はじめに
NHL各チーム、残り試合が30試合前後となってきて、ワイルドカードを含むプレーオフ出場圏内ギリギリのチームにとって、毎試合が「負けたら終わりのトーナメント」の様相を呈しています。推しのフィラデルフィア・フライヤーズは、健闘しているのではないでしょうか。
スポーツ関連の予想サイトの数字が、各チームのファンに一喜一憂をもたらしているのは言うまでもありません。日本では思いもよらないくらい、スポーツ・ベッティングの盛んな北米では、この手のサイトが乱立し、中には怪しいものも幾つかあります。
多くの予想サイトから「プレーオフ出場、無理なんじゃね?」と数字を出されているのが、昨シーズン、創設2年目で奇跡の出場を果たしたシアトル・クラーケン。好不調の波が激しく、9連勝後に連敗地獄へ落ちるという激しい落差についての記事をお届けします。
昨シーズン、若手の躍動が目覚ましく、
スカッとした勝ち方の多かったチームだったにゃ。
今シーズンもそんなに悪いようには見えないんだけど、イマイチ勝ちきれていない。
その辺についても、具体的数字を挙げて説明している記事なのだ。
引用元: seattletimes.com「Analysis: Kraken in danger of simply fading away in NHL playoff race」
シアトル・クラーケン、大ピンチ!
NHLプレーオフの夢は通常、できるだけ徐々に消えていくものであり、すぐに死んだりはしません。
正式に「死刑執行令状」へ署名される頃、ホッケーチームの「患者」、そして熱狂的なファンでさえ、たいていずっと前にその死を受け入れているものです。
2月10日・土曜の夜、クラーケンがフィラデルフィア・フライヤーズに3-2で敗れ、残り32試合、昨春のようなプレーオフへの復帰を阻む苦戦の予想がさらに明確になったことを、念頭に置く必要があります。
クラーケンのデイブ・ハクストル監督は「我々は攻撃面で十分なプレーをしていたから、勝ち点を獲得できる寸前まで来ていた」と語りましたが、「多くのチャンスをものにできなかった」ため、勝ち点を獲得できなかったと付け加えています。
そして、クラーケンにはチャンスをものにし、順位やポイントを確保する時間がなくなりつつあります。
ハクストルはここで予定されていた日曜午前の練習をキャンセルし、突然大変重要なものとなった、この東海岸遠征4泊5日の残り3試合に備え、チームを休ませることができました。
というのも、土曜日の敗戦は1試合に過ぎないものの、一方で「前進への妨げ」という最悪な状況の真っ只中に陥ってしまったからです。
特に、クラーケンとウェスタン・カンファレンスのワイルドカード枠を争っている、セントルイス・ブルース、ナッシュビル・プレデターズ、カルガリー・フレームス、ミネソタ・ワイルドは勝利を収めているのです。
プレーオフ進出の確率がガタ落ち
では、クラーケンにとって、どれほどひどい夜だったのでしょうか?
米国とカナダのベッティング会社によるコンピューター・シミュレーションに基づいて、パーセンテージを計算するMoneyPuckウェブサイトのプレーオフ・チャンストラッカーによると、プレーオフ・オッズがオールスター・ブレイク時の42.9%から、日曜朝の時点で22.1%に低下していると考えています。
言い換えれば、クラーケンのたった一度の敗北で、プレーオフの可能性が事実上半分になってしまうほど、状況は非常に不安定になっているのです。
そして、「患者の症状」を調べてみると、すべてが理にかなっています。まず、ブルースは日曜日に再び勝利し、クラーケンに6ポイント差をつけてプレーオフ出場権を保持したことにより、シアトルの事態をさらに悪化させました(2月14日現在、4ポイント差。ただしプレーオフ出場圏内)。
プレデターズはクラーケンより4ポイント上(現在は2ポイント)、フレームスは3ポイント上(現在は1ポイント)ですが、ワイルドとはわずか1ポイント差(これは変わらず)です。アリゾナ・コヨーテズですらクラーケンとはわずか2ポイント差(現在は4ポイント差)です。
これは突然、プレーオフの1枠を争う6チームの競争が激化したことを示しています。
NHLの延長戦やシュートアウト(PK戦)での敗戦による勝ち点1では、クラーケンにとって、わずかな差を埋めることさえ難しくしていると考えると、上位2、3位のチームとの差があまりにも開きすぎているのです。
MoneyPuckが気に入らない人のために厳選すれば、NHL専用のベッティングサイトは他にもありますが、残りのスケジュールを1,000回以上シミュレートした大部分のサイトでは、クラーケンのプレーオフ進出の確率は(MoneyPuckのデータと)ほぼ同じか、それより悪いものでした。
昨シーズンの快進撃があまりにも印象深かったので、
数字上、厳しい確率が出ている事実を突きつけられると、
チームがかなり凹んでいる印象を受けるにゃ。
創設3年目のチームとしては、及第点をあげてもいいデキだと思うんだけど。
昨シーズン、フロリダ・パンサーズの例
確かに、(昨シーズンの)スタンレーカップのファイナリストであるフロリダ・パンサーズは、昨年3月29日に4連敗を喫した後、プレーオフのオッズが29.5%に低下し、ピッツバーグ・ペンギンズは残り2週間で75.7%という安心できるオッズを保っていたことに気づく人もいるでしょう。
パンサーズは即座に6連勝し、シーズン最後の8試合中7試合で勝ち点を獲得しましたが、ペンギンズは8試合中4試合を失い、シーズンは大失敗となりました。つまり、モニターがカチカチ音を立てている間(倍率計算をしている間)は何でも起こりうるのです。
しかし、覚えておく必要があるのは、その前のシーズン(2022-23)、パンサーズはNHLレギュラーシーズンのトップチームとしてプレジデンツ・トロフィーを獲得したくらいのチームですから、予想外のカムバックをやってのける前、大幅にパフォーマンスを落としていただけのことなのです。
今シーズン前、クラーケンはワイルドカード・チームであり、プレジデンツ・トロフィー獲得者ではありませんでした。ここまでパフォーマンスが低かったのは間違いありませんが、シーズン最後の2週間、奇跡に頼っても通常はうまくいきません。
勝利数が絶対的に足りない
日曜朝時点でクラーケンのプレーオフ進出確率について、セントルイスやナッシュビルよりも6勝少ない(2月14日現在、セントルイスとの勝ち数の差は変わらないが、ナッシュビルとは5勝差)など、このレースに参加する全てのチームの中で、勝利数の少ない21勝であるため、おそらく確率を下げられる可能性が高くなっています。
プレーオフ進出に関連する勝敗を正当に評価するのであれば、21勝20敗10延長負けで、勝利数が負け数より9少ないチームは、オッズメーカーからすれば、レースのスタート地点にすらいません。
クラーケンは延長戦とシュートアウトでの負けで勝ち点10を獲得しているため、粘っているように見えますが、他のどのチームよりも先に進み、優位を保つにはさらに多くのものが必要でしょう。
おそらく、それは、わずか1か月前に達成したフランチャイズ記録の9連勝に匹敵するものになりそうです。連勝記録で沸いていた時点で、クラーケンのプレーオフの可能性は約70%上昇しました。
しかし、その後の9試合で7敗を喫したことは、シーズンの進み具合を考えると、明らかに9連勝を粉砕しています。クラーケンが状況を好転させるには、あと31試合しか残っていません。
9連勝の時、「やっぱシアトルは地力のあるチームなんだ」とホッとしたし、
改めて監督の手腕を評価したにゃ。
その後、ちょっと気が緩んだのか、チームの失速ぶりがあまりにも激し過ぎた。
若いチームで、精神的柱になるベテランがいないのも影響しているかな。
勝ち点計算の上でも厳しいし、得点力も…
一般的に見て、ワイルドカード第8シードに勝ち点94ポイントが必要だと仮定しますと、さらに42ポイントが必要になります。平均が1.02ポイントなのに、シアトルは1試合あたり1.35ポイント必要になってきます。
また、延長戦とシュートアウトでの敗戦による勝ち点1もNHLで2番目に多い10ポイントに達し、またフランチャイズ記録となる13試合連続勝ち点獲得を記録して、現在の地位にたどり着きました。
同じシーズンに同じことが繰り返される可能性の低いことくらい、プレーオフの確率を設定している人たちはよく知っています。
その代わりに、土曜日、クラーケンが3ゴールすら決められなかったことについて、再び検討されることになりますが、これは51試合中すでに24回目となります。
昨シーズン、クラーケンがプレーオフに進出したとき、そのような試合は82試合中26試合しかありませんでした。
そして、最近の9試合のうち6試合で、2ゴール以下だったのです。
期待している選手が働かなかったら…
クラーケンのフォワード、アレックス・ウェンバーグはフライヤーズ戦で得点チャンスを逃したことについて、「ただ、実行力とスケーティングがもう少し必要だと感じているよ」と語りました。「だから、改善の余地はあるし、この後は良い方向へ行きそうだ」。
しかし、自分たちの中に十分に改善すべき点があることを、クラーケンは早急にはっきりさせる必要があります。
クラーケンは、月曜と火曜の夜、ニュージャージー・デビルズとニューヨーク・アイランダーズという、昨春のプレーオフで苦戦した(現在はプレーオフ出場権争いを、外から見ている)2チームを相手に勝利することから始めなければなりません。
クラーケンのセンター、ヤニ・グールドは土曜日の敗戦前に、「1試合1試合、勝ち点2を大事に取ること。それだけさ」と語っていました。
「あまり先を見すぎると、登らなければならない高い山のように見える。でも、1試合1試合で見ていけば……今、自分ができることに集中すれば良くなるはずだ」。
今後の連戦により、フィリップ・グルバウアーが2ヶ月ぶりにゴールテンダーの座を奪うことになるかもしれません――おそらく火曜日のアイランダース戦でしょう(記事通り、先発出場)。
ゴールキーパーのジョーイ・ダコードがクラーケンをここまで支えてきたことを考えると、今週、効果的な形でシーズンを持ち直すべく、グルバウアーが必要とされる可能性のあることは興味深いものを感じます。
そして、もしグルバウアーとダコードが、今回の遠征で事態を好転させるのに十分に働けなかったとしたら?まあ、来週末、誰もクラーケンの公開葬儀を行おうとしないでしょう。
典型的なNHLのやり方でいくと、彼らはゆっくりと(プレーオフ出場権争いから)消えていくことを許されるだけです。
まとめ
この記事に取り組んでいる時点(2月14日)の最新試合結果を見ると、まずニュージャージー・デビルズに1-3で敗れてしまい、貯金ゼロに。試合開始から積極的にシュートを打つニュージャージーは第2ピリオドまでに3点を連取、試合のイニシアチブを握り続けていました。
シアトルはパワープレーのチャンスを全く活かせず(得点ゼロ)、第1、第2ピリオドまでのシュート数は、ニュージャージーの半分(シアトル:15、ニュージャージー:29)。積極性に欠けた試合に見えました。
続くニューヨーク・アイランダーズ戦は、またも?シュート・アウトまでもつれ込み、かろうじて2-1で勝利。前の試合の反省を活かしてか、序盤から仕掛けて、マッティ・ベニアーズのゴールで先制。しかし、第2ピリオド、相手パワープレーに屈してから尻すぼみに。
記事にもあるように、シュート・アウトでの勝ち点は「1」です。シアトルにとって「あと勝ち点1足りない」ではなく、「勝ち点10失った」くらいの重みがあるのですが…。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!