はじめに
デトロイト・レッドウィングスの復活には、ディフェンス陣のオフェンス参加が大きな影響を与えており、特にエリック・グスタフソンの成長が顕著です。現在、NHLで2番目に強力なパワープレイを誇り、チームの7連勝に貢献しています。
柔軟なポジションチェンジと積極的なシュートで成果を上げ、今後の試合に期待が高まります。しかし、サンノゼ・シャークス戦では6-3で敗北し、7連勝が止まり、プレーオフ圏内への進撃が一時的に途絶えました。
監督がトッド・マクレランに交代してから、ガラッと変わったって感じするにゃ、レッドウィングス。元々選手層は分厚いチームのはずなのに、選手の配置がイマイチだったところを、スキっとさせた印象。アイスホッケーって役割分担の妙を楽しむスポーツだからなぁ。
引用元:freep.com(Freep.com1)「Detroit Red Wings’ defensemen – led by Gustafsson – totally different unit under McLellan」
グスタフソンの進化とチームの変化
デトロイト・レッドウィングスの復活の要因の一つは、ディフェンス陣がオフェンスに積極的に関与するようになったことです。
特にエリック・グスタフソンは、その変化を最も体現している選手で、(デレク・ラロンド解任後、前ロサンゼルス・キングス監督だった)トッド・マクレラン監督が2024年12月26日に就任以降、毎試合、オフシーズンに契約した際にウィングスが期待していた選手像に近づく進化を見せています。
1月14日・火曜日、リトル・シーザーズ・アリーナ(レッドウィングスのホーム)で、7連勝中のレッドウィングスがサンノゼ・シャークスを迎えた試合で、グスタフソンは、今シーズン初のマルチポイントのパフォーマンスを記録しました(試合結果は後述)。
クリスマス前の26試合で5ポイント(すべてアシスト)とマイナス11の評価を記録しており、レギュラーとしての地位を確立するのに苦しんでいました。
この成績は、シェイン・ゴスティスベア(ディフェンス、31歳)の穴を補うために、7月に年間200万ドル(約3億1千万円)で2年契約を結んだ際に想定されていたものとは異なり、初期の成績は不調と言えるものです。ゴスティスベアは攻撃的なディフェンスマンで、パワープレイのスペシャリストとしてカロライナ・ハリケーンズに移籍しました。
しかし、32歳のジャーニーマンであり、在籍8チーム目となるグスタフソンが、クリスマス後の8試合で2ゴール、4アシスト、プラス3の評価を記録し、攻守ともに改善が見られたのです。
1年前はリーフスやキャピタルズにいたんだなぁ。YouTubeの検索結果を見ても、全部違うチームのユニ着てる…。
マクレラン監督は「グスのことはあまり知らなかったんだ。彼が私たちのやりたいことにどう反応するか分からなかった。でも、彼は素晴らしい仕事をしている。彼に対する批判は常に『守れるか?』という点だけど、彼はその部分を素晴らしくこなしている。最初に守りを徹底することを理解してくれているし、それをすると攻撃面も自然に開けてくるんだ」と評価しています。
「視野、パワープレイの運営、攻撃的な自信—そういったものが今、出てきていて、これこそクラブが彼を獲得したときに求めていた選手なんだ」とマクレラン監督は言いました。「おそらくもっと重要なのは、グス自身が自分はそういう選手だと分かっていて、それがようやく表に出てきたことかな」。
ディフェンス陣の連携と攻守のバランス
さらに、グスタフソンだけでなく、他のディフェンス陣全体も好調です。特に、1月2日のコロンバス戦でジェフ・ペトリー(37歳)が怪我で離脱した後、アルバート・ヨハンソン(23歳)がサイモン・エドヴィンソン(21歳)とセカンドペアを組んでプレーし、彼らは息が合っています。
グスタフソンとジャスティン・ホール(32歳)、モーリッツ・サイダー(23歳)とベン・チャロット(33歳)のそれそれのディフェンス・コンビネーションも良好です。ディフェンス陣はパックを上手に処理し、フォワードのチャンスを作り出しています。
「ディフェンスがアクティブに動き、パックを保持して、うまく通す方法を見つけているのは本当に助かるよ」とディラン・ラーキン(センター、28歳)は言いました。「それは非常に重要なことだ」。
新たな指導体制がもたらす未来の展望
また、ヘッドコーチの交代に加え、ウィングスは新たにディフェンスとペナルティキリング担当のアシスタントコーチとしてトレント・ヨーニー2を迎えています。ディフェンス陣をより積極的に関与させることが、彼とマクレラン監督の復活計画の一環として進められています。
マクレラン監督は、「そのシューティングメンタリティが選手たちをハングリーにさせる。パックを手にするチャンスがあると、選手たちはワクワクするものだ。それ(シュート)をやっても良いという合図が出ているからね。
それが一度、二度うまくいけば—例えば先日(1月7日・火、オタワ・セネタース戦)、サイモンのシュートのリバウンドを、(ジョー)ヴェレノ(センター、24歳)が押し込んだように—それが一度や二度成功すると、次も試してみようと思うようになる。その先にはご褒美があるからなんだ。だから、選手たちはそれを続けるんだよ。
ウチのディフェンス陣は、パックをネットに届けてフォワードのためにチャンスを作るのが非常に優れている」と述べました。この戦術が選手たちにハングリー精神を与え、チーム全体のパフォーマンス向上に繋がっているのです。
引用元:mlive.com(MLive.com3)「Red Wings power play reaching heights it hasn’t seen in years」
パワープレイの進化とその影響
デトロイト・レッドウィングスは現在、NHLで2番目に強力なパワープレイを誇るチームとなり、これがチームの7連勝に貢献しています。
彼らは8試合連続でパワープレイ得点を挙げ、29回中14回成功しています。今夜のサンノゼ・シャークスとの試合(ホーム)で9試合連続のパワープレイゴールを狙い、連勝を8に伸ばすことが目標です(午後7時=日本時間では翌日の午前9時、FanDuelスポーツネットワーク4で放送)。
目標達成となると、2008年(1月17日から2月5日)以来の最長連勝記録を更新することになります。レッドウィングスは2015年(2月26日から3月15日)以来、9試合連続でパワープレイ得点を決めておらず、また、2014-15シーズン以来、リーグ2位の順位に終わったこともありません。
しかし、現在、パワープレイの成功率は28.6%で、ウィニペグ(32.3%)に次いで2番目に高い成功率を誇っています。
レッドウィングスがパワープレイに入ると、この曲が場内に流れます。
柔軟なポジションチェンジで相手の対応を困難に
パワープレイのメンバーは変わらず、アシスタントコーチのアレックス・タンゲイ5が引き続き指導しています。それでは、トッド・マクレランがヘッドコーチに就任してから、なぜここまで成績が向上したのでしょうか。
選手たちは柔軟にポジションをローテーションし、動きが増えることでエントリーがスムーズになり、(オフェンシブ)ゾーン内での時間も長くなりました。
「自信を感じるね。常に同じ形ではなく、選手たちが柔軟にポジションを変えているので、(相手から見れば)それに対応する準備が難しいんじゃないかな。時には、こちらはただ静止しているだけで、(相手チームから)何が来るか予測できてしまうことがあるよ」とマクレラン監督は言いました。
さらに、マクレラン監督はパワープレイだけでなく、5対5の状況でもシュートを重視するメンタリティを強調しています。
ルーカス・レイモンド(左ウィング、22歳)は左フランク(ウィングポジションの選手が外側を駆け上がり、攻撃を仕掛けること)からのクォーターバック的な役割を果たし、チームで22ポイント(ゴール4、アシスト18)のパワープレイポイントを記録して、チームの中心として活躍しています。
彼は、昨シーズンのパワープレイポイントリーダーであるシェイン・ゴスティスベア(29ポイント)を超えるペースで進んでおり、そのゴスティスベアはカロライナに移籍してしまいました。
ディラン・ラーキンは「レイモンドはパワープレイで多くのタッチを得て素晴らしいプレーをしている」と評価し、レイモンドの自信と積極的なプレーが、相手チームに対して大きな影響を与えていると述べています。
レイモンドとケーンの活躍
「ウチのパワープレイは、かなりレイモンドとパトリック・ケーン(右ウィング、36歳)を中心に回っていることに気づくんだけど、ルーカスはその中で多くのタッチを得て、素晴らしいプレーを見せてくれる」とラーキンは言いました。
「リーグで一貫してポイントを取っている素晴らしい選手たちは、パワープレイでパックを受け取り、それをしっかりと結果に結びつけている。レイモンドも氷上のあらゆる場所でそれをやっているのが見える。
彼はパックを自分のスティックに乗せたがっているし、自信を持ってプレーしている。彼がパックを持っている時、相手チームに対して大きな影響を与えるプレーをしようとしているんだ」。
引用元:freep.com(Freep.com)「Detroit Red Wings’ rally falls short as 7-game winning streak ends」
タラセンコの奮闘も虚しく、7連勝がストップ
デトロイト・レッドウィングスは、火曜日にリトル・シーザーズ・アリーナで行われた、サンノゼ・シャークスとの試合で何度も追い上げを試みましたが、相手の反撃を受けてなかなか追いつけず、最終的に3-6で敗れました。
この試合で、レッドウィングスは4試合のホームスタンド(ホームでの連戦)を締めくくり、12月29日から続いていた連勝は7でストップしてしまったのです。これにより、イースタン・カンファレンスのプレーオフ圏内に6迫りつつあった快進撃も止まりました。
逆にシャークスは、NHLの下位に位置するチームとは思えないほどのパフォーマンスを見せ、勝利を収めています。それでも、デトロイトのヴラディミール・タラセンコ(右ウィング、33歳)は今シーズン初の2ゴールゲームを記録し、個人的には好調を維持しているようです。
彼は第2ピリオド早々に今シーズン5ゴール目を決め、さらに第3ピリオドも早い段階で6ゴール目を追加しました。タラセンコの最初のゴールでレッドウィングスは2-1に、次のゴールで3-2に迫ります。
ウィリアム・エクランド(左ウィング、22歳)が素晴らしいアシストを決めたシャークスの2点目の後、ミカエル・グランルンド(センター、32歳)のパワープレイゴールで、シャークスは4-2とリードを広げています。レッドウィングスのルーカス・レイモンドが4-3に追い上げましたが、すぐにタイラー・トフォーリ(センター、32歳)により2点差に戻します。
試合終了間際、残り3分以上でレッドウィングスはヴィレ・フッソ(ゴールテンダー、29歳)をベンチに下げ、エクストラアタッカーを投入しますが、シャークスのマリオ・ファラロ(ディフェンス、26歳)がその隙を突いて追加点を挙げ、シャークスはリードを倍にしました。
なお、レッドウィングスのタイラー・モット(センター、29歳)は上半身の怪我を負い、第3ピリオドには戻らなかったと報じられています。
この試合のハイライト映像です。こんなにシャークスがどんどん得点するなんて…。
シャークスの早期攻撃に対処できず
フッソは、1月7日の試合でアレックス・ライオン(ゴールテンダー、32歳)が上半身の怪我で退場した後、先週昇格してきたばかりです(ライオンは現在スケートを再開しており、復帰が近づいています)。
フッソは、今シーズン開幕から出場した7試合の内、唯一の勝利となったトロント戦(2024年12月14日)での23セーブ以来の先発ゴールテンダーとなりましたが、12日・日曜日のシアトル・クラーケン戦(6-2でレッドウィングスの勝利。シュート数は33対23で、クラーケンの方が多い)同様、レッドウィングスの相手チームは試合開始から勢いよく攻め、シャークスは試合開始からわずか145秒でフッソを打破しています。
第3ペアのディフェンスマン、ヤン・ルッタ(34歳)がトラフィック(ゴール前の混戦)の中を抜けてシュートを放ち、デトロイトのネットに決まりました。
レギュラー・シーズン中、相変わらず苦戦しているシャークスなんだけど、昨年のようなひ弱な感じはしないにゃ。若い監督さん率いる若いチームが少しずつ成長しているのを感じるし、中位クラスのチームと対戦すると、失点しても倍返しできる体力が付いてきた。
パワープレイの成功率低下と選手個々の課題
また、レッドウィングスのパワープレイは、クリスマス以降最も成功率(50%という持続不可能な成功率!)が高かったものの、シャークスにその勢いを止められています。シャークスは、ファラロのホールディングによるペナルティが残り2秒で終わる直前に、2-0としました(つまり、シャークスはファラロ1人少ない状態でゴール)。
レッドウィングスのグスタフソンがネットに向かってシュートを放ちましたが、アレクサンダー・ゲオルギエフ(ゴールテンダー、28歳)がそれを止め、シャークスはリバウンドをコントロールします。
タラセンコとマルコ・カスパー(センター、20歳)はシャークスのエクランドを追いましたが、エクランドがデトロイトのゾーンに入る直前に後ろに戻り、ニコ・シュトゥルム(センター、29歳)にパスを送ると、シュトゥルムはそのパックを受け取って左フランクを駆け上がり、17分41秒にゴールを決めます。
エクランドによるシャークスの3点目は、2024年のドラフトで1位指名を受けたマックリン・セレブリーニ(センター、18歳)からの素晴らしいアシストによるものです。セレブリーニはその後、グランルンドのパワープレイゴールをアシストし、スコアは4-2に。
しかし、レッドウィングスのレイモンドが4-3に追い上げるも、トフォーリがすぐに再び2点差となるゴールを決めました。
タラセンコは、シーズン5ゴール目を決め、12月1日以来のゴールを第2ピリオドの早い時間(1分28秒)に決めて、レッドウィングスは1点差に追い上げます。ヨナタン・ベルグレン(右ウィング、24歳)がクロスアイスのパスをエドヴィンソンに送ると、エドヴィンソンはゴールライン近くからネットに向かって角度をつけてシュートしました。
シャークスのゲオルギエフがセーブしましたが、リバウンドがそのまま前方に出て、タラセンコが素早くそれをゴールに送り込んだのです。
タラセンコはこれまで得点が少なく、シーズン前半は期待外れな結果に終わっていましたが、この試合では第2ピリオドにゴールを決め、直近2試合で3ポイントを記録しました。しかし、33歳のウィンガーにとって、シーズン前半は得点の少ない結果となっています。
彼は41試合終了時点で16ポイントと、レッドウィングスが昨年7月に2年950万ドル(約14億8千万円)で契約した際、期待していた成績には遥かに及びませんでした。今回のパフォーマンスがその後の巻き返しに繋がることを期待されています。
まとめ
レッドウィングスはディフェンス陣の積極的なオフェンス参加とグスタフソンの活躍で飛躍的に成長しました。マクレラン監督とヨーニーアシスタントコーチの指導で、攻守両面のパフォーマンスが向上し、強さを再発揮しています。
パワープレイでは柔軟なポジションローテーションと自信を持ったプレーが鍵となり、レイモンドとケーンの活躍が際立っています。シャークス戦では、早期の攻撃に対応できず、連勝が止まりましたが、タラセンコの好調なプレーには今後の再起への希望が見えます。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- アメリカ・ミシガン州デトロイトの新聞「デトロイト・フリープレス」のオンライン版で、地域の政治、経済、社会、スポーツ、文化などを中心に報道。
デトロイト地域のニュースに加えて、国内外の重要なニュースも扱い、特にデトロイト・ライオンズやデトロイト・レッドウィングスなどの地元プロスポーツチームに関する記事が充実している。デジタル版では一部のコンテンツが無料で提供されており、プレミアムコンテンツは有料購読が必要。
1831年創刊の伝統ある新聞で、信頼性の高い報道を行い、地域住民に広く読まれている。
↩︎ - 1965年生まれ、カナダ出身のプロアイスホッケーコーチで元ディフェンスマン。現在、デトロイト・レッドウィングスのアシスタントコーチを務め、シカゴ・ブラックホークスのヘッドコーチや、アナハイム・ダックスのプロスカウト、他のNHLチームでアシスタントコーチを経験。
プレーヤーとしては、シカゴ、カルガリー、セントルイスで活躍。引退後は、ノーフォーク・アドミラルズのヘッドコーチや、シラキューズ・クランチのアソシエイトヘッドコーチを務め、クランチを2008年以来のプレーオフ進出に導いた。2018年にはアナハイム・ダックスを退団。
↩︎ - ミシガン州を中心に地域ニュースを提供する大手オンラインメディアで、MLive Media Groupが運営。主にミシガン州内の政治、経済、社会問題、スポーツ、エンターテインメントを報道し、デトロイトやグランドラピッズ、フリントなどの都市に関する情報が豊富。
特にミシガン州の大学スポーツやプロスポーツに関する記事が充実している。ビジネスやライフスタイル情報も提供し、地域に密着した特集や調査報道が特徴。MLive.comは一部無料で提供されているが、プレミアムコンテンツは有料。
↩︎ - スポーツベッティングやファンタジースポーツに関するコンテンツを提供するアメリカのネットワーク。FanDuelは、NHL、NFL、NBA、MLBなどの主要スポーツリーグと提携し、スポーツベッティングに関連するオッズや予測を視聴者に届けている。
また、Fox Sportsと提携し、放送内でスポーツベッティング情報を提供。2018年の合法化以降、アメリカ各地で急成長し、視聴者に多様なエンターテイメントと分析を提供している。
↩︎ - 1979年生まれ、カナダ出身の元プロアイスホッケー選手で、NHLのコロラド・アバランチ、カルガリー・フレームス、モントリオール・カナディアンズ、タンパベイ・ライトニング、アリゾナ・コヨーテズでプレー。
攻撃的なプレイヤーで、特にパスやプレイメイキングに優れていた。1998年のドラフトでアバランチに指名され、2001年にはスタンレー・カップを制覇。カルダー・メモリアル・トロフィーにノミネートされ、オールスターにも選出。
↩︎ - アトランティック・ディビジョン8チーム中7位(勝ち点44)だが、3〜7位までの5チームは勝ち点差5内で争っており、予断を許さない。カンファレンスのワイルドカード争いは5位。2位のコロンバスの勝ち点が48、こちらも分からない。 ↩︎