KHLで戦うフライヤーズの若手関連のニュースが2件、両方注目です!

NHLチーム紹介

はじめに

 9月に入り、NHL.TVから「引き続き来シーズンも見てね〜」メールが来ました。こんな事にも「開幕が近づいているんだな」と感じてしまい、ワクワク感が日を追うごとに高まっています。もちろん、継続して試合を見させてもらいますよ!

 さて、今シーズンもフライヤーズとコヨーテズ推しでいく予定ですが、ここ数日のフライヤーズ周辺は2人のロシア人選手の話題で持ちきりです。1人は6月のドラフトで全体7位指名されたマトヴェイ・ミチコフ、もう1人はロシアのKHLでプレーするイワン・フェドトフです。

 ミチコフの場合は、いつKHLデビューを果たし、スーパープレーを連発してくれるかの期待感しかないのですが、フェドトフはこじれまくった契約問題渦中の選手であり、しかもKHLや彼のロシアでの所属チームも巻き込んだ大騒動になっているので、厄介です。

讃岐猫
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引用元:Yahoo!Sports「Flyers prospect Michkov a healthy scratch for KHL opener」。

ミチコフのデビューはいつ? 

フライヤーズ期待の若手・ミチコフ、KHL開幕戦は健康上の理由で欠場(原文はNBCスポーツ・フィラデルフィアに掲載)。 

 興味深い展開として、フライヤーズの超有能な若手有望株、マトヴェイ・ミチコフ(右ウィング、18歳)が土曜日のSKAサンクトペテルブルクのレギュラーシーズン開幕戦に帯同しました。 

 ミチコフが所属するKHLのクラブ、SKAサンクトペテルブルクはディナモ・モスクワを2-1で下しています。2023年NHLドラフト全体7位指名のミチコフはラインナップに含まれていませんでした。 

ラインナップに含まれていませんでした=当日のラインナップはこちら→

 ある情報筋によると、フライヤーズの理解している範囲では、ミチコフの欠場は健康上の理由であり、怪我とは無関係であることを確認しているようです。

 18歳の彼がロシアのホッケー界で最も有望な選手の1人であることを考えると、このニュースは確かに驚くべきものです。フライヤーズから見れば、ミチコフのシーズンがこんな形で始まるとは思っていなかったでしょう

 —ゴールを決めるべきウィンガーが、プレーせずに座っていたのですから。SKAサンクトペテルブルクは、ロシアのトップ・プロリーグであるKHLのプレミアチームの1つです。ミチコフは、クラブと3年契約を結んだ最初のシーズンに臨んでいます。

讃岐猫
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フライヤーズ・フロントの談話 

 6月下旬に行われたNHLドラフトの結果を受けて、フライヤーズのアシスタント・ゼネラル・マネージャーのブレント・フラーは「皆さんがよく知っているように、(SKAサンクトペテルブルクは)おそらく最も裕福で強力なチームだろう」とコメントしました。 

ブレント・フラー=ブリティッシュコロンビア州コートネイ出身。プリンストン大学卒業後、1996年、フロリダ・パンサーズでNHLのキャリアをスタート。2003年、アナハイム・ダックスのアマチュアスカウト、 
 オタワで2シーズンにわたってホッケーオペレーションのディレクター、2009年にワイルドに加わり、NHLエントリードラフトでの人事決定、契約交渉等に従事。2年後、フライヤーズに加わり、フロントで10シーズン以上活躍し、2017年6月1日、現職に昇進。 

 「彼らは常に選手と契約交渉をし続けています。私としては、あえてわがままを言わせてもらえるなら、彼にはたくさんプレーして、攻撃面で大きな役割を担ってほしいね」。 

 「彼はまだ若いし、チーム内で勝利にしかこだわらないだろうけど、あそこではビッグネームだから、いろいろと手厚くケアをしてもらえるだろうし、(遠征にも)連れていってもらえるんじゃないかな。我々は彼の契約状況をよく知っていたので、それでいいと思っている。 

 3年後にNHLへ行く準備ができていて、彼が来たとき、リーグに衝撃を与えるはずさ」と述べています。 

 フライヤーズのアマチュアスカウトの1人であるケン・フーディコフ(フラーと同じ年にミネソタから移籍)は、ロシアを拠点としています。彼はフライヤーズのミチコフへの「求愛」において重要な役割を果たし、シーズンを通して、フライヤーズの重要な情報源となるはずです。 

GMはスカウトに全幅の信頼 

 フライヤーズのゼネラルマネージャー、ダニー・ブリエールはNHLドラフト初日を終えた後、「昨シーズン、私たちのスタッフの中からミチコフに目を向けていたのは、フーディコフだけだったので、彼は大きな助けになりました」と語りました。 

ダニー・ブリエール=詳しくはこちら→

 「マトヴェイとの交流は素晴らしく、選手としても人間としても彼は非常に前向きだったのです。彼はこの指名にも満足していました。フーディコフによると、あのような才能のある選手をドラフト下位で見つけるチャンスは滅多にない、と言っていたね」。

 SKAサンクトペテルブルクの次の試合は9月4日(月曜日)です。ミチコフがシーズン・デビューのラインナップに加わるかどうか注目です。

次の試合=日本時間で9月5日に行われたラーダ・トリヤッチ戦は、3-0で SKAサンクトペテルブルクの勝利。この試合にもミチコフは出場していない。

 SKAサンクトペテルブルクで選手育成コーチを務め、現在はハリケーンズに所属するダニエル・ボフナーは7月、「ミチコフはスポットライトを浴びる選手だ」と語っています。

 「試合中、勝負がかかっている時、何か起こる必要がある時、そういう状況なのに身を隠したがる選手もいるんだ。でも、ミチコフは〈おい、僕にパックをくれよ、ここで何かやってみせてやるよ!〉と言えるような男になろうとしています。

讃岐猫
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コーチも大活躍に太鼓判! 

 「ミチコフは試合の中で自分を変えていこうとしているし、他の選手との違いを生み出す選手になろうともしているし、ゲームの条件を自分に有利なように決められる、”特別な存在”ってヤツになりたいと思ってるんじゃないかな。 

 彼は間違いなく能力を持っていて、そのタイプの選手であり、違いを生み出す人になりたいという性格も持っているのさ」。 

引用元: TSN「Flyers G Fedotov playing in KHL, defying IIHF ruling

開幕戦に出たい気持ちはわかるけど…

 ゴールテンダーのイワン・フェドトフは、フィラデルフィア・フライヤーズとの契約を維持した国際アイスホッケー連盟(IIHF)の裁定を無視して、9月1日(金曜日)、CSKAモスクワのゴールネットで(レギュラー・シーズンの)開幕を迎えました。

イワン・フェドトフ=フィンランド出身であるが、国籍はロシアであり、同国代表にも選出されている。2014年12月12日、KHLのネフテヒミク・ニジネカムスクHCでデビュー。同チーム在籍時に、2015年のNHLドラフト7巡目、全体188位で指名されている。
 2021年5月2日、フェドトフは金銭トレードでCSKAモスクワに移籍。ここで才能が開花し、先発ゴールテンダーとして定着。CSKAがフランチャイズ史上2度目となるガガーリンカップ優勝に貢献する。

 先月、IIHFはNHLとフライヤーズに有利な裁定を下し、昨シーズン、フェドトフがロシアで兵役に就いたことを理由に、(CSKAモスクワとの)契約を破棄することを決定しています。

※先月、IIHFはNHLとフライヤーズに有利な裁定を下し、…=2022年5月7日、FAとなったフェドトフは、フィラデルフィア・フライヤーズと2022-23シーズンの1年間のエントリーレベル契約を結ぶ。北米への出発準備中の同年7月1日、フェドトフはロシアで兵役逃れの容疑で逮捕。
 病院で治療後(ストレス性胃炎?)、セヴェロモルスク(ロシア海軍北方艦隊の管理基地がある)に送られ、フィラデルフィア・フライヤーズへの参加は不可能となる。よって、フェドトフは兵役義務を果たすためシーズン全試合欠場。
 兵役終了後、フェドトフとフライヤーズとの契約は当初、次の2023-24シーズンまでとなるとが発表されたが、NHLとKHLの間の覚書が一時停止(紛失?)されたため、2023年7月8日、フェドトフは以前所属したCSKAモスクワとキャリア再開に向けて2年契約に署名。
 後にフェドトフが「NHLクラブとの有効かつ拘束力のある契約」を結んでいないことを理由に、KHLはCSKAとの契約を登録したと発表。
 7月31日、NHLとフィラデルフィア・フライヤーズは契約を登録するというKHLの決定に異議を唱え、国際アイスホッケー連盟に正式に要請を提出。8月14日、後述記事にあるような判断がくだされている。

 この判決により、フェドトフとCSKAとの契約は無効となり、KHLクラブ(CSKAモスクワのこと)も1年間の国際移籍禁止処分(移籍期間における新規選手登録を全面的に禁止する処分)を受けました。

※1年間の国際移籍禁止処分=2024年8月10日までの1年間。ロシア・ホッケー連盟は声明で、CSKAが控訴を決定した場合は全面的に支援すると述べている。詳しくはこちら→
 なお、IIHFは今後、フェドトフを規律委員会に付託し、選手に移籍を認めずにプレーさせたとして、ロシアホッケー連盟に5,000スイスフランの罰金を科す予定である。詳しくはこちら→
 フェドトフが出場停止にもかかわらずプレーを続けた場合、IIHFは同選手とCSKAモスクワにさらなる制裁を科すとも述べている。

 IIHFは「関係者からIIHFに提供された証拠に基づき、イワン・フェドトフが2023-24シーズンについて、フィラデルフィア・フライヤーズ・ホッケークラブと有効なNHL契約を結んでいると判断した」と発表しています。

 「従って、イワン・フェドトフがCSKAホッケークラブと2023-24シーズンの契約を結んだ際、IIHFはIIHF国際移籍規則の第II.4.1条に基づくプロ選手契約に違反していたと判断した」。

讃岐猫
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代理人の発言と違っている…

 フェドトフの代理人であるJ.P.バリーは7月の声明で、いずれにせよ、ゴールテンダーはIIHFの裁定に従うと述べました。

 「我々は今日、イワンと話をしましたが、彼の立場は、どの契約(フライヤーズまたはCSKA)が現在有効で拘束力があるか、に関するIIHFの判決に従うというものです。彼はできるだけ早くキャリアを再開したいだけなのです」。

 この判決により、フェドトフは公式の国内試合と国際試合への4か月の出場停止処分も受けています。

※4か月の出場停止処分=NHL副コミッショナーのビル・デイリーは、フライヤーズとの契約に従ってフェドトフがパフォーマンスを発揮すれば、NHLの試合から出場停止にはならないだろうと認めた発言をしている。詳しくはこちら→

 フェドトフは、2015年NHLドラフトで全体188位でフライヤーズに指名されました。

 フィンランドのラッペーンランタ出身の26歳は、CSKAモスクワで2021-22シーズンを過ごし、26試合に先発出場し、14-10-2、失点数平均2.00、セーブ率.919を記録しています。

まとめ

 海外マスコミは割と大きくフェドトフについて取り上げていて、NHLとKHL、どちらか片方に賛意を表しているものもあれば、どちらともダメ!馬鹿げている!プレーヤー・ファーストだ!としているものもあります。私も「3番めの意見」を推します。

 両リーグの間でかわされた覚書が効力を発揮しない今、お互いが冷静になって、同じテーブルに就くことから始めた方が良さそうです。どちらかというと、2023-24シーズンの契約は生きている!とするNHLの言い分に、若干無理を感じているのですが…。

 早くプレーしたい!と思っているフェドトフに、これ以上のペナルティをかけるのは、連盟にしてもNHLにしてもあまり印象良くありませんし、お互いのエゴで若い才能の芽を摘んでしまうのは、アイスホッケー界の損失だと思います。

讃岐猫
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