はじめに
開幕から調子の上がらないチームの代表格に入っていたのが、サンノゼ・シャークス、コロンバス・ブルージャケッツ、そしてワシントン・キャピタルズだったのですが、ここからワシントンが脱けつつあります。現在、メトロポリタン・ディビジョン2位と好調キープです。
生ける伝説、アレックス・オベチキンの調子が上がらず、ややベテラン選手依存気味のチーム構成、そしてNHL未経験の監督スペンサー・カーベリーの手腕に疑問符と、不安要素だらけだったワシントン。ところが、意外な強みを活かして勝ち星を稼いでいるのです。
自チームのペナルティの少なさにプラスして、相手にパワープレーのチャンスを与えても、それを確実に潰していく(ペナルティ・キル)、つまり、相手に得点チャンスを与えない、守備的なチームに変貌しているのです。
開幕直後、ワシントンの前評判の低さが現実のものになって、
「うわー」とビックリしたもんだにゃ。
地力がある上に、とにかく守備を固めるチームに即変化したのにもビックリ。
引用元:tsn.ca「Penalty kill key for Capitals’ red-hot run」。
ワシントン、最近、調子いいみたいです
ワシントン・キャピタルズ周辺の雰囲気は今、完璧なものとなっており、荒れ気味のスタートを切りましたが、ようやく勝利の流れに乗っています。ただ、誰もが予想していたような展開にはなっていないだけです。
アレックス・オベチキン(左ウィング、38歳)の得点はわずか5回、かつては恐れられていたパワープレーはNHL最下位、得点数でワシントンより少ないのは、格下のサンノゼ・シャークスだけです。それでもキャピタルズは4連勝、過去10試合で8勝しているのです。
「どの試合も勝つつもりで臨んでいるよ」とトップ・センターで得点王のディラン・ストローム(センター、26歳)は語りました。「このグループは勝つ方法を見つけているし、僕らはどんどん自分たちを信じていけるようになるよ」。
その信念とメトロポリタン・ディビジョンの2位という驚異的な成績は、強力なゴールテンディング、タイムリーな得点、そして若い選手のプロデュースの組み合わせによるものです。
ペネルティ・キルが好調の要因か
しかし、この良い流れの最大の要因は、この期間の23回中23回という完璧なワシントンのペナルティ・キルにあるのです。
キャピタルズは10月24日以来、相手にパワープレーのゴールを許していません。
「それは、ただの繰り返しに過ぎないよ」とペナルティ・キリングのFWベック・マレンスティン(左ウィング、25歳)は言いました。「そのために、確かにペナルティ・キルは重要さ:何度も同じようなシナリオに身を置き、何がうまくいき、何がうまくいかないかを理解することができるからね。
…それをやればやるほど、調整を行い、先を読んで反応することができるようになるんだ」。
1年目のスペンサー・カーベリー監督1は、ベンチから彼のチームのペナルティ・キルを見ていると、パックが氷上を動くたびに、各選手が同じように反応するのを把握しています。
「これは、自分の読みと、次の人がどこにプレッシャーをかける必要があるか、彼らがどこに行くか、自分がここに動き、他の選手があそこに動く、という内容を選手全員が同じように理解し、非常に集中していることを物語っているね。
そして、それは途切れることなく動いているんだ」とカーベリーは言います。「チームのシステムの観点から、全員が同じ考えを持っているように見える」。
現時点で、このNHL初体験監督の技量を決定するのは時期尚早だけど、
意外とチームに約束事を徹底させるのが上手いかもにゃ。
選手がどう動くか、頭の中に完全に入っているタイプと見た。
ペナルティ・キルが成功し続ける要因
カーベリーとゴールキーパーのチャーリー・リンドグレン(29歳)は、アシスタントコーチのスコット・アレン2の準備、特に対戦相手の事前スカウティング、「(対戦相手が)どんな傾向を示しているか」の把握を高く評価しています。
相手のパワープレーが何をしてくるかを見極めることで、(ワシントンの)フォワードは(対戦相手の)パス・レーンで積極的にチャンスを潰していけるのです。
「パワープレーの際、相手チームにとって、氷上にいるのは最高の5人の選手のはずです。
我々(ワシントンの)選手達は相手を混乱させ、プレーを困難なものにし、多くの時間とスペースを与えないという点で、本当に良い仕事をしていると思います」とリンドグレンは言いました。
ペナルティキラーに負担をかけないことが功を奏しているようです:キャピタルズは、NHLで3番目にペナルティの少ないチームとなっています。
また、ゴールキーパーが頼りになり、時には傑出していることも悪くありません。MoneyPuck.com3によると、失点の予想される場面でのセーブ数において、リンドグレンはリーグ3位にランクインしています。
逆に、ワシントンのパワープレーは停滞気味
キャピタルズが1試合あたりわずか2.47ゴールしか決めていないことを考えると、パックを自陣のネットから遠ざけることは不可欠でした。
攻撃面での最大の懸念材料はパワープレーで、今シーズンは43回中3回しか成功しておらず、成功率は7%、ここ最近の23回を見ると、成功は0回です。
「今、僕達は自分に合ったものを探しているところなんだ」とウィンガーのT.J.オシエ(右ウィング、36歳)は言いました。「頑張らなきゃって労働意欲とシンプルさが、この小さなわだかまりから抜け出すための重要な要素になると思っているよ」。
15試合で1ポイントしか獲得していないオシエは、長年のパワープレーの主力であったニコラス・バックストロム(センター、36歳)の不在が影響していると語っています。
バックストロムは長引く股関節の負傷によりチームを離れ、そしてワシントンは、彼の落ち着きある、どっしりとした存在感無しでパワープレーに適応していくのに苦労しています。
それでも、トレード・マークであるフェイスオフ・サークルに陣取るオベチキンのパワープレーが、より大きなアウトプットをもたらすはずです。
リーグのパワープレー・ゴールの通算でトップに立つ彼が、今シーズンの3ゴールのうち、パワープレーでゴールキーパーがネットを揺らしたのは1ゴールのみで、これは主に相手のゲームプランが彼をシャットアウトしたことによるものです。
「他のチームがビッグマン(オベチキン)とどのように対戦しているのか、他のチャンスがどこにあるのかについて、(チームは)リセットして学び直す必要があるのかもしれないな」とオシエは言っています。
さらに微調整すれば、キャピタルズのパワープレーは簡単に弱点から強みに変わる可能性があり、その基礎となる分析はポジティブなものです。
オベチキンだけ特別な存在としてプレーさせるか、
あくまでも「チームの一選手」として扱うかで、
今後のワシントンの攻撃力が変わってきそうだにゃ。
新監督の腕の見せ所は、これからかもしれない。
パワープレーを改善すれば、ワシントンはもっと勝てる!
Natural Stat Trick4によると、(ワシントンの)パワープレーの際、ゴールと予想された数は13で、現実とは10点の差があり、その数の逆転は難しいかもしれないという不運を示唆しています。
「もし追加点のサポートを得られるようにしていくのであれば、パワープレーの改善は明らかに重要なことだ」とストロムは言いました。「パワープレーは、今年の初めから本当に進んでいないパズルの最後のピースのように感じるね」。
完全にパズルを組み立てれば、ワシントンはシーズン後半までプレーオフ・レースに残ることができますが、開幕から5試合で4敗を喫した直後、その可能性は低いと思われていました。
今となっては遠い記憶のように感じられますが、それでもキャピタルズの前に、この成功を持続できるもっと良いホッケーがまだある、と選手達は信じています。
「こういう勝ち方ができるのは嬉しい」とオシエは言います。「まだ到達すべきレベルはいくつかあるけど、今は良い土台があるから大丈夫さ」。
まとめ
11月24日の試合結果を見ると、絶不調の優勝候補=エドモントン・オイラーズに0-5となすすべなく敗戦。自慢の守備も一時休業状態だったか、全く機能しませんでした。
「まあ、長いシーズン、こういう事もあるさ」と割り切れるかどうか、監督をはじめとしたスタッフのチーム・マネジメント力が試されそうです。
攻撃的で、やや粗いプレーも目立つ今シーズンのNHL。そのリーグの傾向を逆手に取ったワシントンの頭脳的戦術は、確かに着眼点の面白さを感じます。
相手チームに読まれそうな感じもしないではないですが、売れっ子アシスタントコーチのスコット・アレンが次の手を考えているはずなので、それをどう出してくるか楽しみです。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 以前、このブログで触れた記事はこちら→☆。
↩︎ - 米国マサチューセッツ州ニューベッドフォード出身、57歳。現役時のポジションはセンター。NHLでのプレー経験はないが、ニューヨーク・アイランダーズ、フロリダ、アリゾナでコーチ歴あり。アリゾナ時代、リーグ最高のペナルティ・キル率を記録した。
↩︎ - NHLの試合をライブでフォローし、リアルタイムでオッズの変化を見られるサイト。プレーオフのオッズ、選手とチームのスタッツもすぐに分かる。
↩︎ - NHLの標準的な統計記録と高度なもの、両方の情報を得られるサイト。各試合ごとに詳細なレポートが更新されている。ログイン会員になると、試合当日のプレビューやカスタマイズ・オプションにいち早くアクセスできる。 ↩︎