レンジャーズ、パンサーズとのカンファレンス決勝に進出!どう戦う?

アイスホッケー名勝負

はじめに

 カナックスのカップ決勝進出を予想していたのに、オイラーズに3勝4敗で惜しくも敗退…。思い返せば、カナックスのディビジョン優勝は、開幕早々、オイラーズを2タテしたことから始まりました。オイラーズ、その雪辱を見事に果たし、カンファレンス決勝進出です。

 さて、別の山は、レンジャーズvs.パンサーズという「大統領杯獲得チーム」同士の対戦。レギュラー・シーズンの速報で、この2チームのところは見なくても分かりました、絶対勝っているので。それくらい横綱相撲で他チームを圧倒していたのです。

 カンファレンス決勝進出を決めたのはレンジャーズが先とはいえ、わずか1日違い。フィジカル調整的には五分なのですが、怪我人の多いパンサーズがどうやりくりしてくるかが焦点の一つ。今回は、そのパンサーズをレンジャーズがどう見ているか、についてです。

讃岐猫
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引用元:NHL.com「Rangers see similarities between Panthers, Hurricanes heading into Eastern Final

パンサーズ対策に、ハリケーンズは必要?

 ニューヨーク・レンジャーズは、イースタン・カンファレンス決勝でフロリダ・パンサーズと対戦することになり、簡単なことは何もないと認識していますが、次の対戦相手とカロライナ・ハリケーンズとの類似点を見ています。

 7試合中4勝でカンファレンス優勝となるシリーズの第1戦は、水曜日(5月22日、東部時間午後8時、日本時間では23日・木曜日、午前10時)にマディソン・スクエア・ガーデンで行われます。(ESPN、SN、CBC、TVAS)

 「フロリダはリーグのトップ・チームだ。昨年、彼らはスタンレーカップでプレーし、(今シーズン、)アトランティック・ディビジョンを1位でフィニッシュしている」と(レンジャーズ監督)ラヴィオレットは日曜日(5月19日)に語りました。

 「彼らはスピード、サイズ、スキル、そしてフィジカルを備えている。(レンジャーズと)ハリケーンズのプレー方法には、いくつかの類似点があるね…攻撃的な部分での考え方かな。

 だから、(前回のカロライナとの対戦と)準備の仕方はいくつか似ているけど、少し違う部分もある」。

パンサーズは「力のあるチーム」と警戒

 金曜日(5月17日)、ボストンのTDガーデンで行われた第2ラウンド・第6戦で、パンサーズはボストン・ブルーインズを2-1で下しています。昨シーズンのスタンレーカップ決勝、彼らはベガス・ゴールデンナイツに5試合で敗れました。

 「フロリダは昨年、プレーオフに進出したことで良い自信と経験を積んだと思う」とラヴィオレットは言っています。

 「あのチームには、いろいろな経験を積んできた選手達がいるからね。それも自信に繋がると思うよ。彼らは体も大きいし、強いし、フィジカル面は言うことない」。

 「でも、カロライナも同じような感じなんだ…彼らは速く、フィジカルも強く、アグレッシブな試合をしていたね。両者のプレーの仕方は少し異なるけど、類似点は多いよ」。

讃岐猫
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レンジャーズ主力は、オフを利用しながら練習中

 木曜日(5月16日)、ノースカロライナ州ローリーのPNCアリーナで行われた第2ラウンドの第6戦で、レンジャーズは5-3の勝利を収めました。

 日曜日(19日)、それぞれメンテナンスデーを取ったディフェンスマンのアダム・フォックスとK’アンドレ・ミラー不在のまま、オプションの練習を行っています。

 パンサーズとのシリーズは、タフで体と体のぶつかり合う激しいものになると多くの人に予想されていますが、その前に休養を取る機会を持ったのは、選手にとってボーナスです。

 「休養日を利用して、それから良い練習日を過ごすことができれば、それは良いことなんじゃないかな」とフォワードのクリス・クライダーは言いました。

 「今日は(カロライナを撃破してからの)練習復帰初日だから、まだパンサーズが何をやってくるかの多くを確認していないんだ。でも、ここ1、2年はすごくいいチームになっている。

 多くの強み-素晴らしいオフェンス、素晴らしいディフェンス、素晴らしいゴールテンディングを持っているので、僕らにとって大きな挑戦になるだろう」。

レンジャーズの強みはスペシャル・チームにあり

 ニューヨークは、スペシャル・チーム(自チームがパワープレー、ペナルティキルになった場合、それを成功させるための特別なライン編成)を使って、継続的にポストシーズンを成功させることが、フロリダ戦で非常に重要になってくることを知っています。

 レンジャーズのパワープレーは、エドモントン・オイラーズ(36.8%)とコロラド・アバランチ(36.7)に次ぐ31.4%(35回中11回成功)の成功率を誇り、プレーオフ3位にランクされています。

 ペナルティキルはさらに優れており、オイラーズ(90.6)に次ぐ2位(89.5%、38回中34回成功)にランクされています。

 プレーオフにおいて、ニューヨークは、パワープレーでゴールを許した回数(4回)と同数のショートハンド・ゴール(ペナルティによる味方の人数が少ない中、得点をすること)を決めました。

 「(ペナルティキル)は本当に一生懸命やってきた」とクライダーは言っています。「僕らは本当に準備できているように思っているんだけど、かなりうまく(試合で)実行できているね。最高のペナルティキラーがゴールテンダーであれば、成功は間違いないよ」。

讃岐猫
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もともとの守備も堅いよ

 ニューヨークは、ポストシーズンの10試合で35得点・26失点を記録し、失点数の少なさで相手を上回っています(フロリダは11試合で28失点ちなみに、得点は38)。プレーオフに残っているチームの中で、最も少ない失点数となっています。

 「プレーオフを戦っていく中で、チームには山あり谷ありだと思う。その浮き沈みから、どう立ち直って前進するかを考えなければならない」とラヴィオレットは言いました。

 「大局的に見れば、そのすべてが自分に傷を負わせながらも、よりタフにさせるのだと思う。パワープレーで毎試合2、3点決められると考えるのは甘い。すべての試合に勝てると思うのも甘い」。

 「でも、自分が求めている成功を得られなかった後にどうするか、そして、物事にどう対応するかが、自分を少しタフにするんじゃないかな」。

※以下は、この2チームの勝敗について、NHL.com専属ライターによる予想記事の一部です。

引用元:NHL.com「Eastern Conference Final winner debated by NHL.com writers

ゴールテンダーの差で、レンジャーズの勝ち

アマリー・ベンジャミン、スタッフライター

 私はニューヨーク・レンジャーズを選びます。フロリダ・パンサーズが、非常に欠陥の多いボストン・ブルーインズと対戦した6試合観戦したばかりですが、レンジャーズの方がはるかに良いチームだと思います。

 その理由は、イゴール・シェスターキンについて話すことから始めましょう。第2ラウンドで(敗れたブルーインズの)ジェレミー・スウェイマンが見せたように1、より優れたゴールキーパー–それがシェスターキンだ–彼はパンサーズの攻撃を封じ込めることができます。

 シェスターキンは第6戦でカロライナ・ハリケーンズを破り、スタンレー・カップ決勝にチームを連れて行く準備ができているようです。しかし、レンジャーズの持ち駒はそれだけではありません。

 シェスターキンは、フォワードのアルテミ・パナリンとクリス・クライダー、センターのミカ・ジバネジャドとヴィンセント・トロチェックなど、非常に熟練したオフェンスに支えられています。

 そのため、ボストンはそれを利用することができませんでしたが、ニューヨークはフロリダの欠点(守備)を利用することができます。素晴らしいシリーズになるはずですが、私はレンジャーズがスタンレーカップ決勝へ進むと思います。

讃岐猫
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負けじ魂の強さで、パンサーズが有利

トム・グリッティ、スタッフライター

 厳しいシリーズになるでしょうが、私はパンサーズを選ぶつもりです。彼らを見ていると、スタンレーカップ決勝でラスベガス・ゴールデンナイツに敗れた昨シーズン、果たせなかった仕事をやり遂げようとする強い決意を持ったチームであることがわかります。

 そのチームは、決勝に進むまでにフォワードのマシュー・トカチュクやディフェンスのアーロン・エクブラッド、ブランドン・モンツアーなどの主力選手が負傷してボロボロになり、体力的に余力がほとんど残っていませんでした。

 オフシーズンには、ディフェンスマンのオリバー・エクマン・ラーション、ニコ・ミッコラ、ドミトリー・クリコフなどの主力選手が加わり、そしてシーズン中にはフォワードのウラディミール・タラセンコやカイル・オクポソなどの選手を加えた後、

 このチームはより健全でより選手層に厚みを加えることとなっています。

 カップ戦決勝で敗れたチームは、ここまで行って負けた悔しさから、翌シーズンはカップ・チャンピオンよりも苦労することが多いのですが、キャプテンのアレクサンデル・バルコフに率いられたフロリダは、その兆候を全く見せず、次のステップへと突き進んでいます。

 選手層が厚く、バランスの取れたラインナップ同士のシリーズでは、それ(悔しさ)がパンサーズにとって最後の明暗を分けることになると思います。

2024年3月の対戦では、シュート・アウト(PK戦)にまでもつれ込む大白熱戦!

まとめ

 パンサーズは主力に故障があっても、それを補って余りある選手層を誇っており、それがブルーインズやライトニングを退けた要因なのです。やや守備力に難があるとはいえ、レンジャーズとプレーオフ失点数を比べても、大差ないので、あまり欠点にならないでしょう。

 第7戦までもつれ込むとは思いますが、今の感じだと、4勝3敗でぎりぎりパンサーズでしょうか。「ぎりぎり」としたのは、イーブン・ストレングスではない時のレンジャーズ、つまり氷上の人数が相手と違う時の試合コントロール力が侮れないからです。

 この手のアクシデントをうまく利用できるのはレンジャーズ。パンサーズはそういう状況になった時、どれだけ冷静に対処できるかがカギ。レンジャーズのカップ決勝進出を予想した自分としては、2シーズン連続、パンサーズに涙をのんでもらいたい気持ちもあるのですが…。

讃岐猫
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【註釈】

  1. 第2ラウンド、パンサーズとブルーインズの対戦で、第2・3戦と2試合連続6失点しており、その試合の先発ゴールテンダーはスウェイマンだった。

     一方、シェスターキンも、第2ラウンドのハリケーンズとの6試合、4失点以上の試合が2試合あり、完封及び1失点の試合がない。味方の効果的な得点力がなかったら、7戦までもつれて、ハリケーンズが勝ち上がっていたかもしれない。 ↩︎
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