NHLの南半球デビューは大成功!オーストラリアは熱狂の渦に!

その他のNHLネタ

はじめに 

 NHLのプレシーズン・マッチの目玉、オーストラリアで行われたグローバル・シリーズは、大成功に終わりました。これから暖かくなる国で、冬のスポーツとも言うべきアイスホッケーが、どんな受け入れられ方をするか、やや不安でしたが、全く心配いらずでした。 

 スピード感とバチバチ当たり合うプレーの数々がオーストラリアっ子のハートを鷲掴みにしたのは、ラグビーをはじめ、元々球技の盛んなお国柄を基礎としていたから、と言えるでしょう。アイスホッケーを「球技」とするかどうかは、この際、問わないことにします^^;。 

 今回の記事は、オーストラリアの広い国土に爪痕を残したNHLについて、現地ファンがどんな感想を抱いたかが中心になっています。あー、日本にも爪痕残してくれ〜。 

讃岐猫
讃岐猫

引用元:ESPN.com「Breaking ice Down Under: NHL’s southern hemisphere debut thrills Aussie fans

グローバル・シリーズがファンのハートを鷲掴み!

 9月に入り、澄み切った青空から春の太陽が姿を現しました。メルボルンパークに歓喜のエネルギーが押し寄せ、お気に入りのガーンジー1を誇らしげに身に着けた、何千人もの熱狂的なスポーツファンの背中を照らしています。

NHLのグローバル・シリーズ、オーストラリア遠征については、こちらもどうぞ↓。

 この街にとって目新しいことは何もありませんが、オーストラリアン・フットボール2へのファンの熱狂だけが、この国最大のスポーツの最終週を前にしていることを、明らかに示しています。 

 しかし、この週末、AFL3チームのおなじみの色を、(ファンは)着用していませんでした。いいえ、この2日間だけは違っていたのです。9月23日と24日(土曜日、日曜日)、普段、足で取るリズムが他のどの国よりも大きく鼓動する国で、新しい種類の興奮が漂っていました。  

 興奮の雄叫びは、有名なメルボルン・クリケット・グラウンド4(MCG)の轟音や神聖なグラウンドのためではありません。いや、これは南半球で初めてのNHLによるものであり、熱心なオーストラリアのスポーツファンの心と想像力をとらえたのです。 

会場は有名なテニス・コート

 ウェスタン・カンファレンス所属アリゾナ・コヨーテズとロサンゼルス・キングスは、2023年グローバル・シリーズで対戦する両チームであり、NHLプレシーズンの一環として、それぞれ本拠地のテンピとロサンゼルスからそれぞれ約8,200マイル(13,196km)と7,900マイル(12,714km)離れた場所で2試合を行いました。

 世界最大のアイスホッケーリーグの登場は、ロッド・レーバー・アリーナ5とその周辺を埋め尽くした友人や家族の歓談に迎えられたのです。

 通常は世界最大級のグランドスラム大会のために用意される競技場は、すぐにアイスリンクに変えられ、そこでテニスボールをフェイスオフのドット(フェイスオフ・サークルの中心点)やスケート表面全体のコートマークに組み込むことで、全豪オープンに敬意を表しました。

 あるファンは、このオーストラリア初の週末を体験するためにブリスベンから飛行機で降りてきて、日曜日の試合に向けてESPNに「とにかく素晴らしい」と語っています。

讃岐猫
讃岐猫

ファンも大盛り上がりで語ってくれた!

 「僕はかなり新しいファンなので、自分にとってのNHLは本当にクールだ。デビルズのファンで、過去6〜12か月間、彼らのグッズを少し集めてきましたが、別のデビルズ・ファンの前を通り過ぎるとき、『おい!』と互いに認め合ったりしているよ」。

 「僕はリーグ(NRL6)もフォローしていて、(ブリスベン・)ブロンコスのファンだよ。大のテニスファンでもあり、普段は毎年ブリスベン国際7に行ってるけど、面白いことにロッド・レーバー・アリーナは初めてで、しかもテニスのためじゃないんだからね!」。

 「雰囲気は明らかに違うね。観衆は温まる(この雰囲気に慣れる)のに時間かかったんじゃないかな。選手同士の対決は本当に盛り上がっていたね–ゴールへの声援よりも、試合への声援の方が多かったと思うけど、それはオージーだけのことかもしれないね!」と彼は付け加えました。

 経験豊富なファンも、初めてのファンも、アメリカで最も愛されている娯楽のひとつを味わうために遠くからやって来たのです。

試合前日から大盛り上がり!

 9月22日(金曜日)、NHLファンフェスティバルもロッド・レーバー・アリーナの外で開幕し、ホッケーをテーマとしたさまざまなアクティビティやグッズ売り場に、ファンや一般の人々が自由にアクセスできるようになっていました(全32チームが約2万人の観衆を魅了していました)。

 それは、主催者にとって目を見張る光景となったのです。NHLが地球の反対側にやって来ると聞いた時、ためらいはありませんでした。

 「クレジットカードはどこだ?」というのが別のファンの反応です。「チケットを手に入れて、その後のフライトや宿泊について心配しちゃったよ」。

 アリゾナのヘッドコーチ、アンドレス・トゥーリニーをはじめ、コヨーテズとキングスの登場は(ファンの)情熱に火をつけ、誰もが予想だにしなかった高速ゴールによって、電気ショックを受けたような雰囲気と、骨がガタガタと揺れるような衝撃を呼び起こしました。

 「通りの至る所、そして観衆の中に、NHLのジャージが信じられないほどたくさんあったね」と彼は語っています。

 「正直に言うと、そんな状況を予想していなかったよ」。

 「ここ(オーストラリア)から遠く離れているのに、どのチームのジャージも目にするなんて…NHLのファンの多さには驚かされるね」。

讃岐猫
讃岐猫

チケットは完売!それに応えるような熱戦!

 2日間で完売となり、満員の観衆は騒然となりましたが、氷の上でのプレーは期待を裏切りませんでした。

 2回の対戦のうちの最初の試合、第2ピリオドだけで7ゴールを決め、コヨーテズは試合終了間際にオープンネットでゴールを決め、5-3で勝利しています。日曜日も試合は続き、キングスが3-2で勝利し、第3ピリオドでは5ゴールのうち4ゴールが立て続けに決められました。

 アメリカ生まれのオーストラリアン・フットボール選手、メイソン・コックス8(来週開催のグランドファイナルに向けて準備を進める、コリングウッド・マグパイズ9所属)によるパックドロップ(始球式)で日曜日の試合を開始すると、意外にもブーイングと拍手の大合唱となりました。

 唖然とするようなゴール、激しいぶつかり合い、決定的なゴールをセーブしたプレーは、その場に応じた歓声に包まれましたが、両試合に先立ってジョーダン・スペンス(22歳)の名前が発表された時、観衆のエネルギーが最もよく表れていたのです。

選手達も感動!

 キングスのディフェンスマンは、2021-22シーズン、オーストラリア生まれ(シドニー出身)の選手として初めてNHLでスケートすることになり、彼の紹介は観客席のオーストラリア人に熱狂的に受け入れられました。

 キングスのゴールテンダー、キャム・タルボット(36歳)は「信じられないような雰囲気だったよ。連日満員の試合は信じられないほどさ…ファンはずっと夢中になっていたね」と語っています。

 「新しい国に来たとき、僕らの試合がどのように受け取られるかはわからないさ…でも、この街のファンの皆さんの対応や、僕らのためにやってきて姿を見せてくれたことを高く評価し、尊敬しているよ。それは素晴らしい経験だった」。

 キングスとコヨーテズにとって、これは彼らのトレーニングキャンプの始まりにすぎません。しかし、オーストラリアのスポーツにとって、これは単なるアイスホッケーの試合以上のものでした。

讃岐猫
讃岐猫

オーストラリアに、記念すべき第一歩

 NHLのオーストラリア訪問の影響が、同国のスポーツ界に消えない痕跡を残すかどうかの判断は難しいものです。

 しかし、1つ確かなことは、このリーグは、2日間の豊かな経験によって、新たな支援と熱意を得たアイスホッケー・コミュニティー繁栄の種を、今、地球の反対側へまいたということです。

 カンガルーやコアラ、フットサルの熱狂的ファンで知られるこの国は、キングスとコヨーテズの作った歴史を通じて、常に新しいものを受け入れる余地があることに気づいたのです。

 これは、オーストラリアの新しいスポーツ時代の幕開けだったのでしょうか。少なくとも、これら2つのゲームの遺産は、今後何年にもわたって共感を呼ぶでしょう。

まとめ

 元記事を読み終えた感想は、とにかく「羨ましい!」の一言です。世界中、配信等でNHLの試合を見られるようになったことも大きいと思いますが、それは日本も同じはずです。しかし、越えられない壁として、「言葉」の問題があるのかもしれません。

 あの熱狂的な実況の内容が瞬時に理解できるかどうかは、かなり大きな問題であって、例えばNFLやNBAの配信にしても、やはり日本語解説のあった方がいい、という意見が多いのも実状です。日本語によるガイド本のようなものがあれば、また様子も変わってくると思うのですが。

 いずれにしても、DAZNで1試合でもいいから配信があるとか、「NHL JAPAN(仮称)」のようなサイトができることを、首を長くして待つしか、今はできないのかもしれません。

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. 後述のオーストラリアン・フットボールの選手が着用する、袖なしのユニフォームのこと。長袖もあり、「ジャンパー」と呼ばれる場合もある。
    ↩︎
  2. Australian rules footballのこと。楕円形のフィールド(多くの場合クリケット場を改造したもの)で18人の選手からなる2チーム間でプレーされる。

    中央のゴールポストの間(6ポイント相当)、または中央と外側のポストの間(1ポイント相当、「ビハインド」として知られる)に楕円形のボールを蹴ることによって、得点となる。
    ↩︎
  3. 1896年創立のオーストラリアン・フットボールのプロリーグ。18チームが参加しており、3月〜9月に行われている。トヨタオーストラリアが冠スポンサーであることも手伝ってか、日本でも試合映像を見られる。詳しくはこちらへ→
    ↩︎
  4. ビクトリア州メルボルンのヤラパークにあるスタジアム。メルボルン・クリケット・クラブによって設立および管理され、南半球最大のスタジアム。世界では11番目に大きく、収容人数では2番目に大きい(100,024人収容)。
    ↩︎
  5. ロッド・レーバー・アリーナ=詳しくはこちら→
    ↩︎
  6. 1907年創立のニューサウスウェールズ・ラグビーリーグを母体とし、1997年創立のナショナル・ラグビー・リーグのこと。オーストラリアとニュージーランドから16のプロ・チームが参加。優勝チームは、ヨーロッパ中心のスーパーリーグの優勝チームと対戦。
    ↩︎
  7. 2009年より、クイーンズランド・テニス・センターで開催されるテニス大会で、新年最初に行われる。全豪オープンの直前ということもあり、全豪の前哨戦と位置づけられる。2019年、錦織圭が優勝した大会として記憶される。
    ↩︎
  8. テキサス州出身、身長2メートルを超す大型選手。元々はバスケを志していたが、2014年4月、ロサンゼルスで開催されたオーストラリアン・フットボール選手候補者のためのUSインターナショナル・コンバインに招待され、好成績を収めたため、現在の道へ進むこととなる。
    ↩︎
  9. 1892年、メルボルン郊外のコリングウッドにて設立。マグパイズとは、エンブレムにあるカササギのこと。前述メルボルン・クリケット・グラウンドをホームとする。レギュラー・シーズンは1位。2位のブリスベン・ライオンズとファイナルで対戦予定。
    ↩︎
タイトルとURLをコピーしました