はじめに
古今東西のどんなスポーツでも「出場停止処分」の重荷・重圧はいかばかりのものか、なかなか想像できません。まして、北米4大スポーツの選手ともなると、世界中から注目されているわけですし、ペナルティの原因によっては、長期間にわたり、かなり強いブーイングを受けてしまいます。
今回は、41試合の出場停止処分を受けていたオタワ・セネターズのシェーン・ピント、復帰初ゴールの記事です。出場停止中のピントの行動までは、さすがに記事等を追いかけていなかったのですが、暗い話題の続くオタワにとって、ほのかに明るい話題と言えます。
もちろんペナルティに関して、しっかり反省するのは当たり前のことです。今後、いろいろと心無い言葉を浴びせられるかもしれませんが、チームメイトに苦い経験を伝え、プロ・スポーツ選手のあるべき姿を共に考えていってほしいものです。
オタワは監督も含め首脳陣を一新し、再出発の道を歩んでいるチームだにゃ。
そのチームの歩みと同じように、ピントも着実にチームに馴染み、戦術を理解し、
しっかりとチームを支える選手になってくれると信じよう。
引用元:apnews.com「Pinto scores 1st of season, Senators bury Canadiens 4-1」
引用元:NHL.com「Pinto scores 1st of season for Senators in win against Canadiens」
出場停止明け、これから頑張ります!
1月23日(火曜日)の夜、オタワ・セネターズが4-1でモントリオール・カナディアンズを破り、ここ最近の6日間で2度目の勝利を収め(18日・木曜日、6-2で勝利)、シェーン・ピント(センター、23歳)が今季初ゴール1を決めました。
スポーツ賭博に関連した行動により、ピントは41試合の出場停止処分を受け、セネターズと1年・77万5,000ドル(日本円で約1億1千万円)の契約を結んで以来、わずか2試合目の出場2だったのです。
※ピントのペナルティに関しては、このブログでも記事にしている。詳細はこちら↓。
「あれがシェーンだ」と、2020-21シーズン、ノースダコタ(ノースダコタ大ファイティング・ホークスのこと。ピントは2年間在籍後、オタワへ)でピントと1シーズンをプレーしたセネターズのディフェンスマン、ジェイク・サンダーソン(ディフェンス、21歳)は語りました。
「彼はいい競争相手だし、アイスホッケーってものをよく理解している。彼は毎晩全力を尽くしてくれているだけさ彼は精神的に強いし、もし(出場停止処分を)乗り越えられる選手がいるとすれば、それは彼のことさ。最近、僕らのチームに光をもたらしてくれたんだよ」。
モントリオールはお得意様さ!
オタワでは、リドリー・グレイグとサンダーソンも得点し、マチュー・ジョセフ(右ウィング、26歳)がエンプティ・ネットで追加点を挙げ、チームはここ6試合で4度目の勝利を収めました(4勝1敗1延長負け。通算では18勝24敗1延長負け)。ヨーナス・コルピサロ(ゴールテンダー、29歳)は24セーブを挙げています。
セネターズは、2022年4月5日から続くカナディアンズ戦連勝記録を8試合に伸ばしました(特定の対戦相手に対して、最長の連勝記録)。
健康状態を取り戻し、3試合ぶりに復帰したジョナサン・コバチェビッチ(ディフェンス、26歳)がゴールを決めましたが、モントリオールは3連敗(連敗中、7得点・19失点)を喫しています。ジェイク・アレン(ゴールテンダー、33歳)は24本のシュートを止めました。
NHL全体でペナルティキル成功率31位(72.7%)のオタワに対し、モントリオールはパワープレー5回を無得点に終わり、オタワのショートハンドで(オタワの人数が少ないにもかかわらず)失点を喫しています。
セネターズも、マン・アドバンテージ(相手ペナルティにより、自チームの人数が多い)の状態にありながら、5回を無得点に終わりました。
ショートハンドの時って、意外と攻撃の約束事がシンプルになる分、
得点が入りやすいときってあるんだにゃ。相手チームも「いつでも得点できる」と油断するし。
そこで緩まずに、しっかり得点できるチームは、やっぱ強いんだよなぁ。
敵に塩を送ってちゃ勝てないよ
モントリオールのキャプテン、ニック・スズキ(センター、24歳)は「あそこで、オタワに3ゴールをプレゼントしてしまったと思ったよ」と語っています。
「フェイスオフの後、なかなか相手の攻撃を崩せなくて、スロット(2つのフェイスオフ・サークル間にあるスペース)にフリーになっている相手選手がいて、ブレイクアウェイ(ディフェンスをかわし、ゴールテンダーと1対1の状況)をされてしまった。
それを除けば、ペナルティ・キル(相手のパワープレーでのチャンスを防ぐ)では素晴らしい仕事をしたと思うよ」。
「今夜は自分達のパワー・プレーを上手くやるのに苦労して、おそらくそれがオタワとの違いだったかもしれない」。
監督も認める「プレゼント」
第1ピリオド・7分45秒、モントリオールのゾーンでのフェイスオフから、ノーマークのグレイグが(エリック・ブランストローム〈ディフェンス、24歳〉のワンタイマーから)リバウンドを(バックハンドで)押し込み、オタワはショートハンドでありながら先制点を挙げました。
モントリオールのマーティン・セントルイス監督は3「先制点はチームにとって痛かったと思う、あれは我々からの贈り物だったからね」と語っています。「それのおかげで、我々は少し立ち直りかけたけど、今、我々の自信なんてものはまだまだ脆弱なものさ」。
「このリーグでプレゼントを贈ると、勝つのは難しいよ」。
なかなか連勝できないし、上位争いにも加われないのは、
モントリオール全体にメンタル面での弱さがあるからかにゃ。
こんな時こそ、ニック・スズキ、負けるな!君のキャプテンシーを見せていこう!
モントリオール、第2ピリオドのパワープレーを活かせず!
サンダーソンはスロット内でルーズになっていたパックを拾い、41秒後、ゴールテンダーのアレンをかわしてリストショットを打ち込み、2-0としました4。
第2ピリオド・6分22秒、ピントはクロード・ジルー(右/左ウィング、センター、36歳)からのパスを5受けて独走し、1対1でゴールを決めて3-0としています。
第2ピリオド、モントリオールは4回パワープレーを仕掛けていますが、なかなか決定的なチャンスを作れませんでした。
5試合連続ゴール中のコール・コーフィールド(左/右ウィング、23歳)にチャンスはありましたが、そのピリオド終了まで残り5分のところで、コルピサロがグローブ・ストップ(つまり、キャッチ)で阻止しています。
第3ピリオド序盤、タナー・ピアソン(左ウィング、31歳。上半身の怪我で19試合欠場後、12月9日以来の試合出場、アイスタイム11分26秒)がポイントシュートを打ち、ポストを叩いてゴールラインを割りましたが、遂にゴールラインを越えることはありませんでした。
コーフィールドはまた、ゴールネット脇の大きなスペースにシュートを打ちましたが、外しています。
試合終了残り7分29秒、(ゴール前にいる味方選手を超えるシュートで、)コバチェビッチがついに6突破口を開きました。
試合終了残り4分、カナディアンズはゴールキーパーをベンチに置き、追加アタッカーを投入したましが、残り2分27秒、ジョセフがエンプティ・ネットにシュートを打ち、ゴールネットを揺らしています。
次の試合
セネターズ:1月25日(木曜日)の夜、ボストン・ブルーインズとの試合を皮切りに、ホーム3連戦(残り2戦は27日、ニューヨーク・レンジャーズ戦、29日、ナッシュビル・プレデターズ戦)が始まります。
カナディアンズ:同じ日の夜、ニューヨーク・アイランダーズを迎え撃ちます。
まとめ
最新の試合結果を見ると、ボストン戦は延長までもつれ込み、オタワは惜しくも2-3で敗れています。とはいえ、勝ち点1はゲットしたし、今シーズンもいまだ負け数一桁のボストンに食い下がったということは、チームが一時の不調から脱しつつあると言っていいでしょう。
ピントは試合出場し、アイスタイムは19分40秒でチーム4番目、ゴール、アシストはありませんでしたが、シュート4本、フェイスオフ勝率55.6%、相手選手へのヒットも3回とどれもチーム・トップ。つまり、それだけ攻守にわたり、チームに貢献していたということです。
まだ、彼もチームも復調したと断言できないものの、もっとやれる選手ですし、チームは上の順位にいてもおかしくない選手層を誇っています。今度のホーム3連戦は改めて選手の力を見極めながら、上に行くためのジャンプ台になるかもしれません。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- ピントの試合後インタビューを要約すると、以下の通り。「僕たちはディフェンスでより良いプレーをしているし、必ずチャンスをチェックするようにもしている。
相手チームに多くを与えないように心がけながら、ただシンプルにプレーしているだけだよ。第3ピリオド、モントリオールは良い10分間を過ごしたみたいで、それで1点を取ったけど、ほとんどの場合、僕たちは彼らの攻撃をシャットダウンしたんだ」。
また、チームメイトのリドリー・グレイグ(センター、21歳)は、インタビューで以下のように答えている、「どいつもこいつもかなり興奮していたね。ピントが得点したとき、本人も少し自分を見失いかけたと言っていたよ。
そんな感じだから、あの得点が決まったのを見たみんなは、まるで夢見心地だったんじゃないかな」。
↩︎ - 1月21日(日曜日)、フィラデルフィア・フライヤーズに5-3で勝利した試合が初出場、1アシストを記録している。
↩︎ - 実際のインタビューでは、チームの守備についてコメントしている。「私が試合中にいいなと思ったのは、我々のディフェンス面が優れているとわかったことかな。
我々は第3ピリオドで少し自信を取り戻したと感じたし、前のピリオドより自分達のプレーができているように見えたので、それは今後の励みになったかな」。
↩︎ - 2点目を取られたことについて、モントリオールのフォワード、ショーン・モナハン(センター、29歳)は以下のように述べている。「ゲーム中、チームの勢いが変わる時って結構あるから、その準備をしなければならない。
2点取られて早い時間帯にしょげてしまうのは、明らかに決して良いことじゃないけど、僕らはそこから立ち直ることができなければならないんだ」。
↩︎ - 試合後、ジルーは次のように語っている。「ピントがスピードを活かして、ディフェンスをかわしているのが見えたから、彼にパックを預けるしかないと思ったんだ。
彼は何度もミスをするような選手じゃないから、ゴールを決めた時、とても嬉しかったよ」。
また、試合展開について、「最初から第2ピリオドまで、僕たちのやりたいことがしっかりしていて、一貫性があり、成熟したゲームをしていたと思うよ。
そして、第3ピリオドで、相手はかなり激しく僕たちにプレッシャーを与えて来たけど、一日が終わってみると、チームは勝つ方法を見つけたのさ」。
なお、ジルーのアシストは699本目で、現役選手で6人目となる700本達成まであと1本と迫っている。
↩︎ - 試合後、モントリオールのフォワード、ジョシュ・アンダーソン(右ウィング、29歳)は、第3ピリオドについて以下のように述べている。
「第3ピリオドになって、僕たちは本当に相手に対して良いプッシュをしたと思うけど、どうすればそのエネルギーをより多く生み出せるのか、その方法を見つけようとしているところさ。僕たちは良いプレーをしたと思っているし、チャンスもあった。
本当に、僕たちはそれらを活用できなければならないね」。 ↩︎