NHLコザリ主審、タンパベイDFと衝突!回復の見込みは?

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はじめに

 日本の情報サイトでも結構取り上げられ、このブログでも言及した「フェイスオフ直後の乱闘で8人退場」事件の次は、審判と選手の偶然の衝突があり、両者とも負傷したニュースが入ってきました。特に審判の方はまだ何とも言えない状況のようです。

 意図的にぶつかったのではなく、両者がパックを追っていたが故の衝突であり、誰が悪いわけでもありません。特にレギュラー・シーズン終了間近、プレーオフ圏内を目指し、かつ自身の成績を少しでもアップさせねばと必死にプレーする選手へストップをかけられません。

 もうだいぶ前になりますか、まだ現役だった、阪神タイガース・西岡選手と福留選手の守備時の激突シーンを思い出しました。生で観ていて、最初、ピクリとも動かない西岡選手の姿に物凄い不安を感じたのを覚えています。

讃岐猫
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引用元:NHL.com「Referee Kozari stretchered off during Penguins-Lightning game

リンク上で不運な衝突を見たピッツバーグ監督

 主審のスティーブ・コザリは、PPGペイントアリーナでピッツバーグ・ペンギンズが5-4で勝利した試合、第3ピリオド・6分11秒、タンパベイ・ライトニングのディフェンスマンであるハイドン・フルーリーと衝突した後、担架でリンクから退場しました。

 フルーリーがタンパベイのロッカールームに連れて行かれる間、コザリは倒れたままでした。46歳の彼には、各チームとピッツバーグ・メディカル・サービスからの計11人の医療スタッフが付き添いました。

 「目の端で、その一部始終をとらえたていたよ」とペンギンズの監督、マイク・サリバンは言っています。「タンパのディフェンスマンは…ベンチからリンクへ降りていた。2人とも私と同じようにパックを見ていたと思うよ。だから、その光景を視界の隅に捉えることができたんだ。

 でも、ギリギリのところで2人は衝突してしまって、ヘルメットとヘルメットがぶつかり合ったんだと思う」。

 「本当に恐ろしい衝突だったよ。スティーブがアイスリンクの上に氷に倒れこんだとき、転倒するのをかわすだけの力を出せなかったと思うからだ。彼が無事であることを願っている。あれは、試合中、本当に恐ろしい瞬間だった」。

ピッツバーグのキャプテンからもコメント

 予防措置のためにUPMCマーシー病院(ピッツバーグ大学医療センターの主要な病院施設。デュケイン大学に隣接。PPGペイントアリーナ数ブロック離れた場所にある)に搬送されたコザリは、四肢の全てが使えており、完全に回復する見込みです。

 両チームの選手がバックボード(選手をしっかりと固定して輸送する事ができる担架。ストレッチャーとも)に乗せられたコザリを取り囲みました。その時、彼は腕を動かすことができたようです。

 「あれはひどかった」とピッツバーグのキャプテン、シドニー・クロスビーは言いました。「いい状態には見えなかったね。心の底から、スティーブの幸運を祈っているよ。彼が無事であることを願っている。

 でも、あのようなことが起こるときはいつでも、そしてあのような試合に参加してきた人なら、できる限り早くチームの状態を立て直そうとするものだと思うよ。彼ら(ライトニング)は、おそらく僕たちよりもうまくやったんじゃないかな」。

讃岐猫
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コザリの経歴

 コザリは、NHLでレギュラーシーズン1,151試合、スタンレーカップ・プレーオフで136試合(スタンレーカップ・ファイナル4回を含む)の審判を務めています。

 コザリは、故郷のブリティッシュコロンビア州ペンティクトン周辺のマイナーホッケーで、試合のジャッジを経験した後、10シーズンにわたってウェスタン・ホッケーリーグ(WHL)の審判を務めました。

 彼は2002-03シーズン終了後にWHLのベスト・レフリーに選ばれ、2003年にカナディアン・ホッケーリーグ・メモリアルカップ(プレーオフ優勝チームへ贈られるカップ。現在は韓国の起亜自動車がスポンサーのため、キア・メモリアル・カップとして開催)でもいい働きをしています。

 2003年6月下旬、オンタリオ州グエルフで行われたNHL審判団のキャンプ1(NHL Officiating Prospects Camp)に招待され、NHLマイナーリーグ審判契約をオファーされました。

 2007年夏、コザリはフルタイムのNHLステータスに昇格2しています。

ライトニング監督のコメント

 土曜日(の試合中)に復帰を見送られたフルーリーは、今シーズン23試合で5ポイント(1ゴール、4アシスト)を記録していました。

 「あれは見ていてつらかった」とライトニング監督、ジョン・クーパーは言います。

 「我々もそうだったが、特に[フルーリーとラインを形成していたタンパベイのディフェンスマン、ミハイル]セルガチョフはあのようなことが起こるのを目の当たりにしたからか、試合中、(プレーしていても)難しい時間帯があった。

 でも、『フルール』のことが一番心配さ。試合の合間に、私はロッカールームに入っていった。当然ながら、彼は少し動揺していたよ。あれは、ある種の異常なアクシデントと言うしかない。2人とも無事でいてくれることを願っている」。

 試合は、1人の審判と2人の線審で終了しました。

讃岐猫
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引用元:Bleacher Report.com「NHL Ref Steve Kozari Conscious and Alert; Left Penguins vs. Lightning on Stretcher

励ましのスティック・タップ

 土曜日、NHL審判のスティーブ・コザリは、ピッツバーグのPPGペインツ・アリーナでの試合中、タンパベイ・ライトニングのディフェンスマン、ハイドン・フルーリーと衝突し、アイスリンク上から担架で運ばれました。

 NHLはその後、予防のため、コザリが地元の病院に搬送されたと発表しています。リーグは声明で、同審判について「意識はあり、呼びかけに反応しており、四肢すべてを使える状態にある。完全に回復する見込みだ」と述べました。

 フルーリーは衝突後ロッカールームへ向かい、試合には戻っていません。

 ペンギンズとライトニングの選手たちはベンチを空け、コザリをスティック・タップ(励ましの拍手のサインとして、氷上で、あるいはボードに向かって、選手同士がホッケーのスティックをたたくこと)で送り出しました。

 第3ピリオド中盤、フルーリーとコザリがセンターアイスで衝突したのです。

 ABC放送のESPN3によると、コザリが一時的に意識を失ったと報じました。医療関係者のケアを受けながら、四肢を動かすことができたと言われています。

 スポーツネットのエリオット・フリードマン記者によると、この放送で、コザリが担架で運ばれる際に線審のカイル・フレミントンの手を掴む様子が映っていたと報じました。

 また、放送によると、試合はレギュレーション60分間の内、最後の10分間、審判員4人ではなく3人で進行しています。ライトニングは5-4で敗れました。

 NHLオフィシャル(=審判のこと)協会によると、コザリは2005年にNHLの審判になって以来、1,000以上のNHLの試合で審判を務めてきました。彼の審判の履歴には、2014年、2019年、2020年のスタンレーカップ決勝戦が含まれています。

フルーリーは自力でスケートできているが…

 衝突後、フルーリーの顔から出血が見られましたが、ロッカールームに運ばれるときには自力で滑ることができています。

 NHL.comのクリス・クレンによると、チーム関係者は後にフルーリーが試合に復帰しないことを発表したと述べています。

 ディフェンスマン(フルーリー)は、ライトニングのセカンド・ラインでディフェンス・ペアを組み、氷上を滑っている間、1本のシュートと2分間のペナルティ・ボックス行きを記録し、試合を退場しました。

 フルーリーが退場する前、ライトニングではすでに追加のディフェンスマンが滑っています。

 フルーリーがレギュラーシーズン残り5試合で追加欠場を余儀なくされた場合、7番目のディフェンスマン(第4ライン)のニック・パービックスはさらに多くの出場時間を得る可能性が高いとされています。

まとめ

 どのスポーツでも、しっかりと脳震盪への対処をしているご時世なので、フルーリーの復帰は時間がかかるかもしれません。タンパベイとしては、プレーオフを見据えながら、いろんな選手を試しつつ、勝ちを拾っていく方針を取るのではないでしょうか。

 コザリに関しては、もっと時間かかる可能性もあるのでは…。まだ正確な容態の情報もありませんし、身体にショックが残っていて、トラウマのせいでリンクに出られない場合だって考えられます。豊富なキャリアを持つ名審判の無事を祈ります。

 残り少なくなってきたレギュラー・シーズン、選手間の激しいプレーもますます多くなるでしょうし、それはプレーオフでも同じこと。ファンは真剣勝負を期待し、選手がそれに応えてくれるのは嬉しいですが、安全への配慮も怠りないように。

讃岐猫
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【註釈】

  1. 毎年開催され、NHL等のリーグで採用される可能性のあるオフィシャル(審判のこと)がトライアウトを受けるイベント。
    ↩︎
  2. NHL審判団は現在、35人のフルタイム審判員と35人のフルタイム線審(ライン・パーソン)で構成。さらに、NHLとAHLを行き来する9人のマイナーリーグ審判員と5人のマイナーリーグ線審がいる。

     コザリはまずNHLマイナーリーグ審判契約からスタートし、実績を積んだ後、審判員のトップであるフルタイム審判員、つまりNHL専門で裁くプロの審判員となったのである。
    ↩︎
  3. 2006年9月、ディズニー傘下にあった放送局、ABCのスポーツ部門であるABCスポーツとESPN(こちらも1996年、ディズニー傘下入り)は統合したため、それ以降、ESPN on ABCとしてABCネットワークでも放送されている。 ↩︎
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