はじめに
NHLには数多くの名コンビが存在し、彼らの成功は個々の才能だけでなく、相互の理解と協力によって築かれています。選手たちが共に歩んできた軌跡は、チームの成績を超えて、ファンの心に深く刻まれています。
本記事では、シーズンを重ねるごとに記録を更新し続けてきた数組のデュオに焦点を当て、その魅力と影響力を探ります。彼らがどのようにしてチームを支え、NHLの歴史に名を刻んできたのかを見ていきましょう。
サンノゼ・シャークスのマックリン・セレブリーニや、フィラデルフィア・フライヤーズのマトヴェイ・ミチコフにも「相棒」が出現すれば、ぐんと実力のレベルがアップすると思うにゃ。ミチコフはもう実力を発揮してるから、よけいそう思う。
引用元:bleacherreport.com(BLEACHER REPORT)「Ranking the NHL’s 10 Best Dynamic Duos Since 2000」
ピッツバーグの至宝デュオ、今シーズンも健在!
この記事では、2000年以降のNHLにおけるトップ10のダイナミック・デュオをランキングし、各コンビの特徴と成績を詳しく解説しています。特に、シドニー・クロスビーとエフゲニー・マルキンのペアが中心に据えられ、彼らの長年にわたる活躍が強調されています。
1.シドニー・クロスビーとエフゲニー・マルキン
シドニー・クロスビー(センター、37歳)とエフゲニー・マルキン(右ウィング/センター、38歳)は、ピッツバーグ・ペンギンズの象徴的なデュオで、2006-2007シーズンから現在まで、ほぼ20年にわたって活躍しています。
クロスビーは1,600ポイント以上(現在1603ポイント)を記録し、マルキンも1,300ポイント(現在1307ポイント)を超える成績を収めています。彼らは共にスキル、スピード、視野の広さを兼ね備え、試合ごとに観客を魅了しています。
特に、彼らの連携プレーは圧倒的で、対戦相手にとっては常に脅威となっています。ペンギンズは、彼らの活躍により、スタンレーカップを2009年、2016年、2017年に制覇しました。
クロスビーは2度(2015-16、2016-17)のコーン・スマイス賞(プレーオフにおける最優秀選手賞)、マルキンは1度(2008-09)受賞しており、それぞれのキャリアで数々の個人タイトルも獲得しています。
両者の存在は、ペンギンズが常にリーグのトップ・コンテンツとなる要因であり、今後もさらなる記録更新が期待されています。
マルキンのフィードから、クロスビーが通算500ゴール目を決める!
2.ジョナサン・トゥーズとパトリック・ケーン
ジョナサン・トゥーズ(センター、36歳。現在フリーエージェント中のため無所属)とパトリック・ケーン(右ウィング、35歳。現在デトロイト・レッドウィングスに所属)は、シカゴ・ブラックホークスでの成功を象徴するコンビです。彼らは2007年から2020年まで共にプレーし、スタンレーカップを3度(2010年、2013年、2015年)制覇しました。
トゥーズはオールラウンドなプレーヤーで、攻撃だけでなく守備にも優れており、特にプレーオフでの存在感は圧倒的です(通算45ゴール・74ポイント)。一方のケーンは、卓越したスキルとスピードで、得点力においてリーグ・トップクラスの選手です(ブラックホークス時代、446ゴール)。彼の華麗なドリブルやシュートは、ファンを魅了し続けています。
トゥーズとケーンのスタイルは対照的でありながら、互いに補完し合う関係にあり、試合の流れを一変させる力を持っています。両者が揃うことで、ブラックホークスは常に優勝候補とされ、彼らの存在はシカゴにとって不可欠なものでした。
2人の活躍で、どれだけブラックホークスが恩恵を受けたことか。
エドモントンのデュオは、NHL歴代最高なのでは?
3.アレクサンダー・オベチキンとニクラス・バックストローム
アレクサンダー・オベチキン(左ウィング、39歳)とニクラス・バックストローム(センター、36歳)は、ワシントン・キャピタルズの強力な攻撃陣を形成するデュオです。
オベチキンは850ゴール以上(現在、855ゴール)、1,550ポイント(現在、1555ポイント)を超える記録を持ち、リーグ屈指の得点力を誇ります。一方、バックストロームはその高いアイスホッケーIQとパスセンスで、オベチキンの得点をサポートしています。
彼らのコンビネーションは、オベチキンが持つシュート力とバックストロームのプレーメイキングの組み合わせで、相手ディフェンスを常に揺さぶるものです。2018年には、彼らがチームをスタンレーカップ制覇に導き、ワシントンのホッケー史に新たなページを刻みました。
この二人の存在は、キャピタルズをリーグのトップチームへと押し上げ、彼らの連携は今なおファンにとっての楽しみの一部となっています。
若き日の2人が見れます!
4.コナー・マクデイビッドとレオン・ドライサイトル
コナー・マクデイビッド(センター、27歳)とレオン・ドライサイトル(センター/左ウィング、28歳)は、エドモントン・オイラーズの現在の中心選手であり、リーグ最強の得点コンビとして知られています。
マクデイビッドは、圧倒的なスピードと卓越したハンドリング技術を持ち、毎試合のように相手ディフェンスを翻弄しています。彼の視野の広さとプレーセンスは、オイラーズの攻撃において決定的な要素です。
一方のドライサイトルも、その強力なシュートと得点力で知られており、マクデイビッドと共に多くのゴールを奪っています。彼自身もMVPを受賞した実績1を持ち、相互に信頼し合う関係が生まれています。
二人は2022年にスタンレーカップ・ファイナルに進出するなど、今後のシーズンでもさらなる成功が期待されています。彼らの連携は、リーグ内でも特に注目されており、オイラーズの未来を明るく照らしています。
現在のNHLを代表するコンビ、彼らの上を行くデュオはいないでしょう。
ボストンの「善悪コンビ」?
5.ジョー・ソーントンとパトリック・マーロー
ジョー・ソーントン2とパトリック・マーロー3は、サンノゼ・シャークスにおいて長期にわたる成功を収めたデュオです。2005年にソーントンがチームに加入して以来、2人は常に得点ランキングの上位に位置し、シャークスをプレーオフ常連チームへと導きました(2人が在籍時、14-15シーズンのみプレーオフ進出を逃している)。
ソーントンはそのサイズ(193センチ、99キロ)と視野の広さを活かしてチームメートをサポートし、一方のマーローはスピードとシュート力で得点を量産。彼らの連携は非常に効果的で、特にパワープレー時には脅威となりました。
12シーズンの間に、シャークスはプレーオフに11回出場し、2016年にはフランチャイズ初のスタンレーカップ・ファイナル進出を果たしました。二人は共にリーグを代表する選手であり、その存在はシャークスの歴史において非常に重要な位置を占めています。
音よりも速い?2人のコンビネーションの凄さ!
6.パトリス・バージェロンとブラッド・マーシャン
パトリス・バージェロン4とブラッド・マーシャン(左ウィング、36歳)は、ボストン・ブルーインズにおいて非常に成功したデュオで、彼らのスタイルは「善悪コンビ」5とも称されています。
バージェロンは卓越した2ウェイ・プレーヤーとして、攻撃だけでなく守備にも優れています。彼は6度のセルケ・トロフィー(守備面で最も優れたスキルを発揮したフォワードに贈られる)を受賞し、リーグで最も評価されるフォワードの一人です。
一方、マーシャンはその物議を醸すプレースタイルと攻撃力で知られ、ファンの間で賛否が分かれる存在です。しかし、彼の得点力は無視できず、二人の相性は抜群です。共にブルーインズをスタンレーカップ優勝(2011年)に導いた実績もあり、2011年、2013年、2019年のファイナル進出を含む多くの成功を収めました。
バージェロンとマーシャンの連携は、対戦チームにとって常に脅威であり、彼らのプレーはブルーインズのアイデンティティの一部となっています。
優勝時、全盛期のデュオです!
双子であるがゆえの抜群の連携を見よ!
7.ヘンリク・ゼッターバーグとパベル・ダツュク
ヘンリク・ゼッターバーグ6とパベル・ダツュク7は、デトロイト・レッドウィングスの強力な攻撃コンビとして知られています。彼らは2002年から2016年まで共にプレーし、その間に素晴らしい成果を残しました。
ゼッターバーグは、得点だけでなくプレーメイキングにおいても優れた能力を持ち、彼の冷静な判断力とテクニックは、数々の得点機会を生み出しました。一方、ダツュクは、その独特のハンドリング技術と華麗なスピードで、相手ディフェンスを翻弄しました。
二人は互いに補完し合う関係で、レッドウィングスが常にプレーオフに進出する要因となりました。特に、2008年のスタンレーカップ制覇においては、彼らの存在が大きな役割を果たしました。
ゼッターバーグとダツュクのプレースタイルは、レッドウィングスのアイデンティティを体現しており、ファンにとっても長く記憶に残る存在です。
これぞアイスホッケーの醍醐味!これだけでご飯三杯食べられる!
8.ヘンリク・セディンとダニエル・セディン
バンクーバー・カナックスの双子の兄弟、ヘンリク・セディンとダニエル・セディン8は、NHL史上最も成功したデュオの一つとして知られています。彼らは2000年から2018年までの間、素晴らしい連携を発揮し、共に1,000ポイント以上を記録しました(ヘンリクが1070、ダニエルが1041)。
特に、彼らのプレースタイルは非常に特異で、互いの動きを完璧に理解し合っていました。アイス上での化学反応は見る者を魅了し、パス交換から得点に至るまでの流れは、まるで一つの作品のようです。
彼らの存在は、カナックスが2011年にスタンレーカップファイナルに進出する際の大きな要因となりました。惜しくもタイトルには手が届かなかったものの、セディン兄弟はバンクーバーにおけるホッケーの象徴となり、長年にわたってファンから愛されました。彼らの影響力は、カナックスの未来にも色濃く残ることでしょう。
双子ゆえのパスのタイミングの良さ、じっくり見て欲しい。
コーリー・ペリーって、本当はすごい選手なんですよ…。
9.スティーブン・スタムコスとニキータ・クチェロフ
タンパベイ・ライトニングのスティーブン・スタムコス(センター、34歳。現在、ナッシュビル・プレデターズに所属)とニキータ・クチェロフ(左ウィング、31歳)は、近年のNHLにおいて最も注目されるコンビです。
スタムコスは、その圧倒的な得点力とパワープレーでの存在感で知られ、キャプテンとしてチームを牽引していました。クチェロフもまた、スピードとテクニックを兼ね備えた選手で、彼の得点センスはリーグ内で高く評価されています。
2人は共に連携プレーを得意としており、特にパワープレーの際にはその連携が光ります。スタムコスとクチェロフは、2020年と2021年のスタンレーカップ連覇に大きく貢献し、ライトニングを強豪チームに押し上げました。
ファンにとって、今後もライトニングの成功に2人は欠かせない要素であり、さらなる記録更新が期待していたのですが、スタムコスの移籍によりそれは叶わなくなりました。
ライトニングのファン、もう2人のコンビネーションが見られないとは…。
10.ライアン・ゲツラフとコーリー・ペリー
アナハイム・ダックスのライアン・ゲツラフ9とコーリー・ペリー(右ウィング、39歳。現在、エドモントン・オイラーズ所属)は、フィジカルなプレースタイルとスピード感あふれる攻撃で知られ、ダックスの成功に大きく貢献しました。
二人は2005年から2020年まで共にプレーし、特に2007年にはスタンレーカップ制覇を果たしました。ゲツラフは、そのサイズを活かしたパワープレーや優れた視野で攻撃を組織し、ペリーはシュート力と得点センスで相手ゴールを脅かしました。
二人の相性は抜群で、数々のハイライトプレーを生み出しました。彼らはダックスの歴史において重要な役割を果たし、リーグ内でもその存在感は大きかったです。ペリーにまつわるジンクス=彼の移籍したチームがスタンレーカップ決勝で必ず負ける、これを打破しないといけません。
今のペリーは「お騒がせ選手」になってるけど、本当はすごい選手なのです。
まとめ
これらのデュオは、単なるチームメイトではなく、互いに補完し合うことでリーグ全体に影響を与えてきました。彼らの卓越した連携と個々のスキルは、試合の流れを変えるだけでなく、ファンにとっての喜びの源でもあります。
今後も新たな世代が登場し、彼らの足跡を追いながら新たな記録を打ち立てていくことが期待されます。NHLの未来を担う選手たちが、彼らのように互いに支え合いながら成長していく様子を楽しみにしたいと思います。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- ドライサイトルは2019-20シーズン、マクデイビッドは16-17、20-21、22-23の計3シーズン獲得している。オイラーズは獲得回数が13回で、モントリオール・カナディアンズの17回に次いで第2位となっている。
↩︎ - カナダ、オンタリオ州出身の45歳。現役時代のポジションはセンター。シャークスが2005年にボストン・ブルーインズからソーントンを獲得、ソーントンはすぐにリーグMVPとしてハートトロフィーを受賞。
↩︎ - カナダ、サスカチュワン州出身の45歳。現役時代のポジションはセンター/左ウィング。NHL で 1,779 試合に出場し、リーグ史上のレギュラー シーズン試合出場数では歴代トップ。 2021年4月19日、1,768試合出場により、ゴーディ・ハウの記録を破っている。
↩︎ - カナダ、ケベック州出身の39歳。現役時代のポジションはセンター。NHL史上最高の攻撃・守備の双方向をこなせる、偉大なフォワード。カナダ代表として国際大会にも数多く出場し、5回の金メダルを獲得。
スタンレーカップ、世界選手権、五輪でトップに立った選手とコーチのみが入れる、トリプル・ゴールドメダルのメンバーである。
↩︎ - バージェロンは非常に冷静で、チームのリーダーとしての役割を果たしており、常にポジティブなエネルギーを持っている一方で、マーシャンは攻撃的で時には挑発的なプレースタイルを持ち、相手選手に対して厳しいプレーをすることが多い(相手を噛んだり等)。
バージェロンがキャプテンとしてチームの調和を保つ一方で、マーシャンが悪役に回り敵に圧力をかけることで、相手を困惑させたり、自分たちのチームを有利に運ぶという役割を果たしている部分もある。彼らの異なるアプローチが、意外にもチームのバランスを取っていたのである。
↩︎ - スウェーデン、スンツバル出身の44歳。現役時代のポジションはセンター。1999年NHLドラフトで、レッドウィングスに第6巡目(210位)で指名され、2002年にデビュー。
優れたスケーティング技術とバランス、戦術的な視野を持ち、攻撃力・守備力共に優れていたため、前述バージェロン同様2ウェイ・プレイヤーとして評価されていた。2008年、レッドウィングスでスタンレーカップ制覇し、コンスマイス・トロフィー(プレーオフMVP)を受賞。
↩︎ - ロシア、スヴェルドロフスク出身の46歳。現役時代のポジションはセンター。1998年NHLドラフトで、レッドウィングスに第6巡目(171位)で指名され、2001年にデビュー。トリッキーな技巧派選手として知られ、”氷上の魔術師”の異名を持つ。
最高のスポーツマンシップと紳士的な行動と、高水準のプレー能力を兼ね備えたと判断された選手に贈られるレディー・ビング・トロフィーを4シーズン連続で獲得。
↩︎ - NHL史上最高の双子デュオ。スウェーデン、エンスケルツヴィク出身の44歳。ヘンリクは現役時センター、ダニエルは左ウィング。1999年ドラフトでダニエルが全体2位、ヘンリクが全体3位で指名されている。
互いのプレーに非常に高い理解度を持ち、特にパスワークやオフェンスでの連携が抜群。ヘンリクは主にプレイメーカーとして活躍し、ダニエルはゴールスコアリングの役割を担った。シーズン最多ポイント獲得選手に贈られるアートロス・トロフィーを、2年連続獲得した最初の双子の兄弟である(ヘンリクが2010年、ダニエルが2011年)。
↩︎ - カナダ、サスカチュワン州出身の39歳。現役時代のポジションはセンター。2010〜2021年までキャプテンを務め、ダックスの歴代最多得点者。2005年にトップ昇格後、2007年にダックス初のスタンレー・カップ制覇の時、中心選手として大きな役割を果たした。
1980年以来、1つのNHLフランチャイズ(最低10シーズン)でキャリア全体をプレイした35番目のプレーヤーであり、同じチームで少なくとも17シーズンにわたりプレーした11番目のプレーヤー。 ↩︎