NHLドラフト2025直前!ブルーインズのトレードと補強動向まとめ

NHLチーム紹介

はじめに

 チーム成績は低迷、主力は大放出、契約中のフォワードはたった5人――ボストン・ブルーインズが迎える2025年の夏は、まさに変革の入り口です。ゼネラルマネージャーのドン・スウィーニーは、ドラフトとFA市場の両面から立て直しに挑みます。

 注目の「NHLドラフト2025」、いよいよ明日開幕!ドラフトを含めた、チーム戦略の全貌を解説します。

参照記事:The Athletic「Bruins GM Don Sweeney is open for business before the NHL Draft

🏒ボストン・ブルーインズ、再建へ本格始動!

 2024-25シーズンのボストン・ブルーインズは、リーグ全体でも下位に沈む結果に終わり、ブルーインズより成績の悪かったNHLチームはわずか4クラブ1しかなかったという現実は、ファンにとっても厳しいものでしたよね…。

 このシーズン終了を受けて、チームの指揮を執っていたジム・モンゴメリーとジョー・サッコの両コーチも退任。来シーズン(2025-26)に向けて契約下にあるフォワードはわずか5人という、まさに再建真っ只中です。

 だからこそ、ゼネラルマネージャーのドン・スウィーニー2があらゆる選択肢を検討しているのは当然です——ロースターにいる選手や指名権のトレード、順位のアップ/ダウン、現状維持など——2025年のNHLドラフトとFA(フリーエージェント)解禁を控えている今が、スウィーニーにとってチーム再建を進めるための2つの重要な機会となっています。

 やるべきことは山積しており、彼にはこのどちらの段階でも失敗が許されません。

 「この1ヶ月半ほど、あの指名権に関してさまざまな可能性を模索し、多くの議論を重ねてきた」と、スウィーニーは6月25日・水曜日に7位指名権3について語りました。

 「現時点でもまだ選択肢を探っているところだし、恐らく明日もそうだろう。我々はこの順位で指名することにかなり安心感を持っている。ただ、そのときまでにどんな提案が出されるか、引き続き見極めていくつもりだ」✨

 では、7位指名までに何が起こり得るのでしょうか?以下が選択肢となります:

📝7位指名、そのまま行く?動く?

 ブルーインズは今回、全体7位という久しぶりに高い順位の指名権を持っています(最後にこんな上位だったのは2010年のタイラー・セギン〈現在、ダラス・スターズ副キャプテン〉を全体2位4で獲得して以来!)。

 この順位に残っていれば、ジェームズ・ヘイゲンスやジェイク・オブライエン、ブレイディ・マーティンといった将来有望な、インパクトのあるフォワードを指名できるかもしれません。 

 ただ、今回指名された選手がNHLにデビューするのは、早くても2026-27シーズン。即戦力ではありません。

 でも、ここ数年の1巡目指名5(2018、2020、2022、2023)を次々とトレードに出してきたブルーインズにとって、今回の7位指名で将来性のある選手を補強できるのは、チームにとって歓迎すべきチャンス!指名権をそのまま使うなら、スウィーニーは「ポジションよりも“ベストな選手”を選ぶ」という方針を示しました💡

1巡目で順位を上げる、あるいは下げる

 また、スウィーニーは順位のアップ・ダウンも視野に入れていて、順位を上げたい場合は、それなりの資産を手放す必要があるでしょう。保有する2つの2巡目指名権の1つを使って6上位に食い込む可能性もあるとのこと。それは、2026年の1巡目指名権2つのいずれかを放出するよりは現実的だからです。

 スウィーニーはこの2つの1巡目指名権について、2025-26シーズン開幕以降、選手獲得のために使う方が価値が高いと見ています。「ただし、これは私の個人的な考えだ。スタッフの誰かが自分のリストの状況に納得していなければ、ドラフト中盤や2巡目で方向転換する可能性もある」。

 逆に順位を下げるなら、追加の指名権、有望な若手、あるいは実績ある選手を獲得できる可能性も。選択肢が広がるこの時期、ブルーインズの動きには注目です👀

🔁ドラフト指名権を武器に、即戦力補強も?

 埋めるべき穴が多数あることを考えれば、スウィーニーがこの選択肢を取るかもしれません。

 GMは、今回のドラフト指名権を使ってNHL経験者の獲得も視野に入れています。とはいえ、彼が求めているのは“契約が1年しか残っていないような選手”、つまり短期の助っ人7ではありません。「今も将来も見据えた補強であれば、我々は確実にロースターを強化するつもりだ」と彼はコメント。あくまでチームの将来像を見据えた慎重な動きが基本方針です💬

ロースター選手をトレードする

 また、ロースターにいる選手をトレードに出すという選択肢も真剣に検討中。これは1巡目で順位を上げるためのパッケージの一部となるでしょうし、あるいは2025年または2026年の追加指名権獲得のために、今の主力を放出する可能性があるというのは驚きですよね😳

 ブルーインズはもはや、オフシーズンのたびに“絶対に放出しない選手”が長いリストで存在するような、スタンレーカップ争いに準備万端のチームではありません。デイビッド・パストルナクとチャーリー・マクアヴォイを除けば、基本的に全員がトレード交渉対象です。

 すでにジャスティン・ブレゾー(→ミネソタ・ワイルド)、ブランドン・カルロ(→トロント・メープルリーフス)、チャーリー・コイル(→コロラド・アバランチ)、トレント・フレデリック(→エドモントン・オイラーズ)、そしてブラッド・マーチャンド(→フロリダ・パンサーズ)といった面々の放出が始まっており、これはまだ終わりではなさそうです…。

 「ああ、そうだよ」とスウィーニーは、ロースター選手の放出を検討するかどうか尋ねられた際に答えました。「最終的には、我々を今、そして将来にわたって改善するために、あらゆる機会を活用していく。今年、そして今後数年にわたって何が可能なのかを見据え、それをドラフトと組み合わせてチームを構築していかなければならない」。

ドラフト前に、新ジャージが登場!黒色の面積が多くなったかな。

💰UFA(無制限FA)戦線へ、資金は十分!

 制限付きFA選手(RFA)だったメイソン・ローレイ8と年平均320万ドル(約4億6,200万円、2年)の契約を結んだ後でも、ブルーインズにはまだ約2500万ドル(約36億1,000万円)のキャップスペースが残っています💸 これはかなり大きな武器です!

 その一部はモーガン・ギーキー9との契約延長に使う予定。現在、代理人のジャッド・モルダヴァーと交渉中で、合意にはまだ至っていませんが、契約完了までの時間的余裕はあるとのこと。

期待を上回る活躍をした選手に贈られる「セブンス・プレイヤー・アワード」受賞時の映像。ギーキー、クラーケン在籍時を凌ぐ大活躍!

 そのほかにも、ジョニー・ビーチャー、マラト・フスヌトディノフ、ヤクブ・ラウコといった制限付きFA選手との契約も必要です。

 とはいえ、やはり焦点は“フォワードの補強”。スウィーニーが以前述べていたように、特にウィングがターゲットです🏹 センターの補強も必要ですが、こちらはコストが高く、簡単にはいきません。そこで、より予算に優しい代替案としては、攻撃をけん引できるインパクトのあるウィンガーで攻撃力アップを狙っているようです。

 これによって、エリアス・リンドホルム、パベル・ザッカ、ケイシー・ミッテルシュタットといった現有戦力にかかる負担を軽くできるかも💡!

 また、ブルーインズは(移籍した)ブランドン・カルロの出場時間を補える、右利きのディフェンスマンも必要としています。スウィーニーは、7月1日にUFAとなるヘンリ・ヨキハル10との交渉を継続していると語りました。

讃岐猫
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🔍「出場機会の多さ」で選手を引き寄せる?

 ブルーインズが目指すのは、単なる控え選手の補強ではなく、“毎試合使える選手”の確保です。そのため、他チームよりも出場チャンスが多くある、という点をアピールポイントにしています✨特に若手やブレイク前の選手にとっては、絶好の場所になるかもしれません。

 スウィーニーGMも、「我々のトップ9フォワード(第1〜第3ライン)にはチャンスがある。だからこそ、うまくタイミングが合えば、うちに興味を持ってくれる選手は多いはずですし、それによってロースターを補強できればと願っている」と語っています。

🧭まとめ〜再建の途中にあるチームの姿

 「中途半端な状態にはいたくない」と語ったスウィーニーGM。チームは明確に、“一歩引いてでも、将来のために準備する”という方針を取っています。これはトレード期限時点からの一貫した哲学であり、今後も変わることはないでしょう。

 過去の強豪時代を知るファンにとっては少し寂しい気持ちもあるかもしれませんが、再び競争力を取り戻すためには、今の選択は避けて通れません💪

 ドラフト、FA、トレード——この3つの窓口をどう使っていくか。ブルーインズの未来は、これから数週間の動きにかかっています。ファンとしても、じっくりと見守りながら、新しいブルーインズの形がどう出来上がっていくのかを楽しみにしたいですね😊🏒

讃岐猫
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【註釈】

  1. 勝利数、勝ち点でブルーインズより成績の悪いチームは、3チーム(ナッシュビル・プレデターズ、シカゴ・ブラックホークス、サンノゼ・シャークス)。

     勝利数、勝ち点が同じチームとしてフィラデルフィア・フライヤーズがあるが、フライヤーズの60分以内の勝利数、及び60分+延長戦勝利数は、ブルーインズよりもかなり少ない(つまりシュートアウト=PK戦の勝利が多い)。
    ↩︎
  2. ドナルド・”ドン”・クラーク・スウィーニーはNHLで1,100試合以上に出場し(ディフェンス)、そのキャリアの大部分をボストン・ブルーインズで過ごした。ブルーインズのチーム統計では、総出場試合数で歴代4位にランクインするなど、多くの部門でトップ10入りを果たしている。

     選手引退後、スウィーニーは2006年にブルーインズのチーム幹部に就任し、2011年にチームがスタンレーカップを優勝した際には、彼の名前がカップに刻まれた。2015年5月にはピーター・キアレッリの後任としてブルーインズのゼネラルマネージャーに就任。

     選手としてのキャリアでは、1989-90シーズンにブルーインズがプリンス・オブ・ウェールズ・トロフィーを獲得するのに貢献し、チームで1,000試合以上に出場。また、ドラフト後もハーバード大学に進学し、NCAAイースト・オールアメリカンやECACファーストチーム・オールスターに選ばれるなど、学業とスポーツを両立させていた。
    ↩︎
  3. ブルーインズはリーグで5番目に悪い成績のため、成績の悪いチームほど1位指名当選の確率が高くなるロッタリー(要するに「くじ」)で8.5%だったが、そのロッタリーでブルーインズより成績の良い他チーム(NYアイランダーズとユタHC、現在のユタ・マンモス)が上昇し、結果的に最大許容範囲とも言える“2ランク下落”で7位にとどまった。
    ↩︎
  4. ブルーインズが2010年ドラフトで全体2位指名権を得たのは、2009年にフィル・ケッセルをトロントへ放出したトレードによるもの。トロントの成績低迷によりその指名権が繰り上がり、ブルーインズはタイラー・セギンを指名するに至った。セギンは後にスタンレーカップ制覇(2011年)、オールスター出場など、インパクトあるキャリアを歩む。

     このトレードは、後年「一方的にブルーインズが得をした」と言われるほどの結果となったのである。
    ↩︎
  5. 2018年は22位と26位の2つの指名権を持っていたが、それぞれニューヨーク・レンジャーズにとオタワ・セネターズにトレード。2020年は27位、2022年は22位の指名権をそれぞれ持っていたが、どちらもアナハイム・ダックスにトレード。2023年は28位の指名権を持っていたが、トロント・メープルリーフスにトレード。

     指名順位が二桁、しかも後半の20位台に入っているのが特徴。つまり、それだけブルーインズのシーズン成績が良かったことになる。
    ↩︎
  6. NHLドラフト指名権のトレードは、チームの戦略において重要な要素である。

    〈メリット〉
    即戦力補強: 経験豊富な選手や特定のスキルを持つ選手を獲得し、すぐにチーム力を向上させることができる。
    サラリーキャップの柔軟性: 高額なサラリーの選手を獲得する際に、サラリーキャップの調整に役立つことがある。
    将来の資産獲得: より上位の指名権や有望な若手選手と交換し、長期的なチーム再建の基盤を築くことができる。

    〈デメリット〉
    将来の才能損失: 将来のスター選手を獲得する機会を失う可能性がある。
    獲得選手の不確実性: トレードで獲得した選手が期待通りの活躍をするとは限らない。
    育成機会の喪失: 自チームで若手選手を育成する機会を失う。
    ↩︎
  7. ブルーインズが契約が1年しかないない選手を嫌うのは、以下のデメリットがあるからため。

    長期的なコミットメントの欠如:
    契約が1年で切れるため、その選手が来シーズン以降もチームに残る保証はない。フリーエージェントとして他チームに移籍する場合があるため、チームの将来計画に組み込みにくくなる。
    再契約のコストと競争:
    シーズン終了後に再契約を望む場合、他のチームとの競争になり、高額な契約を提示する必要が出てくる。交渉がまとまらなければ、獲得のために差し出した資産が無駄になってしまう。
    チームケミストリーへの影響:
    短期的なレンタル選手は、チームの長期的なケミストリーに完全に溶け込むのが難しい。
    ↩︎
  8. 大学でのキャリアを終え、2023年3月にプロビデンス・ブルーインズと契約。同年11月にはボストン・ブルーインズのディフェンス陣の負傷を受けてNHLデビューを果たし、初ポイントと初ゴールを記録した。その後、何度かNHLとAHLを行き来したが、2024年4月にはNHLプレーオフデビューを果たし、初ポイントと初ゴールも記録。

     2024-25シーズンは開幕ロースター入りを果たし、攻撃面では一定の成功を収めたが、チームの苦戦もあり、最終的にはリーグで最低のプラス/マイナス(-43)を記録した。このシーズンでは77試合に出場し、5ゴール・33アシスト。
    ↩︎
  9. 2023年7月1日にシアトル・クラーケンを離れ、ボストン・ブルーインズと2年400万ドルの契約を結ぶ。ブルーインズでの初年度は、キャリアハイとなる17ゴールと39ポイントを記録し、ラインナップのどこでも貢献できる選手としての地位を確立。

     2024-25シーズン序盤は苦戦し、一時的に出場登録外となったが、デビッド・パストルナクとのラインで復調。最終的にはキャリアハイとなる33ゴールと57ポイントを達成し、キャリア初の30ゴールを記録した。

     これは、2015-16シーズン以来、パストルナク、ブラッド・マーチャンド、パトリス・ベルジェロン以外のブルーインズ選手としては初の快挙。シーズン終盤には11試合連続ポイントを記録する活躍を見せ、期待を上回る活躍をした選手に贈られる「セブンス・プレイヤー・アワード」を受賞した。
    ↩︎
  10. フィンランド出身のディフェンスマン。2017年のNHLドラフトでシカゴ・ブラックホークスに全体29位で指名された。WHLのポートランド・ウィンターホークスでプレーした後、2018年にブラックホークスでNHLデビュー。2019年にはバッファロー・セイバーズにトレードされ、2021年には3年契約を再締結した。

     2025年3月にボストン・ブルーインズへトレード。彼の父と兄もアイスホッケー選手である。 ↩︎
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