はじめに
今シーズン、大型連勝するチームが多く、エドモントン・オイラーズやニューヨーク・レンジャーズがその筆頭格でしょう。その真逆でどうも勝てない、「いつ見ても負けチーム」の筆頭格がサンノゼ・シャークス。第2ピリオド途中で大量失点により試合終了…という内容ばかり。
2024年幕開けから「いいとこまで行くんだけど、なぜか勝てない」試合を続けていたのが、推しチームの一つ、アリゾナ・コヨーテズ。サンノゼほどコテンパンにやられている訳ではないだけに、試合結果を見る度に、言い知れぬ悔しさを募らせていました。
そのアリゾナがやっと勝てた!暫定監督に代えても調子の上がらないオタワ相手だというのが、喜びを少なくさせるものの、とりあえず勝った喜びに浸りたい…。イキの良い若手が頑張ってくれているし、普段、控えのキーパーがスーパーセーブを見せたりとお楽しみは豊富です。
昨シーズンの今頃のアリゾナが、今のサンノゼと同じ感じだったにゃ。
試合開始と同時に大量失点なんてザラ。オフの適材適所な補強が効いているのと、
ずっと取り組んでいる若手育成が順調なのは大きい。
それにしても14連敗、長すぎるよ…。
引用元:apnews.com「Guenther scores tiebreaking goal in third as Coyotes beat Senators 5-3 to snap 14-game skid」。
NHL.com「Coyotes Top Senators 5-3 in Ottawa on Friday」。
アリゾナ、14連敗でストップ!
ディラン・ギュンター(右ウィング、20歳)は第3ピリオドの早い段階でタイブレーク・ゴールを決め、金曜日の夜1(カナディアンタイヤ・センターで)、アリゾナ・コヨーテズはオタワ・セネターズを5-3で破り、14連敗を止めました。
マイケル・カーコーネ(左ウィング、27歳)、J.J.モーザー(ディフェンス、23歳)、ニック・シュマルツ(センター、28歳)、マティアス・マチェリ(左ウィング、23歳)も得点し、コヨーテズは1月22日以来の最初の勝利を収め、(勝利に近い試合があったにもかかわらず、)0勝12敗2延長負けという急激なチームのブレーキに終止符を打っています。
カレル・ヴェイメルカ(ゴールテンダー、27歳)は10試合に出場して0勝8敗でしたが、34本のシュートを止めて、12月27日以来の勝利を挙げました。
アリゾナ監督や選手の談話
「誰にとっても大きなことだ」とコヨーテズのアンドレ・トゥリニー監督は言います2。「コーチ、経営陣、ファン、メディア、すべての人のために。勝てる環境に身を置きたい、成功したいと思っている」。
第3ピリオド・4分18秒、ギュンターはパワープレー・ゴールを決め、セネターズのゴールキーパー、トップ・シェルフ(試合中に何度も質の高いセーブを見せたゴールキーパーのこと)だったアントン・フォースバーグ(31歳)の腕の下を突き破り、3点リードを追いつかれたコヨーテズに4-3のリードをもたらしました。
「大きな安堵感に包まれているよ」とギュンターは言っています3。「最近は本当にいいプレーができていると思う。連敗を乗り越えて、いいプレーを続けることができたのは本当に良かった」。
トゥリニー監督は「ギュンターが試合の重要なポイントでキープレーヤーになると分かっていたよ。彼にはあの風貌と威勢の良さがあるからね。そういうポイントで氷上にいたいと思っている選手だし、チームが求めているキャラクターを兼ね備えている」。
残り1分15秒、マチェッリはエンプティ・ネットを揺らし、追加点を挙げ、勝利を決定づけました。
「誰もが長い間、勝ちたいと思っていたよ」とヴェイメルカは言います4。「今のところ、勝利は僕らにとって特別な味するよ。いろんな感情が湧いてきました。チームにとってうれしい、とにかく幸せな気分だ。僕らはついに実現したんだね」。
相手が下位に沈むオタワだったから、アリゾナが勝ちを拾えた感じもするんだにゃ。
第2ピリオドなんて、ほとんど攻撃が形になっていなくて、防戦一方。
第3ピリオド、相手が疲れてきた所を逃さなかったのは、まあ、及第点って感じ。
正GKを欠いたオタワ、キャプテンも途中退場…
レギュレーション・タイム(60分間)の残り3分30秒、セネターズのキャプテン、ブレイディ・トカチュク(左ウィング、24歳)は試合を去りました。この第3ピリオドの早い時間帯、トカチュクは(相手チームから)アタックを受けていたのです。
ウラジミール・タラセンコ(右ウィング、32歳)、ドレイク・バサーソン(右ウィング、25歳)、シェーン・ピント(センター、23歳)が得点したが、セネターズは3連敗となりました。フォースバーグはヨーナス・コルピサロ(病気で欠場)の代役として26セーブを挙げています。
「(試合の)スタートで多くのショットを打って、少し落ち着くことができたようだ」とフォースバーグは語りました。「我々のスタートは良くなかったと思う。第1ピリオドに3-0となって、チームがダウンしていたのは明らかだ。
…それでも、我々のチームは力強くなって試合に戻ってきたということさ(3-3のタイに持ち込んだ)。最終ピリオド、僕はチームに勝つチャンスを与えるため、もっとセーブをしなければならなかった」。
幸先いいスタートを切ったのはアリゾナ
試合開始7分31秒、カーコーネはリアム・オブライエン(センター、29歳)のシュートのリバウンドを拾い、トラフィックを抜けて5フォースバーグを破り、アリゾナの得点の口火を切りました(シーズン16ゴール目、チーム4位)。
5分余り後(12分39秒)、モーザーは左フェイスオフ・サークルの上から(ワンタイム・)シュートを決めて、2-0にしました。
第1ピリオド・残り4分23秒、2マン・アドバンテージ(アリゾナ:5人、オタワ:3人)の場面で、シュマルツはマチェリからクロス・アイス・パス6を受け、ショートサイド7に向けてパックをルーフ・シュート8し、自身17点目となるシュートを決め、リードを3-0に広げています。
「試合の序盤から我々はもっと良くならなければいけなかったと思うが、スペシャルチーム9はパワープレーで2点を与えてしまったし、いくつか疑問の残る(審判の)判定があったと思う。
実際、どの判定にも納得できなかった」とセネターズの暫定監督、ジャック・マーティンは言いました。「そこが勝負の分かれ目だと思ったよ」。
アイスホッケーのペナルティって、「うーん、そうか?」ってのが多いのは仕方ないにゃ。
今シーズンのオタワ、得点機会は割と多くて、それなりに得点するんだけども、
すぐにザルのように失点してしまう悪い癖が出てしまった第1ピリオドだった。
オタワも反撃したが…
オープニング・ピリオドの残り1分51秒、(ヤコブ・チクルン〈ディフェンス、25歳〉からのパスを受けた)タラセンコはフェイスオフ・サークルの下からショットを放ち、セネターズをペースに乗せました。
第2ピリオド、(シュート数で)オタワはアリゾナを19-4と圧倒し、2分3秒差で2得点して同点に追いついています。
残り6分11秒、バサーソンはジェイコブ・バーナード・ドッカー(ディフェンス、25歳)のシュートのリバウンドを拾い、ヴェイメルカをかわしてリードを1点に縮めています(今シーズン21ゴール目)。
その後、ピントはピリオド残り4分8秒にパワープレーのゴール(右サークルからのシュート)で同点に追いつきました。
【付記】
一旦、同点に追いつかれ、逆転勝利したことについて、トゥリニー監督は以下のように語っている。
「試合を同点にされたとき、我々は少し緩んでいたね。(その後、逆転したことについて)選手たちが、どれだけチームのことを気にかけているかを示している。このところ、ずっと試合のプロセスについて話してきたけど、みんな気にしているんだ。
ロッカールームにはとんでもなくいいグループがいる。何度も何度も言ってきたことだね。何度も何度も言ってきたことだが、ウチのチームの反撃ぶりを誇りに思うよ。そして、最終的に我々は勝ち点2を取れたんだ」。
次の試合
コヨーテズ:日曜日、ワシントンで5試合の遠征を終了。
セネターズ:土曜日の夜。フィラデルフィアから4試合の遠征がスタート。
まとめ
最新の試合結果によると(3月3日)、ロード最終となるワシントン・キャピタルズ戦、5-2でアリゾナの勝利!パチパチ!オタワ戦で活躍したギュンターとシュマルツが、この試合でもゴールを決め、アシストもギュンターが2、シュマルツが1と良い感じで来ています。
オタワ戦の第2ピリオド、全く攻撃が機能しなかったのを反省したのか、ワシントンとの第2ピリオドでも2得点を決め、ワシントンを突き放したのは好材料でしょう。今後の課題は、これが上位チーム相手でできるかどうかです。特に中押しゴールが取れるかどうか。
ワイルド・カード圏内争いはほぼ脱落と見ていいアリゾナですが、昨シーズンのような貧弱なチーム力がかなり改善され、今シーズンはかなり楽しませてもらっています。いい試合しているのに、ホーム・スタジアム移転問題が解決しないなんて、ホント信じられない…。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- コヨーテズは、ロード4試合中の3試合目、そして連戦の2試合目だった。
↩︎ - インタビューでは、他にも次のように語っている。「多くの試合で、我々はより良い方向に向かっていると感じてはいたんだ。
オールスター・ブレイクの後、我々はゆっくりとしたスタートを切ったが、以前ほど悪くなっているとは思っていなかったよ。より良いチームになっていることを理解している。うまくプレーすれば、リーグの誰にでも勝てるさ」。
↩︎ - インタビューでは、他にも次のように語っている。「ここ数週間、僕らは本当に良いプレーをしていたし、今夜はその恩恵を受けたのさ。この自信を次の試合につなげるつもりだ。
僕らはこれに勝ったからといって、ここでパレードを計画している訳じゃないよ。やるべきことはたくさんあるし、ここから勢いを増していくはずさ」。
WHLで2つのタイトルを獲得したギュンターは、世界ジュニア選手権でカナダ代表でゴールデンゴール(チェコとの決勝戦、延長戦での決勝ゴールのこと)を決め、今シーズン初めにAHLからトップへ昇格する前、29試合で10ゴール・18アシストを決めており、ツーソン・ロードランナーズ(アリゾナの下部組織チーム)のトップ選手だった。
WHLでは、エドモントン・オイルキングス所属。2019-20シーズン、58試合で59ポイント(チーム・トップの26ゴール)を獲得し、WHLのルーキー・オブ・ザ・イヤー=ジムピゴット・メモリアル・トロフィーを授与される。
2021-22シーズン、ギュンターは45ゴール・91ポイントでチーム・トップ。その後のプレーオフでもエド・チノウェス・カップを獲得し、13ゴール・21ポイントを記録した。
↩︎ - インタビューでは、他にも次のように語っている。「時にはリンクの上にいるチームメイトが僕を助け、時にはみんなが僕の助けを必要とするだろ。
あれは明らかにビッグ・セーブだったけど、僕は自分のすべきことに集中していて、忍耐強く、向こうが撃ってくるのを待っていたんだ。あのセーブはチームの勝利であり、僕らはこの勝利の瞬間を本当に楽しむだろうね」。
ここでの「ビッグ・セーブ」とは、オタワのパーカー・ケリー(センター、24歳)のブレイクアウェイ・シュートを、ヴェイメルカが左パッドでセーブしてリードを守り、コヨーテズがそのまま試合を終わらせられたことを指す。
↩︎ - トラフィックとは、ゴールキーパーの視線を妨害し、得点の機会を作り出すため、相手ゴール前、プレーヤーが戦略的に配置するアイスホッケーの戦略を指す。
↩︎ - ゾーンを横にまたぐ距離の長いパスのこと。
↩︎ - ゴールマウス内にいるゴールキーパーが右か左に体を寄せ、それによりゴールポストとキーパーの間にできた狭いゾーンのこと。
↩︎ - ゴールマウス天井ネットに突き刺さるようなシュート。
↩︎ - ペナルティーを受けたチームがディフェンス・プレーヤーを通常より多く集めたグループのことで、パワープレーやペナルティ・キルの際によく使われる。 ↩︎