大型新人ベダードのいるNHLウェスタン・カンファレンスを予想!

NHLチーム紹介

はじめに

 いよいよ10月10日夜(日本時間では11日午前中から午後にかけて)、 NHL 2023-24シーズンが開幕します!まずは3カードが時間差で開始される日程になっており、リーグ側の全カードを見てほしいという要望が強く表れています。

 その中でも特に注目なのは、現地時間午後8時(日本時間では11日午前10時)開始のピッツバーグ・ペンギンズvs.シカゴ・ブラックホークスでしょう。

 ピッツバーグのホーム=PPG ペインツ・アリーナで、シカゴの誇る大型新人、2023年ドラフト全体1位のコナー・ベダードがどんなプレーを見せるのか。現地放送時間帯もファンのくつろげる頃、ちょうどいい感じなのです。

 今回は、開幕カードにちなんで、シカゴ・ブラックホークスを含むウェスタン・カンファレンスの新シーズン予想です。昨シーズンのチャンピオン・チーム、ベガス・ゴールデンナイツもいるカンファレンスですが、それ以外のチームに焦点を当ててみました。

讃岐猫
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引用元:cbssports.com「NHL Western Conference preview: Stars ready to go toe-to-toe with fellow Stanley Cup contenders」。

ウェスタン・カンファレンス、新シーズンの傾向

 2023-24シーズン開幕まで1週間を切った今、ウェスタン・カンファレンス全体を見渡す時が来ました。ベガス・ゴールデンナイツはスタンレーカップのチャンピオンの座に再び就こうとしていますが、王座を奪おうとする他の数チームとの競争が激しくなるでしょう。

 セントラル・デイビジョンは、昨シーズン、コロラド・アバランチが期待外れのプレーオフ・パフォーマンスから立ち直ろうとしているため、興味深いものになるはずであり、ダラス・スターズはまたしてもポストシーズンの最後まで勝ち進むため、準備を整えています。

 パシフィックでは、エドモントン・オイラーズとロサンゼルス・キングスがゴールデンナイツを蹴落とそうとするなど、頂上での乱打戦になるはずです。これらのチーム同士の対戦は、シーズンを通して必見のテレビ中継となります。

 これらの優勝候補以外にも、ウェスタン・カンファレンスには興味深い新進気鋭のチームや、急いでチーム再編成を試みようとしているチームがあります。それらのいずれかが次のステップに進めば、さらに面白くなるかもしれません。

各ディビジョンの注目点

 NHLホッケーの新シーズン開幕でパックがリンクに落ちる前に、ウェスタン・カンファレンスを深く掘り下げてみましょう。

ダラスが意外と行きそう…

セントラル・ディビジョン

スターズはスタンレーカップを狙っている

 ここしばらくの間、スターズは何か特別なものへと進化しており、このチームは2023-24シーズンに向けて素晴らしい位置にいます。

 ジェイソン・ロバートソン(左ウィング、24歳)とループ・ヒンツ(左ウィング、26歳)の2人は共に、ラインナップのトップで衝撃的な才能を発揮し、年齢を感じさせないジョー・パベルスキー(センター、39歳)とともにプレーしています。

 今年はマット・デュシェーン(センター、32歳。ナッシュビル・プレデターズから移籍)がジェイミー・ベン(左ウィング、34歳)、タイラー・セギン(センター、31歳)、ワイアット・ジョンストン(センター、20歳)、メイソン・マーチメント(左ウィング、28歳)らを擁するフォワード陣に加わり、これまで以上に選手層に厚みが増しました。

 昨年、ミロ・ハイスカネン(ディフェンス、24歳)は守備で次のステップを踏み出し、より攻撃的な脅威となり、リーグ最高のブルーライナーの1人です。トーマス・ハーレー(ディフェンス、22歳)とニルス・ルンドクヴィスト(ディフェンス、23歳)も有望で、若い才能をチームに提供しています。

 もし何かが彼らの守備を通り越して漏れたとしても、ジェイク・オッティンガー(ゴールテンダー、24歳)がネットの中で多くのミスを帳消しにしてくれるはずです。

 今年すべてがまとまれば、スターズはウェストの強豪チームとも互角に渡り合えるでしょう。

讃岐猫
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3位よりも、ワイルド・カードに意外な名前が…

セントラル・ディビジョンの3位争い

 とてつもなく愚かに見えるかもしれませんが、セントラルの上位2つの枠がアバランチとスターズによって占められると仮定していますが、必ずしもその順番ではありません。そのため、いくつかのチームが、同地区でプレーオフ進出確定となる最後の1枠を争うことになります。

 3位は、2022-23シーズン、その順位を勝ち取ったミネソタ・ワイルドであるのは明らかです。残り6チームと比べても最強のメンバーを揃えていますが、欠点がないわけではありません。

 最も注目すべきは、ミネソタにはキリル・カプリゾフ(左ウィング、26歳)以外の攻撃的な要素が欠けていることです。

 ゴールテンダーのフィリップ・グスタフソン(25歳)の素晴らしいプレーにより、昨シーズン、それを克服することができた時期もありましたが、彼はそのパフォーマンスを再現することができるでしょうか。

 ワイルドの背後には、オフシーズンに大きな変化を遂げた2チーム、ウィニペグ・ジェッツとナッシュビル・プレデターズがいます。両チームとも主力選手と決別し、急いで再編成を試みていますが、果たしてそれは成功するのでしょうか。

 ジェッツかプレデターズのどちらかがうまくいけば、ワイルドを抜いて3位になる可能性もありますが、その可能性はナッシュビルよりもウィニペグの方が高そうです。

 セントルイス・ブルースが、ここでのワイルドカードになります。昨シーズンの彼らはひどいとしか言いようがありませんでした。2022-23シーズン以上、もっと多くの実りある状況になると期待しています。

 とはいえ、ブルースの攻撃陣がギアを上げ1、いくつかのお粗末なディフェンス・プレーを凌駕し、プレーオフ進出の境界線上に躍り出る道は狭いものです。

ドラフト全体1位はすんなりと馴染みそう

コナー・ベダードはシカゴに何をもたらすだろうか

 シカゴ・ブラックホークスは2023-24シーズンは良くないかもしれませんが、それでも大丈夫です。チームにはすでに他の才能ある選手がいますし、プレシーズンのハイライトが示すとおり、コナー・ベダード(センター、18歳)は次のレベルへ素早く移行するからです。

 ベダードは2015年のコナー・マクデイビッド(センター、26歳。エドモントン・オイラーズ)以来最も注目されたドラフト候補であり、その理由は想像に難くありません。

 昨シーズン、WHLのレジーナ・パッツで71ゴール・143ポイントを記録しました。2023年の世界ジュニア選手権で、ベダードは7試合で9ゴール・23ポイントを記録しています。彼はシカゴでフランチャイズを代表するプレーヤーになるための、あらゆる手段を持っているのです。

 プレシーズンゲームのほんの数試合で、ベダードはすでにいくつかのハイライトを2収めたテープを残しており、レギュラー・シーズンの本番が始まってからも、それができるかどうか興味深いものです。

 ベダードが高い期待に応えられるかどうかを見るため、すべての目が彼に向けられています。

讃岐猫
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フレームス、再点火!?

パシフィック・ディビジョン

2023-24シーズン、フレームスは再燃するかもしれない

 今シーズン、カルガリー・フレームスは大逆転を起こしそうな有力候補です。昨シーズン、チームは5対5(リンクにフルメンバーが出ている時)でかなりの善戦をしましたが、スコアボードに結果が出ていませんでした。

 平均の法則3が今年発動されれば、フレームスはすぐにポストシーズンに戻るはずです。

 昨シーズン、シュート成功率8.75%(全チーム最下位)とセーブ成功率88.99%(下から数えて8番目)の間で、カルガリーは深刻なパック運の悪さに苦しんでいました。今シーズン、これらの数字が好転すると信じるに足る理由があります。

 まず、ジョナサン・フベルドー(左ウィング、30歳)、ナゼム・カドリ(センター、33歳)、ジェイコブ・マークストロム(ゴールテンダー、33歳)の3人は、いずれも昨年よりも優れたプレーをすると思います。

 キャリアのこの時点で、彼らはスーパースターではないかもしれませんが、それでもプレーオフチームでは非常に生産的な選手となり得ます。

 フレームスはコーチも交代し、ダリル・サッター4を解雇し、ライアン・フスカ5を採用しました。

 昨シーズン、サッターと選手の間に何かズレのあったことは明らかでしたので、おそらく2023-24シーズンには雰囲気が少し良くなるでしょうし、そしてそれは、ポストシーズン進出のために必要な勝ち点と、プラスアルファの要素を見つけることに大きく貢献するかもしれません。

讃岐猫
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昨シーズンのシンデレラ・ストーリー、再び!?

クラーケン(大ダコ)は地上に戻ってくるでしょうか

 シアトル・クラーケンは、2022-23シーズンのベストストーリーの一つでした。残念なことに、私は今、そのパレードに水を差そうとしています。

 シアトルはNHLで驚異的なセカンドシーズンを過ごしました。最下位から1位にはなれませんでしたが、最下位から、プレーオフでスタンレーカップの前回(2022年)優勝チーム(コロラド・アバランチ)を破るまでになったのです。

 そうなったのは、クラーケンはその優れた選手層と堅固なディフェンス・パフォーマンスを活用したからであり、見事成功を収めました。問題は、それが今年も持続可能かどうかです。

 昨シーズン、クラーケンは11.57%のシュート成功率(全体2位)を見せ、これは他の攻撃的に優れたチームと比べても高い数字です。フォワードの選手層に厚みがあるにもかかわらず、シアトルは攻撃的に優れたチームではありません。

 2023-24シーズンには得点率が少し下がると予想していますが、それはつまり、得点力不足を補うのはフィリップ・グルバウアー(ゴールテンダー、31歳)次第ということです。

 昨シーズンの成績は向上したものの、依然として標準以下であり、フルタイムに働ける先発GKとして信頼するには難しいものがあります。

 パシフィック・ディビジョンの競争は激しく、クラーケンが昨年のマジックを再現できるとは思えません。そうなるかもしれないと信じる理由はいくつかありますが(例えばマティ・ベニアーズ〈センター、20歳〉とか)、私はそうは思っていません。

まとめ

 クラーケンは「成長曲線徐々に右肩上がり」のチーム、新シーズン、少々の停滞は仕方ないと思います。昨シーズン、あそこまで勝つとは本人達も思っていなかったはずで、気持ちの切り替えができているかどうかが鍵になる、と予想しています。

 開幕がいきなりチャンピオン・チームと対戦ですので、勝ち負けはともかく、いい内容の試合を見せられるかどうか。クラーケンは若さという武器を持っていますから、ベテランの多いベガスを追い詰める可能性は十分にあります。

 「開幕日3連戦」の最初、「補強順調」ナッシュビル・プレデターズvs.「正GKが負傷中」タンパベイ・ライトニングも興味深い試合です。ナッシュビルは体制を一新、気分的にアップしてそうなので、タンパベイに大勝すると見ています。

 待たせたな!さあ、開幕だ!

讃岐猫
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【註釈】

  1. 昨シーズン、263得点・301失点・得失点差−38となっており、得点数はリーグ32チーム中のほぼ真ん中辺りである反面、失点数は下から数えて5番目。守備陣の立て直しが急務なのは明らか。

     2023-24シーズンのプレマッチは4勝2敗2延長負けで終了。「2延長負け」は得点力不足なのか、守備が相変わらず持ちこたえられないのか。
    ↩︎
  2. 10月2日のデトロイト・レッドウィングス戦(4-2でシカゴの勝利)で、プレ・マッチとはいえ、NHL初ゴールと2アシストを記録。

     10月4日のミネソタ・ワイルド戦(3-2でシカゴの敗戦)では、フォワード陣の中で最も長いアイスタイム(23分16秒)を記録している。10月6日のセントルイス・ブルース戦は欠場したが、10月10日の開幕試合、ピッツバーグ・ペンギンズ戦のロースター入りは決定している。
    ↩︎
  3. 一般に、ある望ましくない事象が続いた時に、次に望ましい事象が起きるはずだという根拠のない確信のこと。
    ↩︎
  4. カナダ、アルバータ州バイキング出身、65歳。現役時代のポジションは左ウィング。7人兄弟のうち6人がNHL選手となり、全員が400試合以上出場している。

     ダリルは度重なる負傷のため、28歳で引退しているが、それまではシカゴのキャプテンを務めていた。監督としては、2012年と14年、ロサンゼルス・キングスをスタンレーカップ決勝まで導いている。
    ↩︎
  5. 詳しくはこちら→↩︎
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