はじめに
北米のプロアイスホッケーリーグ「NHL」では、シーズン終盤、プレーオフ(優勝決定戦)が行われています🔥
今回ご紹介するのは、そのプレーオフの中で生まれた、とても感動的なお話です。突然の悲しみに襲われながらも、父のために氷上に立ち、全力で戦ったある選手の姿が、多くの人の心を打ちました。
参照記事:NHL公式サイト「Jets proud of Scheifele’s emotional Game 6 effort after death of father」
突然の悲しみの中でプレーしたシャイフリの勇気 💔🏒
2025年5月17日・土曜日、ウィニペグ・ジェッツはダラス・スターズとのシリーズ第6戦に挑んでいました。しかしその朝、チームに衝撃的なニュースが届きます。選手たちはアメリカン・エアラインズ・センター1に到着した際、スター選手のマーク・シャイフリの父親、ブラッド・シャイフリが前日の金曜日に突然亡くなったという訃報2を知ったのです😢
この悲報に、誰もが彼の出場を心配しました。アーニエル監督はすぐにチームのホテルへ戻り、マーク・シャイフリと話をしています。試合開始の約2時間半前、アーニエルは報道陣に「マークは本当に(父のために)プレーしたいと思っている」と話し、第6戦に出場することを明かしました。💪✨
それ以降、チームメイトたちは、常に彼を支え続けていたのです。
「僕たちには素晴らしい仲間がいる。それは最初から分かっていたことだ」と、ジェッツのディフェンスマン、ニール・ピオンクは語りました。「このニュースを知ったとき、彼には素晴らしいサポートグループがいるし、僕たちはずっと彼のそばにいる。嬉しい時も、つらい時も。今日は間違いなく後者だった」。
シャイフリは今季のスタンレーカップ・プレーオフで11試合に出場し、5ゴール・6アシストの計11ポイントを記録。これはジェッツの中では2番目の成績で、彼のラインメイトである左ウィングのカイル・コナーが13試合で5ゴール・12アシストの17ポイントを挙げてトップでした。
シャイフリは、ファーストラウンド第5戦の第1ピリオドでケガを負い、第6戦と第7戦を欠場しています。
父に捧げたゴール、その瞬間に笑顔が戻った⚡🥅
ウェスタン・カンファレンス準決勝第6戦、会場は敵地ダラス。普段以上のプレッシャーと、心の痛みを背負ったシャイフリ。それでも彼は、氷の上で全力を尽くしました💥
第2ピリオド、試合時間5分28秒。シャイフリがついに動き、ジェッツの流れを作ります。プレーオフ5点目となるゴールを決め、チームに先制点をもたらしたのです!🥳🎯
その瞬間、チームメイトたちが彼を祝福に集まり、シャイフリには少しだけ笑顔が戻っていました。その瞬間だけは、辛い現実を忘れられたかもしれません🙂🌈間違いなく、このゴールは天国の父に届けられたものでした。
結果は惜敗、それでもチーム全員が誇りに思った夜 🥲🖤
シャイフリはこの試合で18分51秒間プレーし、ゴールのほかにもフェイスオフで12回中7回勝利、さらにチーム最多となる9回のヒットを記録💪🏒まさに、魂を込めたプレーでした。
しかし試合は、そしてジェッツのシーズンは、スターズのディフェンスマン、トーマス・ハーレイが延長戦1分33秒にパワープレーゴールを決めたことで終わりました。シャイフリは、試合終了15秒前にスターズのフォワード、サム・スティールをトリッピング3で倒し、ペナルティを取られていたのです。そのペナルティがきっかけで、相手に決勝ゴールを許す形となってしまいました💔
この試合のハイライト映像。勝者と敗者の明暗があまりにも残酷で、見ていてつらい。
ジェッツにとっては、シーズンの終わり方がとても厳しいものとなったのです。彼らはレギュラーシーズン最多ポイントのチームに贈られるプレジデンツ・トロフィーを獲得し、多大なる期待をかけられていました。
主力のケガを乗り越え、第1ラウンド第7戦では残り2分で劇的な逆転劇を演じて、スターズとのシリーズにたどり着いています。そして土曜日、そのシーズンの終わりはあまりにも残酷でした。特にシャイフリにとっては。
彼は亡き父のためにプレーしたかったし、2018年以来となるカンファレンスファイナル進出のためにチームを助けたかったのです。そして、そのために全力を尽くしました。だが、それは叶いませんでした。
スターズはこれで3シーズン連続のウェスタン・カンファレンス決勝進出となりました。彼らはエドモントン・オイラーズをホームで迎え、第1戦を5月21日・水曜日(東部時間午後8時=日本時間:5月22日、午前10時)にアメリカン・エアラインズ・センターで戦います。
それでも、誰も彼を責めることはありませんでした。
ダラスの最初のゴールを決めたサム・スティールさえも「本当に厳しいことだよ。僕たちは今日、昼食の時に何人かで(シャイフリの父の訃報を)知って、みんな本当に胸が張り裂けそうだった。今日の彼のプレーは本当に勇敢だった。自分に同じことができたか分からない。それくらい彼は本当に魂を込めてプレーしていたんだ」と語っています。
ペナルティボックスから出てきたシャイフリを、ウィニペグ・ジェッツのチームメイトたちが囲み、スターセンターを一人ずつチームメイトたちがに抱きしめました。 そこには、スポーツの枠を超えた“仲間”の温かさがありました❤️🔥
スターズの選手達の心温まる激励の言葉が聞こえてきそう…。
ジェッツが延長戦の末に1-2で敗れ、ダラス・スターズの選手達と握手を交わし始めたとき、シャイフリはゴーリーのヘレバイクを力強く抱きしめました。その肩に顔を埋めながら流した涙は、プレッシャーと感情のすべてを物語っていました😢
「(シャイフリは)どうしても勝ちたかったんだ。本当に、あまりにもつらい状況だった。あんな状況を想像することすらできない。彼があれほどのことを経験しながら、あのパフォーマンスを見せた。私は彼のことを本当に誇りに思う。
彼のようなプロであり、リーダーであり、今季ここまでの姿。彼のお父さんも間違いなく誇りに思っていたはずだ」と、ウィニペグのスコット・アーニエル監督は語りました。

両チームが健闘を称え合い、そしてシャイフリを励ます姿は、涙なくして見られなかったにゃ。プレーオフに入り、ジェッツは今ひとつチームに勢いのつかない中での訃報だけに、メンタル面でのショックは大きかったと思う。それでも前を向いてナイス・ゲームをしてくれたジェッツに拍手を!
悲しみを乗り越えたシャイフリ選手の姿に感動 😢💖
「彼に励ましの言葉をできる限りかけた。そんな状況で今夜プレーして、あのようなパフォーマンスを見せたことは、率直に言って、僕が今まで見た中でも最も勇敢な行動の一つだった。本当に彼を称えたい」とピオンクは語っています。
ジェッツのキャプテン、アダム・ロウリーも試合後、「胸が張り裂ける思いだ。素晴らしいレギュラーシーズンを過ごして、チームとして強い絆を持っていたし、このチームなら長く戦えると思っていた。それがこういう形で終わってしまって、今日という一日を取り巻く全ての出来事もあって、本当にいろんな感情が入り混じっている。
マークが今日経験したことを言葉で表すのは難しい」と話しました。チームがシーズンの終わりを迎える中で、シャイフリは一人で多くの重圧と悲しみを背負っていました。しかし、そんな彼が見せた勇気と努力は、誰もが誇りに思うべきものです。
「でも、ダラスという素晴らしいチームに出会い、今回はあと1点が足りなかった。それが結果に繋がったけれど、マークの努力には本当に感謝している。チームにとって大きなゴールを決めて、素晴らしい試合をしたのに、結果はこうなってしまった。本当に重いものだよ。
でも、あの献身、決して諦めない姿勢、勝てるチームに必要な要素をすべて持っていた」とロウリーは語りました🙏
まとめ
どんな試合結果よりも心に残ったのは、マーク・シャイフリ選手の強さと覚悟でした。氷上で見せたその姿は、勝敗を超えて多くの人に勇気を与えてくれました。
ジェッツの選手たちは、シャイフリが父親を亡くした悲しみを乗り越え、全力で戦った姿を決して忘れないでしょう。そして、どんな結果が待っていようとも、その日のプレーと努力はチーム全員に深く刻まれました✨

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- テキサス州ダラスにある多目的屋内競技施設で、2001年に開場。NHLのダラス・スターズとNBAのダラス・マーベリックスの本拠地として知られ、アイスホッケーの試合では18,532人を収容。ダウンタウンに位置しアクセスも良く、コンサートなどのイベントも開催される、ダラスのスポーツとエンターテイメントの中心地である。
↩︎ - 多くのマスコミが一斉に報道しており、例えば地元マニトバのCBC「Winnipeg Jets star Mark Scheifele plays, scores team’s lone goal hours after learning of father’s death」では、ジェッツのゼネラルマネージャー、ケビン・チェベルデヨフがチーム全体でのサポートを確約したことと、2016年、同サイトに掲載されたの父親のインタビューを紹介、マークの子供時代の思い出や、彼のスポーツへの愛情について述べられている。なお、父親の死因は現時点で明らかにされていない。
↩︎ - スティックや体の一部を使って相手選手をつまずかせたり転倒させたりする反則で、パックの有無に関わらず危険なプレーとみなされる。今回のケースを見ると、シャイフリが手でスティールの脚を引っ張って倒している。(参照)CNN Sports
罰則は通常マイナーペナルティ(2分間の退場)だが、悪質と判断された場合や負傷の可能性が高い場合はメジャーペナルティ(5分間の退場)やゲームミスコンダクト・ペナルティ(試合からの退場)が科されることもある。ブレークアウェイ中のトリッピングはペナルティショットとなる場合がある。 ↩︎