NHLはオフシーズン真っ只中、ファンは首をなが〜くして開幕を待ちわびています。もちろん、僕もその一人です!
さて、オフシーズン恒例、NHL.comのQ&A特集「Sitting Down with …」(座談会の意)をお届けしましょう。公式戦における重要人物に話を聞き、氷上とリンク外での彼らの生活について、今後の見通しを語ってもらうコーナーです。
今回は、オタワ・セネターズのフォワード、ティム・スタッツル(Tim Stützle)の特集です。NHL2年目の昨シーズン、79試合で58ポイント(22得点、36アシスト)を挙げた売り出し中の若手選手です。
ティム・スタッツルについては、こちら→https://www.nhl.com/player/tim-stutzle-8482116
このインタビューは、8月24日(水)、フランスで行われたNHLヨーロッパ・メディア・ツアーにおいて、現地でスタッツルと合流した際に行われたものです。
※本記事は、NHL.com「Stutzle talks Senators aiming forplayoffs in Q&A with NHL.com」等を参照し、編集したものです。
昨年の成績を過信することなく、
自分の欠点を謙虚に受け止めている、
期待の若手選手だよ!
セネターズの移籍市場での動きは?
「期待は大きい」とスタッツルが称賛するくらい、オタワ・セネターズは、新シーズン、大きな一歩を踏み出すための準備をしています。移籍市場で、かなり熱意あふれる動きを見せています。
7月7日から14日までの8日間で,,,
- シカゴ・ブラックホークスとのトレードで、アレックス・デブリンカットを獲得
- ミネソタ・ワイルドとのトレードで、ゴールキーパーのキャム・タルボットを獲得
- FA(フリーエージェント)で、フォワードのクロード・ジルーと契約
- フォワードのジョシュ・ノリスと8年636万ドル(日本円で約8億8千万円?平均年額79.5万ドル)契約を締結
スタッツル「ウチのチームが取った行動、それに適した長期的なジョシュとの契約、オタワのダウンタウンにできる新しいリンクについての話、すべて期待は高いものばかりだ。
我々は良いチームであり、若いチームでもあるね。過去2年間のプレーよりも、我々ははるかに良くなってるとファンに示したいんだ」
※アレックス・デブリンカットについてはこちら→https://www.nhl.com/player/alex-debrincat-8479337。
※キャム・タルボットについてはこちら→https://www.nhl.com/player/cam-talbot-8475660。
※クロード・ジルーについてはこちら→https://www.nhl.com/player/claude-giroux-8473512。
※ジョシュ・ノリスについてはこちら→https://www.nhl.com/player/josh-norris-8480064。
目を引くのはジョシュ・ノリスの8年契約です。FA移籍可能選手でしたが、23歳にして35ゴールを記録した23歳の中心選手にFA移籍されちゃたまらんと、チームは好条件を提示し、残留させました。ちなみに、ノリスとスタッツルはルーム・メイトです。
逆にFA移籍でセネターズにやってきたのが、34歳の大ベテラン、ジルーです。フロリダ・パンサーズからFAとなり、残留の噂も流れましたが、セネターズと1,950万ドル(日本円で約27億円)での3年契約を結びました。
ジルーはパンサーズのプレイオフ進出に貢献し、プレイオフでも好プレイを見せました。34歳にも関わらず、3年契約に踏み切ったセネターズは「まだまだやれる」と見たのでしょう。
デブリンカット獲得のきっかけは、セネターズのD.J.スミス監督が「あなた(スタッツル)と一緒にプレーする姿が見える」と言ったことだそうです。ブラックホークスに幾つかのドラフト指名権を譲ってまで獲得したデブリンカット、どんな風にチームと化学反応を起こしてくれるのか。
セネターズはかなり攻撃面を強化したみたいだね。
デブリンカットはスタッツルに負けないくらい、
若手の有望株だよ。
スタッツルと対談:現在のセネターズのチーム状況と移籍市場での動向について
質問「2017年以来のスタンレーカップ・プレイオフに、チームは出られるかな?」
スタッツル「イエス。プレーオフに出たい、そのために手を打ったのだと思う。プレーオフに出るために手を打たないといけないと、前年度チームの最後のミーティングでも話したんだ。
新チームに来てくれる彼らは完全にそれにコミットしているので、チームに関わる誰もが、オタワに戻ることを本当に幸せに思っているよ」
質問「年間50ゴールを達成しそうな選手や、将来殿堂入りするかもしれない選手とセンターのポジションを争うことになるが…」
スタッツル「しかし、ウチのチームが取ったすべての行動は、本当に良いものだ。もちろん、何人かの仲間が去っていくのは悲しいこと。でも、結局のところ、僕は満足しているんだ。早く移籍してくる選手達から学びたいよ。
僕はまだ超若いので、デブリンカやジルー、彼らからたくさん学べると思う。彼らと一緒にプレーするのはとても楽しいだろうし、早くリンクに行って、彼らに会いたいね」
質問「デブリンカットやジルーとも一緒にプレーする機会がありそうですが、現時点で彼らの試合を研究したり、理解していますか?」
スタッツル「いつもジムでトレーニングする時、1時間コンディショニングをする。1時間自転車に乗るんだ。下半身強化の日、すぐ自転車に乗れるので、その時にビデオを見てる。
デブリンカットのビデオも見たよ、クレイジーだ!彼はどこからでも得点できる。昨年の彼の41ゴールのうち30ゴールは、主にパトリック・ケインによるアシストだった。ケインは氷上のいたるところで彼(デブリンカット)を見つけ、できる限り彼にパックを与えようとしている。
時にはパックを持った相手と1対1になり、(奪った後)シュートレーンがないのに、デブリンカットはシュートして得点したりする。そういう選手がリーグにいるのは素晴らしいし、彼と一緒にプレーするのはとても楽しいだろうね」
デブリンカットとスタッツルの化学反応を考えただけで、
セネターズの監督と同じで、今からワクワクするよ。
質問「得点源を見つけてパックを渡すという仕事には、プレッシャーがあると感じますか?」
スタッツル「プレッシャーはあるね。本当に優れた2人の選手とプレーする時、常にいいパフォーマンスを発揮しなければならない。それが僕の目標だ。できる限り良いプレーをして、彼らのプレーを助けたい。
(フォワードから)センターポジションに移ってからは、もっとパックを取って、もっと素早いスケートで入っていって、(オフェンシブ)ゾーンでプレーすることがとても大事になっている。(僕はそれが得意だから、)あの選手たちとはとてもいい関係を築けると思っている」
スタッツルと対談:昨シーズンから取り組んでいる自身の新ポジションについて
質問「昨シーズンは左ウイングからセンターへの転向を果たしましたね。ウイングよりもセンターの方が好きですか?そのポジションは挑戦的なものでしたか?」
スタッツル「ああ、大好きだよ。『D.J.はなぜ僕をセンターにしなかったんだろう』と、いつもみんなが言ってたくらいさ。実はシーズン最初からその話をしていて、『センターとウイング、どっちがやりたいか』と聞かれたよ。
僕は『センターをやっている選手、2人の本当にいい選手と一緒にプレーして学ぶ方が快適かもしれない』と答えた。
※インタビュー中に「2人の本当にいい選手」の名前は出ていません。1人はジョシュ・ノリスだと思いますが、もう1人は、スタッツルやノリスと仲のいいチーム内アシスト王ブレイディ・ケチャックかもしれません。
その後、ケガ人が多かったので、センターをやることになった。監督が『今、センターをやれるか』と聞いてきたので、『もちろん!準備はできてる』と答えたのさ。それからかな、ジョシュ・ノリスのような、長い間センターを務めてきた若い選手達から学ぶようにしたんだよ。
ただ、今のポジションはそれまでと勝手は違うけど、最終的には本当に楽しい経験だったし、今の自分があるのは、その時に苦労をしたたまものだよ」
質問「NHLでのシーズンを成功させ、セネターズのトッププレーヤーとなったわけですが、NHLプレーヤーとして自分自身の考え方はどのように変わったのでしょうか?」
スタッツル「人間的に変わったとは言えないかな。ただ、自分がチームのトッププレーヤーであることを実感し、この(センターで出場した)35試合ではそれを証明できたというだけ。チームのベストプレーヤーになりたかっただけさ。
D.J.監督からは希望をもらったし、彼はどんな状況でも僕を信頼してくれた。シーズン終盤には、ペナルティキリングにも参加させてもらったしね。
※ペナルティキリング=試合中のペナルティによって自分のチームの選手が退場し、相手チームより人数が少ない状況で戦うことです。
パワープレー要員やオフェンシブ要員だけでなく、何でもできるフルプレーヤーを作りたかったんだ。チームがゴールキーパーを抜いた時にもプレーできるような、リードを守るために氷上にいるような選手に、僕はなりたかった。
ディフェンスが下手でパワープレーばかりしている自分なんて、見たくもないよ。選手のプラスマイナスを語る時、多くの人が僕のことをそう(ディフェンスが下手)言うんだ。そんな評判を変えたかったし、その気持ちや行動がセンターでプレーするのに役立ったと思う」
新シーズン、スタッツルがどれだけディフェンス力を高めてるか。
見どころの一つになりそうだね。
質問「デブリンカットやジルーと一緒にプレーする中で、昨シーズンの成果を発揮する機会があると思いますが、あなた個人として、昨シーズンの成果をどう活かしていくのでしょうか?」
スタッツル「昨シーズンの序盤、点数を取ることに関しては全くダメだった。最初の13試合はゴールを決められなかった。プレーが悪かったわけではなく、たまたま入らなかっただけかもしれないけど…。
だから、シーズン最初から自分が正しい方向に進んでいくために、もっとすべてに集中しようと思っているんだ。それが、チームにとっても一番大切なことだし。
過去2年間、いつもチームのスタートは悪かったので、プレーオフ進出を狙うには不利な状況を戦わねばならなかった。僕がベストなプレーをできれば、プレーオフに進出するための大きな力になれるんじゃないかな」
まとめ
大物移籍選手2人との連携を強化しようとするスタッツルの姿勢は、とても若者らしく謙虚です。2人から何かを学ぼうとしている姿勢も好印象。
フォワードからセンターへコンバートされたことで、逆にやる気に満ちているのが、インタビューの端々から伝わってきます。元々そのポジションをやっていた若手選手からも、何かを吸収しようとしていて、スタッツルはかなりの勉強家!
弱点はディフェンス、そのことは本人もよく心得ていて、改善の道半ばといった感じ。監督からペナルティキリングを任されるということは、攻撃も守備も両方できる選手として期待されている証ですね。
彼の努力が実を結び、シーズン開幕時からいいスタートが切れれば、チームの将来は明るい!
セネターズは攻撃的ポジションに役者を揃えたようだ。
イケイケ・ホッケーが開幕から上手く機能することを祈ってるよ。
サンキュー、じゃあね!