🏒はじめに
最近、NHLのアイスホッケーが少しずつ注目を集めていると感じませんか?でも、なかなか情報が少なくて、ちょっとハードルが高いと感じる人も多いかもしれません。
そんな人におすすめしたいのが、ロサンゼルス・キングスとエドモントン・オイラーズのプレーオフ初戦。試合はまさに「NHLらしい!」という展開で、観ている者の感情を大きく揺さぶりました🎉
最初から最後まで、予測できないドラマの連続だったんです!
参照記事:N.Y.Times「Kings survive Game 1 collapse thanks to Phillip Danault’s heroics」
🎭試合は一進一退の展開に!
喜び。安堵。そして不安。
ロサンゼルス・キングスは、やるべきことをやり遂げました。シリーズ第1戦を手中に収めたのです。4月21日・月曜の夜、エドモントン・オイラーズを相手に6対5の劇的な勝利を掴んだこの試合は、Crypto.comアリーナ1の熱狂的で緊張感に包まれた観衆の前で、もっと確実に勝つべき立ち上がりだったはずです。
試合は、キングスが最初から圧倒的にリードします。4-0という大差をつけた瞬間、これは「キングスの勝ちだな!」と思った人が多かったはず。でも、NHLの試合はそんなに簡単じゃありません。こうした展開が、この7戦4勝制シリーズの行方を明確に示すものでもありません。激しいシーソーゲームの幕が上がりました!
オイラーズは反撃を開始。キングスがリードを保ち続けるのか、それとも一気に逆転されるのか…試合はどんどん白熱していきます⚡
そして、ついにオイラーズが5-5の同点に追いつき、会場の空気は緊張感で満ち溢れました。残り1分28秒、誰もが「延長戦か?」と考えたその瞬間——
フィリップ・ダノーが登場!残り41.1秒で決勝ゴールを決め、キングスが6-5で劇的勝利を収めました✨
「良いスタートだったと言えるだろう」とキングスのジム・ヒラー監督は語っています。「試合の終わり方は正直気に入っていない。空のゴールにパックを入れるチャンスが何度もあった。もっとドラマのない形で終わらせたかった。それが理想だった。でも、これがホッケーなんだ。
試合前にも話したが、だからこそこのスポーツはみんなに愛されている。何が起こるか分からない。…そこが面白いところなんだ。選手たちは情熱を持ってプレーしていて、色んなことが起こる可能性がある」。
「今夜はエンタメとしても息を呑むような展開だったね。どう終わるのかを見届けるしかなかった。我々は良いプレーをした。要するに、良いプレーをして勝った。それが今の時点では全て。やり直すべき点はあるがね」。
この試合のハイライト映像です!
🌟フィリップ・ダノー、思わぬヒーロー登場
キングスは支配していました。しかし試合は不安に変わり、さらにハラハラさせられ、そして恐怖すら感じる展開になっていきます。
第2戦を控え、ホームアドバンテージを維持するために“サーブキープ(テニスにおいて、自分のサービスゲーム〈自分がサーブを打つゲーム〉を落とさずに勝つこと)”が必要なキングスにとって、この勝利はどんな意味を持つのでしょうか?4-0、5-2とリードしながらも、オイラーズの勢いを完全には断ち切れなかったのです。
そんな中、フィリップ・ダノーが悪夢のような結果からチームを救いました。
第3ピリオドで相手ゴールテンダー、スチュアート・スキナーが2度もベンチに退いた際、もし、フィアラやトレバー・ムーア、あるいはドリュー・ドーティがエンプティネットへパックを押し込んでいれば、この劇的な展開は不要だったでしょう。
いや、それは必要だったのかもしれません。なぜなら、ダノー——4年前にFAとして(モントリオール・カナディアンズから)ロサンゼルスに来て以来、最も過小評価されてきた選手の一人——がヒーローとなったからです。
ダノーは今シーズン、80試合でわずか8ゴールと、2017-18年のモントリオール時代以来最少のシーズンゴール数となりました。しかし、得点力がないわけではありません。キングス加入初年度にはキャリア最多の27ゴールを挙げ、その後のシーズンでも18ゴール、17ゴールと続けています。
今回のプレーオフ初戦でも、ダノーは2ゴールを決める大活躍。試合開始から39分間、キングスが試合を支配していた時間帯には、クイントン・バイフィールドのフォアチェックがエヴァン・ブシャールのターンオーバーを誘発し、それをダノーが得点に結びつけました(第2ピリオド、残り2分17秒)。
そして、試合終了間際の決勝ゴールは、まさにヒーローと言える一撃となったのです。
延長戦に突入しそうな空気が漂う中、そして満員の観衆がオイラーズの猛追にざわつく中で、ムーアがウラジスラフ・ガブリコフのクリアパスを追いかけました。オイラーズのディフェンス、ジェイク・ワルマンよりも先にパックに追いついたムーアは、ターンして背後から来たダノーにドロップパス(味方が自分の後方にいることを意識して、あえてパックを後ろに残すように渡すパス)を出します。
ナックルボール(回転をほとんどかけずに投げることで、空気抵抗によって不規則に揺れ動く変化球)のように浮かぶそのシュートはスキナーを欺き、会場を熱狂の渦に包んだのです。「完璧に打ったよ」とダノーは淡々と語りました。シュートは一見して簡単に見えますが、実際には皮肉なほど美しい“虹のようなシュート”だったんです🎯
チームメイトのバイフィールドも「それは(フィル・)ハウスリー2のようなシュートだ」と言っていて、ちょっとふわっとした感じのシュートでしたが、まさに決定的な瞬間でした。「俺も昔ああいうのを何本か決めたことがある」とバイフィールドは語っています。「決まり方はどうであれ、得点は得点。あれは本当に大きなゴールだったよ」。
ダノーの活躍がなければ、キングスはこの勝利を手に入れられなかったでしょう。攻撃は彼の得意分野ではなく、長らく、堅実なディフェンシブな役割を誇りとしてきたシャットダウンセンターであるダノーが、今や得点でも頼りにされていることが分かります。
「フィルは得点力で知られているわけではないが、今や彼の2ウェイプレー(攻守両面)は安定した20ゴール級の働きになっている」とヒラー監督は語りました。「今季は運に見放されていた。チャンスはたくさんあったがね」。
「でも第1戦でいきなり2得点。それが何より重要だ。こういうタイプのセンターは、時に攻撃を犠牲にする。それでも、大一番で報われる姿を見るのは素晴らしいことだよ」。
ダノーのゴールもすごいのですが、瞬時にゴール前でジャンプした37番・フォーゲルもすごい。相手ゴールテンダーの呆気にとられた様子が印象的。
🏗️キングスの再建とダノーの役割
実は、キングスは数年前から本格的に再建を進めてきたチーム。GMのロブ・ブレイクは、チームを立て直すためにいくつかの重要なステップを踏んできました。
その一環として、2021年7月にダノーを6年契約でチームに迎え入れたんです。ダノーは当初から「守備の柱」として大きな役割を果たしてきました。特にキングスのセンターラインを強化するために、アンジェ・コピターの後ろで2番手センターとして活躍しています。
コピターも「フィルは本当に大きな存在だ」と言っていて、ダノーは守備だけでなく、パワープレーやペナルティキルにも積極的に参加し、チームの要となっています。
月曜日、コピターがチームメイトであるダノーの4年間の貢献について質問されると、ダノーは小声で冗談めかして「たいしたことないよ」と返していました。
「フィルは、何よりも素晴らしい補強だったし、このチームの重要な一部だ」とコピターは語っています。「彼は、a)大きな出場時間をこなし、b)パワープレーにも出るし、PKもやる。僕の意見では、彼はリーグでも最高のペナルティキラーの一人だよ。チームが求めることを全てやってくれる。彼は理想的な選手で、その役割をちゃんと受け入れている」。
「彼が契約した時点で、チームのビジョンを理解していたんだと思う。チームの現在地と今後の展望を見据えていた。数年かかったけど、今は大きなピースがそろってきている」。
💥他にも活躍した選手たち
そして、その“ピースたち”はこの試合でも結果を出しました。
ケビン・フィアラは、5対3のパワープレーでゴールを決め、その後アシストも記録して、攻撃の要となりました。フィアラは2022年にチームに加入し(ミネソタ・ワイルドから)、今やキングスの攻撃の中心的な存在です。
さらに、トレード期限(今年3月7日)で獲得したアンドレイ・クズメンコ(フィラデルフィア・フライヤーズから)も、プレーオフ初戦でいきなり1ゴール2アシストの活躍を見せました。初めてのプレーオフにしてこれだけの活躍をしたクズメンコの存在は、今後さらに重要になってくるはずです。
また、ガブリコフも忘れてはなりません。彼の素早いクリアからダノーの決勝ゴールが生まれ、チームの勝利に貢献しました。彼は次の契約で大金を得る可能性が高いと言われています。
昨年は完全にエドモントンに押されていたスペシャルチームも、この試合ではロサンゼルスを優位に導きました。2本のパワープレーゴールを決め、2つのペナルティを取られてもきっちり防いでいます。そして、スキナー相手に6ゴール。スキナーは度々不安定なプレーを見せるオイラーズのゴールキーパーです。
🔮次戦に向けた改善点と期待⚠️
キングスが劇的な勝利を収めたものの、4月23日・水曜日(日本時間では翌日の午前中)の第2戦に向けて、いくつかの課題と改善点も見えました。特に、試合後半の13分間でのプレーが気になるところです。
2点差を保っていた場面から、オイラーズが勢いを増してきて、結局同点に追いつかれてしまいました。もう少し確実に試合を閉じていければ、オイラーズの反撃を防げるかもしれません。
特に、コナ―・マクデイビッドの存在は大きな脅威です。今回、マクデイビッドはコーリー・ペリーとザック・ハイマンのゴールをアシストし、その後ミッキー・アンダーソンを抜き去り、キングスのゴールキーパー、ダーシー・クンパーを破って、残り1分28秒で同点に持ち込みました。
第3ピリオドでの彼のプレーは、まさに“アイスホッケーの王者”という感じで、キングスも彼を抑えるために必死に対応していましたが、やはりオイラーズのエースが登場すると試合の流れが変わります。
キングスは前半、マクデイビッドやレオン・ドライザイトルを封じ、サポート選手たちの存在感を消していますが、第3ピリオドでそれが崩れました。クンパーはレギュラーシーズンではヴェジーナ・トロフィー(最優秀ゴールテンダー)級の活躍を見せましたが、この試合では脆さも見せています。堅実な守備が持ち味のチームでも、マクデイビッドにはやはり主導権を握られてしまうことがあるのです。
「ちょっと怖かったね」とダノーは語りました。「本当にアップダウンの激しい試合だった。4-0のリードから追いつかれるなんてね。あのチームが攻撃力の化け物だってことは分かってる。ここから学んで、次に進むしかない。勝てたから、それでよしとしよう」。
彼が言う通り、4-0から同点に追いつかれるという展開は、キングスにとって試合をコントロールしきれなかった証拠です。守備面での強化が今後の課題となるでしょう。
キングスは決して完璧ではありませんでした。だが、やるべきことはやったのです。

攻撃的になったとされる今のNHLにおいて、キングスもオイラーズも、さらに輪をかけたような超攻撃的チームなんだにゃ。今回のような撃ち合いはある程度予測できたけど、まさかここまでとは…。第2戦、両チームとも慎重な立ち上がりで、今回とは真逆の守備的な試合になる見ているが、果たしてどうだろう。
🏆まとめ〜プレーオフの楽しさを知る!
今回の試合を通じて、NHLのプレーオフの魅力を少し感じてもらえたのではないでしょうか?スピード感あふれる展開や、逆転劇、そして選手たちの情熱。ホッケー初心者でも、これらの要素に惹かれてしまうはずです。
もしまだ観たことがなければ、次回のキングスの試合をぜひチェックしてみてくださいね!試合はきっと、予想を超える興奮をあなたに届けてくれるはずです🔥

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 米ロサンゼルスに位置する多目的屋内競技場で、NBAのロサンゼルス・レイカーズやクリッパーズ、NHLのキングスの本拠地として知られている。旧名は「ステイプルズ・センター」で、2021年に暗号資産企業Crypto.comとの命名権契約により改称された。
↩︎ - 通算1,232ポイントを記録し、長らくアメリカ生まれのNHL選手最多得点者だった(2007年にモダノに抜かれる)。スタンレーカップ優勝は果たせなかったものの、NHL通算1,495試合に出場し、出場試合数でも記録を保持した期間があった。
2004年には米国ホッケーの殿堂にも選出されている。コーチとしても活躍し、高校からNHLまで多くのチームで指導。U20世界選手権での金メダルや、NHL各チームでのコーチ経験を持ち、近年はレンジャーズのアソシエイトコーチを務めていた(2025年4月に解任)。 ↩︎