ゼグラスに屈したペンギンズ!シュートアウト不振の真相を解明

アイスホッケー名勝負

はじめに

 主力欠場という絶体絶命のピンチで迎えたフライヤーズとの宿敵対決。3度のリードを奪う意地を見せたペンギンズでしたが、待っていたのはまたしても「シュートアウト」の悪夢でした。

 今季1勝9敗と苦しむチームに立ちはだかったのは、かつての守護神スキナーも恐れる“あの男”の超絶技巧。技術か、それとも心理的な壁か――。

 エース不在の中で見えた光と影、そして新たな記録を打ち立てた選手の活躍まで、手に汗握る一戦を徹底解説します!🏒✨

参照記事:Pittsburgh Post-GazetteShorthanded Penguins relive shootout nightmare in loss to Flyers

Pittsburgh Post-Gazette

 アメリカ・ペンシルベニア州ピッツバーグを代表する老舗新聞社の公式ニュースサイトであり、地域報道において長い歴史と影響力を持つ媒体として知られている。

 その起源は1786年に創刊された「Pittsburgh Gazette」にまで遡り、これはアメリカ合衆国でアレゲニー山脈より西側で最初に発行された新聞とされるなど、米国ジャーナリズム史の中でも象徴的な存在。

 現在の「Post-Gazette」という名称は1927年に複数の新聞が統合されて誕生したもので、以来長年にわたりピッツバーグ都市圏の主要日刊紙として機能してきた。

 新聞は地方紙でありながら全国的な評価も高く、調査報道や写真報道などで複数のピューリッツァー賞を受賞。例えば1938年には最高裁判事ヒューゴ・ブラックの過去を暴いた調査記事でピューリッツァー賞を獲得し、その後も難民報道や社会問題の取材などで同賞を受賞するなど、地方紙でありながら国家的な影響力を持つ報道機関として評価されてきた。

 こうした実績は、地域スポーツの取材にも同じ姿勢が貫かれていることを示しており、ペンギンズやスティーラーズなどピッツバーグの主要プロスポーツに関する報道は、地元ファンにとって最も信頼できる情報源の一つとされている。

 ただし近年は、アメリカの地方新聞が直面している構造的な危機の影響を強く受けている。広告収入の減少やデジタル化による読者離れに加え、労働組合との長期的な対立などが重なり、経営は長年厳しい状況に置かれてきた。

 実際、運営会社のブロック・コミュニケーションズは、この新聞の運営で20年間に約3億5000万ドル以上の損失を計上したと説明しており、こうした財政的な負担が新聞業界全体の縮小を象徴する事例として報じられている。

 その結果、Post-Gazetteは近年オンライン中心の媒体へと移行し、紙の発行は週数回に縮小されるなど、地域新聞のビジネスモデルの転換を迫られてきた。さらに2022年から続いた長期ストライキや裁判問題が経営をさらに圧迫し、2026年にはついに閉鎖が発表される事態に至っている。

 240年近い歴史を持つ新聞の終焉は、アメリカの地方ジャーナリズムが直面している深刻な構造変化を象徴する出来事として報じられた。

🏒シュートアウトの悪夢再び…フライヤーズに悔しい敗戦

 ペンギンズにとって、今はまさに正念場ですよね。プレーオフの枠になんとかしがみつこうと必死な中、チームの得点源である中心選手二人を欠いた状態で土曜日のフライヤーズ戦を迎えました。この状況でのライバル対決は、まさに「絶対に負けられない戦い」と言えるほど重要な一戦だったんです。

 実はこの試合、ピッツバーグにとっては、現在プレーオフ圏内にいないチームと対戦できる貴重なチャンスでもありました。というのも、この先2週間は強豪との厳しい6連戦が待ち構えているからなんです。チームは直近で2試合続けて60分以内に負けていたこともあって、嫌な流れを断ち切りたいところでした。

この先2週間は強豪との厳しい6連戦

 ペンギンズにとってフライヤーズ戦以降の日程は、勝ち点を積み上げる意味でも極めて重要な山場が立て続けに控えている。まずボストン・ブルーインズとの対戦は3月8日(日)午後4時30分(現地時間)にPPGペインツ・アリーナで行われる。

 これは今シーズン、ブルーインズとの最終戦で、フライヤーズ戦から中1日での試合となるため、チームにとってタフな連戦となる。(Fox Sports Pittsburgh

 その後の遠征も骨太で、3月12日(木)にはベガス・ゴールデンナイツと敵地・T‑Mobile Arenaで対戦し、続く3月14日(土)はユタ・マンモスとの一戦が控えている。これらは長距離移動を伴う連戦であり、旅疲れや集中力の維持が勝敗を分けるポイントになると現地分析では指摘されている。

 さらに3月16日(月)にはコロラド・アバランチとの強豪対決がある。アバランチは今季リーグ全体首位に立つ強力な攻撃力を誇っており、この試合は特に守備力と得点力の両方が試される一戦になるとの見方が強い(※時間は現地夜9時30分開始予定)。(SeatGeek

 結果として、土曜日の試合ではなんとか1ポイントを確保することはできました。でも、結局またしてもシュートアウトで力尽きてしまったんです。試合を決めたのは、フライヤーズのトレバー・ゼグラスでした。彼のゴールが決定打となり、本拠地PPGペインツ・アリーナでの一戦は4-3でフライヤーズに軍配が上がりました。

 これで今シーズンのピッツバーグのシュートアウト戦績は、なんと1勝9敗という非常に苦しいものになってしまいました😢。この日も3人の選手が挑みましたが、誰一人としてネットを揺らすことはできませんでした。

ペンギンズのシュートアウトの低調ぶりについては、こちらの記事で解説しました。

 惜しい場面もあったんですよ。リカルド・ラケルのシュートは無情にもポストを叩きました。ラケル本人も、チームがシュートアウトでここまで勝てないのは、もう技術の問題だけではなく心理的な影響があるかもしれないと認めています。

 「みんなこの状況は分かっていますし、誰もがゴールを決めたいと強く願っているんです」と、試合後に彼は語ってくれました。「ただ、今はその思いが強すぎるのか、スティックを握る力が入りすぎてしまっていて、本来自分がやりたいプレーができていないのかもしれませんね」と、胸の内を明かしています。

 一方で、相手のゼグラスはまさにシュートアウトの達人です。15回以上の挑戦経験がある選手の中では、歴代トップとなる60%を超える成功率を誇っているんですから、本当に恐ろしい存在ですよね😲。

🧤ゴールキーパーから見た「魔術師」の恐ろしさ

 ペンギンズのゴールを守るスチュアート・スキナーにとって、今回決勝ゴールを決めたゼグラスの動きは、決して見慣れないものではありませんでした。というのも、スキナーは以前エドモントン・オイラーズでプレーしていた頃に、彼のプレーを間近で見た経験があったからです。

 スキナーは、ゼグラスのシュートアウトでの独特なスタイルについて、詳しく説明してくれました。「彼はいつも同じような入り方、同じようなルートで攻めてくるんです」とスキナーは振り返ります。

 「とにかく、ものすごくゆっくりとこちらの懐に入ってくるんですよ。そうやって、こちらの心理を揺さぶるような『駆け引き』を仕掛けてくるんです」。氷の上で静かに、でも確実にプレッシャーをかけてくるその姿が目に浮かぶようですね🧊。

 さらにスキナーは続けます。「彼がリンクの真ん中に向かってくるとき、そこにはいくつかの『決め手』となる得意の動きがあるんです。ゴールキーパーとしては、その瞬間に『今日はどの動きをチョイスしてくるんだ?』と、究極の選択を迫られるような気持ちになります」。

 相手を惑わすフェイクを入れるのか、それとも裏をかいてバックハンドで狙ってくるのか。あるいは、股下のわずかな隙間である『5ホール』を電光石火の速さで抜いてくるのか。そして今回の試合で見せたように、肩口の高い位置にあるブロッカー側を正確に射抜いてくるのか…。

 「こうした多彩な選択肢を持っていることこそが、彼の最も恐ろしく、致命的な武器なんです」と、スキナーはその脅威を語ってくれました😱。

フィラデルフィア・フライヤーズvs.ピッツバーグ・ペンギンズ戦のハイライト映像。それにしても、フライヤーズ、延長戦がやたら多くね?

【深堀りコラム】🔥現役でシュートアウトが上手い選手(2025–26シーズン中心)

◯キリル・マルチェンコ(Columbus Blue Jackets)

 現在のシーズンではゼグラスと並んで最多クラスのシュートアウト得点数を記録しており、5得点という数字を達成している。成功率も非常に高く、チームにとって“決定的な一撃”を生み出せる選手として評価されている。

◯アドリアン・ケンペ(Los Angeles Kings)

 マルチェンコと同じくこのシーズンで5得点と多くのシュートアウト得点を挙げているベテランで、決定力の確かさが際立っている。ただ多く打っている分、成功率自体はゼグラスほど飛び抜けていないが、勝負どころでの得点力は信頼できる。

◯ナゼム・カドリ(Colorado Avalanche)

 こちらも成功率100%と(サンプル数は少ないものの)高い精度を維持している。ケンペらと同じようにシーズンで上位に名を連ね、効率の良さでは注目に値する。

◯ジェイソン・ロバートソン(Dallas Stars)

 成功率こそゼグラスやマルチェンコに及ばないものの、キャリア通算でも高い成功率を保つタイプとして知られる。キャリア通算で見ると、現役選手でもゼグラスに次ぐ高順位に位置することもあり、安定感がポイント。

📊「効率」で見ると特に注目の選手

 キリル・マルチェンコは成功率も高く、シーズン中の得点数でゼグラスと並ぶことから「最も頼れるシュートアウトアーティストの一人」と言える存在。

 アドリアン・ケンペやナゼム・カドリはまだサンプル数が少ないものの、成功時のインパクトが大きく、契約年数を重ねても期待できるシュートアウト技術の持ち主。(Cloudinary

 ジェイソン・ロバートソンは総合力と成功率のバランスが良く、実績でも継続的に評価されるタイプ。

🏆現役トップクラスのシュートアウト才能

 ゼグラス自身も現役ではキャリア成功率66.7%前後でトップクラス(最低10ショット以上の条件)に位置しており、歴史的な名手とも比較されるレベルである。

 とはいえ、今のNHLには単に成功率が高いだけでなく、勝負強さや勝ち点に直結する働きを見せる選手が複数いる。特にマルチェンコやケンペは、ゼグラスとは異なるスタイルながら「勝負どころで結果を出す力」を持つ選手として注目に値する。(StatMuse

🇷🇺キリル・マルチェンコ—技術×リズムでゴールキーパーを崩す

 キリル・マルチェンコはコロンバス・ブルージャケッツを象徴するような、ダイナミックで多彩なシュートアウトを試みる。彼のシュートアウトでの最大の武器は、リズムの変化とタイミングのずらし方にある。

 多くのゴールキーパーは、スキート(スケーティングの入り)最初の数動作でシューターの狙いやリズムを読み取りにいく。しかしマルチェンコはここで意図的にスピードとテンポを変えるリズムワークを使って、相手の読みを狂わせることが多い。

 これは、リズムの変化自体がフェイクの一部として機能し、実際のシュートに向けてゴールキーパーを「間違ったタイミングで反応させる」効果を持つ。

 具体的な成功パターンとしては、マルチェンコはまずゆっくりと縦に入ってくる動きを見せ、そこから左右どちらかへのフェイクをさりげなく絡めることが多く、これによってゴールキーパーの重心を奪う。

 狙いは、わずかな体の向きの変化やステップの縮め方の違いで相手の反応方向を誘導し、ゴール前でスナップ(スケートの踏み込みからの瞬間シュート)やワンタイマーの柔らかいリリースに繋げるスタイル。(Yahooスポーツ

🇺🇸ジェイソン・ロバートソン—力強さと冷静な読みで変化球を投げ分ける

 一方、ジェイソン・ロバートソンはダラス・スターズでのシュートアウト成功率が近年非常に高い(2023–24、24–25シーズンなど)。ロバートソンの特徴は、シュートへのアプローチが非常にバランスよく、力強さと冷静さを併せ持っている点にある。

 彼はシュートアウトでの入りが比較的シンプルでありながらも、ゴールキーパーが読み切る前に決定的なシュートインパクトを作るスタイルを好む。横に流れるようなグライド(滑走)から、相手の重心が動いた瞬間に一気にシュートに移る「静から動への切り替え」の速さが際立っている。

 この動きは、ゴールキーパーが次の行動を予測している間に、「後出し」でショットフェイント→本ショットに持ち込むことを可能にする」という意味でも強力。

 また、SNSやファン分析ではロバートソンのシュートアウトでの「ハイグローブ(高いグローブサイド)」へのリフトシュートや、わずかな体の向きを見せてからのバックハンド→前方へすくうようなシュートなど、「フェイクの中に身体の軸移動を巧妙に潜ませる」という言葉が多く見られる。これはゴールキーパーが「どこに行くのか?」と判断を迷わせる典型的なパターン。

 ロバートソンのシュートアウト成功のもう一つの要素は、自信を持って“読まれても尚打ち抜く”強気のシュート選択である。これはゴールキーパーが「フェイクを読み切った」と思わせておきながら、一瞬の身体のラインの変化で狙いを変更することで、相手のリアクションを遅らせる技術に通じている。(StatMuse

🧠拭えない「苦手意識」…指揮官が語る精神的な壁

 一方で、今のペンギンズにはゼグラスのような、シュートアウトで確実に決めてくれる決定力が不足しているのが現状です。今シーズンの数字を見てみると、30回のシュートアウトに挑んで成功したのはわずかに7回だけ。成功率は23.3%という、非常に厳しい数字になっています。

 この日の試合でも、フライヤーズのゴールキーパーであるダン・ヴラダーを前に、アンソニー・マンタやエゴール・チナホフがことごとくシュートを阻まれ、ラケルもポストに嫌われてしまいました。

 ピッツバーグの守護神たちも、ここまでシュートアウト27本のうち11本を止めていますが、セーブ率にすると40.7%となっており、決して高いとは言えない状況です。

決して高いとは言えない状況

 ペンギンズのシュートアウトにおけるゴールキーパー陣の成績は、今や単なる不調の域を超え、チームの弱点として明確に浮き彫りになっている。

 今シーズンのペンギンズはゴールキーパーがシュートアウト27本中11本を止めている(セーブ率40.7%)という厳しい数字に加え、ここ数シーズンにわたってチーム全体のシュートアウト防御がNHLでも下位に位置している。これは単なる偶発的な出来事ではなく、特定の傾向と背景が存在することを示す。

 その要因のひとつとして、現地メディアはゴールキーパーの技術的な課題と、シュートアウトへの適応度の低さを挙げている。

 過去数年間、ペンギンズは延長戦や通常の時間内では比較的健闘してきたものの、シュートアウトとなると極端に結果を出せない傾向が続いており、20122–23シーズン以降でチームのシュートアウト防御率はリーグ下位に位置し、継続的に改善が見られないという指摘がなされている。シュートアウト特有の1対1や決定機の状況に対応する反応速度や読みの精度が、他チームと比べて劣る面が明確になってきている。

 特に今季は若手ゴールキーパーのArturs Silovsがシュートアウトで20%台という非常に低いセーブ率に苦しんでおり、これはチーム全体の数値を大きく押し下げている。ペンギンズは長らくトリスタン・ジャリーやアレックス・ネデルコビッチといった堅実な守護神を擁し、過去にはそれなりのシュートアウト成績を残していた時期もあったが、現在のゴールキーパー陣はシュートアウト専用の技術練習や経験が十分に積まれていない可能性が高い、という見方が現地でも広がっている。(Fifth Avenue Sports

 また専門家の間では、ペンギンズがシュートアウトに苦戦する歴史的背景として、チームが伝統的にシュートアウトの練習時間を十分に確保してこなかった点も指摘されている。実際、シュートアウトは他のプレーとは異なる独特の技術とメンタルが必要であり、単にゴールキーパーが反射的に止めればよいというものではない。

 これに対して練習や戦術が最適化されていないと、試合で経験値が積み上がらず、同じような状況が繰り返されるほどゴールキーパーの反応や判断が遅れやすくなってしまう。(PensBurgh

 こうしたゴールキーピング面の弱さは、特にプレーオフ争いで1点の重みが増す今の順位戦では、勝負の別れ目になりかねない損失として現地メディアやファンの間でも大きな懸念材料となっている。数値以上に、チームのメンタル面や準備の差が結果としてスコアボードに反映されているという見方が広がっていると言える。(SI

 ペンギンズの監督を務めるダン・ミューズも、この終わりの見えない不振の背景には、技術以上の「心理的な要因」が潜んでいるのではないかと考えています。

 「自分のプレーの一部がこれほど一貫してうまくいかない時期が続くと、どうしてもチーム内でそのことが話題になりますし、周囲でも噂になってしまいます。それが積み重なっていくと、選手たちの心には目に見えない重圧としてのしかかっていくんです」と、ミューズ監督は苦しい胸の内を語りました。

 本来であれば、シュートアウトという場面は自分たちの手で勝利を掴み取るためのエキサイティングなチャンスのはずです。しかし監督は、「今のチームはそうしたポジティブな気持ちで攻めることができず、楽しむべきところで楽しめなくなっている。そんな雰囲気がありますね」と分析しています。

 さらに監督は、「こうした状況を招いてしまった責任の一部は私にもあります。選手たちがもっと前向きに、本来の力が出せるようにサポートしていくこと、それが私の今の大きな仕事です」と、自らも責任を背負い、選手たちを救い出す決意を口にしていました🤝。

讃岐猫
讃岐猫

🏒主力不在の危機で見せた意地と、逃した勝機

 今回の試合、ペンギンズはまさに「飛車角抜き」のような非常に苦しい布陣で戦わなければなりませんでした。エースのエフゲニー・マルキンが出場停止、そしてキャプテンのシドニー・クロスビーがオリンピックでの負傷により欠場という、チームの心臓部を欠いた状態だったからです。

 そんな絶体絶命のピンチの中でも、チームが非常に価値のある1ポイントをもぎ取ったことは、大きな意味があります。しかしその一方で、実はシュートアウトにまでもつれ込む前に、試合を完全に終わらせるチャンスは何度もあったんです。

 この日のピッツバーグは、合計で3度もリードを奪う展開を見せました。しかし、そのたびにフライヤーズがすぐさま追いついてくるという、実にもどかしい流れが続きました。特に痛かったのは、自分たちが得点して喜びも冷めやらぬ「1分以内」に同点ゴールを許してしまった場面が2回もあったことです。

 これには、フォワードのブライアン・ラストも悔しさを滲ませています。「本当に不運な形でした。自分たちで勢いをつかんだのなら、それを何としても維持しなければならなかったんです」と、試合の流れを自分たちのものにできなかったことを反省していました。

 ラストはさらに続けて、「得点した直後の2シフトから4シフト目というのが、勢いをキープするためには本当に重要なんです。もちろん追加点を取れれば最高ですが、少なくとも相手に反撃の隙を与えてはいけませんでした。もっと泥臭く、シンプルにプレーして、相手のゾーンにパックを押し込み続けるべきだったんです」と、試合をコントロールしきれなかった悔しさを語っています。

【深堀りコラム】専門解説:ラストが語る『勝利の呼吸』

 ペンギンズのラストが語った「得点直後の2~4シフト」という言葉には、ホッケーという競技の本質が凝縮されている。スコアボードが動いた直後の数分間は、氷上の物理的なエネルギーと両チームの心理状態が最も激しく衝突する時間帯であり、ここでの振る舞いこそが試合の支配権を左右すると言っても過言ではない。

 得点を決めた直後、チームには達成感とともに、無意識のうちにコンマ数秒の「緩み」が生じることがある。一方で、失点を喫した側は即座に「プッシュバック(反撃)」を試み、死に物狂いでパックを奪いに来る。このエネルギーのギャップを埋め、相手の反撃の芽を摘むのが「次の数シフト」の役割なのである。

 しかし、今回のペンギンズは、得点の歓喜が冷めやらぬ1分以内に二度も同点ゴールを許してしまった。自分たちが掴み取った「モメンタム(勢い)」をそのまま相手に献上してしまったことを意味する。

 現地メディアが厳しく指摘するのは、まさにこの「ギブ・ゼム・ライフ(相手に息を吹き返させること)」の代償。本来なら追い詰められていたはずのフライヤーズに対し、ペンギンズは「自分たちはまだやれる」という希望と活力を与えてしまった。

 特にクロスビーやマルキンといった絶対的な柱を欠く緊急事態において、チームが最も優先すべきは「リスクを最小化したプレー」の継続。ラストが強調する「シンプル(Simple)」という言葉は、決して消極的な姿勢を意味するものではない。

 それは、自陣ブルーライン付近での不用意な横パスを禁じ、確実にパックを場外へ出す「チップアウト」や、相手の背後へ深く投げ入れる「ダンプイン」を徹底し、安全に選手交代(ラインチェンジ)を完了させるという、極めて規律あるプロの仕事を指す。

 ベテラン選手を多く擁し、百戦錬磨のはずのペンギンズが、なぜこのような「ホッケーの基礎」とも言える時間帯の管理に苦しんでいるのか。そこには、主力不在を埋めようとする焦りや、過剰な攻撃意識が裏目に出ている現状が見え隠れする。

 本来、ベテラン勢こそが静かに時計を進め、相手に何もさせない「退屈なホッケー」を完遂して試合をクローズさせる役割を担うべきではないか。得点直後こそ、エモーションを制御し、氷上の温度を下げるような冷静なゲームマネジメントが求められる。

 今後、ペンギンズが再び勝負強さを取り戻すためには、華やかなゴールシーンの余韻に浸るのではなく、その直後に訪れる「泥臭い数分間」をいかに無慈悲に支配できるか。その一点に、チームの再生がかかっていると言える。

⛸️激しい先制争いと、目まぐるしく変わる試合展開

 今シーズンのペンギンズは、これまで62試合を戦ってきた中で、なんと39回も先制点を奪っていますが、この日もその強みを発揮しました。試合開始からわずか3分、セカンドパワープレーユニットが試合を動かします。

 エースのマルキンが不在という緊急事態に、AHL(アメリカン・ホッケー・リーグ)のウィルクス・バレー/スクラントンから呼び戻されたヴィル・コイヴネンが、見事なパスをジャスティン・ブラゾーへ送りました。

 さらにブラゾーがスロット付近にいたトミー・ノバックへと繋ぎ、ノバックの鮮やかなワンタイマーが決まって、ペンギンズが1-0と幸先よくリードを奪ったんです。

 しかし、ピッツバーグのこのリードは1分も持ちませんでした。フライヤーズのオーウェン・ティペットがゴールへ突進する際、マークが外れてフリーになってしまったところへ、ゼグラスが正確なパスを通し、あっさりと同点に追いつかれてしまいます。

 この場面、ディフェンスのサム・ジラードとクリス・レタンのコンビに連携のミスがあったようです。実はこの二人のペア、一緒にプレーした直近の6試合でかなり苦戦を強いられています。

 ミューズ監督はこのペアを解消するかどうかについては明言を避けつつも、「特定のペアだけのせいではなく、試合の多くの時間でチーム全体の動きが鋭さを欠いていた。だから責任をその一組だけに押し付けるつもりはない」とチーム全体の問題として捉えていました。

 ただ、スタッツを見ると厳しい現実も浮かび上がっています。データサイト「ナチュラル・スタット・トリック」によれば、ジラードとレタンが氷上にいる際、イーブン・ストレングス(人数が同数の状態)での得失点差は1-5と大きく負け越してしまっているんです。

ジラードとレタンが氷上にいる際

 ペンギンズのディフェンスラインで最も注目を集めているのが、ベテランのクリス・レタンと、近年チームの中核として期待されているサム・ジラードという組み合わせ。しかし、このペアの評価は今季一貫してポジティブとは言えない。

 専門サイトの分析では、レタン&ジラードのコンビはショットシェア(Corsi)や期待ゴール比率(xGF%)といった高度な統計において、他のペアと比較すると劣る数字が出ており、実際に得点にも絡めていないという厳しい結果が示されている。

 たとえば、レタンとジラードが一緒に氷上にいるときのCorsi比率は45%前後にとどまり、期待ゴール比率も50%付近にとどまっているというデータが参照されています。これは、相手にボール支配や攻撃機会をやや優位に許してしまう傾向を示している。(Pittsburgh Hockey Now

 レタン自身については、長年チームに貢献してきた実績やリーダーシップの評価は高いものの、ここ数シーズンで守備の精度や判断力にやや陰りが見えるとする分析も存在する。経年による反応速度の低下や、かつてのように攻守両面で圧倒的なインパクトを残せなくなってきているという意味である。

 専門家は、レタンが長年オフェンス寄りのスタイルでチームに貢献してきた半面、現在は守備の安定感を保つという役割でもがく場面が増えていると評価しており、この変化がペア全体のバランスに影響している可能性を示唆している。(Yardbarker

 一方で、レタンとジラードの組み合わせそのものが急に「失敗したペア」と断じられているわけではなく、まだ化学反応を探る段階であるとの見方もある。

 実際にコーチであるダン・ミューズが公式にペア解消について明言を避けている背景には、「チーム全体で守備の精度を高める必要がある」という見解があると報じられており、ペア単独の責任にするのではなく、システム全体の修正や選手間の読み合いの精度向上が重要という共通認識があるようだ。

 それでも、現地解説や統計分析を見ると、レタンとジラードが氷上にいるときのチームの失点リスクが、他の組み合わせと比べて高めに出ている点は無視できない。専門家の分析では、このペアに求められているのは単に個々のタレントに頼ることではなく、役割分担の明確化とディフェンスゾーンでのコミュニケーション精度の改善。

 とくにレタンのようなベテランに若手がうまくフィットするかどうかという点は、ペンギンズのブルーライン全体の安定性に直結するとされている。

 試合は第2ピリオドに入り、新しく編成されたトップラインのチナホフ、ラケル、ラストの3人が輝きを放ちます。流れるようなパス回しから、ピリオド開始3分38秒にラケルが勝ち越しゴールを決めました。

 ところが、またしてもフライヤーズが50秒以内に追いつきます。今週のペンギンズによく見られる傾向なのですが、コーナーでのパック争いに負け、相手選手をフリーにしてしまう場面が今回も出てしまいました。アレックス・バンプに自由を与えてしまい、ゴール前の混戦を突かれてスキナーの守るゴールが破られてしまったのです。

 それでも、その1分後には再び得点ラッシュが続きます。ラケルとチナホフのアシストを受けたエリック・カールソンが、ポイント(ブルーライン付近)から強烈なシュートを叩き込みました。カールソンにとっては、直近5試合で2ゴール、5ポイント目という絶好調ぶりを印象づける一打となりました。

 この回はなんとか即座の同点を免れ、約4分間はリードを保つことができました。しかし、魔の瞬間はやってきます。レタンが自陣から攻めに転じようとした際、コイヴネンへのパスをカットされターンオーバー(攻守交代)を許してしまいました。

 そこからマトヴェイ・ミチコフがゴール前のデンバー・バーキーへ繋ぎ、接近戦を制されて3-3の同点に追いつかれてしまいます。結局、この3-3のスコアのまま、試合は残り35分間動くことはありませんでした。

フライヤーズの至宝、2枚看板、ゼグラスとミチコフがシュートアウトで揃い踏み。

🏒延長戦の攻防とシュートアウトの決着

 ペンギンズはフライヤーズを23本対15本で上回るシュートを放ちました。延長戦でも、より良いチャンスを作っていたのはペンギンズの方だったのです🏒。

 延長3対3の時間帯には、フライヤーズのゴールキーパー、ヴラダーがカールソンに対する妨害でペナルティを受けました。しかし、ペンギンズはこの絶好のパワープレーのチャンスを生かすことができなかったのです。

 この場面について、ラストは次のように語っています。「みんなもう少し動いて、プレーをシンプルにする必要がある。4対3の状況では、氷上に広いスペースがあると思いがちだが、実際にはあと1人しかいない。とにかくシュートを打つこと、相手よりも働くことが大事だ」。

4対3の状況

 NHLのレギュラーシーズンで採用されている延長戦は、60分の規定時間で決着がつかなかった場合に行われる5分間の3対3サドンデス形式となる。通常の5対5とは異なり、各チームは3人のスケーターと1人のゴールキーパーのみで戦うため、氷上のスペースが一気に広がり、試合は極めてオープンでスピードの速い展開になる。

 1点が入った瞬間に試合が終わる「ゴールデンゴール方式」が採用されているため、この時間帯はわずかなミスが即座に敗北へ直結する緊張感の高い局面となる。

 この特殊なフォーマットにおいて、ペナルティが発生した場合の処理は通常の試合とは少し異なる設計になる。3対3の延長戦では、どのチームも氷上の人数が3人未満になることはないというルールが存在する。

 そのため、もし守備側の選手が反則を犯した場合、単純に「3対2」になるのではなく、攻撃側にスケーターが1人追加されて4対3のパワープレーになる形が採られる。つまり、延長戦では「人数を減らす」のではなく「相手の人数を増やす」ことで数的優位が作られる。

 さらに、このパワープレーが終了した場合も試合はすぐに3対3へ戻るわけではない。反則を受けた側の選手が氷上に戻ると、プレーは一時的に4対4の状態で続行され、次にプレーが止まったタイミングで再び3対3へ戻される。

 これは延長戦の流れを途切れさせず、同時に極端な数的不利を防ぐためのルール設計である。こうした仕組みによって、延長戦は常に「攻撃のチャンスが生まれやすい人数配置」を維持し、決着がつきやすいゲーム展開を作り出していく。

 したがって、この試合でフライヤーズのゴールキーパーが妨害行為によりペナルティを受けた場面は、単なる反則ではなく延長戦では非常に致命的になり得る局面だった。3対3という広大なスペースの中で4対3のパワープレーを得ることは、通常の5対4のパワープレー以上に決定機を生みやすい状況とされる。

 実際、延長戦でのパワープレーは攻撃側にとって「試合を終わらせる最大のチャンス」と言われることも多く、ここで得点できなかったことはペンギンズにとって大きな機会損失だったと言える。

 延長戦ではほとんどパックを支配し、シュート数でも4対1と圧倒しましたが、残念ながら得点には結びつきませんでした。結局、試合はゼグラスがスキナーのゴールを破り、シュートアウトで唯一のゴールを決めたことで決着しています。チナホフは「やるかやられるか」のシュートに挑みましたが、惜しくも阻まれてしまいました🥅。

📊試合のスタッツとチーム状況

 今回の試合のスタッツを振り返ると、ペンギンズのパワープレー成功率は1-6に終わっています。フライヤーズは多くのペナルティを犯しましたが、ペンギンズはパワープレーで得点できるトップコンビ二人(マルキン、クロスビー)を欠いていたため、そのチャンスを十分に生かすことができませんでした。

 チームの戦力についても動きがあります。マルキンは、木曜日のバッファロー戦でラスムス・ダーリンへのスラッシングにより科された5試合出場停止の初日を消化しました。また、クロスビーはオリンピックで負った下半身の負傷により、これで6試合連続の欠場となっています。しかし、最近はアイス上で練習を行っており、復帰は近いと見られています🧊。

 二人の得点源を欠く中で、ミューズ監督はライン編成を変更して挑んでいます。トップラインにはチナホフをラケルとラストに組み合わせ、セカンドラインにはノバックをマンタとブラゾーの間に配置しました。

 また、コイヴネンはベン・キンデル、エイブリー・ヘイズと「若手ライン」を組んでいます。フォースラインのデュワー、リゾット、アッチアリに変更はありませんでしたが、試合を通してさらに細かなライン変更も行われています。

ライン編成を変更

 ペンギンズのダン・ミューズ監督が試合ごとにフォワードラインを細かく組み替えていることについて、現地メディアは概ね「試行錯誤の段階にある」という見方をしている。ミューズは2025年に就任したばかりの新しいヘッドコーチであり、これまでの取材でも「ラインの固定よりも、チームの最適な組み合わせを探ることを優先している」という姿勢を繰り返し強調してきた。

 特に主力選手の負傷や欠場が続く状況では、既存のユニットをそのまま維持するよりも、思い切って配置を変えてみることが必要だという考え方が強い。実際、現地分析ではミューズのライン変更は「単なる場当たり的なものではなく、選手の役割を再確認するための実験的な意味合いが強い」と解説している。

 とりわけ議論になっているのが、若手を組み合わせた、いわゆる「キッズライン」の扱い。若手フォワードのヴィレ・コイヴネン、ベン・キンデルらが同時に起用された試合では、ショット試行率や期待ゴールなどの高度統計で非常に高い数値を記録し、攻撃の時間を長く維持できていることが分析サイトで指摘されている。

 ある試合では、この若手ラインが氷上にいる間のショット試行率が70%以上に達し、危険度の高いチャンスも多数生み出していたと報じられた。こうしたデータを踏まえ、現地の評論家の中には「ミューズは若手ラインのポテンシャルを見極めるため、あえて起用時間や組み合わせを調整している」と評価する声もある。(The Hockey News

 ただし評価は一枚岩ではない。別の論調では、ラインの頻繁な入れ替えが選手同士の連係を不安定にしている可能性も指摘されている。

 ペンギンズは今季、試合内容自体は悪くないものの得点に結びつかない試合が続いた時期があり、現地コラムでは「ラインの化学反応が固定されないことが攻撃のリズムを断ち切っている」とする批判的な意見も見られた。

 それでもミューズ自身は、連敗中の取材で「同じ形を続けて結果が出ないなら、別の形を試す必要がある」と語り、ライン変更を躊躇しない方針を明確にしている。(Pittsburgh Hockey Now

 こうした実験的なライン運用が最終的にどの組み合わせに収束するのかは、今後のペンギンズのシーズンの行方を占う重要なポイントとして現地でも注目されている。

 なお、この試合でゴールを決めたカールソンは、NHL史上10人目となる、ディフェンスマンとして13シーズン連続で40ポイント以上を記録した選手となりました✨。

🗓️次の試合予定

 ペンギンズは、ホームでの3連戦を日曜日のブルーインズ戦で締めくくります。試合開始は午後4時30分の予定です。今回の試合の後、PPGペインツ・アリーナでの次の試合は3月21日のウィニペグ戦まで予定されていません。

【追記】
 上記のブルーインズ戦はすでに終了しており、延長戦までもつれ込んだが、5-4でペンギンズの勝利!第1ピリオドから第2ピリオドの途中まで、全くいい所なしの3連続失点。「こりゃ試合になるのかな」と思いきや、やっとエンジンがかかって第3ピリオドからは試合になってた。

 やっぱりペンギンズの守備ラインにかなり不安ありますね…。

まとめ

 主力不在という逆境下、宿敵との接戦で勝ち点1を死守したペンギンズ。シュートアウトの克服やパワープレーの精度向上など、プレーオフ進出への課題が明確になった一戦でした。次戦のブルーインズ戦では主力の復帰も期待されます。

 粘り強く戦うチームを信じ、正念場の6連戦も一丸となって応援しましょう!🏒✨

讃岐猫
讃岐猫
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