NHL連勝記録17に迫っていたのに、エドモントンは16で止まる!

アイスホッケー名勝負

はじめに

 昨シーズン、連勝に次ぐ連勝で、ボストン・ブルーインズがレギュラー・シーズンを「一人旅」していきましたが、今シーズン、エドモントン・オイラーズが連勝記録の主役でした。ボストンと違うのは、最下位一歩手前から不死鳥の如く蘇ったという点です。

 延長戦のルールやシュート・アウト(PK戦)のおかげで勝てたんだ、なんて声も現地で聞かれますが、それを最大限に利用して勝利をもぎ取る積極性は、不調だった開幕直後に見られなかったもの。好調バンクーバー・カナックス同様、早めの監督交代も良かったのでしょう。

 片や連敗を止めたベガス・ゴールデンナイツは、昨シーズンのチャンピオン・チーム。好不調の波はあるものの、手堅く勝利を掴み、上位をキープしています。エドモントンと同じディビジョンにいますし、かなり気合を入れて試合に臨んだのではないでしょうか。

※今回は2つのサイトを引用して、記事を構成しています。

讃岐猫
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引用元:nationalpost.com「Oilers winning streak dies one win from history. So what?

エドモントン、敗れたり!記録更新ならず!

 まずは今シーズンについて。今、話題なのは、エドモントン・オイラーズの連勝です。

 エドモントン・オイラーズにとって、ベガス・ゴールデンナイツは本当に厄介な存在となっています。

 なぜなら、勝てなかったときのことを何と呼ぶか――エドモントンのホッケーファンにとって、呼び方を忘れ始めているほど長い時間が経過していますが――2月6日・火曜日の夜、ラスベガスのT-モバイル・アリーナで、オイラーズにそれが起こったからです。

 昨春にオイラーズをプレーオフから敗退させたチームは、ピッツバーグ・ペンギンズのNHL連勝記録にあと1つ迫っていた、エドモントンの連勝記録を16試合で止め、宿敵の地位をさらに固めました。

 「新鮮な気分だよ」とオイラーズのキャプテン、コナー・マクデイビッドは「刺し傷」について語りました。「今夜負けたのは残念だ。久しぶりだしね。負けるのがどれだけ嫌か、時々忘れてしまっていたよ。(過去の負け試合は)いい思い出さ」。

 昨年のプレーオフ第2ラウンド・シリーズと1不気味なほど似た試合で、オイラーズが序盤でリードを奪った後、ラスベガスが盛り返し、その夜の勝利をオイラーズの手から奪い、ベガスは3-1の逆転勝利を収めたのです。

 12月19日以来の敗戦となったオイラーズは戦わずして負けたわけではありませんが、ウィリアム・カールソンがエンプティ・ネットにゴールを決めて勝利を収めたこともあり、ナイツはまるで歴史を作ったかのように、それを祝いました。

緊張感のあるナイス・ゲームだった

 「いいチーム同士の対決だったね」とマクデイビッドは言っています。「ちょっとプレーオフのような雰囲気だったよ。接戦ってのはよく起こるものさ。もっと積極的に出ていって、点を取りに行かなければならないのに、僕らは明らかにそれをしなかったんだ」。

 「あの試合、僕らは試合の大部分を気に入ってはいたんだ。連勝中、僕らがずっとプレーしてきたこととよく似た試合になると思っていたけど、勝利を得る方法を見つけられなかったね。がっかりした、でも、僕らは前に進むよ」。

 しかし、それは素晴らしいホッケーでした。

 2月のレギュラーシーズンの2試合としては賭け金が高く(上位同士、どっちに勝ちが転ぶか分からないから?)、60分間、オイラーズとナイツは、(強豪同士の対決という)ステージにふさわしい激戦を繰り広げました。舞台にふさわしい激しいホッケーを繰り広げたのです。

 連勝記録の第17番目の試合ではなく、これがスタンレーカップ・シリーズ第1戦となる可能性もありました。双方一歩も譲らず、時間とか空間というものすら存在しなかったのです。

 (ベガスでは)スーパーボウルが開催されることもあり、この試合全体が、まるで(アメフトの)スクリメージライン(オフェンス側とディフェンス側の間に引かれた架空の境界線)手前数インチ、4thダウンギャンブル3をかけるか・かけないかの瞬間のように見えたのは当然でしょう。

 第1ピリオド開始わずか4分35秒、ヴィンセント・デシャルネによって2対0の展開(エドモントンの選手2名が抜け出し、眼前に相手選手のいない状態)となり、オールスター・ツインズ、つまりレオン・ドライザイトルがマクデイビッドの得点のお膳立てをし、ショートハンド(ペナルティで人数が少ないながら得点すること)でエドモントンは先制しました。

 しかし、ラスベガスは第1ピリオドの終盤で同点に追いつき、試合は残り40分となります。第3ピリオドの早い段階でベガスがリードを奪い、残り数秒で試合を締めくくるダメ押し点を決めました。

この試合のハイライト映像です。
讃岐猫
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色々な記録が途絶えてしまったが…

 「負けたときは、たかが1敗でも3連敗でも、あるいは16連勝していたかなんて関係ないよ。気分は良くない」とディフェンスのダーネル・ナースは語っています。

 「夜の終わりに、僕らはここ数年よく戦ってきた同じディビジョンのチームに負けてしまった。そりゃ後味が悪くなって当然だろ」。

 オイラーズが第3ピリオドを失ったのは17試合ぶりです。ゴールキーパーのスチュアート・スキナーにとっては13試合ぶりの敗戦であり、エドモントンにとって、ロードでの敗戦は10試合ぶりとなりました。エドモントンが2失点以上を許した試合は、ここ15試合で初めてです。

 連勝記録更新は終了してしまいました。

選手達は前向き

 でも、だから何って感じです?

 この連勝はシーズン中盤の見事な気晴らしにはなりましたが、17勝0敗と16勝1敗の差はわずかです。

 重要なことは、オイラーズが過去28試合で24勝4敗の成績を収め、NHLの順位表、下から数えて2番目の位置だったのが、プレーオフ第1ラウンドでホームアイス・アドバンテージを争う戦いに復帰したことです。

 2か月前のエドモントン・オイラーズときたら…。

 彼らは自らを奮い立たせ、レギュラー・シーズンを大切に戦うことにし、春に本当に重要な試合(プレーオフ)が始まるときのために準備を整えました。

 言い換えれば、もし今回の連勝が彼らのシーズンのハイライトになってしまったら、それは悪いシーズンを送ったことになります。

 「チームの調子を整えるには、チーム力を伸ばす必要があったんだけど、それができたんだね」とマクデイビッドは語りました。「すべての条件を満たしたんだから、次に進まないといけないね。僕らは最後まで良いホッケーをプレーしなければいけない」と話しています。

 「チームは(勝利を求める)狩りに戻ったのさ」とナースは付け加えました。「僕らは決して満足しているわけではない。連勝のおかげで、チームは巻き返すことができたんだ。ここにはプレーすべきホッケーがたくさんあるし、やるべきこともたくさんあるよ」。

讃岐猫
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連勝記録は「延長戦」のルールによって変わる?

ほんの些細なことですが…

 ピッツバーグの17連勝はNHL史上最長の連勝記録ですが、そのような連勝に関連する要素は長年にわたって変化しています。

 NHLは1942年から1983年まで延長戦を廃止したため、その40年間、60分終了時点で同点となっていた試合は、チームがOT(オーバータイム=延長戦)での連続記録を伸ばすことはできず、引き分けのまま終了していました。

 つまり、1981年から1982年にかけてのニューヨーク・アイランダーズの15連勝は、規定試合時間内での勝利15回で構成されていたことになります。

 1983年から2004年にかけて、5分間の延長戦を経ても同点だった試合は引き分けとなり、それで連勝記録は「無敗」となりました。

 2005年(以降)、NHLはシュートアウト(PK戦)を導入し、すべての試合で勝者が確定されることになっています。オイラーズは連勝記録に挑戦していた17試合中、延長戦で2回勝利し、PK戦で1回勝利しています。

ベガスのキーパー、ヒルが連勝記録ストップの立役者

引用元: sportsnet.ca 「Oilers fall to Golden Knights to snap 16-game win streak

 チャンドラー・スティーブンソンが勝ち越しゴールを決め、アディン・ヒルが30本のシュートを止め、2月6日・火曜日の夜、ベガス・ゴールデンナイツが3-1で勝利し、エドモントン・オイラーズの連勝記録は16で終止符を打ちました。

 エドモントンは、1992-93シーズンのピッツバーグ・ペンギンズに並ぶ、NHL最長の連勝記録を樹立しようとしていました。

 しかし、第2ピリオドを終えて1-1の同点で迎えた第3ピリオド、ジョナサン・マルケソーからのパスを受けたスティーブンソンが左サークル中央からシュートを放ち、エドモントンのゴールキーパー、スチュアート・スキナーのブロッカー・サイドを破ったのです。

 第3ピリオド開始から2分も経たないうちに、ゴールデンナイツが1点差でリードを奪ってしまいました。

 そこから、ヒルはオイラーズを寄せ付けず、試合終了のホーンが鳴るまで観衆を活気づけ続ける見事な活躍を見せています。

 「向こうが熱くなっているのは分かっているし、何連勝していても、僕は今夜自分たちの試合をすること、そして勝ち点2を獲得することだけに集中していた」とヒルは語りました。

 「エドモントンとはとても強いライバル関係にあるわけだし、これまでラインナップに欠けていた数人の選手たちと連勝ストップを達成できたことは、僕らにとって非常に大きなことだ」。

 平均失点率(1.94)とセーブ率(.936)でNHLトップに立ったヒルは、第3ピリオド終盤、レオン・ドライサイトルのバックドア・ワンタイムシュートを阻止し、この夜の素晴らしいセーブを披露したのです。

 ゴールデンナイツでは、ニック・ロイとウィリアム・カールソンも得点しました。

讃岐猫
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エドモントンのエースが先取点を挙げたのだが…

 コナー・マクデイビッドがオイラーズで今シーズンの21ゴール目を決め、スキナーは23セーブを挙げています(最近22試合に先発出場して19勝3敗)。

 エドモントンのゴールを決めたコナー・マクデイビッドは「向こうのゴールキーパーは良いプレーをし、いくつかのビッグセーブを見せた」と語りました。

 「このアリーナでの試合はいつも通り厳しいものになるだろう、と僕らは予想していたよ。敗戦は残念だが、先に進まねばならない。そうしているうちにしばらく経つと、負けるのがどんなに嫌だったか忘れてしまうこともある。良い思い出になるんだな」。

 オイラーズは、11月12日にジェイ・ウッドクロフト監督を解任するまで、シーズン開幕から3勝9敗1延長負けの成績で、連勝開始まではわずか13勝15敗1延長負けでした。エドモントンは12月19日以来一度も負けておらず、29勝16敗1延長負けと成績を上げています。

 11月13日、オイラーズはクリス・ノブラウフをベンチ・ボスとして初戦を迎えて以来、NHL最高の26勝7敗0延長負けの成績を残しています(パシフィック・ディビジョン3位)。

 オイラーズのディフェンスマン、ダーネル・ナースは「僕らは再び(勝利の)狩りに戻ってきたが、決して満足しているわけではない」と語りました。

 「僕らはこの順位に立つために懸命に努力したと思うが、今夜は過去数年間よく戦った同じディビジョンのチームに負けた。後味の悪さは残っているよ」。

 エドモントンはゲーム内で最初にペナルティを犯しても、ひるむことはありませんでした。

 ヴァンサン・デシャルネの突進チェックがターンオーバーを誘い、2対0のラッシュが始まると、マクデイビッドはドレイサイトルからのパスを受けてヒルを破り、ショートハンド・ゴールでオイラーズに1-0のリードをもたらしています。

 マクデイビッドは、オイラーズのここ最近17試合で10ゴール目、通算で27ゴール目を挙げました。

 ベガスのロイがゴール前のクリースからリバウンドを拾い、パックをバックハンドで運び、スキナーをかわして今季10点目となるゴールを決め、ラスベガスは同点に追いついています。

 残り34秒、カールソンがエンプティ・ネットにゴールを決め、ベガスが試合を決定づけました。

次の試合
オイラーズ:金曜日の夜、アウェイでアナハイム戦。
ゴールデンナイツ:木曜日の夜、アウェイでアリゾナ戦。

まとめ

 まだ移籍市場も開いている状況で、チャージをかける時期でもないのですが、首位バンクーバーに離されつつあるベガスと、ジワジワ上がっていけば…と思っていたエドモントンのモチベーションの差が、勝敗となって出たのかもしれません。

 とはいえ、今回の勝敗により、3位・エドモントンと2位・ベガスの勝ち点差が7に開いた事について、両チームがどう考えるか。このポイントとなった一戦後の数試合は大いに注目すべきものですし、パシフィック・ディビジョンの今後を占うものとなるでしょう。

 両チームの次の対戦相手は、再建中の若いチームでありながら、意外と上位に強いシーズンを送っています。昨シーズンのように、序盤でポンポン得点できてしまうような弱さはありません。エドモントン、アナハイムの若手に引っ掻き回されて大敗…なんてこともあり得るかも。

讃岐猫
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【註釈】

  1. 最終的にベガスが4勝2敗で勝ち上がるのだが、ベガス4勝の内3勝において、エドモントンが先制しており、さらにその3勝の内2勝で、ベガスが同点に追いつき逆転、試合終了まで、エドモントンは無得点に抑えられている。
    ↩︎
  2. 理由は定かではないが、試合消化も進み、チーム間の実力差も分かってくる時期なので、それに応じて、倍率の低い試合が増えてくるからと思われる。
    ↩︎
  3. アメフトの4回の攻撃チャンスの中で、必ず最後の4回目に実施されるため、こう呼ばれる。攻撃を継続したい場合に利用され、具体的には「4thダウンの残りヤード数がわずかの時」、あるいは「どうしてもタッチダウンが必要な時」にギャンブルを選択する。 ↩︎
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