シカゴ・ブラックホークスの未来を担うウェストの成長と挑戦

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はじめに

 シカゴ・ブラックホークスの2025年ドラフトクラスの注目株、ウェスト選手。身長6フィート6インチ(約198センチ)の大型フォワードで、ホッケーとフットボールの二刀流選手としても知られています。シカゴ出身のウェストは、ブラックホークスにとって「運命の選手」と言える存在です。

 今回は、ウェストのシカゴのルーツから、ホッケーへの情熱、そして彼がシカゴ・ブラックホークスにどんな影響を与えるかについて、詳しくご紹介します!😊

参照記事:The Hockey Writers.com「Blackhawks’ Prospect Mason West Has a Unique Background

ウェスト、シカゴ・ブラックホークスの未来の星✨

 シカゴ・ブラックホークスのファンの間で注目を集めている、2025年ドラフト指名組のメイソン・ウェスト。彼の名前は、すでに多くのホッケー愛好者に知れ渡り、ブラックホークスがウェストを指名したことは、まさに「運命的な選択」と言えるでしょう。

 ブラックホークスがウェストを選んだ背景には、非常に興味深い経緯があります。ブラックホークスは、2025年の2巡目の指名権と2027年の5巡目の指名権をカロライナ・ハリケーンズにトレードして、29位の全体指名権を獲得。その指名権でウェストを選んだのです。

 ゼネラルマネージャーのカイル・デイヴィッドソンは、ドラフト当日(6月27日)に「彼のスキルセットには無限の可能性がある」と語り、ウェストへの期待を隠しきれない様子でした。

 そんなウェストと、6月30日に行われたデベロップメント・キャンプ1で直接話す機会を得た記者は、彼の魅力にさらに引き込まれていきました。

シカゴ生まれのウェスト、家族とスポーツのつながり⚡️

 ファンはウェストの背景にも強い興味を持っており、特に彼が高校時代にクォーターバックとしてもホッケー選手としても活躍していたことが注目されています。

 ウェストは昨シーズン、ミネソタ州のエディナ高校2で31試合に出場し、27ゴール・49ポイントを記録。その後、USHL3(アメリカ合衆国ホッケーリーグ)のファーゴ・フォース4に移籍し、10試合で9ポイントを挙げました。

エディナ高校のチーム・ジャージが見られる映像。大昔の?ミネソタ・ノーススターズのユニみたい。

 来シーズンは、高校最後の年にエディナでのフットボールシーズンを終えた後、再びファーゴに戻ります。そして、その後は2026-27シーズンにミシガン州立大学5(MSU)に進学し、ホッケー一筋になる予定です。

 ウェストがシカゴ出身であることは、彼のストーリーにおいて大きな魅力の一つです。彼はブラックホークスの選手として、シカゴという街に対して深い愛情を持っており、特に家族の影響が強いことがわかります。

 ドラフト当日にウェストは、「シカゴには家族が住んでいて、特に叔父がいる」と話しており、家族の存在が彼にとってどれほど大きな支えとなっているかを感じさせてくれました。「家族がいつもここにいてくれることがうれしい。そういう支えがあるのは、心強いですね」と彼は語り、シカゴでの生活やその絆が彼にとっていかに重要であるかが伝わってきます。

 また、子どもの頃からブラックホークスを応援していたウェストにとって、ブラックホークスはまさに憧れのチームでした。

 「パトリック・ケイン(現デトロイト・レッドウィングス)とジョナサン・テーブス(現ウィニペグ・ジェッツ)の活躍している時代が大好きでした。父はシカゴに近いデケーター6出身なので、家でシカゴのスポーツに触れることが多かったんです。ブラックホークスやブルズ、カブスについて知ることができたのはすごく楽しかったです」と、ウェストは思い出を語ってくれました。

 さらに、彼の好きなブラックホークス選手はパトリック・ケインだと言っています。このように、ブラックホークスがウェストを選んだことは、運命的な選択のように感じられます。

ホッケーとフットボールの二刀流⚽️🏒

 ウェストのユニークな点は、ホッケーだけでなくフットボールにも深い関わりがあることです。これまでにホッケーとフットボールを並行してプレーしてきた彼のスキルは、両方のスポーツで培われたものです。

まさに二刀流。アメフトで鍛えた当たりの強さで、相手を蹴散らしながらゴールできそう。まだ17歳、もっと大きくなるよ。

 ブラックホークスはまた、ウェストのアメリカンフットボールのバックグラウンドを強みと見ており、アマチュアスカウティングディレクターのマイク・ドネギー7はこう語っています。

 「彼はクォーターバックのようなメンタリティをアイスに持ち込んでいます。ゾーンに入るとき、常にどんなプレーをするかを見極め、(相手選手からの)接触にも積極的に対応しています。そういった部分を避けることはありません」。

 ウェストは「フットボールの経験がホッケーにも役立っている」と話しています。特にフットボールの動きは、ホッケーのプレーにおいて非常に有益だと感じているようです。

 「フットボールでは、足首や膝、腰、臀部の動きが非常に大事なんだ。それがホッケーでも活かされていて、特に機動性に大きな影響を与えている」と語るウェストの言葉から、フットボールの動きがどれほどホッケーに役立つかが伝わってきます。

 デイヴィッドソンGMはウェストのプロフィールに非常に満足しており、特にそのサイズ、身長6フィート6インチ、体重218ポンド、アスリートとしての素質、そしてスケーティングを高く評価しています。大きな体格を持つウェストにとって、スケーティングや動きの柔軟性を高めることは非常に重要なポイントです。

 ウェストにプレーの向上について何を最も重視しているかを聞いたところ、「高身長であることから、レバレッジ(自らの強み)や機動性に特に気を使っている。それに関してはうまくやれていると感じている。フットボールをやっていたことで、足首、膝、腰、臀部の柔軟性や動きが重要だということを学んだ」と、自己改善に対する強い意識を見せています。

 さらにこう続けました、「身長が高いと、ジムでのトレーニングに一貫性を保つのが難しいので、その点に気をつけてトレーニングをしている。アイス上で役立つ細かい部分を磨くようにしているんだ。

 スケーティングだけでなく、エッジでのモビリティ(スケートの刃を効果的に使って、氷上で素早く、スムーズに、そして正確に方向転換や加速、減速を行う能力)や、ジムで柔軟性を高めることにも力を入れている」。

 その努力は確実に成果を上げており、ウェストは「アイス上でも、よりモビリティが増したと感じている」と自信を見せています。フットボールとホッケーの両方で鍛えた身体能力は、ブラックホークスにとって大きな武器となることでしょう。

ミシガン州立大学での新しい挑戦💪🎓

 ウェストは、2026年からミシガン州立大学(MSU)のホッケープログラム(スパルタンズのこと)に進学する予定です。彼にとって、MSUでの新たな挑戦がどれほど楽しみであるかを、インタビューでも感じ取ることができました。

讃岐猫
讃岐猫

 「新しい人々に会うことじゃないかな。世界は小さいもので、ナイティンゲール兄弟とも会ったよ[アダム・ナイティンゲール8はMSUホッケーのヘッドコーチです]。バッファローでの面接の時、彼の兄弟もその組織の一員だったから、実際にナイティンゲール兄弟三人と会ったことになるね。

 そのことがあったから、今ではMSUへの進学に対してより自信を持っているんだ」と、ウェストはその期待感を語ってくれました。

 ナイティンゲール兄弟の三男は、ロックフォード・アイスホッグス(AHL)のヘッドコーチ、ジャレッド・ナイティンゲール9です。ウェストについて尋ねた際、彼は「フィジカルな素質を持った選手だ」と話し、ウェストがMSUに進学することを喜んでいる様子でした。

 MSUでの生活やホッケーに対するモチベーションが高いウェストにとって、この新たな環境がどれだけ成長を促すかは計り知れません。ウェストが完全に成長したときにどれだけの影響を与えることができるか、大学での経験が彼のキャリアにどのような影響を与えるのか、にブラックホークスは非常に期待しています。

 現在、17歳のウェストはデベロップメントキャンプでそのすべてを楽しんでおり、忙しい日々を愛し、皆と会うことにワクワクし、新しいことを学ぶことに興奮していると話していました。

 ウェストらしいエピソードとして、彼は「どこに行くにもフットボールを持ち歩いているよ(ドラフトのときは別だけど)」と語り、フットボールを使ってみんなを集めるのが良い方法だと感じているようです。実際、キャンプ中にもビーチで他のブラックホークスのプロスペクトたちにフットボールを投げていました。

 ウェストは親しみやすく、気さくな性格が印象的で、将来的にブラックホークスファンは彼の話を聞くのが楽しみになるでしょう。

 彼に自分を外向的だと思うかどうかを聞いたところ、彼はこう答えました。「どうだろう。自分らしくいることが好きなだけだよ。時々はインドア派になって一人でリラックスするのも好きだけど、人と話すのも好きだし、みんなと楽しく過ごすのも好きだね。だから、どちらかというとちょっと中間くらいかな」。

 そして彼の「自分らしくいること」という考え方が、まさにシカゴが彼をパイプラインに加えることに熱心であった理由だと思います。彼の個性そのものがシカゴにぴったり合い、彼らはそれが大きな成功に繋がることを願っているのでしょう。

まとめ

 ウェストはシカゴ・ブラックホークスにとって、未来を担う重要な選手です。彼のホッケーへの情熱や、フットボールから得たフィジカルな強さが、今後の成長に大きな影響を与えるでしょう。ミシガン州立大学での新たな挑戦を経て、シカゴでの活躍を楽しみにしたいですね。ウェストの進化に注目が集まります!

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. 各NHLチームがドラフトで指名したばかりの選手や、契約済みの若手有望株を対象に毎年開催するイベント。このキャンプの主な目的は、若手選手のスキル向上、チームのプレースタイルやシステムへの適応、プロとして必要な知識や習慣を身につけるための準備である。チーム側は、将来の戦力としてこれらの選手を評価する貴重な機会となる。
    ↩︎
  2. ミネソタ州エディナ市にある評価の高い公立高校。この学校は、高い学術水準と、大学進学を重視した幅広いカリキュラム(APコースや外国語教育を含む)が特徴。また、スポーツや音楽、クラブ活動など豊富な課外活動も盛んで、特にスポーツでは多くの州選手権タイトルを獲得している。

     教員の質も高く、卒業生には各分野で活躍する著名人も多い。エディナ高校は、学業、活動、スポーツの全てにおいて「卓越性」を追求する学校として知られている。
    ↩︎
  3. USAホッケーが公認するアメリカ最高峰のジュニアアイスホッケーリーグ。選手は報酬を受け取らないアマチュアリーグなので、NCAA(全米大学体育協会)の大学でプレーする資格を維持できる。これは、プロ志向の選手が大学経由でNHLを目指す上で非常に重要。

     USHLは、16歳から20歳の才能ある若手選手に、高いレベルの競争環境と体系的な育成プログラムを提供している。
    ↩︎
  4. USHLに所属する、ノースダコタ州ファーゴを拠点とするティア1ジュニアアイスホッケーチーム。2008年に設立され、ホームアリーナはScheels Arena。これまでに2018年と2024年の2回、リーグチャンピオンであるクラークカップを獲得している。

     多くの選手がNCAAの大学やNHLを含むプロリーグに進んでおり、若手選手の育成に非常に力を入れているチームとして知られている。
    ↩︎
  5. 1855年設立のランドグラント大学で、農学、教育学、サプライチェーン・マネジメントなどが得意分野。男子アイスホッケー部「スパルタンズ」は、NCAAディビジョンIの強豪。1922年創部と長い歴史を持ち、NCAA全米チャンピオンに3回輝く。近年ではビッグ・テン・カンファレンスで連覇を達成するなど、常にトップレベルで活躍。
    ↩︎
  6. イリノイ州デケーターのこと。イリノイ州中央部に位置する都市で、シカゴから南に約3時間の距離にある。この街は、かつて「世界の大豆の首都」と呼ばれたほど大豆加工産業が盛んで、農業関連企業や重工業の拠点。また、エイブラハム・リンカーンがイリノイ州で最初に暮らした場所であり、NFLシカゴ・ベアーズ(旧デケーター・ステイリーズ)の創設地でもある。
    ↩︎
  7. アメリカ出身の元アイスホッケー選手であり、ヘッドコーチを務めた経歴もある。2009年からNHLのシカゴ・ブラックホークスのスカウトを務めている。

     ドネギーは、1989年にブラックホークスにドラフト指名され、メリットカレッジでゴールテンダーとしてプレー。引退後はコーチングに転身し、メリットカレッジやフェアフィールド大学などで指導した。

     特に、ブラックホークスのスカウトとしては、チームが3度のスタンレーカップを獲得した時期を支え、その成功に貢献している。
    ↩︎
  8. アメリカ出身の元アイスホッケー選手で、現在はミシガン州立大学スパルタンズの男子アイスホッケーチームのヘッドコーチ。

     選手としてはレイク・スペリオル州立大学やミシガン州立大学でカレッジホッケーをプレー後、プロリーグでも活躍。引退後はコーチングに転身し、シャタック・セント・メリーズ高校やUSAホッケー・ナショナルチーム開発プログラム(USNTDP)などで指導経験を積んだ。

     NHLのバッファロー・セイバーズやデトロイト・レッドウィングスではビデオコーチやアシスタントコーチを務めた。2022年にミシガン州立大学のヘッドコーチに就任してからは、チームを2024年と2025年にビッグテン・カンファレンスのレギュラーシーズンおよびトーナメントで連続優勝に導くなど、大きな成功を収めている。

     国際大会でもアメリカ代表チームのコーチングスタッフとして活躍。
    ↩︎
  9. アメリカ出身の元プロアイスホッケーディフェンスマンで、主にAHL(アメリカン・ホッケー・リーグ)でプレー。NHLでのドラフト指名はなかったが、2006年から2018年まで多くのAHLチームで活躍した。

     引退後はコーチングに転身し、USHLのオマハ・ランサーズやUSAホッケー・ナショナルチーム開発プログラム(USNTDP)などでアシスタントコーチを務めた。2024年にはECHLのサウスカロライナ・スティングレイズのヘッドコーチに就任し、ECHL年間最優秀コーチ賞を受賞。

     直近では、2025年5月30日、AHLのロックフォード・アイスホッグスの新ヘッドコーチに指名された。兄弟のアダムとジェイソンもホッケー界で活躍中。 ↩︎
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