NHL各チーム、オフシーズンの過ごし方を考える(パート2)

NHLチーム紹介

はじめに

 NFLドラフト中継を見ていると、その盛況ぶりに圧倒されつつ、NHLはこれだけ盛り上がるんだろうか、と大変不安になりました。指名順が確定したら(確定は5月8日)、また違ってくるのかもしれませんが、今は嵐の前の静けさと考えておきましょう。

 さて、今回もプレーオフ敗退チームの敗因と今後どうすべきかを探っていくのが、記事の主な内容です。恥ずかしながら、何部作になるか分からない予定です(^^;;。パート1はこちら→

讃岐猫
讃岐猫

今回は、第1ラウンド敗退の2チーム、

ウィニペグ・ジェッツとL.A.キングス編をお届けするにゃ。

キングスはオイラーズと激闘を演じたけど、一歩及ばず!

引用元:ESPN.com「Keys to the offseason for NHL teams, including free agency plans」。

第1ラウンドで敗退チームを分析する!

ウィニペグ・ジェッツ

ベガス・ゴールデンナイツと5試合戦い、敗退

2023-24シーズンの予想キャップスペース:12,992,143ドル(日本円で約17億円)

2023年のドラフト指名権:1位、3位、5位、5位(NYR)、7位

※NYR=ニューヨーク・レンジャース。レンジャースからトレードでドラフト5巡目指名権を獲得。

何が悪かったのですか?

 レギュラー・シーズンで最も強力な守備力を誇るチームから、60分あたりの失点数が最も多く、1試合あたりの失点数でもトップ5に入ったチーム(3.80で3位)になってしまったことは、5試合でファーストラウンドからジェッツ墜落の理由の一部となりました。

レギュラー・シーズンで最も強力な守備力を誇るチーム=総失点数も、1試合あたりの失点率も、32チーム中10位。それほど強力な守備とは言えないが…。

 ベガス・ゴールデンナイツに5-1で勝利し、シリーズを開幕したことから考えると、対照的な結果となりました。

 コナー・ヘルビュイック(ゴールテンダー、29歳)を中心とした守備的なサポートを提供しながら、5ゴールを決めたことにより、ウェスト・カンファレンス・第1シードに対し、ジェッツが手ごわい挑戦者になりうると最初の印象を与えたのです。

失点数があまりにも多い

 代わりに、次の4試合で18失点(第2・3戦は5失点、第4・5戦は4失点)を喫してしまいました。第2戦と第4戦では先制点を挙げましたが、なかなかリードを守れませんでした。

 第3戦にわずか1分14秒の出場のみで、オールスター出場歴のあるディフェンス、ジョシュ・モリッシー(ディフェンス、28歳)を下半身の怪我により失ってしまい、彼はシリーズ終盤に出場できませんでした。しかも、それだけが、チームの直面した怪我の問題ではなかったのです。

 ウィニペグは最初の4試合でニコラジ・エーラーズ(左ウィング、27歳)を欠いていましたし、マーク・シャイフェレ(センター、30歳)は怪我で第4戦を離脱し、51試合で30ポイントを記録していたルーキーのコール・ペルフェッティ(センター、21歳)は、2月からIR(Injured Reserve)にいたのです。

 レギュラー・シーズンで60分あたりのシュート数は11位でしたが、このポストシーズンで、(敗退したチーム中)ジェッツは4番目に多くのシュートを許し、さらにヘルビュイックの仕事を増やしてしまったのです。

 プレーオフ・チームでジェッツよりレギュラー・シーズンの得点(246)が少ないのは、ミネソタ・ワイルド(239)とニューヨーク・アイランダーズ(242)だけでした。それが、第1戦での5ゴールの奮闘を、より魅力的なものにしたのです。

 ジェッツが何かを解き放った可能性を提示し、プレーオフにおける1試合あたりの平均ゴール数が7番目に多かったという事実(1回戦終了時点。現在は11位)によって、それは証明されたのです。

 結局、1回戦において、5対5で最多失点を許して敗退したチームにとって、その事実だけでは物足りなかったわけですが。

讃岐猫
讃岐猫

ゴールデンナイツの速い出足に付いていけないシーンが目立ったかにゃ。

第2戦以降、ジェッツの攻撃シーンもあまり多くなくて、

ファンはつまらなかったかも。

オフシーズンの鍵

 ジェッツはここからどこへ行くのか?彼らはこのチームを維持し、問題領域に対処するため、数人の選手を追加することを選択しますか?それとも、その代わりに将来のことを見据えて(若手主体に切り替えて)、再スタートするのが得策だと考えているのでしょうか。

 ジェッツにとって、これらはシーズン開幕前に直面していた問題であり、今シーズンの終わり方が議論を再燃させてしまったのです。

 ジェッツの対処すべき項目は他にもあります。ピエール=リュック・デュボア(左ウィング、24歳)は、キャリアで最も強く攻撃的なシーズンを過ごした、制限付きフリーエージェントの選手です。彼にとって、新しい契約はどのようなものになるのでしょうか。

 ディラン・サムバーグ(ディフェンス、24歳)とローガン・スタンリー(ディフェンス、24歳)のRFA(制限付きフリーエージェント)ディフェンスのペアについても、近々決定が下されます。

 また、無制限フリーエージェントのウラジスラフ・ナメストニコフ(センター、30歳)は、レギュラーシーズン16試合で9ポイント(プレーオフ第1ラウンドでさらに2ポイント)を記録しており、(その成績が)ジェッツの残留交渉を進展させる理由になると主張しています。

2023-24シーズンの現実的な期待

 ジェッツの2023-24シーズンの計画の多くは、オフシーズンに何が起こるかにかかっているようです。おそらく、ジェッツをより安定させるために、フロントは必要な得点力を見つけられると信じているのかもしれません。

 あるいは、全く別の方向へ行く方が賢明だと感じているかもしれません。いずれにせよ、ヘレブイック、シャイフェレ、ブレイク・ウィーラー(右ウィング、36歳)の3人が契約の最終年を迎えるという、興味深い状況に直面しています。

ロサンゼルス・キングス

オイラーズと6試合戦い、敗退

2023-24シーズンの予想キャップスペース:2,549,583ドル(日本円で約3億4千万円)

2023年のドラフト指名権:2位、3位(PIT)、4位、5位、6位

※PIT=ピッツバーグ・ペンギンズ。ピッツバーグからトレードでドラフト3巡目指名権を獲得。

何が悪かったのですか?

 最終的にキングスが1回戦で敗退することになった経緯を説明するには、「近いが十分ではない」というのが最も簡潔な表現かもしれません。

 第2戦で2失点した後、同点に追いつくには十分でしたが、一歩及びませんでした。第4戦では3点のリードを奪われ、延長戦の末に敗れ、第5戦では同点ゴールが決まりませんでした。

 また、オイラーズのパワープレーが有利に働いたわけでもなく、キングスはプレーオフでのペナルティーキル率(43.8パーセントで最下位。それだけパワープレーを決められている)が低かったのです。

讃岐猫
讃岐猫

オイラーズにパワープレー決められても、それを跳ね返して、

さらに上を行く力強さが足りなかった訳だにゃ。

同点の一歩手前までは行くんだけど。

オフシーズンの鍵

 キングスの中核メンバー数人は、少なくともあと1シーズンは契約を残しています。しかし、ガブリエル・ヴィラルディ(センター、23歳)はその一人ではありません。

 23ゴールを挙げた得点者は、保留中の制限付きフリーエージェント6人のうちの1人で、またトレード期限日に加入したウラジスラフ・ガヴリコフ(ディフェンス、27歳)とヨーナス・コルピサロ(ゴールテンダー、29歳)は、保留中の無制限フリーエージェントの選手です。

 キングスは、ガヴリコフやコルピサロをどうするかということに加えて、少なくともヴィラルディと再契約するために、何らかの方法で資金を確保する必要がありそうです。

 彼らのオフシーズンを興味深いものにするもう一つのアイテムは、カル・ピーターセン(ゴールテンダー、28歳)に何が起こるかです。2022-23シーズンは、年間500万ドル(日本円で約6億7千万円)相当の3年契約初年度であったピーターセンにとって、挑戦的なシーズンでした。

 ピーターセンと、期限日にトレードされたジョナサン・クイック(ゴールテンダー、37歳。現在、ゴールデンナイツ所属)の奮闘があまりにも大きかったため、コルピサロをトレードで獲得する前、キングスは長期間にわたってフェニックス・コプリー(ゴールテンダー、31歳)を先発させ、シーズン残り試合に向けて新たなプランを作り出さざるを得ませんでした。

2023-24シーズンの現実的な期待

 キングスが激烈な競争の中にいることを否定できません。ドリュー・ドーティ(ディフェンス、33歳)とアンゼ・コピター(センター、35歳)を中心に選手を育成しながら、何年にもわたって若手有望株をドラフトで獲得し、育成し、外部から選手を加えてきたことが、このポジションに彼らをたどり着かせた理由です。

 しかし、第1ラウンド(突破)は依然として問題となっています。直近のスタンレーカップで言えば、2014年に優勝して以来、第2ラウンドに到達していません。来年、キングスが次のステップに進むのを見る年になるのでしょうか?

讃岐猫
讃岐猫

このチームの強化方針は、

2人の大ベテランも積極的に若手育成へ関わらせるものなんだにゃ。

「育てながら勝つ」、その難しい課題に取り組みつつ上を目指すのか、

方向転換をするのか。

このオフは、重大な決断に迫られるかも。

まとめ

 今回の2チームは、「ここ一番で得点できない」という共通点を持っていたようです。言い換えれば、「勝負弱いチーム」でしょうか。見ていて感じたのは、1人で不利な状況を打開できる「切り札の不在」もあったことです。

 頻繁に選手を交代できるアイスホッケーだからこそ、そういう選手が必要な気もするのです。

讃岐猫
讃岐猫

第1ラウンド敗退チームのオフシーズンの過ごし方について、

これからも考えていく予定だにゃ。

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

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