はじめに
少しお盆休みを頂戴しておりました。でも、内心は「ブログ、次のネタは何にしようかな」と、「早くNHLの新シーズンが開幕しないかな」のワクワク感で、あまり休めなかったかもしれません。台風や高校野球も気にかけつつ、今日からまたブログ活動再開です。
さて、今回はいつものNHL公式やESPNからではなく、実験的にYahoo!スポーツをネタ元にしてみました。新しい風を吹かせてみるのもいいかな、と思った次第です。いろいろ検討してみて、前々から気になっているアリゾナ・コヨーテズの移転問題を取り上げます。
※コヨーテズの移転問題については、こちらを参照のこと→☆。
5月、アリゾナ州テンピに新アリーナ建設が市議会に否決され、現在借用しているアリゾナ州立大学マレット・アリーナ以後、どうなるのか不明瞭になったコヨーテズ。そこへ救いの手が差し伸べられてきたのですが…。
市議会の否決は予想されていて、
コヨーテズのフロントは想定内だったんじゃないかにゃ。
今回の記事にあるように、代わりの候補地探しを進めていたようで…。
引用元:sports.yahoo.com「The path for an NHL franchise in Utah may have just been simplified」。
億万長者がコヨーテズの前に現る!
ユタ・ジャズのオーナーであるライアン・スミスが、ユタにNHLのフランチャイズを持ち込みたいとソーシャルメディア上で公言して以来、アリゾナ・コヨーテズはワサッチ・フロントへの移籍の最有力候補と見られてきました。
※ライアン・スミス=米国、オレゴン州ユージーン出身、45歳。スミス・エンターテイメント・グループのトップである、アメリカの億万長者の実業家。急成長を続けているテクノロジー企業Qualtrics(本拠地はユタ州プロボ)の執行会長兼共同創設者。
NBAユタ・ジャズのオーナーであり、MLSレアル・ソルトレイクの権利も持つ。
※ワサッチ・フロント=アメリカ合衆国ユタ州の中北部に位置する地域。ワサッチ山脈近辺であり、ユタ州の人口の85%はこの山脈の15マイル以内に住んでいる。ユタ州の州都ソルトレイクシティもこの近辺である。
確かに、シアトルがクラーケンで行ったように、またはラスベガスがゴールデンナイツで行ったように、スミスとユタはNHLの拡張チームを待つこともできるでしょう。
しかし、コヨーテズのテンピでの新アリーナ探しが微妙なものであることを考えると、フランチャイズが移転するのではないかという憶測はかなりありました。
※テンピでの新アリーナ探しが微妙…=2023年5月16日、テンピに新アリーナ建設というコヨーテズからの提案は、市の住民投票によって拒否された。アリーナは21億ドルの費用がかかると推定されており、そのうち19億ドルの費用は民間資金で賄われる点が拒否の理由とされている。
しかし、8月9日(水曜日)、(スミスの)コヨーテズのユタ州への移転構想は、深刻な打撃を受けたのです。
※コヨーテズのユタ州への移転構想=2020年にユタ・ジャズを17億ドル、2022年にレアル・ソルトレイクを4億ドルで、スミスはそれぞれ買収。
その買収資金は、2018年、ドイツのソフトウェア大手SAPに、記録的な80億ドル(日本円で約1兆1396億円)の取引でQualtricsを売却したことによるもの。
スミスは既にNHLの幹部と接触しており、コヨーテズの新アリーナ構想がアリゾナの有権者によって否決されたことも、それを後押ししている。コヨーテズの価値は4億5千万ドルと言われており、スミスにとってそれほど高い買い物ではない。
野球やアメフトじゃなくて、
スミスがアイスホッケーに興味を示してくれたことを歓迎したいにゃ。
ただ、それが金持ちの道楽で終わってほしくないのが、正直なところ。
コヨーテズの新たなホームはメサ?
アリゾナ・コヨーテズは8月9日(水曜日)に声明を発表し、新しいアリーナのためにメサの土地を購入しようとしていることを確認しました。
※メサ=米国アリゾナ州のマリコパ郡にあり、州都フェニックス東方に位置する。人口は50万人程であるが、都市としての成長が著しく、大都市フェニックスと密接な関係を持つ郊外都市。新語「ブーンバーブ」、すなわち大型衛星都市のひとつとして、米国で知られている。
声明には次のようになっています。
「コヨーテズのオーナー、会長、統轄責任者のアレックス・メルエロが、クラブのスポーツアリーナおよびエンターテイメント地区の候補地となる、アリゾナ州メサにある土地の一区画購入の意向書を作成したことについて確認できています。
※アレックス・メルエロ=米国、ニューヨーク州ニューヨーク出身、59歳。キューバ系アメリカ人の実業家であり、多方面に進出しているが、ロサンゼルスに5つのラジオ局と2つのテレビ局を所有するメルエロ・メディアとカジノ業が目を引く。NHLで最初のラテン系オーナーである。
コヨーテズは、アリゾナ史上初の民間資金によるスポーツ施設の建設と、クラブの恒久的な本拠地としてイーストバレー(フェニックスを中心とした多都市地域)確保に向けて、引き続き尽力しています。
メサのこの土地に加えて、クラブはイーストバレーの他の候補地を引き続き探索します」。
「コヨーテズがバレーに永久に留まることを望んでいる多くのコミュニティ、選出された役人、コミュニティリーダーから多大な支援を受けたことに感謝しています。
また、NHLコミッショナーのゲイリー・ベットマンと副コミッショナーのビル・デイリーには、恒久的なアリーナの解決策を見出そうとするクラブの努力に対して着実に支援してくれたこと、そしてアリゾナはとてつもないホッケー市場であるという認識を示してくれたことに感謝します」。
フェニックス周辺は大事な市場
5月、テンピの有権者は、市内に新しいアリーナ、娯楽地区、住宅を建設するというコヨーテズからの提案を拒否し、彼らの決定はアリゾナ州におけるフランチャイズの将来に疑いを残しました。
しかし、その直後、コヨーテズがアリゾナ州、具体的には「太陽の谷(フェニックス周辺の大都市圏)」に留まることを、NHLとして望んでいると、リーグコミッショナーのゲイリー・ベットマンはアスレチックに語っています。
「素晴らしい市場です」とベットマンは言いました。「そこには多くのスポーツファンがいて、成長市場です。北米では大きな市場の1つなのです。
そして、クラブと、暗黙のうちにファンは不幸な状況に置かれてきたと思いますし、彼らは(少し)状況の犠牲になっているのかもしれません」。
リーグがアリゾナ州=重要な市場と認識しているならば、
スミスの計画はなかなか進まないかもにゃ。
この声明は相当な効力があると思う。
NHLとメサは好意的
「そして、私たちが何かを機能させることができれば…、今はリーグ、オーナーシップ、チームが強い段階にあります。20年前や30年前よりも、私たちは移転について抵抗できる立場にあります。
クラブの移転を検討する前に、現在の段階であらゆる選択肢を検討したいと思っていますし、そうする必要がないことを願っています」。
アリゾナスポーツのジョン・ガンバドーロによると、メルエロはメサに41エーカー(東京ドームの約4個分)の土地を購入しようとしており、フェニックス・ビジネス・ジャーナルによると、その場所はアルマ・スクール・ロードとループ202の周辺にあると報告しています。
※アリゾナスポーツ=アリゾナ州フェニックスにあるラジオ局KMVP-FMが運営する、スポーツ・情報サイト。同局は「98.7FM アリゾナのスポーツステーション」としてブランド化されている。ローカル番組は、平日の午前6時から午後8時まで放送。
※フェニックス・ビジネス・ジャーナル=フェニックスに関するローカルビジネスニュースを掲載すると共に、ビジネスの成長、ネットワーク、雇用を支援するツールも提供。
※アルマ・スクール・ロードとループ202=アルマ・スクール・ロードは、メサとテンピを東西に結ぶ道路で、アリゾナ州立大とメサコミュニティ大が近辺にある。
ループ202とはアリゾナ州道202号線または環状202号線のことで、アリゾナ州マリコパ郡中央のフェニックス都市圏の東部と南部を周回する半環状道路。
テンピ、メサ、チャンドラー、ギルバートの各都市に加えて、フェニックス市の東端と南端を横断しており、首都圏高速道路システムの重要なルートとなっている。
KTARニュース92.3への声明で、コヨーテズのテンピから移転する可能性について、メサ市は楽観的な見方を示しました。
※KTARニュース92.3=KTAR-FMによる番組。同局はアリゾナ州グレンデールに認可された商用ラジオ局で、フェニックス大都市圏にサービスを提供。局の特徴として、トークラジオ形式で放送。本拠地はソルトレイクシティ。
末日聖徒イエスキリスト教会の営利部門であるボンネビル・インターナショナル所有。
ユタ移転の可能性は消滅?
「コヨーテズがメサかイースト・バレーに移転先を見つけるための一歩を踏み出したと聞けば、アリゾナにプロ・ホッケーが残ることを熱望するすべての人々にとって喜ばしいことです。メサは望ましい場所であり、彼らが選択肢を検討している間、我々は引き続きフォローしていきます」。
アリゾナスポーツによると、メルエロの意図は、「複数の契約地を持ち、選択肢があるようにする」ことです。新アリーナは2026-27のNHLシーズン開幕に間に合うように完成させ、稼働させることを目標としています。
もしコヨーテズがアリゾナに留まるなら、ユタ州にNHLチームができる唯一の道はリーグ拡張によるもので、最近では2016年、(ユタ州の西隣・ネバダ州に)ゴールデンナイツができました。
NHLコミッショナーは、以前、チーム数増加を匂わせていたし、
また拡張ドラフトがあるかもにゃ。
それまでの間、スミスは下部リーグのチームを買収して、
アイスホッケー・チーム運営のノウハウを学ぶってのはどう?
まとめ
これはメサで決まりじゃないでしょうか。テンピもメサも押さえているアルマ・スクール・ロードとループ202という具体的な名前が出ているとなると、車社会のアリゾナ州民としてはイメージしやすくて、「移転と言っても、そんなに遠くじゃない。いいじゃん」と納得してると思います。
スミスは2競技のチームを買収してはいるものの、ジャズはともかく、MLSチーム運営に関してはまだ始まったばかり。米国で莫大な経済効果が望めないサッカーの他に、4大スポーツの中で最も規模の小さいNHLに続けて手を出すのは、ややバクチ的要素が強いかも。
とはいえ、NHLがコヨーテズだけに目配りすると思えず、「金のなる木」億万長者に何らかの配慮をする可能性はあります。このマネー・ゲームの決着がどうなるのか、注目しましょう。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!