フリーエージェントの夏は続く、動きそうなチームは?【その1】

NHLチーム紹介

はじめに

 連日、猛暑・酷暑とニュース等で伝えられていますが、南国育ちの自分としては「夏って暑いんだから、仕方ないじゃん」と諦めの境地です。そんな時、NHLの試合を見ると、内容は熱すぎるくらいでも、リンクのヒヤッとした感じが涼しさを運んでくれます…かなり無理してるな^^;。

 さて、7月初旬から各チーム内で繰り広げられている、FA選手との契約・移籍交渉が試合並みに熱い・暑いです。特に制限無しFA選手の有望株を巡る仁義なき戦いは、まだまだ続きそうです。そんな中、動くべきなのにじっとしてる、何とも歯がゆいチームがいくつかあります。

 今回は、そんなチームの実情をお届けしましょう。

引用元:ESPN.com「NHL free agency 2023: Five teams that still need to make a move」。

フリーエージェントの夏、米国の夏!

 ああ、夏。

 (各チームにとって)リラックスの季節であり、反省したり、若返りをしたりする季節です。

 もし、あなたがNHLのチームを設計しようとしている人で、秋に訪れるスタンレーカップ出場レースへの参加を熱望しているのであれば、上記3つの組み合わせは必要です。少なくとも、そうあるべきなのです。

 ドラフトは終わってしまいました。フリーエージェント(FA)が本格化しています。確かに、2023年(のFA選手)組には有名選手の名前が豊富にあったわけではありませんが、それでも優れた選手は公開市場で入手できましたし、今でも入手可能です。

カロライナとデトロイトの場合

 7月1日、特に希望する目標に照準を合わせ、行動を起こす準備をしていたクラブによる、駆け引きの応酬で慌ただしい午後となりました。

 例えば、カロライナは内部的にも(ゴールテンダーのフレデリク・アンデルセン〈33歳〉とアンティ・ラーンタ〈34歳〉と契約)、外部的にも(フリーエージェントでディフェンスのトップ、ドミトリー・オルロフ〈32歳〉と憧れのUFA(制限付きフリーエージェント)フォワード、マイケル・バンティング〈左ウィング、27歳〉を獲得)働きました。

ドミトリー・オルロフは、ボストン・ブルーインズから移籍。

マイケル・バンティングは、トロント・メープルリーフスから移籍。

 彼らはイースタン・カンファレンスの一員として、十分なポジションにいます。

 他のクラブは1日か2日(あるいは9日)待ってから、世間を騒がせました。7月初旬のデトロイトは妙に静かでしたが、その後は好況に沸き、GMのスティーブ・アイザーマンがストライカーのアレックス・デブリンカット(右ウィング、25歳)をトレードで獲得し、4年契約を結んでいます。

 あっという間にレッドウィングスは良くなりました。時々そういうこともあります。

デトロイトの大型補強については、こちら→

 また、7月1日以降の大幅な改良も、デトロイトだけで終わらないはずです。

 夏のリフレッシュ期間を利用して、第2の風を巻き起こし、チャンス(所属チームと契約中の選手であれ、新たな移籍先を待っている選手であれ)をものにしようとするチームが、リーグのあちこちにまだあります。

 とはいえ、よくあることですが、時間は残り少なくなってきています。フリーエージェント開始の月の中間点をすでに過ぎています。そこで、トレーニングキャンプ開幕に向けて正式にカレンダーが切り替わる前に、何らかの手を打つと見られる5チームを紹介しましょう。

讃岐猫
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GMと監督は交代したけど…

カルガリー・フレームス

 カルガリーはオフシーズンを奔走しているわけではありません。

 フレームスが流動的であること(後述のようなスタッフ交代)を考えると、いささか驚くべきですが、現在および近い将来に対処すべき問題があります。

 チームは新ゼネラルマネージャーのクレイグ・コンロイと、解雇されたダリル・サッターの後任となるヘッドコーチのライアン・フスカの下で新時代に移行しています。しかし、フレームスの周りで変化があったにもかかわらず、いくつかのことは苛立たしいほど変わっていません。

クレイグ・コンロイ=米国、ニューヨーク州ポツダム出身、51歳。現役時のポジションはセンター。セントルイス・ブルースとフレームスで4回ずつプレーオフに進出し、2004年は8シーズンぶりとなる、フレームスのプレーオフ及び決勝進出に大きく貢献。

ライアン・フスカ=カナダ、ブリティッシュコロンビア州クランブルック出身、48歳。現役時のポジションは左ウィング。NHLでの選手歴(シカゴ・ブラックホークス)はわずか1試合で、その時の対戦相手がフレームスだった。NHLでの監督歴は今回初めてとなる。

 例えば彼らのロースターのように。

 昨年の夏、カルガリーはジョニー・ゴードロー(左ウィング、29歳。コロンバス・ブルージャケッツ所属)のFAによる退団に対処し、その後、不満を持っていたマシュー・トカチュク(左ウィング、25歳。フロリダ・パンサーズ所属)のフロリダへのトレードを余儀なくされました(交換相手はジョナサン・ユベルドー〈センター、30歳〉とマッケンジー・ウィーガー〈ディフェンス、29歳〉)。

 当時脆弱だったフレームスに大きな恩恵をもたらそうと、ブラッド・トレリビングが、UFAのフォワード、ナゼム・カドリ(センター、32歳。コロラド・アバランチから移籍)をチームに誘い込んでいます。

 しかし、これらのトレードの結果は、単に望ましい結果をもたらしはしませんでした。

ブラッド・トレリビング=カナダ、ブリティッシュコロンビア州ペンティクトン出身、53歳。現役時のポジションはディフェンス。昨シーズンまでフレームスGM。4月に契約満了で退団からわずか1ヶ月後、メープルリーフスGMに就任。ピザ・レストランチェーン共同経営者の息子。

スター選手が抜けていく…

 サッターの下で、カルガリーは2022-23シーズンの戦いを苦労して切り抜けています。3年ぶり2度目のプレーオフ進出を逃してしまいました。それが(定住する場所を見いだせない)不幸なキャンパーを増やしたようです。

 この春、タイラー・トフォリ(右ウィング、31歳)は契約終了時に再契約しないと、チームに告げました。

 そのため、コンロイはこれまでで注目すべき(そして基本的に避けられない)決断をし、トフォリをニュージャージーにトレードしてエゴール・シャランゴビッチ(センター、25歳)を獲得したのです。

 その後、25歳のシャランゴビッチは、フレームスと2年間620万ドル(日本円で約8億8千万円)の契約延長に合意しました。

 そして、カルガリーの調整は(今のところ)そこで終わっています。フレームスにはまだ約240万ドル(約3億4千万円)のキャップスペースがあり、適切なインパクトプレーヤーを追加するには十分です。

 しかし、ギャップを埋めるために、彼らは注目に値する誰かを誘い出せるでしょうか。

 カルガリーの核となる部分の将来は、コンロイがまさにそれを試みるかどうかにかかっているかもしれません。

讃岐猫
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 フレームスには未解決のフリーエージェント(FA)が残っています。ミカエル・バックランド(センター、34歳)、エリアス・リンドホルム(センター、28歳)、ノア・ハニフィン(ディフェンス、26歳)らが契約最終年を迎えます。

 彼らを引き留めるには、カルガリーが長期的に付き合う価値のあるチームであることを証明する必要があります。

 立ち尽くしているのは最善の方法ではないと思われます。

 カルガリーは間違いなく市場を探し回り、何が出ているのかを確認しています。もしかしたら、火花を散らすようなトレードルートになる可能性もあります。

 カルガリーの期待するような違いを生み出す存在は、より落ち着いた状態にあるユベルドー(昨シーズンは79試合でわずか15ゴール・55ポイント)かもしれません。フスカは、彼自身のエネルギー–そしてシステム–も持ち込んで改善を進めるでしょう。

 フレームスはフロントとコーチ陣を一新しました。カルガリーは最低でもそれだけで終わらせてはならず、秋になる前、最低限、秋までにロースターを少し改装すべきです。

カールソンの話題は、いつまで続くのか…

サンノゼ・シャークス

 エリック・カールソン(ディフェンス、33歳)は新たなヤコブ・チクロン(ディフェンス、25歳。オタワ・セネタース所属)です。

 カールソンのトレードは誰もが知っていることです。それはいつ、どこに行くかの問題です。そして、チクロンの武勇伝のように(延々と…延々と)引き延ばされた、カールソンの行く末を見守る準備はできています。

チクロンの武勇伝=以前ブログで取り上げた記事はこちら→

 様々な噂が飛び交う中、2023年3月、コヨーテズは2023年のNHLエントリードラフト条件付き1巡目指名権、 2024年のNHLエントリードラフト条件付き2巡目指名権、2026年のNHLエントリードラフト条件付き2巡目指名権を「やっと」手に入れ、チクロンはセネタースへトレード。

 3月25日、タンパベイ・ライトニング戦で、チクロンはボードに落ちて負傷。当初は数週間欠場と思われていたが、結局シーズンの残りをすべて欠場することになった。

 サンノゼが9月までに集中的に取り組む必要があるのは、そういう仕事です。シャークスは今のところ、優勝候補には挙げられていません。その時流に寄り添い、クラブの基盤を再構築することが優先されるべきなのです。

 (予測された?想定される?避けられない?)カールソンとの取引は、サンノゼへの見返りがある程度重要になる点について、基本的に考慮に入れるでしょう。

 GMのマイク・グリアは銀行に金を持っています(約550万ドル=約7億8千万円)。

マイク・グリア=以前ブログで取り上げた記事はこちら→

 しかし、グリアは戦略的な動きを小出しにしてきました。

 アンソニー・デュクレア(左ウィング、27歳。フロリダ・パンサーズへ)のトレード(契約残り1年)であったり、マッケンジー・ブラックウッド(ゴールテンダー、26歳。ニュージャージー・デビルズから移籍)を買収し、短期契約を結んだり(一応、2年契約)、フリーエージェントの再生プロジェクト、フィリップ・ザディナ(右ウィング、23歳。デトロイト・レッドウィングスから移籍)を獲得したり。

再生プロジェクト=2021-22シーズン、ザディナは74試合出場、10ゴール・14アシストと健闘したが、昨シーズン、34試合出場、3ゴール・4アシストと大幅ダウン。今回の移籍を期に、再びフル出場に近い活躍をしたいところである。

讃岐猫
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もはや厄介者?

 そんな中、カールソンの雲行きが怪しくなってきました。カールソンの件が解決するまで、どれくらい日数がかかるのでしょうか。

 果たしてサンノゼは、再建の新たな幕を開けることができるのでしょうか。シャークスは、カールソンの組織内での地位について、再び質問に次ぐ質問に答えながらキャンプを始めたいのでしょうか。もちろん、この取引が成立すれば、サンノゼは良くなります。

 それはまた、進化し続けるフランチャイズにとって、もはや邪魔なものがなくなることになり、喜ばしいことでしょう。

 まだ選手を加えるために、電話をかけ続けているチームもあるはずです。一方、シャークスは、トレード可能な資産についての答えを用意して、この電話が鳴るのを待っているはずです。

まとめ

 サンノゼのフロントにある電話は、結局鳴らないんじゃないでしょうか。34歳になるカールソンが第一線でプレーできるのは、せいぜいあと3年位です。それにサラリーキャップを使えるのは、新シーズン、絶対プレーオフ進出!と燃え盛ってるチームに限られます。

 しかも、どこかのチームに数名の若手有望株+ドラフト1巡目指名権を出して、カールソンを迎え入れるくらい、人材的に余裕あるチームでないと無理です。カールソンの意中のチームと噂されているフロリダが意外とすんなり持っていく、と予想してますが、果たして…。
  

讃岐猫
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