レンジャーズがトルーバをダックスに放出!その背景に何があったか?

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はじめに

 ジャコブ・トルーバがニューヨーク・レンジャーズからアナハイム・ダックスに移籍したという驚きのトレードが、NHLファンの間で大きな話題となっています。キャプテンとしてレンジャーズを牽引し、重要な役割を果たしてきたトルーバがチームを離れる理由とは?

 そして、この移籍が両チームに与える影響について考察します。

 また、このトレードは、トルーバとの関係の終息だけでなく、レンジャーズの未来に向けた新たな決断でもありました。その後、チームはピッツバーグ・ペンギンズを4-2で破り、久々に安定したプレーを見せました。

 さらに、ゴールテンダーのイゴール・シェスターキンとの契約延長が発表され、レンジャーズの未来が見えてきた1日となったのです。

讃岐猫
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引用元:nhl.com(NHL公式サイト)「Trouba traded to Ducks by Rangers for Vaakanainen

トルーバの移籍背景とレンジャーズの決断

 ジャコブ・トルーバ(30歳)は12月6日・金曜日、ニューヨーク・レンジャーズからアナハイム・ダックスにトレードされ、代わりにディフェンスマンのウルホ・ヴァーカナイネン(25歳)と2025年のNHLドラフト4巡目指名権がレンジャーズに渡りました。

 30歳のトルーバは2019年7月19日にウィニペグ・ジェッツからレンジャーズに移籍し、7年契約(総額5600万ドル=約81億2000万円、年平均800万ドル=約11億6,000万円)を結んでからキャプテンとしてチームを牽引してきました。現在、契約は残り1年となっており、ダックスがその契約の残りを引き継ぐことになります。

 金曜日の早い時間帯、レンジャーズはトルーバがピッツバーグ・ペンギンズ戦に出場しない(4-2で勝利)と発表しました。ラビオレット監督は、チームのプレイが不調であり、方向性を見直すためにトルーバをトレードに出す決断を下したと述べました。

 「チームにとって、方向性を変えることが必要だ。今はうまくいっていないので、成功を収められていないときには、違う方向に進むべきだと思う。この決断はその一環だ」と語り、これはロースター管理の一環として行われた措置ということになり、トルーバはそれによりトレードされることとなりました。

 ラビオレット監督はペンギンズ戦の勝利後にこう続けました。「彼とは、このチームで過ごした時間を通じて、素晴らしい選手であり、素晴らしいチームメイトだと感じている。努力家であり、ニューヨーク・レンジャーズのために素晴らしい模範を示そうとしていたと思う。

 こうした彼の築いてきた日々は決して簡単なものじゃない。彼と一緒に働けた日々は充実したものだった。良い人物だし、決断したことにより、今日は本当に辛い日だった。変化は難しいものだ。彼のこれからの幸運を願っています。彼がここにいた期間、我々にとって非常に良い存在だった」。

 レンジャーズのクリス・ドゥルーリーGMは12月7日・土曜日、次のキャプテンを選ぶために急ぐつもりはないと述べました。

 「(次のキャプテンを選出のための)全く明確なタイムラインはないよ。キャプテンがトレードされたことで、他の選手たちがリーダーシップの役割に踏み出すチャンスが生まれると思っている。

 リーグでの経験年数やチームでの在籍年数に関係なく、リーダーシップを発揮できる選手が多くいるはずだし、そのような選手たちが進んでその役割を担おうとしている。それを見守るのは楽しいことさ」。

 同じ日、レンジャーズはゴーリーのイゴール・シェスターキンと8年・9200万ドル(年平均1150万ドル)の契約を結び、来シーズンから契約が始まります。(契約を結ばないと、)シェスターキンは2025年7月1日に制限なしフリーエージェントになる予定でした。

 「常にたくさんの変化があり、それを毎日、あるいは週単位でチームに必要なことを見極めるのが私の仕事だ」とドゥルーリーは言いました。「これ以上の変化を加えることに反対しないが、大きな視点から見ると、チームはここ数週間、特に今週、大きな変化を経験した。

 この状況が少し落ち着くのを見守りたいと思っている。…チームが少し落ち着いて、この状況を受け入れられるようになるまで、少し時間をかけたい」。

この映像の作者はトレードについて反対派。スランプ脱出に必要なのはベテランだ!プレイオフ経験がほとんどない若手じゃない!と力説してます。

アナハイムでの新たな挑戦とトルーバの期待

 トルーバ自身は、アナハイムに移籍することに対し、「アナハイムは若手選手が多く、成長の機会がある」と期待を寄せ、「これからの数年間に良いチャンスが訪れる」とコメントしています。

 「アナハイムは、妻と僕が興味を持っていた場所の一つだ」とトルーバは語りました。「チームの現状が素晴らしいと思っているし、今後数年間で大きなチャンスが訪れると感じている。ニューヨークに来たときと似たような状況だと思うね」。

 「もちろん、(ダックスのフォワード)フランク(ヴァトラノ。右ウィング、30歳。21-22シーズン後半、レンジャーズに在籍)とライアン・ストローム(センター、31歳。18-19〜21-22シーズンまでレンジャーズに在籍)とは友達だし、過去に何度か話したことがあるよ。

 今でも良い友人で、ここ数年でよく連絡を取り合っている。彼らがダックスについてどう話しているか知っているので、組織については高く評価している。

 選手たちやチームについて非常に良い点を話してくれていて、次の大きなステップに向かっている組織じゃないかな。もし僕がその手助けができるのであれば、それが目標だ」。

 「本当に楽しかったよ」とトルーバはさらにレンジャーズでの時間について語りました。「まだ新しいスタートを切るって感覚に慣れていないけど、振り返るとキャプテンという役職は非常に特別だった。キャプテンに任命された日はずっと忘れない。

 2度のカンファレンス・ファイナル、プレジデンツ・トロフィーなど、たくさんの思い出がある。ニューヨークに来たとき、何も知らなかった自分が、今ではとても多くのことを学び、成長したと感じている。

 アートを愛するようになったり、生涯の友人を得たり、ニューヨークには僕の心の一部が残っている。いつか必ず戻ってきたい場所さ。そして、5年以上という時間は長かったので、そのすべての思い出に感謝している。今は新しいページをめくり、新しいスタートを切る時だと感じているよ」。

 2022-23シーズンからレンジャーズのキャプテンを務めていたトルーバはレンジャーズでの6年間で1364試合に出場し、31ゴール、105アシストで136ポイントを記録。今シーズンは24試合で6アシストを挙げています。

 しかし、ニューヨーク(13勝10敗1分)は、過去7試合で1勝6敗という成績で、その中にはニュージャージー・デビルズに1-5で敗れた試合(この試合でトルーバは16分45秒出場)も含まれています。

 トルーバは11月30日・土曜日のモントリオール・カナディアンズ戦(4-3で勝利)ではシーズン最少の13分37秒の出場時間でした。チームとしての立て直しが求められている状況だったのです。

トレードによる両チームへの影響と今後の展望

 レンジャーズは、昨シーズンにリーグ最高の成績でプレジデンツ・トロフィーを獲得し、イースタン・カンファレンス・ファイナルに進出したものの、現在はアトランティック・ディビジョンで4位に位置しています。イースタン・カンファレンスからのスタンレーカップ・プレイオフ進出の権利である、ワイルドカード1位を保持しています。

 「これはチーム全体に対するメッセージではない」とラビオレット監督はトレード前に話しました。「ここ1ヶ月の間、我々がどうプレーしていたかをみんな理解していると思う。もしこのまま進んでいったらプレイオフに進めなくなってしまうかもしれない。

最も重要なのは、順位を上げるための道を設定しなければならないということだ。そして、我々はまだそのようなプレーができていない。私はこのトレードをメッセージだとは思っていないが、それでも変化は起こるはずだ」。

 「こんな選手が加入してくれるなら、さらにチームを強化したいと思ったし、彼は我々のチームを向上させてくれる選手だ」とダックスのゼネラルマネージャー、パット・ヴァーベイクは、トルーバの加入によりディフェンスが強化され、特にペナルティキリングやフィジカルなプレーでチームに新たな深みが加わると期待しています。

 また、トルーバは攻撃面でも潜在的なスキルを持っており、その能力を引き出すことがチームの強化に繋がると考えられています。

 一方、ヴァーカナイネン(25歳)2は今シーズン、ダックスで5試合に出場し1アシストを記録しましたが、現在は上半身の怪我で負傷者リストに入っています。ヴァーカナイネンは2017年のドラフトでボストン・ブルーインズから1巡目(全体18位)で指名された選手です。

ブルーインズ時代のヴァーカナイネン。このゴールが今のとこ、唯一のゴール?相手は奇しくもレンジャーズです。

 アナハイム(10勝11敗3延長負け)は現在、パシフィック・ディビジョンで最下位に位置していますが、トルーバの加入によりチームは更なる成長を目指し、プレイオフ争いに食い込むことを狙っています。12月6日・金曜日にミネソタ・ワイルドをホームで迎え撃つ予定です(※試合終了、1-5で敗戦)。

 「カナダのチームやオリジナル・シックスでプレーしてきた選手、そして多くのプレイオフシリーズを経験し、素晴らしいチームでプレーしてきたキャプテンを迎えることは、チームにとって助けになる」とライアン・ストロームは言いました。

 「それに加えて、大きな体を持っていて、他の選手たちをサポートしたり、対戦しづらくさせたりする存在になるね。我々のディフェンスは若くスキルを持っていて左利きの選手が多いので、彼は全体的にうまく補完してくれるだろう」。

 「彼と話をした感じでは、非常に高いモチベーションを持った選手がアナハイムに来ることになりそうだし、キャプテンという肩の荷を少し下ろして、アナハイムでプレーしたいと思っている選手だ。そういったことは全てポジティブな要素であり、僕らのグループを前進させるためのきっかけになるはずさ。そして、僕らは彼の加入を非常に楽しみにしているよ」。

引用元:nhl.com(NHL公式サイト)「Rangers, seeking new direction, cap busy day with big win

レンジャーズの方向転換がもたらした「重要な1日」

 ニューヨーク・レンジャーズは金曜日、今や元キャプテンとなったキャプテンのジャコブ・トルーバをアナハイム・ダックスにトレードし、重要なゴールテンダーであるイゴール・シェスターキンとの8年契約延長に近づいていることを発表した後、ピッツバーグ・ペンギンズを4-2で下して、約3週間ぶりの最良の試合を展開しました。

 今シーズン最も忙しく、重要な1日となりました。

 シェスターキンは試合後、「間違いなく非常に重要な勝利だ。今日は本当に厳しい1日だった」と語りました。

 試合前、トルーバはロースター管理の理由でピッツバーグ戦に出場しないこと、朝のスケートにも参加しないことが発表され、トレードされるのか、そうではなくフリーエージェントになるのかといった憶測が飛び交いました。数時間後、その答えが明らかになります。

 トルーバはアナハイム・ダックスにトレードされ、代わりにディフェンスマンのウルホ・ヴァーカナイネンと2025年のNHLドラフト4巡目指名権がレンジャーズに送られました。ダックスはトルーバの7年5600万ドルの契約(年平均800万ドル)の残りを引き継ぐことになります。

 トルーバは、レンジャーズがトレードを受け入れなければ、フリーエージェントで放出する(=解雇)と伝えられたことを「脅し」と感じていたと述べています。

 トルーバはダックスでの会見で、「レンジャーズはトレードを受け入れなければ、フリーで放出すると伝えてきたんだ。僕には修正されたノートレード条項があり、もし放出された場合、どのチームからのオファーも受け入れることに同意していたんだ」と述べました。

 一方で、トルーバのトレードはレンジャーズが新たな方向に進むための決断でした。チームは7試合中6試合を規定60分以内で敗北し、その流れを断ち切るためにトルーバをトレードする必要があると感じていました。

 夏にチームがトレードを画策していると段階で、トルーバとレンジャーズの関係は悪化しており、トルーバは家族の理由でノートレード条項を解除せず、その情報(トルーバがごねている?)が公にされたことについては、トルーバ自身は好ましくないと感じており、それがプレーに影響を与え、キャプテンとしての役割が難しくなったと述べています。

 トルーバはダックスで新たなスタートを切ることになり、レンジャーズもこれからの方向性に集中できます。

讃岐猫
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昨シーズンのプレイオフで、トルーバはいろいろとやらかしており、それがカンファレンス決勝敗退の原因と言われていたにゃ。数多いベテランを何としても切りたいチームとしては、ノートレード条項を巡るイザコザを、マスコミにリークしたんじゃないか?

シェスターキンとの契約延長が示すレンジャーズの未来

 さらに、午後3時30分にトレードが正式に発表された後、ESPNやスポーツネット、NHLネットワークなどのメディアにより、シェスターキンとの契約延長(8年・9200万ドルの8年契約=約138億円)が報じられました。シェスターキンは新契約に署名することでレンジャーズにとどまることが決定的となり、今後のゴールテンダー問題が解決しました。

 レンジャーズにとってシェスターキンの契約延長は最重要事項であり、もし新たな契約が結ばれなければ、シェスターキンは7月1日に制限なしフリーエージェントになる可能性がありました。契約延長によりチームのキャップスペースと未来が明確になりました。

長期契約を結べたお祝いでしょうか、シェスターキンの好セーブ集をチーム公式がアップしてます。

 レンジャーズは公式にシェスターキンの契約を発表していませんが、この契約は近日中に発表される見込みです。シェスターキンは、「まだ言えないんだ。近いんだけど、他に話せることはない。土曜日に話せるかもしれない」と語りました。

トレード後の試合で見せたレンジャーズの安定感、しかし…

 金曜日の試合では、シェスターキンが18セーブを記録し、アルテミ・パナリン(2ゴール・1アシスト)、ヴィンセント・トロチェック(1ゴール・2アシスト)、アレクシス・ラファニエール(2アシスト)らが好調で、レンジャーズは安定したプレーを見せました。

 自陣からパックをうまく出し、ニュートラルゾーンを全速力のスピードで通過する動き、そしてパックの保持時間の長さから判断すると、レンジャーズにとって今シーズン最も完璧な試合の一つでした。

 「あのエネルギッシュなプレーは良かった」とパナリンは語っています。「何度か数人の相手選手が突進してきたけど、先月の試合よりずっといいプレーができたんじゃないかな。そのことに満足しているし、この調子で前向きにプレーしていきたい」。

 ラビオレット監督はこの勝利を「新たなスタートのきっかけ」とし、トルーバをトレードした決断がチームの方向転換を促すものだと説明しました。

 気持ちの良い勝利の後で、それは簡単な物語です。レンジャーズがトルーバをトレードし、契約全体を解消することで生み出されたキャップスペースを見るのも同様に簡単です。キャップスペースが生み出す可能性はレンジャーズにとって大きいでしょう。

 しかし、チーム状況がここから安定しない場合、さらなる大幅な減額(選手の放出やサラリーのダウン提示)が行われる可能性も意味しています。これは、すべての人の注目を集めるのに十分です。

 トロチェックは「キャプテンがトレードされると、それがメッセージになり、もし成績を上げられなければ、管理側は何か手を打つことになる。私たち全員が対象になり得るということだ」と語りました。しかし、シェスターキンだけは例外ですが。

いろんな契約問題が一段落した後、気が緩んだのか7失点…。ちなみに、シェスターキンではなく、クイックが先発GKでした。

 トルーバはダックスで新たなスタートを切り、月曜日にはモントリオール・カナディアンズとの試合に出場予定です。

まとめ

 ジャコブ・トルーバのアナハイム・ダックスへの移籍は、彼自身にとって新たなスタートであり、レンジャーズにとってはチーム改革の一環として位置づけられています。レンジャーズはこの決断を通じて新たなリーダーを探し、再建を進める一方で、ダックスはトルーバを迎え入れ、ディフェンス強化を目指しています。

 トルーバの移籍は、チーム改革と方向転換を象徴しており、シェスターキンの契約延長によりゴールテンダー問題も解決しました。今後、レンジャーズはキャップスペースの余裕を活かし、チーム作りを進めることができるでしょう。

 レンジャーズにしても、ダックスにしてもこの変化をチャンスとして活かすことができるか、今後の展開が注目されます。

讃岐猫
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【註釈】

  1. トルーバはレンジャーズとジェッツで通算772試合に出場し、315ポイント(73ゴール、242アシスト)を記録、またプレイオフでは74試合で19ポイント(4ゴール、15アシスト)を挙げている。
    ↩︎
  2. これまでのキャリアで141試合に出場し、25ポイント(1ゴール、24アシスト)を記録している。負傷者リスト入りのため、トレード後のシアトル・クラーケン戦(12月8日〈日〉、レンジャーズは5-7で敗戦)にも出場していない。 ↩︎
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