トレバー・ジーグラスの苦闘と成長|新天地フィラデルフィアで描く未来

現役スター選手紹介

はじめに

 スター街道を歩んできたトレバー・ジーグラス。華やかなスキルと個性的なプレーで注目を浴びましたが、ケガや新体制との衝突、ポジション変更に苦しみ、思うような結果を残せませんでした。心身の壁を乗り越えながら、新天地フィラデルフィアで再出発を誓う姿に迫ります。

 今回の記事は、前編・後編に分かれています。

参照記事:ESPN公式サイト「Post-Ducks crashout, how Trevor Zegras can recapture the ‘magic’ with the Flyers

🏒表紙を飾ったスター選手、トレバー・ジーグラス

 トレバー・ジーグラスは、自身が表紙を飾ったEAスポーツ「NHL 23」1の表紙を飾った選手として広く知られています。

 特大ポスターには、短パンにアナハイム・ダックスのユニフォームを着た彼がしゃがみ込み、まるでカナダ代表のサラ・ナース2ストリートホッケー3を始める直前のような姿が写っています。本人にその表紙を見てどう思うかと尋ねると、「同じ人間だよ」と笑顔で答えました。

 しかし、NHL関係者の多くは「表紙のジーグラスはどこへ行ってしまったのか?」と疑問を抱いています。

 NHLデビューからの3シーズン、ジーグラスは圧倒的な輝きを放ちました。ダックスで180試合に出場し、139ポイントを積み重ねたのです。彼は若い世代の象徴的存在となり、トリックショットやラクロス風の「ミシガン」ゴール4を決める動画がSNSにあふれるようになりました。

 2021年12月7日の試合では、自らの代名詞となる名場面を生み出しました。バッファロー・セイバーズ戦でゴール裏からパックを持ち上げ、空中アリウープ5のようにチームメイトのサニー・ミラノに送り込み得点に結びつけたのです。

見よ、この早技を!これを咄嗟に思いつくのが凄い!新シーズンのフライヤーズでの活躍が楽しみだ!

 この“ジーグラス・プレー”を真似して、全米の高校生や大学生が次々とSNSに自分の挑戦を投稿し始めました。

 その姿は「スターになるのは確実で、どれだけ眩しく輝くかが問題だ」と話題になるほどでしたが、アナハイムでの直近2シーズンはその光をほとんど失ってしまいました。ケガの多さ6、守備面での批判、チーム経営陣との摩擦、そして数字の低下。

 最初の3シーズンで平均0.77ポイントだった成績は、0.53へと落ち込んでしまったのです。さらにトレードの噂に苦しめられ、ジーグラス自身も「ひどい不安」を感じていた日々を送った末、そして2024年6月には、ついにフィラデルフィア・フライヤーズへトレードされました。

 フライヤーズのリック・トケット7監督はこう語っています。「ここ数年は本人も気に入っていなかったはずだ。批判する人間もいた。でも今はうちのチームにいる。ここが彼にとっての居場所だと理解しているよ」。

✨フィラデルフィアでの再出発

 フィラデルフィアへの移籍は、ジーグラスにとって必要だった、大きなリセットの機会となりました。ダックス時代にはウイングでの起用を強いられていましたが、新天地フライヤーズでは本来のセンターポジションでプレーするチャンスがあります。

 さらに同世代の若きスター、マトヴェイ・ミチコフらと息を合わせるチャンスでもあり、共にプレーできることも大きな魅力です。フライヤーズGMのダニエル・ブリエールは「最初の数年で見せた魔法を再び取り戻すチャンスだ」と語りました。

 ESPNのインタビューで、フィラデルフィアで最初のシーズンを終えた後にどう言われたいかと聞かれると、ジーグラスはこう答えました。

 「『ホッケーが上手い』と言われるより、『彼はホッケー選手だ』と言われたいんだ。ホッケーが上手い選手はたくさんいる。でもシーズンが終わった時に、自分は“ホッケー選手”として知られていたい」。

 彼にとっては、単なる技巧派ではなく「本物のホッケー選手」と認められることが大事なのです。

プレシーズン・マッチから。ミチコフ&ジーグラスが、フライヤーズに希望をもたらす「黄金コンビ」になれるだろうか…。

🌴アナハイムで何が起きたのか?

 フライヤーズの練習施設の会見室で、ジーグラスはアナハイムでの不調の理由をこう冗談めかして語っています。

 「季節性うつ病だよ。そう言っておこうか。自分には冬が必要なんだ。5年間、毎日が同じに感じた。変な感覚だったよ。本当にあるんだよ、季節性うつ病って。神に誓って言える」。

 南カリフォルニアの美しい気候に反して、ジーグラスの心境は決して晴れやかではなく、その日々は必ずしも明るくはなかったようです。2020年にボストン大学8を離れた後、彼の加わったダックスは、ダラス・イーキンズ監督とGMのボブ・マレーに率いられていました。

 マレーは2019年のドラフトでジーグラスを9位指名した人物でしたが、2021年11月10日、不適切な職務行為9に関する調査を受けて辞任。その後、ジェフ・ソロモンが暫定GMを務め、2022年2月にはデトロイト・レッドウィングスからパット・ヴァービークが新GMとして就任しました。

 それでもイーキンズの下で、ジーグラスは2シーズン連続でブレイクを果たし、確かに輝きを放ちました。2021-22シーズンには75試合で23ゴール・38アシストを記録し、新人王投票ではモリッツ・ザイダーに次ぐ2位に。

 翌2022-23シーズンも81試合で23ゴール・42アシストを挙げ、若手スターとして注目を集め続けたのです。

⚡クローニン新体制での苦悩

 イーキンズは4年の任期を経て2023年4月に解任された後、ヴァービークGMはグレッグ・クローニン10を監督に迎えました。彼は若手育成に定評がある人物で、コロラド・アバランチのAHL傘下チームからやってきました。

 制限付きFA11だったジーグラスは、クローニン最初のトレーニングキャンプには不参加。その後、総額1,725万ドル(約25億4千万円、3年契約)のブリッジ契約12にサイン。新監督との初練習に臨んだ後、「氷上でどんな会話をしたか」と尋ねられると、ジーグラスは冗談交じりにこう答えました。

 「ディフェンスの仕方を教えられたよ」。これは“一次元的な選手”13という自身の評価を逆手に取った皮肉なコメントでした。

 しかし、クローニンはジーグラスに厳しい愛情を注ぎ、その政権下での2023-24シーズンは苦難の連続でした。試合中の判断力を理由にベンチに下げられることもあり、シーズン序盤は低調で、最初の12試合で1ゴール・1アシストと低調なスタートに。

 ジーグラスはこう振り返ります。

 「新しいGMや監督が来ると、彼らのやり方を求められるのは当然だと思う。自分がそれに従うのが嫌だったわけじゃない。でも多くの場面で意見が合わないことも多く、彼らはそれをネガティブに受け取ったのかもしれない」。

 さらに彼はこう続けました。

 「契約のことも影響した。精神的に本当に大変だった。新しい監督とのシーズン、しかもスタートからつまずいて、契約問題やトレードの噂も重なって、全然楽しくなかった。でもプレーは続けなきゃいけないんだ」。

 加えてクローニンはジーグラスをセンターからウイングに配置換えし、レオ・カールソンやメイソン・マクタヴィッシュといった若手センターの起用にスペースを確保しました。

 ジーグラスは「それで結局、『こっちに行け、次はあっちに行け、その次はそっちに行け』って言われる。自分は『全部言われた通りにやってるのに』って気持ちになるんだ」とも語っています。

讃岐猫
讃岐猫

🩹度重なるケガと孤独感

 そのシーズンは健康面でも悪夢のようでした。ジーグラスにとって、クローニン政権下でのシーズンは健康面でも試練の連続だったのです。下半身のケガや足首の手術により、出場はわずか31試合にとどまり、結果も悲惨で15ポイント(6ゴール含む)と低迷。

 過去2シーズンのオフェンスのペースから大きく落ち込んでしまいました。

 さらに2024-25シーズンも序盤は苦戦し、最初の17試合で4ポイントにとどまりました。しかし、ようやく調子が上向き始めた12月に、今度は右膝半月板の断裂で手術を受けることに。最終的には57試合で32ポイントと、少し回復は見られたものの、以前の水準にはまだ届きませんでした。

 ジーグラスは、センターとして自分の価値を証明する正当なチャンスを、クローニンやヴァービークから得られなかったと感じています。その結果「考えすぎてしまい」、チームに支えられていない感覚を覚え、メンタルにも影響が出たということでした。

 「ホッケーをすること自体が頭から消える瞬間があったんだ。それが本当に辛かった。ケガやリハビリ、復帰のプロセスも重なって、以前の状態に戻るだけでも大変で、小さなことが頭の中でどんどん大きくなってしまう。世界最高の選手たちと毎晩戦うのは、本当に難しくなるんだ」とジーグラス。

 「チームが自分を信じていないと感じた時は、まるで一人きりになったような気分になるんだ」。

まとめ

 ジーグラスが歩んできた道のりは、ケガや環境の変化など決して平坦ではありませんでした。それでも挑戦を続けてきた姿は、多くのファンに希望を与えています。新天地での挑戦がどんな物語を生み出すのか、これからの一歩一歩に注目が集まります。

 後編に続きます!

讃岐猫
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【註釈】

  1. EAスポーツが開発したアイスホッケーシミュレーションゲームで、2022年10月14日にPlayStation 4、PlayStation 5、Xbox One、Xbox Series X/S向けに発売された。本作は、シリーズ初となる女性選手の登場や、クロスプラットフォームマッチメイキングの導入など、革新的な要素が盛り込まれている。

     特に注目すべきは、アナハイム・ダックスのトレバー・ジーグラスと、カナダ女子代表のサラ・ナースがカバーアスリートとして起用された点である。サラ・ナースは、EAスポーツのNHLシリーズで初めて女性選手として表紙を飾った人物であり、その起用は女子ホッケーの認知度向上と多様性の象徴とされている。

     ジーグラスは、2021-22シーズンにアナハイム・ダックスで注目の若手選手として台頭し、特に「ザ・ジーグラス」と呼ばれるラクロススタイルのゴールで話題となった。このプレイは、ゲーム内でも再現されており、プレイヤーはジーグラスの華麗な技を体験することができる。

     『NHL 23』は、Frostbiteエンジンを採用し、リアルなゲームプレイや新しいアニメーション、さらにはスタンレーカッププレイオフの祝賀シーンなど、多彩なコンテンツが追加されている。また、Hockey Ultimate Team(HUT)モードでは、IIHF女子ナショナルチームが登場し、男女問わずトッププレイヤーを一堂に会することが可能。
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  2. カナダのプロアイスホッケー選手で、プロフェッショナル・ウィメンズ・ホッケー・リーグ(PWHL)のバンクーバー・チームに所属。1995年1月4日にオンタリオ州バーリントンで生まれ、ポジションはフォワード。彼女はカナダ女子代表チームの一員として、2018年と2022年の冬季オリンピックに出場し、2022年には金メダルを獲得。

     また、IIHF女子アイスホッケー世界選手権では、2021年、2022年、2024年に金メダルを、2019年に銅メダルを獲得。大学時代はウィスコンシン大学のバジャーズでプレーし、2015年にはWCHA(ウィスコンシン大学女子アイスホッケーリーグ)で最優秀選手に選ばれた。

     プロリーグでは、トロント・フューリーズでのプレーを経て、PWHPA(プロフェッショナル・ウィメンズ・ホッケー・プレーヤーズ・アソシエーション)の設立に関与し、PWHLの設立にも携わっている。

     2022年には、EAスポーツのアイスホッケーゲーム「NHL 23」のカバー選手として、アナハイム・ダックスのトレバー・ジーグラスと共に登場し、女性選手として初めてこの栄誉を受けた。
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  3. アイスホッケーを屋外の舗装された硬い地面で行うバリエーションで、スケートではなく靴やインラインスケートを使用し、ボールや専用のパックを使ってプレー。このスポーツは、カナダの路上や公園などの公共の場で親しまれ、特に子どもたちの間で人気がある。

     プレーには特別な設備が必要なく、手軽に始められるため、地域社会での交流や健康促進にも寄与している。また、ストリートホッケーは、アイスホッケーのスキルを向上させるためのトレーニングとしても活用され、選手たちにとって重要な練習の場となっている。
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  4. アイスホッケーにおける華麗な技の一つで、選手が相手ゴールの裏からパックをスティックに乗せ、素早く回転させてゴールの上部隅にシュートを決めるスタイル。この技は、1996年のNCAAトーナメントで、ミシガン大学のマイク・レッグ選手が成功させたことから「ミシガンゴール」と呼ばれるようになった。
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  5. アリー・ウープ・パスは、アイスホッケーにおける華麗な連携プレーの一つで、バスケットボールの「アリー・ウープ」に由来する。

     この技では、パスを出した選手が相手ゴールの裏からパックをスティックに乗せ、味方選手がそのパックを空中でキャッチし、そのままゴールを決めるというもの。このプレーは、タイミング、精度、連携が求められ、成功すれば観客を驚かせる華麗なシーンとなる。
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  6. まず、ケガについてだが、ジーグラスは2024年1月に右膝の半月板損傷で手術を受け、約6週間の離脱を余儀なくされた。また、2023年11月には下半身の大きなケガで20試合を欠場し、2024年1月には左足首を骨折して手術を受けるなど、度重なるケガが影響している。

     次に、守備面での課題について。ジーグラスは、攻撃面での才能が高く評価される一方で、守備面での意識やプレーに改善の余地が指摘されてきた。特に、2022-23シーズンでは、ターンオーバーが多く、守備の貢献度を示す指標である「Defensive Goals Above Replacement(dGAR)」でマイナス7.9と、リーグで最も低い数値の一つとなり、守備面での課題が浮き彫りとなっている。

     さらに、チームとの摩擦も報じられている。2023年4月にダラス・イーキンズ監督が解任され、グレッグ・クローニン監督が就任。ジーグラスはクローニン監督の指導のもとでプレーすることとなり、守備面での改善が求められたが、ジーグラスは「守備のプレー方法を教えてもらった」と語っており、守備面での意識改革が必要とされていたことが伺える。

     最後に、成績の低下について。ジーグラスは、2021-22シーズンと2022-23シーズンでそれぞれ23ゴール、38アシスト、23ゴール、42ポイントを記録し、注目の若手選手として期待された。しかし、2023-24シーズンでは15ポイント(6ゴール、9アシスト)にとどまり、2024-25シーズンでも57試合で32ポイントと、成績が低下した。
    ↩︎
  7. 1964年4月9日にカナダ・オンタリオ州スカーバラで生まれた元アイスホッケー選手であり、現在はコーチとしても活躍。1984年のNHLドラフトでフィラデルフィア・フライヤーズから6巡目121位で指名され、プロキャリアをスタート。

     選手時代は、パワーフォワードとして知られ、得点力とフィジカルなプレーで注目された。特にフィラデルフィア・フライヤーズでの活躍が顕著で、1,800分以上のペナルティ・ミニッツを記録し、チームの歴史に名を刻んだ。

     また、1992年にはスティーブ・ラシュトンとのトレードでピッツバーグ・ペンギンズに移籍し、同チームでスタンレーカップを獲得するなど、キャリアを通じて多くの成功を収めた。

     引退後はコーチングキャリアをスタートさせ、コロラド・アバランチでアシスタントコーチを務めた後、フェニックス・コヨーテズ(=アリゾナ・コヨーテズ)でインタームヘッドコーチを経験。その後、タンパベイ・ライトニングでアソシエイトコーチを経て、2017年にアリゾナ・コヨーテズのヘッドコーチに就任。

     2023年にはバンクーバー・カナックスのヘッドコーチに就任し、2024年にはジャック・アダムス賞(NHL年間最優秀コーチ賞)を受賞するなど、コーチとしても高い評価を受けている。2025年5月にはフィラデルフィア・フライヤーズのヘッドコーチに再任。

     トケットはその情熱的な指導スタイルと、選手一人ひとりに対する深い理解で知られている。特に若手選手の成長を促す能力に優れ、チームの再建や若返りを図る際に重要な役割を果たしている。
    ↩︎
  8. ジーグラスは、ボストン大学(Boston University)での1シーズン(2019–2020)で注目の活躍を見せた。33試合に出場し、11ゴール・25アシストの36ポイントを記録。

     これはディビジョンIのフレッシュマン選手の中で3位タイの成績であり、同大学のチーム内ではアシスト数で2位、ポイント数で3位の成績。また、ホッケーイーストカンファレンスのオールルーキー・チームに選出され、ルーキー・オブ・ザ・イヤーの最終候補にも名を連ねるなど、その才能が広く認められた。 ↩︎
  9. 報道によれば、マレーはクラブの従業員に対して繰り返し叱責を行い、選手に対しても厳しいメッセージを送るなど、職場環境を悪化させていたとされている。このような行動が、チーム内での士気低下や信頼関係の損失を招いていた可能性があるとされたことによる。
    ↩︎
  10. 2023年6月から2025年4月までアナハイム・ダックスのヘッドコーチを務めた。1963年6月2日にマサチューセッツ州アーリントンで生まれ、コルビー・カレッジでホッケー選手として活躍した後、1987年から指導者の道を歩み始めた。

     クローニンのキャリアは、大学チームやAHL(アメリカン・ホッケー・リーグ)のチームでの指導を含み、特にコロラド・イーグルスでは5年間の指導経験がある。また、NHLではニューヨーク・アイランダーズとトロント・メープルリーフスでアシスタントコーチを務めた実績がある。

     2023年6月5日にダックスのヘッドコーチに就任し、若手選手の育成に注力したが、チームは2024–25シーズンもプレーオフ進出を逃し、2シーズンで62勝87敗15分けの成績に終わった。その結果、2025年4月19日に解任された。

     解任後、クローニンはAHLのアイオワ・ワイルドのヘッドコーチに就任し、選手育成と戦術面での指導を行っている。彼の指導スタイルは、選手個々の成長を重視し、チーム全体のパフォーマンス向上に貢献。
    ↩︎
  11. 契約が満了したものの、まだ27歳未満または7シーズン未満のプレー経験を持つ選手に該当する。チームはその選手に対し、「クオリファイング・オファー(Qualifying Offer)」を提示することで交渉権を保持する。このオファーは1年契約で、選手の前シーズンの年俸に基づき、一定の割合で提示される。

     もし選手がクオリファイング・オファーを受け入れれば、元のチームと1年契約を結ぶ。拒否した場合、他チームと契約交渉が可能となり、他チームが提示した契約条件を元のチームが7日以内にマッチすれば、選手は元のチームに残留する。マッチしない場合、選手は新チームに移籍し、元のチームはその契約額に応じたドラフトピックの補償を受け取る。

     また、選手とチーム間で契約合意が得られない場合、サラリー・アービトレーション(給与調停)を申請することができる。この調停は、選手とチームがそれぞれ提示した年俸案を第三者が審査し、決定。調停を通じて決定された年俸は、チームが受け入れるか、選手が他チームと契約するかを選択することになる。
    ↩︎
  12. 選手がエントリー・レベル契約(ELC)を終えた後、制限付きフリーエージェント(RFA)として再契約する際に、長期契約ではなく短期間の契約を結ぶ形態を指す。

     この契約の主な目的は、選手の成長を見極めるための時間を確保すること。チームは選手のパフォーマンスを数シーズン観察し、その結果を踏まえて将来的な長期契約を結ぶかどうかを判断する。

     ブリッジ契約は、選手とチーム双方にとってリスクとリターンのバランスを取る手段として利用される。選手は短期間でのパフォーマンス向上を目指し、チームは将来的な契約条件を有利に進める可能性を持つことができる。

     2023年にトレバー・ジーグラスがアナハイム・ダックスと結んだ3年総額1,725万ドルの契約は、ブリッジ契約の一例となる。この契約内容により、ジーグラスは自身の実力を証明しなければならず、それが記事にもあるように、彼を精神的に追い込む元になったのかもしれない。
    ↩︎
  13. これは彼のプレースタイルが攻撃に偏り、守備や全体的なゲームへの貢献が不足しているとの見方を反映している。

     この評価は、ジーグラスがNHLで注目を浴びる中で浮上し、特にアナハイム・ダックス時代に顕著。彼の華麗な攻撃プレーはファンを魅了したが、守備の意識やプレーのバランスに関する批判も多く、これらが「一次元的な選手」という評価につながっていく。
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