はじめに
公式サイトとは別に、NHL各チーム専属の(?)情報サイトがあるのですが、今回はコロンバス・ブルージャケッツの情報サイト「UNION AND BLUE」を紹介しましょう。内部事情をよく知るファンとホッケー専門家によるチーム情報やデータ分析で溢れています。
クローズ・アップした記事は、ブルージャケッツの下部組織(アフィリエイト)チーム、クリーブランド・モンスターズ所属の2人の選手とトップ・チームが契約した内容となっています。この2人の選手がユニークな経歴を持っていて、かつ実力がありそうなので注目を集めているのです。
昨シーズン、開幕前からの監督問題や選手層の薄さで、出足からつまづきっぱなしだったブルージャケッツ。ここ数年、ドラフトも上手く行ってますし、新人選手獲得で失敗はしていないので、今回も期待していいでしょう。さあ、どんな選手達なのでしょうか。
FAでの選手獲得に、それほど積極的でなかったブルージャケッツ、
パトリック・レインの移籍問題でそれどころでないのかにゃ。
シカゴ・ブラックホークスのように、
やっと何年間かかけてチームを作り直す方向に舵を切るべき、と判断したのだろうか。
引用元:unionandblue.com(UNION AND BLUE)「The Blue Jackets signed two Monsters to NHL-level contracts this summer. Who are they?」
下部組織所属の若手選手2人と契約!
ホッケー界のほとんどが今後2ヶ月間眠りにつく中、ブルージャケッツのGMドン・ワデルはここ数週間でいくつかの動きを見せました。今日は、NHLレベルの契約をした2人の選手、オーウェン・シリンジャーとコール・クレイトンについて見ていきます。
ホッケーの(1年の)風景全体において、夏のオフシーズンへ本格突入していく今こそ、コロンバス・ブルージャケッツが契約した新戦力に注目する絶好の機会です。
彼らについて、まだアメリカン・ホッケーリーグ/ECHL(イーストコースト・ホッケー・リーグ)で今シーズンの大半を過ごす選手たちだと考えています。
では、2024-2025シーズンのNHLレベルの新契約にサインした2人の選手を紹介しましょう。この2人の選手は、昨シーズンのクリーブランド・モンスターズのプレーオフ進出で注目され、ジャケッツ・ファンにはお馴染みの名前でしょう。
ホッケー一家の期待の星!
オーウェン・シリンジャー
名字でわかります:オーウェン・シリンジャー(26歳)は、コロンバス・ブルージャケッツのフォワード、コール・シリンジャーの兄です。
オーウェンは、2001年から2003年までブルージャケッツでプレーし、ファンのお気に入りの選手だったマイク・シリンジャー(NHL12チームでプレーし、9回トレードされている。どちらもリーグ記録)を父に持ち、父と同じ故郷のサスカチュワン州レジーナで育ちました。
カナダでU18ジュニアのキャリアを積み、BCHL1のペンティクトン・ヴィーズで過ごした後、オーウェンはカナダでホッケーのキャリアを続ける代わりに、ミネソタ州のベミジ州立大学(NCAA)でプレーすることを決意しました。
ドラフト外でNHL入りしたのですが、オーウェンはNCAAではやや小柄なセンターとして際立っていました。
彼は(大学の)チームでの4シーズン、51ゴール・64アシスト・115ポイントの成績を残し、2021-2022シーズンをキャプテンとして終え、2022年のホビー・ベーカー賞2候補77人のうちの1人となりました。
モンスターズの第2ラインを支えてきた存在
2022年、AHLシーズン中に大学フリーエージェントとなったオーウェンは、2022年5月25日、ブルージャケッツAHL傘下のクリーブランド・モンスターズ(2016年、AHL優勝でカルダーカップ獲得。23-24シーズン、ノース・ディビジョン1位)と1年契約を結びました。
オーウェンは過去2シーズンをモンスターズでプレーし、これまで158試合で25ゴール・60アシスト・85ポイントの成績を残しています。
また、2024年のポストシーズンでは、クリーブランドがAHLイースタン・カンファレンス決勝に進出した際(ハーシー・ベアーズに3勝4敗で敗退)、3ゴール・3アシスト、6ポイントの成績を残しました。
シリンジャーはポストシーズンのほとんどを、クリーブランドの第2ラインのセンターとして過ごし、その役割で見事にパフォーマンスを発揮しました。
彼は主にセンターでプレーしていますが、クリーブランドの監督であるトレント・ヴォグルフーバー(36歳。怪我の影響で、選手としてNHLでのプレー経験無し。2022年6月に監督就任)は、昨シーズン、シリンジャーを3つのフォワードポジションすべてに配置しました。
彼は誰とペアを組んでも、ラインナップのどこにいても良いパフォーマンスを発揮し、それはヴォグルフーバーのラインをうまく機能させる戦術に合っていました。
NHLとAHL、両方でさらなる研鑽を積もう!
昨シーズン、モンスターズのホッケーを見た私の観察によると、シリンジャーはまずまずのプレーメイキング能力を持ち、特にシーズン終盤、エネルギーと(連携による)化学反応を構築する必要があるラインにとって、素晴らしい「点火プラグ」となっていました。
わずかに小さめ5フィート10インチ(約178センチ)、183ポンド(約83キロ)のフレームにもかかわらず、シリンジャーはフィジカルなエッジの効いたプレーで、クリーブランドのプレーオフでは特に目立っていました。
彼は昨シーズン、クリーブランドのロースターのほぼすべてのフォワードと信頼関係を築いたようで、そして、2024-2025シーズンに向けて、少なくとも副キャプテンの座を引き継ぐことになるでしょう。
ジャケッツは今夏、オーウェンとNHLの2ウェイ契約(NHLと下部組織の試合両方でプレー可能)を結びました。まだ26歳ですが、オーウェンがクリーブランドで上昇軌道を続ければ、将来的にNHLでの役割を切り開く可能性を秘めていることは間違いありません。
たとえ彼がNHLのレギュラーにならなくても、シリンジャーが(トップ・チームに)呼び出されたとき、今シーズン、NHLでプレーする機会があれば、彼は成功するスキルを身につけるでしょう。
ガツガツ当たりまくる「カウボーイ」?
コール・クレイトン
昨シーズン、”カウボーイ“コール・クレイトン(24歳)がモンスターズでプレーするのを見るのは楽しかったですね。
シーズン終盤、クリーブランドにとって素晴らしい瞬間の一つは、3月、ハーシー・ベアーズと対戦した郊外での夜の試合、ライアン・ホーファーとクレイトンとの乱闘に対する、トニー・ブラウン(クリーブランド専属のアナウンサー)の実況でした(彼はまた、この記事のために私にいくつかの情報を与えてくれました、ありがとうトニー!)。
こういうタイプの選手を、
コロンバス新監督ディーン・エヴァンソンは好むんじゃないかにゃ。
全体的に守備に不安のあるチームだから、
彼のようなガッツあふれる選手がラインを引き締めると、
また変わってくるかもしれない。やりすぎは良くないけどね。
WHLで苦労し、ドラフトからも漏れたけど、すぐに挽回
アルバータ州ストラスモア出身。コールは2人の兄弟、チェイスとカイルと一緒に家族経営の農場で時間を過ごし、そこで彼は勤勉さとチームワークのもたらすものを学んだと感じました。
アルバータ州はロデオ文化で知られており、多くのアルバータ州民と同様に、クレイトンもロデオに参加しました!
これらすべてが組み合わさり(さらに、いくつかの言い回しも加えて)、コールはその界隈で”カウボーイ”というニックネームを付けられ、以来それが定着しています。
コールは、ホッケーのキャリア初期にいくつかの課題に直面しました。2016年、彼はWHLのメディシンハット・タイガース3(ブルージャケッツが最近ケイデン・リンドストロームをドラフトしたのと同じチーム)から外され、それが彼の成長曲線を狂わせました。
彼がタイガースのレギュラーになったのは2017年になってからでしたが、レギュラーになったとき、彼はすぐに傑出したパフォーマーになりました。
「カウボーイ」は125 PIM(反則の分数合計、Penalties in minutes)で17ゴール・70アシスト、87ポイントを記録し、メディシンハットで210試合に出場し、プラス/マイナス評価+30でした。
その中には、短縮されたとはいえ、2020-21シーズンでの印象的な活躍も含まれており、わずか23試合で9ゴール・21アシスト、30ポイントという成績を残しました。
クレイトンはNHLのエントリードラフトに指名される資格のある年にドラフトされず、2020-2021のWHLのシーズン後にフリーエージェントとなりました。
AHLでも活躍、ただちょっと短気かな…
タイガースの最終戦から数週間後、彼はブルージャケッツのAHL傘下であるクリーブランド・モンスターズとマイナーリーグ契約を結んでいます。
クレイトンは、そのハードワーク、チームファーストの精神、ディフェンスゾーンで自分のスキルを発揮するスタイルを確立することへの懸命さから、クリーブランドのファンの間ですぐに人気者になりました。
クリーブランドでの3シーズンで、クレイトンは161試合で11ゴール・35アシスト、46ポイント、氷上では104PIMとプラス/マイナス評価-13を記録しています。
クレイトンは、サイズがあり(188センチ、95キロ)、その使い方を知っている、頑固なディフェンスマンです。
彼はまた、試合中、少し用心棒・乱暴な選手の側面を示していて(ここで彼のホッケーファイトのハイライトをチェックしてください→☆)、必要なときに相手選手と火花を散らす役割も果たしています。
彼はオフェンス面を充実させることに集中していますが、まだ24歳であり、そうする時間は十分にあります。
クレイトンは今シーズンもクリーブランドでレギュラーとして活躍すると予想していますが、もしジャケッツがディフェンスで長期にわたる怪我人の問題を抱えている場合、彼の名前が最初に呼ばれる可能性が高いでしょう。
彼のサイズとスキルが、NHL(ブルージャケッツ)のディーン・エヴァソン監督による「互いにフォローし合う戦術」とかみ合うかどうか、興味は尽きませんが、彼にチャンスが巡ってくるかどうかは、時間が経ってみなければわかりません。
まとめ
2023年11月、ミネソタ・ワイルドを解雇されたディーン・エヴァソン監督が、早くも表舞台に復帰したわけですが、正直、コロンバスのファンは不安だと思います。ワイルドでのキャリア終盤、スター選手がいるにもかかわらず、上手く使いきれなかった記憶は生々しく残っています。
まして、昨シーズン開幕前、コロンバスは監督の人選で大きなミスをやらかしており(監督による選手のプライベート介入)、感情的な采配をするエヴァソンがまたも失敗に終わると、フロントの見る目の無さが浮き彫りとなり、ファンの不信感はますます募ることでしょう。
今回取り上げた2人のような新しい血をどんどん導入して、チームを作り変えていくか(ファンはしばらく辛抱しないといけませんが)、あるいは実績&ベテラン優先で無理をしてでもワイルドカード進出を狙うか、9月のキャンプに集まったメンバーでそれが分かるはずです。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- ブリティッシュコロンビア・ホッケーリーグは、ブリティッシュコロンビア州とアルバータ州の21チームが所属するカナダのジュニア・アイスホッケー・リーグ。
↩︎ - NCAA男子アイスホッケー最優秀選手に与えられる毎年恒例の賞。現在まで44回を数える。プリンストン大学で大学ホッケーをプレーし、第一次世界大戦直後に亡くなった、ホッケーの殿堂入りをしたホビー・ベイカーにちなんで名付けられた。
↩︎ - 1970年設立の古豪。プレーオフの常連であるが、特に2000年以降、リーグ・チャンピオン2回獲得、プレーオフ不出場は3回しかなく、安定した強さを誇る。2024年NHLドラフト全体4位で指名されたケイデン・リンドストロームは、同チーム所属である。 ↩︎