はじめに
日本のスポーツ界で着ぐるみのマスコット・キャラが大活躍していて、東京ヤクルトのつば九郎と中日のドアラのコラボなど、試合以外でも注目を集めています。中には「これはどうなんだろう?」というデザイン、キャラのモノも無い訳ではないですが…。
北米4大スポーツにも当然マスコット・キャラはいて、子供たちをはじめ、多くの人に愛されています。日本のそれが「ぶりっ子的可愛らしさ」を前面に出すのに慣れていることもあって、北米のモノのリアリティと可愛らしさの中間っぽい風情に、今ひとつ馴染めない私^^;。
さて、今回はアナハイム・ダックスと「本物のアヒル」のコラボ話です。ネット文化のおかげで、全米でかなりの知名度を誇る「特技を持ったアヒル」が、遂にNHLに進出する…今までありそうでなかった、あるいはファン待望の(?)シチュエーションが実現してしまったのです!
北米4大スポーツの中で、やや人気に陰りが…と言われているNHL各チームとしては、
人気回復の起爆剤が欲しいんだろにゃ。
元々ドナルド・ダック文化が有るお国柄な上に、コミカルな動きをするアヒルは、
アナハイムにとって格好の「スター」と言えそう。
引用元:ESPN.com「Anaheim Ducks celebrate victories with ‘Ben Afquack’」。
ドラムを叩くアヒル?
今シーズン、アナハイム・ダックスが氷上での勝利を祝うとき、ソーシャルメディア上では、より奇妙なお祝いが起こっています。チームの記念品でいっぱいの部屋で、アヒルが勝ち誇ったように水かきのある足をドラム缶に叩きつけるというものです。
このアヒルの名前は、「Ben Afquack1(ベン・アフクアック、アヒルに関する言葉をミックスさせた造語らしい)」と言えばいいのでしょうか。
アナハイム・「ダックス」が目をつけない訳がない!
「勝利の後の良い感情、良い雰囲気、それら全てを、このアヒルで活かそうとしているのです」と、アナハイムのデジタルコンテンツ・プロデューサー、タイラー・ピストイアは言いました。
「このアヒルを使うのは、失礼ながら、よりチームの積極性を鼓舞する素晴らしい方法ですね。〈おい、僕たちは勝ったぞ。ああ、ベン・アフクアックが来てくれたよ、もっと行けるぞ!〉って感じで。勝利の雄叫びは、あの小さな彼のものかな」。
ピストイアは、アナハイムのエンターテイメントとプロダクションのアシスタントマネージャーであるサラ・モンテシノスから、ドラミングダックについて学びました。彼女はインスタグラムでその鳥が踊っているのを見て、約10万人のフォロワーがいることに気づいたのです。
ピストイアを最初に驚かせたのは、アヒルの経歴に「フィットネス・モデル」と書かれていたことです。2つ目は、この踊るアヒルはスポーツチームで働いたことはありましたが、ホッケーで働いたことがないということでした。
「Ben Afquack」で検索をかけると、映像・画像をはじめとして、
大手のニュース・サイトでも大々的に取り扱われてるのが分かるにゃ。
日本ではあまり見かけない動物だし、飼ってる人もそんなにいないけど、
米国ではどうなんだろ?
スポーツ・チームと相性いいのです!
ベン・アフクアックが提携した最初のチームは、USL Wリーグ2でプレーする地域密着型のクラブ、ミネソタ・オーロラFC3です。彼はミニサッカーボールを蹴るビデオに出演しました。
その後、ミネソタ・ツインズのマイナーリーグ傘下であるセントポール・セインツ4が、このアヒルを欲しがったのです。しかし、ベン・アフクアックの飼い主であるデレク・ジョンソンは、ダックスから彼に声をかられたとき、とても心を震わせたようです。
「ミネソタ州で育った私は生涯のホッケーファンなので、NHLチームからメッセージを受け取るのは、非現実的、夢のような気分です」とジョンソンは言いました。
「メッセージに返信する前に、すぐにメッセージのスクリーンショットを撮って、友人や家族に送ったくらいです。私はミネソタ・ワイルドのファンですが、ダックスと一緒に仕事ができることにとても興奮していました」。
コラボ作業は時間をかけて…
ピストイアはベン・アフクアックに対して明確なビジョンを持っていました。ジョンソンに小さな水かきのある足で勝利の太鼓を叩くところを撮影してもらい、アナハイムの勝利後にソーシャルメディアに投稿してもらいます。しかし、見た目がちゃんとしたものでなければなりません。
そこでピストイアとモンテシノスは、アナハイムのチームショップでビデオに使えそうな記念品を買いあさり、もっと(チームの)アヒルらしくなるよう、このアヒルを着飾りました。
「ジャージだと、アヒルの腕がどこにも入らないから意味をなさなかったでしょう。それで、アヒルにバンダナを巻いて、たくさんのペナントと、ドラムの後ろに置くものを用意して、デレクにジャージを着てもらおうと考えたんです。
-彼の手はアヒルを握っているだけなので、ジャージは見えないと思うけどね」とピストイアは言いました。
アナハイムとコラボする前、ジョンソン氏は結構顔出ししているんで、
まあ、映っていなくても大丈夫かにゃ^^;?アヒル用に特注で作った、
チーム・ロゴ入りベストとかは着られるんじゃないかな。
ファンからの評判は上々、SNSでバズりまくり!
ジョンソンは、ドラムの上で踊るアヒルの4つの異なるバージョンを撮影しています。チームはビデオを9秒に編集し、ミーム(面白い画像や動画が拡散されていく文化のこと)が生まれました。
「投稿したところ、反響が大きかったです。それは私たちにとって信じられないほどの数字です」とピストイアは言っています。
「わかったでしょ?アヒルがドラムを叩いているんですからね。それがとても説得力があると思わないでしょうが、『このアヒルのためなら死ねる』というファンの心に響いたのは確かです」。
勝利後、チームはXにビデオクリップを投稿し(上記引用元に映像あり)、時折Instagramに投稿し、ダックスに敗北したチームに合わせて投稿内容を調整します。
アナハイムのホームアリーナに登場する日も近い?
ピストイアの目標の1つは、インターネットのミームを現実のものにすることであり、今シーズン、ダックスがワイルドと試合をするために遠征するときに、ベン・アフクアックが登場することを期待しています。
ジョンソンとドラムを叩く彼のアヒルが、いつかアナハイムのホームゲームのために西に飛ぶことにも5、ピストイアはまた興味を持っているようです。
「ご想像のとおり、スポーツアリーナで生きたアヒルを起用するのは挑戦かもしれません」とピストイアは言いました。「でも、最近、フライヤーズの試合会場にワニが6いましたからね。何が起きるか、誰にもわからないんじゃないでしょうか」。
まとめ
フィラデルフィアのワニがオッケーなら、アヒルは確実にアナハイムの地へ到着するでしょう。しかも、知名度は抜群にありますから、大人も子供も大喜びのはず。若手が成長し、少しずつ復活の兆しを見せているチームに、ベン・アフクアックのドラムが勢いづけてくれるかもしれません。
1月中旬以降のアナハイムは、延長線の末、攻撃力自慢のフロリダ・パンサーズに勝利したりもしていますが、連敗もしており、今ひとつ調子の波が一定しません。あまり負けが混むと、目先の勝ちに囚われて、ドラフト指名権を手放すなど移籍市場で下手を打ちかねません。
パシフィック・ディビジョン順位表を見ても、8チーム中7位、振り向けばサンノゼ・シャークスの姿が見えつつある所まで来ています(勝ち点差5)。ここは一つ、幸運を呼ぶアヒル=ベン・アフクアックが、チームに運をもたらすと信じてみてはいかがかな?
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 数年前から「ドラムを叩くアヒル」として有名。ネットで火が点き、多くのマスコミで取り上げられた後、飼い主のデレク・ジョンソンと共にテレビ出演等多数。現在も企業等との提携を続けている。詳細はこちら→☆。
↩︎ - 「United Soccer League Women’s League」の略称。トップ・ランクであるNWSL〈National Women’s Soccer League〉に次ぐ存在とされるセミプロのリーグ。大学女子サッカー部との二重登録が可能なため、各チームに大学生選手が多い。
↩︎ - ミネソタ州イーガンをホームとする米国女子サッカー・クラブ。USL Wリーグのハートランド・ディビジョン所属。リーグ開幕の2022年シーズンから参加しており、オリジナルのクラブとしてプレー中。このクラブの財政基盤は、3,080人の個人によって支えられている。
イーガンにあるTCOスタジアムでホームゲームを開催しており、このスタジアムはNFLミネソタ・バイキングスの練習用スタジアムでもある。
↩︎ - セントポールが、MLBミネソタ・ツインズの本拠地ミネアポリスと双子都市であること、ファンサービスに非常に熱心で「行ってみると何かと楽しめる場所であること」をテーマに、エンターテイメント性の高いイベントを行っていることなどから、3Aの独立リーグ球団でありながら指折りの観客動員数を誇る。
↩︎ - ミネソタはカナダに近い米国中西部の北に位置しており、大谷の影響で日本でもよく知られるようになったアナハイムは、カリフォルニア南部に位置するロサンゼルス近郊の都市。こちらは中米に近い米国南西部の海沿いである。
↩︎ - この件については、現在、米国で問題となっているESA(Emotional Support Animal)制度が関係してくる。エモーショナル・サポート・アニマルとは、精神的に飼い主を手助けする動物を指す。
特別な訓練がいらず、飼い主次第でどんな動物でも飼い主の精神的安定の支えになる存在と判断された場合、この制度が適用される。介助犬や盲導犬などのようなサービス・アニマルと異なり、公共の場で分かりにくい精神的障害を補助する動物として、飼い主と共にいるペットなのである。
最近、偽造書類等を使って、ペットをどこにでも連れて行こうとしたり、またペット料金免除を目的とした行為が目立っている。偽造書類を作るウェブサイトが散見され、誰でもESAだと言い張れる状況が起きやすくなっている。
飛行機のペット料金や家賃などが免除になるため、偽の診断書などを使い、訓練もされていない動物を連れ回した挙げ句、他人に迷惑・危害を加えてしまいトラブルになる等の事件も起きている。
今回のワニ、ウォーリーはESAと認定されており、飼い主のジョイー・ヘニーは彼を連れてMLBフィラデルフィア・フィリーズの試合を観戦しようとしたが、介助動物以外の入場は許可しないとされ、観戦を断念。
それに対し、フライヤーズは、ハロウィンの時期にホームで開催されたカロライナ・ハリケーンズ戦で、ヘニーとウォーリーをアリーナに招待し、ウォーリーとフライヤーズのマスコット、グリッティーが大型ビジョンに映し出されたのである。
詳細はこちら→☆。 ↩︎