はじめに
寒さが増し、街にホリデーの彩りが広がる季節。NHLでは、サンクスギビング時点の順位がそのままプレーオフ進出の可能性を示すと言われています🏒。今季のダラス・スターズは、負傷者続出という逆境を跳ね返し、ジョンストンやロバートソンらの活躍で勢いに乗る✨。
安定した守備と多彩な勝ち方で、12月初旬に歴史的な好調を見せるチームの姿を追います。
参照記事:NHL公式サイト「A November to remember: Stars’ historic month further emphasizes early season success through adversity」
一年で特別な季節の到来🍂🎄
一年の中で、この季節ほどワクワクする時期はありません。気温が下がり始め(あるいは一気に寒くなり)、街やお店、そして家々の庭先にもホリデーの飾りが増えてくると、気持ちも少しリフレッシュしたいような感覚が湧いてきます✨。
同時に、感謝の気持ちや優しい気分が広がり、過ぎゆく一年に思いを馳せながら、新しい年を迎える準備をする──この暖かく、心地よい気持ちは、12か月のどこを探してもほかにはありません。
アメリカではサンクスギビング1が、このシーズンのスタートを告げる祝日であり、「3つのF」(家族や美味しい料理、フットボール)が主役となり、日常の忙しさを忘れて人生の大切なことに目を向けさせてくれます🍗🏈。
しかし、マッシュポテトやパンプキンパイの隣には、もうひとつのサンクスギビングの恒例行事があります。それは、NHLの順位チェックです。
サンクスギビングとプレーオフの関係🏒🍁
「サンクスギビング時点の順位とスタンレーカップ・プレーオフ進出の相関2」は、この20年ほど、NHLファンやアナリストの間で長く知られています。2005年以降、サンクスギビングの時点でプレーオフ圏内にいるチームの約77%が、そのシーズンの春に実際にプレーオフへ進むというデータがあります📊。
2013年にディビジョン制度とプレーオフ形式が変更3されても、その傾向は変わらず、もはや“硬派な科学的裏付けのあるデータ”と言えるでしょう。
昨シーズンも、サンクスギビング時点でプレーオフ圏内だった16チーム中、12チーム(75%)が見事にプレーオフ進出を果たしました。
この理論は、プレーオフ進出ボーダーライン上にいるチームにとって面白い指標であるだけでなく、リーグ上位のチームにとってはさらなる自信となります。その代表例が、ダラス・スターズです✨。
ただ、サンクスギビング前後で順位が高いダラスの姿は、実は今に始まったことではありません。過去3シーズン、スターズはサンクスギビング前後に常に上位に位置しており、一度もウェスタン・カンファレンス6位以下に沈んだことはありません。さらに、セントラル・ディビジョンの首位に立ったことも2回あります。
オタワ・セネターズvs.ダラス・スターズ戦のハイライト映像。スターズの充実感だけが目立つ試合だったなぁ。
毎年の“デジャブ”と今季の新しい風🌟
そして、もしあなたが「ここ3年のスターズは、まるで“恋はデジャブ(Groundhog Day)4”みたいだ」と感じているなら、その直感は正しいかもしれません。
毎シーズン、セントラル・ディビジョンのトップ3に入り、106ポイント以上を獲得。プレーオフの1・2回戦では、スリリングな6戦シリーズや手に汗握る7戦シリーズを勝ち抜きつつも、最終的にはウェスタン・カンファレンス決勝で敗退──そんな流れが続きました。
ワイアット・ジョンストン、ジェイソン・ロバートソン、ルーペ・ヒンツが毎晩相手守備を苦しめ、ミロ・ヘイスカネン、トーマス・ハーレー、エサ・リンデルは多くの時間をリンクで過ごし、攻守両面で大きな役割を担ってきました。
ゴールテンディングもジェイク・オッティンジャーと、スコット・ウェッジウッドまたはケイシー・デスミスという右腕的バックアップ陣は、毎試合のように相手を封じてきており、チームは毎年安定した強さを見せていました。
しかし、この“安定した成功”は見事でありながら、同じパターンの繰り返しは、ウェスタン・カンファレンス決勝で止まってしまう現実をよりフラストレーションに感じさせたのも事実です💦。
ところが今シーズン──雰囲気がまるで違います。ロスター自体はほぼ昨年までと変わらず、コーチングスタッフにもグレン・ガラッツァン5やニール・グラハム6といった新顔が加わっただけですが、明らかに新しい風を感じます。
それを象徴したのが、日曜夜のオタワ戦での6–1の圧勝でした。スターズは、フランチャイズ唯一のスタンレーカップ優勝チームに敬意を表した新ジャージ「The ’99」7を着て2連勝を飾り、戦績を17勝5敗4分とし、NHL全体で2位に浮上しました。
ガラッツァン監督は、「今年一番完成度の高い試合だった」と振り返ります。「ゴールテンディング、パワープレー、ペナルティキル、5対5の守備が本当に良かった──この“ビッグ4”がすべて機能すると、倒すのは難しい」と語りました。

ここ3年のスターズの強さもすごかったけど、今季はさらに進化するにゃ〜!🔥オタワ戦6–1圧勝で、チームの完成度の高さを見せつけられたなぁ。ビッグ4の完璧に連携して出せるなんて、もう優勝チームじゃん🏒。ジョンストンやロバートソンらの活躍を目にしない日は無いし。それにしても、新ジャージ、かっちょいい✨
ビッグ4がフル稼働⚡️勝ち方が多彩なチーム
そして今、その“ビッグ4”はまさにフル稼働しています。ダラスは11月に11勝2敗2分を記録し、NHLで3番目の好成績を残しました。11勝という数字は、フランチャイズの1か月での勝利数は歴代2位タイです🏆。
さらに、1試合平均得点4.13点(リーグ2位)、1試合平均失点2.47点(7位)、パワープレー成功率35.3%(1位)と、主要スタッツのほとんどがリーグトップ10入りを維持しています。
直近12試合では10勝1敗1分、得点51・失点24と圧倒的。つまり、シンプルに言えば彼らは“暴走特急”(あるいは、世代によっては“ワゴン”)のような勢いです🚂。
ジョンストンは「自信ってのは、とんでもない薬みたいなものなんだよ。最近はずっと、それがチームを支えてくれてる」と日曜の試合後に語りました。
しかし、基本的な数字だけでは語れないものがあります。スターズはただ勝っているだけではなく、この数字以上に注目すべきは、勝ち方の多彩さです。例えば──
・逆転勝利は8回(リーグ3位タイ)
・2点以上差をひっくり返した逆転勝利は5回(リーグトップ)
さらに、2–0のビハインドを背負った直近7試合で5勝0敗2分と圧倒的。
大きな穴から這い上がる力に加え、直近9試合中4試合で4点差以上の大勝を収める“破壊力”も持ち、まさに危険なチームになっています。
1点差勝利も11回とリーグ最多で、1点差試合の成績は11勝1敗4分(リーグ3位)。まさに“どんな状況でも勝てるチーム”と言えるでしょう。
セネターズ戦前、スターズの練習風景。チームの充実感は練習にあり、念入りにやってるんだろうなぁ。
負傷者続出でも崩れない厚い層💪
その強さを支えている最大の要素が、おそらくどのチームよりも誇れる圧倒的な選手層です。
近年、スターズは比較的けが人が少なく、安定した戦いを続けてきました。スタンレーカップを狙ううえで「運」──特に“いかに健康を保てるか”は、コーチたちがよく口にする重要要素です。
昨季はタイラー・セギンとヘイスカネンが手術で長期離脱した以外は、ここ3年ほどおおむね健康を保てていました。今季のスターズは例年以上に試練が多いです。
ディフェンスではすでに9人が起用され、ニルス・ルンドクヴィストは下半身のケガで22試合欠場。トーマス・ハーレーは負傷を抱えながらプレー後、11月15日に離脱し「週ごと」で様子を見ている状態。イリヤ・リュブシュキンは6試合欠場の後、日曜に復帰。リアン・ビッシェルは日曜の試合で負傷退場し、状態は不透明です。
フォワード陣も苦しい状況。マット・ドゥシェーンは上半身のケガで、4試合しか出場できていません。昨季はキャリアハイの50アシスト、82ポイントを記録し、6月に4年契約を結んだばかり。ジェイミー・ベンはプレシーズンで肺の一部を損傷により19試合欠場、ルーペ・ヒンツも昨季の上位11チームと4試合も対戦するタイミングで5試合離脱しました。
にもかかわらず──強いチームは、その逆境の中でも“生き残るだけでなく、勝ち続ける”。
ブルーラインでは、アレクサンダー・ペトロヴィッチ、カイル・カポビアンコ、ヴラディスラフ・コリャチョノクが大きな役割を果たしています。
・ペトロヴィッチは+6とDF陣で2位のプラスマイナス
・カポビアンコは直近5試合で3アシスト
・コリャチョノクは水曜のシアトル戦で決勝ゴールを記録
フォワード陣ではジャスティン・フリコウィアン、オスカー・ベック、マーヴリック・ブークの「QueBackライン8」が安定してポイントを稼いでいます✨。
リーダーたちの活躍とチームの総合力🔥
さらに、ロバートソン、ジョンストン、ミッコ・ランタネンは、NHLのランキングでも上位を争っています。この3人はパワープレー得点のトップ3を占め、ジョンストンはパワープレーゴールで5ゴール差のリードを持っています🏒。
これらの活躍が、スターズの勢いを加速させています。11月だけでスターズからは17人がゴールを記録し、起用された22人全員がポイントを挙げるという多彩な攻撃陣は、今シーズン22人のゴールスコアラーを生み、アナハイムと並んでNHL最多タイです。
スターズの厚い選手層は、かつてないほど顕著かつ効果的であり、このチームが12月初旬にここまで好調でいられる大きな理由です。戦績も好調で、17勝5敗4分はダラス史上2位、フランチャイズ58年の歴史では26試合消化時点で3位にあたります。
小さな奇跡のような好調とこれからの期待✨🎄
これまでチームが耐え抜き、逆境を乗り越えてきたことを考えると、今の好調はまさにクリスマス前の小さな奇跡のようです。ガラッツァン監督も「こんな成績になるとは思っていなかった。でも手応えは感じている9」と語ります。
「ホームで初めてエドモントン戦を戦った直後あたりから、チームの状態が上向きになったのが見えた。今はすべてが少しずつ噛み合ってきたけど、それはまだ“1日だけのこと”。リーグは毎日試合があり、毎晩同じレベルで戦わなければならない。それでも、確実に進歩しているところだ」と監督。
こうして考えると、“進歩している途中”という状態自体が、ホリデーシーズンの始まりに味わえる、特別でワクワクする瞬間なのです🎉。
まとめ
今季のスターズは、層の厚さと選手たちの多彩な活躍で逆境を跳ね返し続けています💪。ビッグ4が完璧に機能し、逆転勝利や大差勝利を次々と積み重ね、チーム全体で得点者が続々登場🏒。
日々の試合で成長を重ねる彼らの姿は、歴史的好調の裏にある努力と連携の賜物であり、これからの戦いにも大きな期待を抱かせます✨。

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- Thanksgivingは、もともと1621年、アメリカ東海岸のマサチューセッツ州プリマス植民地で、イギリスから移住した「ピルグリム」と先住民のワンパノアグ族が、豊作を祝って共に食事をしたのが起源とされる収穫祭。
以来、「収穫の恵み」と「共助・感謝の気持ち」を祝う伝統として受け継がれ、しだいに植民地を超えて広まっていった。1863年、内戦中の合衆国で、エイブラハム・リンカーン大統領が「国民の感謝の日」として宣言して以降、毎年祝われるようになった。
現在のサンクスギビングは、秋の収穫と一年の恵みに感謝し、家族や友人が集まって伝統料理の七面鳥の丸焼きやパンプキンパイなどを囲み、共に過ごす日として定着。
また、祝日として多くの人が休みを取り、帰省や家族団らん、地域でのボランティアなどを通じて「感謝」「絆」「思いやり」をあらためて考える機会ともなっており、アメリカ文化の中で大切な存在である。
こうした歴史と文化を背景に、感謝や再出発の象徴として根付いてきたサンクスギビングは、単なる「休日」ではなく、多くの人にとって一年を振り返り、今ある恵みに思いを馳せる大切な時間なのである。
↩︎ - この相関が広く知られるようになったのは、主にコーチや関係者の“経験則”を起点としたもので、その後、2005年以降の統計データで裏づけられ、多くのファンやアナリストに支持されるようになったとされている。
ただし、最初にこの説を言い出した人物や時期は公には確認できていない。よって、あくまで「長年語り継がれてきた伝統論理+統計的傾向」という位置づけ。
↩︎ - なぜ2013年に制度変更されたのか
2013‑14シーズンから、NHLはそれまでの“6ディビジョン/各カンファレンス3ディビジョン”体制から、“東西それぞれ2ディビジョン、合計4ディビジョン”という構成に再編成された。
このリアライメント(再編成)の主な目的は「地理的整合性の改善」と「移動負担の軽減」でした。具体的には、異なるタイムゾーン間をまたぐ移動を減らすことで、遠征による選手の疲労を抑え、移動コストを下げるという配慮。特に、旧体制では東西にまたがる大移動が常態化していたチームにとって、大きな改善となった。
また、新体制ではすべてのチームがリーグ内のすべてのアリーナで少なくとも1度は試合を行うようスケジュールが組まれ、「どのファンにもお気に入りの選手や強豪チームの試合を観やすく」するというメリットもある。
一方で、このディビジョン再編に伴ってプレーオフ方式も見直された。従来の「各カンファレンス上位8チームによるシード方式」から、各ディビジョンの上位3チームをまずプレーオフ出場とし、残りの枠を同カンファレンスで成績上位のワイルドカードに与える方式へと変更されている。
このように、地理・時間帯・移動距離・スケジュールの観点からリーグ全体の負担を減らし、ファンにとって観やすく、チームにとっても効率的な運営を実現するのが、2013年の変更の大きな背景である。
↩︎ - 「Groundhog Day」は1993年公開の映画で、主人公がある日(2月2日)を何度も繰り返すタイムループに陥るストーリー。彼は同じ“Groundhog Day”を、出口が見えないまま何度も経験することになる。
この映画の影響で、英語圏では“Groundhog Day”が「終わりなく同じ日が延々と続くような繰り返しの日々」「進展のない、変化のない日常」を表す比喩として使われるようになった。
たとえば、「毎日まるで昨日と同じだ」「進歩がない」「同じミスを何度も繰り返している」といった状況を“It’s like Groundhog Day”などと表現。
スターズの“デジャブ”
ここ3年のDallas Starsのシーズン展開について「まるで“恋はデジャブ(Groundhog Day)”みたいだ」と表現している。これはつまり――
毎シーズン、同じような成功パターン(セントラル・ディビジョン上位→プレイオフで6戦・7戦を勝ち抜く→しかし決勝で敗退)が繰り返されてきた。つまり「似たような展開を繰り返している」「“また同じこと”の繰り返し」という意味でということ。
↩︎ - Glen Gulutzanは1971年8月12日生まれ、カナダ出身の元プロアイスホッケー選手で、現在はダラス・スターズのヘッドコーチを務めている。
選手時代はウエスタンホッケーリーグ(WHL)などでプレー後、1996年から2003年までマイナーリーグなどでセンターとして活動。2001‑02、2002‑03シーズンには「プレーヤー兼アシスタント」の立場も経験し、キャリアの終盤を迎えた。
コーチとしてのキャリアは2003年、ECHLのLas Vegas WranglersでGM兼ヘッドコーチとしてスタート。6シーズンの在任中に複数回のプレーオフ進出、さらに2005‑06シーズンにはECHLの年間最優秀コーチに当たるJohn Brophy Trophyを受賞するなど実績を重ねている。
その後、AHLのTexas Starsを経て、2011年にNHLのダラス・スターズで初めてNHLのヘッドコーチに抜擢。ただしその最初の任期(2011‑2013)は、プレーオフ進出を果たせず、2013年5月に解任されている。
解任後は一時的にアシスタントコーチ(Vancouver Canucksなど)を務め、2016–2018年にはCalgary Flamesのヘッドコーチにも就任。さらに2018年から2025年まではEdmonton Oilersでアシスタントコーチを務め、その間チームは強力なパワープレーを武器に好成績を収めている。
そして2025年7月1日、再びダラス・スターズのヘッドコーチに就任。過去のNHL指導経験と、アシスタントとして培った最新の戦術ノウハウを携えて、再スタートを切った。
NHL通算では、ヘッドコーチとしてのレギュラーシーズン成績は294試合で146勝125敗23オーバータイムロスという記録を持つ。こうした長いコーチ人生と、多彩なリーグ・役職を経験してきたガラッツァンは、「古い経験と新しい戦術を融合できる指導者」として、今後のスターズに再び大きな期待が寄せられている。
↩︎ - Neil Grahamは、1985年4月21日、カナダ・カルガリー生まれのアイスホッケー指導者で、もともとはフォワード選手としてプレーしていた。大学ホッケーに続き、2010年からSPHLやECHLのプロリーグでプレーしたが、2012–13シーズンには選手兼コーチ(プレーヤーコーチ)として、アメリカECHLのIdaho Steelheadsに所属。その後、コーチ業に専念する道へ。
2013–14シーズンから2年間、Steelheadsのアシスタントコーチを務め、2015年に同チームのヘッドコーチに昇格。彼は当時チーム史上最年少のヘッドコーチとなり、就任初年度には38勝24敗10引き分けという実績を残した。
以降、2015–2019年にかけてECHLにおけるSteelheadsの指揮を取り、通算166勝91敗31引き分けという好成績を収め、在任中は3年連続で40勝超えのシーズンを達成。また、チームをKellyカップ(ECHLプレーオフ)に毎年導くなど、安定した結果を残した。
2019年夏、彼はTexas Stars(AHL、NHLの育成下部組織)コーチングスタッフにアシスタントとして加入。同年12月、ヘッドコーチへ昇格し、以後6シーズンにわたって同チームを指導した。2025年直前まで在任し、AHLの正規シーズンで363試合に指揮を執り、183勝140敗40分という記録を残している。
チームはプレーオフ進出を何度も果たし、2025年にはウエスタン・カンファレンス決勝まで進出。この間、グラハムは多数の若手選手を育成し、現在のNHLレベルで活躍する選手たちの台頭に貢献した。例えばゴールテンディングやフォワード/ディフェンスのコアとして挙げられる選手たちを、彼はTexas時代に指導してきたと報じられている。
そして2025年7月1日、彼は育成部門(AHL)からステップアップし、Dallas Starsのアシスタントコーチに就任。新監督GlenGulutzanのもとで、特にフォワード陣とパワープレーの強化を任されることに。これにより、長年にわたる下部リーグでの実績と若手育成の経験が、NHLの第一線で試されることになる。
↩︎ - 「The ’99」ジャージとは—過去と現在をつなぐレトロ/モダンユニフォーム
2025–26シーズン、ダラス・スターズは新たなサードユニフォーム「The ’99」を発表した。これは、1999年に同チームが唯一のスタンレー・カップ優勝を飾ったときのユニフォームデザインにオマージュを捧げた“レトロ復刻+現代風アレンジ”のジャージ。
「The ’99」では、当時の象徴的な“スター形ロゴ”を復活させつつ、現在のチームカラーであるビクトリー・グリーン(Victory Green)とブラックを基調にすることで、過去の栄光と現代のスタイルを融合。
また、襟の内側には“3OT 1999”の文字が刻まれている。これは、1999年の決勝第6戦で、Brett Hullが劇的な3度目のオーバータイム(トリプルOT)で優勝ゴールを決めた伝説の試合を称えるためのデザイン。
さらに、ジャージの肩部分には、テキサス州を象徴する“州シルエット+星”のパッチ(「Lone Star State」へのオマージュ)も復刻されており、チームのルーツと土地への誇りを表現している。
なぜ今“The ’99”を復活させたのか—意義と反応
この新ジャージ発表の背景には、単なる“懐古”以上の意味合いがあると報じられている。まず、1999年の優勝というチーム史上最大の栄光を称え、現在のロスターとファンに「その歴史の継承と誇り」を感じさせる目的がある。
また、2025年11月時点で初披露されたこのジャージは、リーグ内外で大きな反響を呼び、ファンからは高評価—数あるユニフォームの中でも特に“思い入れのある復刻”として歓迎されている。
実際、この新ジャージの導入によって、チームのグッズ販売は過去のNHL定期シーズン/ポストシーズンを含めたホームゲームの中で、最多売上記録を更新したと報告されており、ファンの“懐かしさと現在の支持”が形になった証とも言える。
↩︎ - チームではフォワードの若手3人──Justin Hryckowian、Oskar Bäck、Mavrik Bourque──が同時に出場するラインが、ファンや一部報道で「QueBackライン」という呼び名で言及されることがある。これは“Que”はBourqueから、“Back”はBäckから取った造語で、若手の新鋭を中心に構成されたラインであることを示す愛称である。
このラインが注目されるようになった背景には、怪我人やベテランの不在が相次ぐなかで、スターズが若手主体のローテーションに頼らざるを得ない状況がある。実際、Bäckは2024‑25シーズン序盤に“13番目のフォワード”枠を勝ち取り、NHLデビューを果たして即戦力として起用されている。
またBourqueやHryckowianも、下部リーグ(AHL)で結果を残しつつ昇格し、若さとエネルギーでプレータイムを得ている。
さらにこの若手トリオは、攻守両面で“穴埋め以上の仕事”を要求されており、実際にポイントを挙げたり、ペナルティキルやディフェンシブな仕事に対応するなど、チームの底上げに貢献しているとの現地報道もある。
↩︎ - ガラッツァン監督への最近の評価—「経験と現代戦術の両立者」
2025年7月、Dallas Starsのヘッドコーチ就任。関係者や報道は彼に対し、「過去の経験+現代NHLへの適応力を兼ね備えた、チーム再建の“合理的かつ現実的な選択”」と高く評価している。GM Jim Nillは、「彼はプレーヤーとの関係構築がうまく、選手たちの能力を最大化する方法を知っている」と述べ、再就任に強い信頼を示した。
また、直近7シーズンを過ごしたEdmonton Oilersのアシスタントコーチ時代、同チームはNHLでもトップクラスのパワープレー成功率を誇り、さらに2度のスタンレーカップ決勝進出を果たした実績がある。
この経験を「世界トップ級攻撃選手と日々向き合い、プレッシャーの中で結果を出すために自分を磨いた期間」と本人も語っており、現代の高速で戦術的なNHLに対応できるコーチとしての素地があると評価されている。
さらに、スポーツ界では「ただ勝つだけでなく、“傷を乗り越えて強くなる”コーチ」という印象も持たれている。2013年に一度解任された後も、別チームで経験を積み直し、今またスターズに戻ってきたことは、「挫折から学び、成長した人物」という文脈で語られている。
ただし、不安の声や懐疑も根強い—過去の“教訓”と慎重な見方
一方で、グラッツァンに対する懐疑的な声、あるいは注意を促す報道・ファンコメントも。過去に指揮したCalgary Flames時代には、上位戦力を十分に生かせなかった、戦術が古く、流動性に欠ける、という批判が残っており、「果たして今のスターズで同じような構造的問題が出ないか」を懸念する声もある。
さらに、「理想は聞こえはいいが、結果は“現場での適応と選手との関係構築次第”」という慎重な見方も多く、メディア・ファンともに「まずは様子見」「結果を見て判断」という立場を崩していない。 ↩︎

