なぜカプリゾフは史上最高額オファーを蹴ったのか?その真意に迫る

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はじめに

 ミネソタ・ワイルドの看板選手、キリル・カプリゾフがNHL史上最高額となるはずだった超大型契約を拒否したというニュースが、今、大きな話題となっています。

 今回は、この契約騒動に関して報じられた3つの記事を参考に、その核心に迫ります。

 金額だけでは測れない、この決断の背後にある彼の真意とは?そして、ワイルドのチーム運営にどのような影響を与えるのでしょうか?この記事で、その真相を解き明かします。

参照記事:The Athletic「Report: Wild star Kirill Kaprizov rejects most lucrative contract in NHL history

N.Y. POST「Wild’s Kirill Kaprizov turns down richest contract offer in NHL history

CBS Sports「Wild’s Kirill Kaprizov rejects extension that would’ve made him highest-paid player in NHL history, per report

🔥カプリゾフがワイルド史上最高額の契約を拒否!一体何が起きている?

 NHL界に衝撃が走っています!

 ミネソタ・ワイルドのフォワードの代理人側によると、その契約とは、なんと8年総額1億2800万ドル(日本円で約180億円超)という、想像を絶するような金額!💰しかも年間平均額(AAV)も1600万ドル(約24億円)で、これもリーグ史上最高額となるはずでした。

 この契約は、以前「ジ・アスレティック」がミネソタが提示するオファーだと報じていたもの1で、あの偉大なアレックス・オベチキンが2008年に結んだ契約(13年1億2400万ドル)すら上回る、まさに破格の条件だったんです。

 ちなみに、現在、エドモントン・オイラーズのスター選手であるレオン・ドライザイトルが、年間キャップヒット1400万ドル(約21億円)でNHL最高給選手となっています。

 このニュースは、NHLインサイダーのフランク・セラヴァッリがSNS(X)で報じたもので、ワイルドのホッケー運営担当社長兼ゼネラルマネージャーのビル・ゲリンは、この報道について、今のところコメントを拒否2しています。

  「ジ・アスレティック」から、もしこの報道が事実であれば、カプリゾフが契約延長を望まないのか、あるいはより短期的な契約を交渉したい3のかと尋ねられた際も、ゲリンはコメントを控えました。

背番号87がカプリゾフ。ゴールゲッターとしての側面が強調されますが、正確無比を身上とするパッサーとしても一級品。

🤔なぜ、史上最高のオファーを断ったの?

 こんなにすごい契約を、なぜカプリゾフは受け入れなかったのでしょうか?実は、彼の代理人側からこの契約を断った4と報じられています。

 カプリゾフは現在28歳で、今月始まるワイルドのトレーニングキャンプに、2021年に結んだ5年4500万ドルの契約の最終年として参加する予定です。現在の契約には、「ノー・ムーブ条項」という、本人の同意なしにトレードされないという強い権利が含まれているんです。

 ワイルドのチーム側は、なんとか彼を繋ぎ止めたいと考えているようです。

 ゲリン、オーナーのクレイグ・ライポルド、ワイルドCEOのマット・マイカは、先週水曜日にチームのキャプテンズ・スケート5が行われたTRIAリンク6にいた後、一緒に歩いて出てきました。カプリゾフはチームメイトと共にスケートで氷上にいました。

 その場で、ライポルドは「我々はそれほどかけ離れていないと感じる」「キリルがもうここ(ミネソタ)に来ていると感じているよ。街の興奮と愛を再び感じれば、良い方向に進んでいけると信じたい」と先週「ジ・アスレティック」に楽観的なコメントをしていました。💖

 一方で、フランチャイズ・プレイヤーとの今後の面会に「不安を感じている」と認めてもいました。

 もしカプリゾフがワイルドとの契約延長に応じない場合、ゲリンはカプリゾフがトレードを検討するであろう複数のチームを見つける責任を負うことになるかもしれません。そうでなければ、2009年のマリアン・ガボリク7のように、ワイルドは来年の夏にカプリゾフを無償で失うリスクを冒すことになります。

 本当にカプリゾフがミネソタに残らないと決断すれば、それはフランチャイズにとって大きな打撃となるでしょう。彼はチームが持つ複数年計画の中心的な存在だからです。

讃岐猫
讃岐猫

🏆勝利こそがすべて!カプリゾフが語った本音

 では、カプリゾフ自身は何を考えているのでしょうか?もしこの歴史的な契約がこのロシア人選手にとって十分でなかったとすれば、何が十分なのでしょうか?カプリゾフが契約に何を求めているのかについて、公の場で示されたことはほとんどありません。

 彼は5月8に「様子を見よう。ここのすべてが大好きだ。うまくいくはずだよ」と話していました。しかし、彼の決断において最も重要なのは「勝利」だと明言しているんです。これが公式では最新の発言です。

 「常に、いつでも、勝利が重要だ。誰もが勝ちたい。僕もそうだ」と語る彼の言葉は、もしかしたら契約の金額よりも、チームがどれだけ勝利にコミットしているかを見ているのかもしれません。

彼がいないと、ミネソタの得点力がガクッと落ちるだけでなく、チーム全体に危険なニオイがしなくなる。怖さがなくなると言うべきか。

🏒カプリゾフってどれくらいすごい選手?

 今回の契約騒動で初めてカプリゾフの名前を知った方もいるかもしれません。でも、彼はただの有望株ではありません。彼のここまでのキャリアは、まさにスーパースターそのものです!💫

 2015年のNHLドラフトでは5巡目指名(全体135位)と、当時はあまり注目されていなかった9彼ですが、2020年のNHLデビューからわずか5年間で、NHLで最もダイナミックなゴールスコアラーの一人に成長し、驚くべき活躍を見せています。

 まず、特筆すべきはゴール数です。NHLキャリアで3シーズン連続40ゴールを達成しているんです!🥅しかも、2021-22シーズンには自己最高の47ゴールを記録しました。また、2020-21シーズンにはリーグ最高の新人選手に贈られる「カルダー記念賞」も受賞し、NHLオールスターゲームに3度出場しています。

 彼のキャリア通算成績は319試合で185ゴール、386ポイント!この数字が彼のすごさを物語っていますよね。

 2024-25シーズンは下半身の怪我に悩まされ41試合を欠場したものの、それでも25ゴール・31アシスト、合計56ポイントを記録。チーム内でゴール数2位、ポイント数3位という驚異的な成績を残しています。

 もしこのまま契約延長がなければ、カプリゾフは来年夏に無制限フリーエージェントとなり、7月1日以降、ミネソタ以外のチームと契約延長を結ぶ資格が出てきます。そうなると、トレード市場やフリーエージェント市場では、とんでもない高値で取引されることになるでしょう。彼のような才能あふれる選手は、どのチームにとっても喉から手が出るほど欲しい存在ですからね。👀

 また、彼はエドモントンのスター選手コナー・マクデイビッド、ベガス・ゴールデンナイツのセンター、ジャック・アイヒェル、ウィニペグ・ジェッツのウィング、カイル・コナー、ロサンゼルス・キングスのウィング、エイドリアン・ケンペなど、リーグのトップスターたちと共に、リーグ史上最もスター選手が集まる、2026年という歴史的なフリーエージェントの年10を彩る存在となるでしょう。✨

📝まとめ

 今回の契約騒動は、単に金額だけの問題ではなく、カプリゾフ選手が勝利にどれだけこだわっているか、そしてワイルドが今後どのようなチーム作りをしていくか、という大きなテーマを示唆しているのかもしれません。

 彼の動向は、今後のNHLの勢力図を大きく変える可能性を秘めています。ワイルドは10月9日にセントルイスでシーズンを開幕しますが、彼の契約問題がどう進展していくのか、これからも目が離せませんね!👀

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. 報道は現地の情報通(NHLインサイダー)のツイートや、ESPN・ロイターなどの主要スポーツメディアによる裏取りを基にしており、同オファーが交渉の出発点あるいは提示済みの具体的数字として広く伝えられた点が特徴であった。

     だが、一部報道ではチーム関係者が「提示額そのものや提示の有無に関して見解が分かれている」とも伝えており、最終合意に至ったという確定情報は当時は存在しなかった。
    ↩︎
  2. ESPNの記事「Wild GM urges calm after Kaprizov reportedly rejects record deal」では、ミネソタ・ワイルドのゼネラルマネージャー、ビル・ゲリンが「スター選手キリル・カプリゾフが、NHL史上最高額となる延長契約案を拒否した」との報道を受けて、ファンやメディアに対して過剰な動揺をしないよう呼びかけている、という内容となっている。

     ゲリンはこの報道に対して、「どこからこの情報が出たのか分からない」「代理人からでも我々からでも伝えられたものではない」というような発言をしており、契約交渉は続いている、と述べている。

     ゲリンはファンやチーム関係者に「“全力でパニック状態”にはならないでほしい」「我々はカプリゾフを大切にしている」「良い関係を築いており、引き続き話し合っていきたい」と語っており、今回の拒否が最終的な決裂を意味するわけではない、と示唆している。
    ↩︎
  3. 選手があえて長期の大型延長を避け、短期(いわゆる「ブリッジ」や1~3年程度)の契約を選ぶ理由は複数ある。

     まず、近年のサラリーキャップ上昇を見越して「数年後に市場価値がさらに上がる」と予想する選手は、短期で良い成績を残してからより高額な契約を狙う方が総受取額を最大化できるため、意図的に短期を選ぶことが多い(将来のキャップ上昇は選手側の交渉材料になる)。

     次に、年齢や怪我のリスクを考えると、長期契約は後半にパフォーマンスが落ちた場合に不利になるため、自身が最も高給を得られる“旬”のタイミングで再びマーケットに出るために短期を選ぶという合理的な判断がある。

     また、短期契約は「チームを変えたい」「より有利な税制の州でプレーしたい」といった環境的・財務的選好(州ごとの所得税差が実収入に大きく影響する)を保つ柔軟性を与えるため、長期固定を嫌う選手もいる。

     さらに、チーム側の観点でも、短期契約は選手の実力を評価する猶予を与える一方で、選手自身にとっては実績を上げれば翌年以降により好条件を引き出せる“レバレッジ”を持てるため、両者の利害が一致することがある(とくに成長過程の若手や故障歴のある中堅にとって有効)。

     最後に、リーグの労使関係やCBAの改定・契約年限のルール、オファーシートや市場の流動性といった外的要因も、選手が短期で市場機会を探る判断に影響を与える。
    ↩︎
  4. 概要
     NHLで契約案を代理人が断るというのは、「球団が提示した契約条件が、選手の現在・将来の価値や望むキャリア設計と一致しない」と判断されるときに起こる。

     その判断は、金額・契約年数・年平均年俸(AAV: average annual value)・契約後のキャップヒット(給料がサラリーキャップに与える負担)・選手の市場価値・怪我のリスク・将来的な交渉力・プレーの場所(立地・チーム構成など)・契約後の柔軟性など、様々な要素を総合してなされる。

     代理人はこうした情報を収集し、「このオファーを受けると将来より好条件での契約交渉機会を逃す可能性がある」あるいは「この条件にはリスクがある」と見れば断る決断を採る。

    主な理由
    1.将来の市場価値の上昇を見込む
     選手が現在活躍していて、今後も成績を伸ばし、サラリーキャップが上がる可能性が高い場合、現時点で大きな延長契約を結ぶよりも、短期契約を結んでさらに良い条件を獲得できる状況を狙うことがある。

    2.契約年数/期間のリスク
     長期契約はキャリア晩期にパフォーマンスが落ちたり、怪我の影響が出たりする可能性があるため、代理人は契約期間が長すぎる・後半の価値が低くなる可能性を考慮する。

    3.契約内容の細部(キャップヒット、フロント・ローディング、バックエンドの給料設定等)
     チームが末期の数年を非常に低い給与にしてキャップ上の負担を軽く見せるような契約形態(いわゆる“retirement contracts”的な構造)が含まれるとき、それがリーグやCBAの規約に抵触する可能性や、将来的な評価で不利になるかもしれないという見方がある。

     また、チーム側が提示するキャップヒット(給料の年平均額ではなく、サラリーキャップ上で計上される負荷)が選手にとって不利になると感じられる構造は、代理人が調整を求める/断る理由になる。

    柔軟性や交渉上のレバレッジを保ちたい
     契約延長を早く結んでしまうと、後にもっと良い交渉ができる機会を失うことがある。例えば、選手がトレードを望む可能性や、他チームからのオファーシート(offer sheet)が現れる可能性、あるいはフリーエージェントとして市場に出るときにより高い提示が期待できる場合などで、代理人はあえて今の提示を断ることがある。

    選手の望む環境・目標とのミスマッチ
     給与だけではなく、「優勝が見込めるチームでプレーしたい」「生活環境(都市・税金・家族の事情など)が大事」「起用法・役割が明確であることを重視」など契約以外の要素が契約条件に含まれていない・見合っていないと判断される場合、その契約案を断る。

    具体例
    イーゴル・シェスターキン:ニューヨーク・レンジャーズのゴールテンダー。球団から「8年で約8,800万ドル」の延長案が提示されたと報道されたが、彼側(代理人を通じて)はそれを拒否。理由としては、このオファーが歴代ゴールキーパー最高額とはなるものの、「年平均(AAV)が目標額に達していない」「将来もっと高い年俸を得られる見込み」があったと見られている。

    ミッチェル・マーナー:トロント・メープルリーフス→ベガス・ゴールデンナイツ。制限付きフリーエージェント(RFA)だったときに他チームからのオファーシート(offer sheet:他球団が提示する契約案)を代理人が断ったと報じられており、その理由は「その選手はリーフス(当時)でプレーしたいという意志が強かった」「新しい場所に行くことやチームを変えることが望みではなかった」など、金銭以外の要素が優先されたことがあった。
    ↩︎
  5. シーズン開幕前にチームが行う非公式で比較的軽めの練習(スケート)のことで、チームのキャプテンやベテラン選手が中心になって呼びかけ・運営されることが多く、メディアに公開されることもあるが、正式な練習日程や公式トレーニングとは区別される点が特徴である。

     主な目的はベテランを中心にアイスへの感覚を取り戻すこと、チーム内のコミュニケーションを固めること、軽いドリルや短いスクリメージで選手の調子を確認することであり、参加は必須ではないため出席メンバーや強度はチームや日によってまちまちである。

     こうした「キャプテン主導のスケート」は“非公式だが、シーズン到来を告げる行事”としてメディアで取り上げられることが多く、ファンや記者が選手の状態をうかがう材料として注目する場にもなっている。
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  6. ミネソタ州セントポール市中心部、ウォバシャ通り(400 Wabasha St. N.)にあるアイスホッケー用アリーナで、ミネソタ・ワイルドNHLチームの公式練習施設である。

     このリンクは、かつてMacy’s(デパート)が入っていた建物を再開発したTreasure Island Centerの屋上フロア(5階)に設けられており、都市部の再開発プロジェクトの一環として建築された。2018年にオープンした。

     収容人数はおよそ1,200~1,500人程度で、ワイルドの練習のみならず、大学ホッケー(Hamline University)、以前は女子プロリーグのミネソタ・ホワイトキャップスなどがホームリンクとして使用、また一般向けのオープンスケート(公共スケーティング)や地域イベントにも使われている。

     施設にはワイルドの練習用リンクの他、チーム医療・整形外科施設(TRIA Orthopedic Center)とも提携しており、近辺でトレーニング・リハビリテーションが可能な環境が整っている。

     downtown St. Paulに位置し、街の中心部からアクセスが良い点も特徴で、リンクはTreasure Island Centerの商業施設の一部として、地域住民にも開かれたアイス利用の機会を提供している。
    ↩︎
  7. ワイルドとの契約の最終年であった2008-09シーズン序盤、ガボリクは身体的問題を抱えていた。特に下半身の怪我に見舞われ、さらに2009年1月には股関節の手術を受けている。

     これにより長くアイスから離れることになったが、3月21日にはカナダのエドモントン・オイラーズ戦で復帰し、シーズン終盤の17試合で23得点という高い得点効率を示した。

     ワイルド側は契約延長を早くから模索しており、10年で総額8000万ドル(年平均800万ドル相当)という条件を提示していたが、この延長案をガボリク側(および代理人)が断っている。理由として、提示された年数・条件が彼自身の目指す市場価値やキャリア展望と見合わないと判断された可能性が指摘されている。

     また、この契約案が断られたことを受けて、ワイルドは他球団からのトレード・オファーを迎え入れる構えを見せていた。

     その後オフシーズンの自由契約市場において、2009年7月1日付でガボリクはニューヨーク・レンジャーズと5年契約で総額3750万ドルの契約を結ぶことになる。この新契約は年平均750万ドル程度で、ワイルドからの延長案とは年数は短く、金額・内容的にも異なるものであった。

     この自由契約の決断には、怪我の回復具合でのパフォーマンスの証明や、より良い環境でキャリアを再スタートしたいという意図も含まれていたと見られ、またワイルドとの間の関係—特に監督システムやチームのスタイルへの不満など—も影響したという報道がある。

     特に、ガボリクはワイルドの監督ジャック・ルメールの保守的な戦術スタイルにしばしば不満を抱えており、それが移籍の動機の一つとされている。

     要するに、ガボリクはワイルドが提示した長期高額案を断り、怪我から復帰しつつ自身の価値を見立てて自由市場に出ることで、新しい5年契約でより良い条件を得ようとした。この判断はリスクを伴ったが、復帰後の活躍がそれを一定程度正当化する結果をもたらした。
    ↩︎
  8. シーズン終盤の記者会見やプレーオフ直後の取材でのもので、記者団に対してカプリゾフ自身が契約問題を過度に心配する必要はないと述べつつ、具体的な交渉の詳細は代理人に任せると明言しているのが全容である。

     彼は「これは代理人の仕事だ、ビリー(GM)と話をするだろうけど、様子を見よう。ここが大好きだし、うまくいくはずだ」と語り、球団や街への愛着を示す一方で、サインの可否や条件は自分ではなく代理人と球団の間で進められることを強調した。

     あわせて、最終的に自分が何を重視するかと問われると「いつでも大事なのは勝つことだ。みんな勝ちたい。僕もそうだ」と述べ、金銭面以上にチームの勝利可能性が契約判断の核心であることを明確にした。

     また取材では、怪我からの回復状況やオフの過ごし方(ロシアでの帰省や休養を予定している)にも触れ、まずは心身のリフレッシュと準備を優先した上で代理人を通じて交渉が進む見通しであると語っている。これらの発言はESPN/NHL.com/地元FOX9などの取材を通じて報じられている。
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  9. カプリゾフはドラフト時、まずその出身地や所属クラブがあまりスカウトの目に留まらない地域/環境であったことが一因とされる。たとえばシベリアのノヴォクズネツクで活動していたことや、ロシア国内でも大きな注目を集めるクラブでないところでプレーしていたことから、国際大会や若手大会での露出・比較対象の数が限られていた。

     さらに、ドラフト前の成績自体も突出していたわけではなく、例えば2015年のドラフト前はKHLでわずかな出場・得点だったり、代表チームでの役割も「補佐的な立場」であったという指摘がある。

     スケートのスピードやシュート力、フィジカル(身体的な強さ)など、NHLで評価されがちな「ツール」において突出しているとまでは見られておらず、将来性にはあるものの確立された一流の資質としてはまだ疑問符付きだった。

     ロシアに残る可能性や、KHLで契約が長く残っていたこともあり、「いつ北米に来るか」が不透明だった点もドラフト評価を抑える要因となっていた。ワイルド側でも、「ロシアとの契約や居心地、代表やクラブでの義務」がカプリゾフをドラフト直後に引き抜く/交渉をまとめる上での不確実性として見られていたという。

     こうした背景にもかかわらず、ワイルドは5巡目135位という比較的後手の指名でカプリゾフを獲得したが、その後のKHLでの飛躍的な成長および国際大会での実績により、その評価は大きく覆されていった。 ↩︎
  10. コナー・マクデイビッドはエドモントン・オイラーズと2017年に8年総額1億ドル(年平均1250万ドル)の契約を結んでおり、その契約は2025-26シーズン終了後に満了となる。

     ジャック・アイヒェルは2017年にバッファロー・セイバーズと8年総額8000万ドル(年平均1000万ドル)の契約を結び、その後トレードでベガス・ゴールデンナイツへ移籍し、現在もその契約のもとでプレーしている。

     エイドリアン・ケンペはロサンゼルス・キングスと4年2200万ドルの契約を結んでおり、今後の延長交渉では年平均約1000万ドルを求めている一方、球団側はそれをやや下回る条件を提示すると報じられている。

     カイル・コナー(ウィニペグ・ジェッツ所属)もまた契約延長交渉の注目株であり、来夏のフリーエージェント市場で大きな存在感を放つ可能性があるとされている。
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