失点と一転して劣勢に立たされています。ジェッツが最も必要としたのは、間違いなく彼の安定したプレーでした。✈️
モリッシーが経営するレストラン「The 44」を案内する番組から。いくつかのサンドイッチを作りながら、カナダでの生活やチームメートの個性などについて語ってます。
一方で、ベテランのグスタフ・ニクイストには厳しい評価を下さざるを得ません。ニコライ・エーラースの穴を完全に埋めることや、3シーズン前の75ポイントを再現することまでは期待されていなかったかもしれません。
しかし、年平均325万ドルという契約額を考えれば、51試合でわずか1ゴールという成績はあまりに期待外れです。経験豊富なベテランとしてチームを支えるべき存在でしたが、攻撃面での貢献不足はチームの大きな誤算となりました。
ジェッツがさらなる高みを目指すためには、こうした中堅・ベテラン層の得点力復活が不可欠な課題として突きつけられています。🏒
まとめ:次シーズンへ向けて――チームを救うのは「統計」か「情熱」か
今シーズンの各チームを振り返ると、クチェロフやトンプソンのように、驚異的なスタッツでチームを救った個の力が際立ちました。一方で、高額契約や実績を背負いながらも、怪我や不調に泣いた実力者たちの姿は、NHLという舞台の厳しさを改めて物語っています。
数字は時に残酷ですが、そこから導き出される課題こそが、次なる勝利へのロードマップとなるはずです。氷上のドラマは、早くも来季の開幕へと向かって動き出しています。🏒

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!


