はじめに
来年2月3日、カナダ・トロントにあるスコシアバンク・アリーナ(メープルリーフスのホーム)で、NHLオールスターが開催されます。NBAやMLBのオールスターと比べ、日本では「ほぼ無視」状態ですが、現地ではホスト都市を中心に相当盛り上がります。
例年通り、「ファン投票で誰が選ばれるんだろう」「どんなスキル・コンテストやるんだろう」が興味の中心になのは言うまでもありません。今回の記事では、それ以外にも式典が行われたり、選手選抜の方法が変更になったり、イベントの追加があることを紹介していきます。
前回(今年2月なんで、そんな前じゃないけど^^;)はフロリダ開催だったので、水や海を使ったイベントやスキル・コンテストが多めでした。今回は北米も北米な上に雪も多い時期、いわばアイスホッケーで言えば「通常営業」な場所、どうなるのか楽しみです。
どんなに目の肥えたファンが多くても、
シカゴのコナー・ベダードがファン投票1位で選ばれるんだろうにゃ。
一つのチームに集中する投票システムではないし、シカゴは彼で決まりでしょ。
引用元:NHL.com「New NHL All-Star Thursday to feature player draft, PWHL 3-on-3」
選手ドラフトが復活!
今シーズンのNHLオールスター・ウィークエンドでは、新しいイベントの一環として選手ドラフトが復活1します:NHLオールスターの開催される週の木曜日に行われます。
セレブリティとキャプテンがペアになり、NHLとファンによって選ばれた選手の中から、NHLオールスターゲームのチームを形成します。
トロントの最後のスタンレーカップ獲得チームでもある、1967年のトロント・メープルリーフス2に敬意を表して、NHLのOB会は(そのチームから)マン・オブ・ザ・イヤーを発表します。また、(2024年1月開幕の)プロ女子ホッケーリーグが3対3の試合を行います。
木曜日の夜もお楽しみ!
「NHLオールスター・サースデイ(イベント名)」は、2月1日・午後6時(米国東部時間)にトロントのスコシアバンク・アリーナで開催されます。
2月2日、ドラフトキングス・スポーツブック(スポーツ賭博会社)が発表した「NHLオールスター・スキル3」、2月3日、「ロジャース4NHLオールスターゲーム」が2024年の「NHLオールスター・ウィークエンド」として開催されます。
「NHLオールスター・サースデイ」のチケットは、12月5日・午前10時(米国東部標準時)にチケットマスターで一般発売されます。カナダでは、このイベントはスポーツネットで放映されます。米国では、選手ドラフトをESPNで、他のイベントをESPN+でそれぞれ放送されます。
「すでに活気に満ちてきている(オールスターを開催する)週末に、3日目の夜を追加することにしました」とNHLのコンテンツをプロデュースする最高責任者スティーブ・メイヤーは言いました。
「今年はいくつかの変更を行う年だと感じています。そして(追加された)木曜日の夜は、今後数週間、みなさんが耳にするであろう多くの変更の1つです」。
オールスター用の選手ドラフトも、新たに有料イベントの一つとして設置するなんて、
さすが商魂たくましいにゃ。
あのドラフトのワクワク感は、確かに間近で見たい気はする。
オールスターゲーム、ドラフト復活の背景
NHLオールスターゲームは、これまで何度か異なる形式で行われてきました。以前に3回、チームでキャプテンを選んだことがあります:2011年のカロライナ、52012年のオタワ、2015年のコロンバスがそれに該当します。
「ここ数年、行われた異なるイベントは本当に楽しいものだと感じています」とメイヤーは言いました。「ファンや選手たちから『ドラフトはどうなの?』という声が聞かれるようになりました。
そして、我々のリーグが最初にそれをした後、他のリーグがやっている(例:NBAが2018年から)のを見て、『あれ?我々もそろそろ復活させる時期が来たんじゃないか?』と思ったのです」。
NHLは、NHLオールスター・ゲームに各チームから1人ずつ、計32人の選手を選出します。NHLオールスター・ファン投票は1月にスタートし、ファンは12人の選手を選んでロースターを完成させることができます。
リーグは44人の選手の中からキャプテンを選び、ティム・ホートン6ズNHLオールスター・プレーヤー・ドラフトに参加したセレブとキャプテンがペアを組み、残りの選手の中から3対3トーナメントの4チームを選びます。
ユニもいつもと違います
「あまり多くを明かせないが、選手たちはストリート・ウェアとスケートを着用しているだろう」とメイヤーは言いました。「選手たちにユニフォーム着用の予定はありません。彼らはドレスアップするだろう。
しかし、選手たちにはスケートを履いてもらい、彼らは選ばれたら、新しいチームに移籍してプレーすることになるね。それはきっと楽しいことになりそうだよ」。
NHLは、最終的に選出される4チームのために、何かユーモラスな計画を立てています。リーグはNHL選手会と協力しています。
「これを機能させるためには、プレーヤーの賛同が必要でした。NHL選手会は素晴らしい協力関係を築いてくれました」とメイヤーは言っています。「そして、それが真実です。選手たちは本当に素晴らしかった。
…彼らはこのドラフトのようなイベントに興味を持ってくれています。我々と同じように、彼らは選手の素の部分をさらけ出し、一緒に楽しむことに価値を見出しています」。
ストリート・ウェアってどんな感じになるんだろにゃ?
あまりファッション性が高すぎると、選手達は素早く動けなくなるわけだし。
いろんな所に楽しみを盛り込むなぁ。
プロ女子ホッケーリーグの試合や式典も行われます
オールスター・ウィークエンドに、もう一晩のイベントを追加する主なきっかけは選手ドラフトだったとメイヤーは述べましたが、その後、NHLはNHLのOB会とPWHL(2024年1月開幕のプロ女子ホッケーリーグの略称)で何ができるかを考えました。
キース・マグナソン・マン・オブ・ザ・イヤー賞7は、NHLで培った忍耐力、コミットメント、チームワークといった無形の要素を、キャリア後の成功に生かした元NHL選手に、毎年、NHLのOB会から贈られます。
今回は、67年のメープルリーフスを称える「NHLアラムナイ・マン・オブ・ザ・イヤー」と呼ばれる式典で、同賞の授与を行います。
PWHLは今年、世界トップの女子プロリーグとして結成され、2024年1月、ボストン、ミネソタ、モントリオール、ニューヨーク、オタワ、トロントのチームで最初のシーズンを迎えます。
選抜された選手達によって、「カナディアンタイヤ8・PWHL3on3ショーケース」でパフォーマンスを披露します。
「1つのことが次のことにつながり、それが次のことにつながり、突然、信じられないようなイベントのラインナップを見ることになりました」とメイヤーは言います。
「誰もが楽しめる内容になっていて、NHLの選手も参加します。新しい女子リーグの素晴らしい選手たちも参加しますし、その後、OBが参加します。そしてトロントでは、67年のリーフスのメンバーほど人気のあるチームはありません」。
「だから、最終的には、これらのイベントは素晴らしい夜、思い出に残る夜になるだろうし、そして、オールスター・ウィークエンドの重要な一部として、これからも残っていくでしょう」。
今回の開催地はオールスターのルーツ
NHLオールスターゲームはそのルーツに戻りつつあります。1934年、メープルリーフスのフォワード、エース・ベイリー9が怪我でキャリアを終えた後の慈善試合10として、メイプルリーフ・ガーデンズ11にてオールスターゲームが開催されました。
最初の公式NHLオールスターゲームは、1947年、そこで開催されました。
今回、トロントで9回目のNHLオールスターゲームになりますが、2000年以来では初めてです。
「トロント市で開催できることをうれしく思います」とメープルリーフスのブレンダン・シャナハン社長は言いました。
「我々はすべての人にゲストとして来てもらいたいのです。そして、ここにいる人々にとって本当に重要なホッケーというスポーツに、誰もが強いつながりを感じてもらいたいのです」。
まとめ
NHLオールスターの始まりが慈善試合だったとは、今回、初めて知りましたし、同時にNHLが過去のリーグへの功労者を手厚くフォローしていることも、素晴らしいと感じました(これは北米の他のスポーツも同様)。単なるお祭り騒ぎじゃないんですね。
あのパックのスピードから考えても、選手間の連携がアイスホッケーの生命線だと思います。それが、ある意味「初めて組む相手」とパックのやり取りをする妙味…、考えただけでもワクワクしませんか?オールスターを楽しむには、そこに注目するのもいいでしょう。
ファン投票は1月からで、やや「まだ先じゃん」って感覚もなきにしもあらずですが、今は選ばれて欲しい選手が大怪我をしないように、あるいは意外なチームがオールスターまでに躍進して、投票に影響を与えることを祈る段階ですかね。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 2023年11月27日、NHLは、4チーム、3対3のフォーマットと以前(2010-2011シーズン)のシステムで使用されたファンタジードラフトを組み合わせることを発表。
ファン投票とNHLのスタッフから提出された複合プールから4チームそれぞれのキャプテンを選出し、その後、キャプテンを中心にドラフトを実施して、各チームのロースター(選手名簿)を決定。
↩︎ - 決勝、モントリオール・カナディアンズを4勝2敗で降してカップ獲得。それ以降、現在までカップ獲得に至らず、最も長い間隔の空いているチームとなっている。チーム拡張前、「オリジナル6」で争われたカップ戦、最後の優勝チームでもある。
↩︎ - 正式名称はNHLオールスターゲーム・スーパースキル・コンペティション。NHLオールスターゲームの前夜祭的イベントである。1990年、ピッツバーグ開催の第41回大会からスタート。このイベントで、オールスター参加選手の卓越した技術を披露する。
オールスターチームは各イベントの代表者を選び、優勝チームにポイントが授与される。
↩︎ - カナダの大手通信企業。特に携帯電話事業、ケーブルテレビ、その他の通信、マスメディアの分野で事業を展開。本社はオンタリオ州トロント。
↩︎ - 2013年・2014年が欠けているのは、2012-13シーズン、NHLロックアウトが発生し、2012-13シーズン開幕が2013年1月19日まで延期されたため。
また、NHL選手の2014年・冬季オリンピック出場が決定しており、2014年のオールスターでプレーできなくなるため、2015年に延期。最終的に2015年1月25日に開催。
↩︎ - カナダのドーナツチェーン。1964年、オンタリオ州ハミルトンで開店後、急速に拡大し、カナダ最大のファーストフード・チェーンとなる。カナダ国内に約3,000店以上、アメリカに約600店以上がある。
↩︎ - 名前の由来は、元シカゴ・ブラックホークスのディフェンスマンであり、キャプテンだったキース・マグナソンから。
2003年12月15日、マグナソンはNHLのOB会に出席のため、自動車で向かっている途中、対向車線を越えて別の車両と衝突し、助手席に座っていたマグナソンが死亡。享年56歳。
↩︎ - ホームセンター形態の小売店「カナディアンタイヤ」を中心に、ガソリンスタンド、作業服服飾や自動車部品等のチェーン店を運営。本社はオンタリオ州トロント。
↩︎ - カナダ、オンタリオ州ブレイスブリッジ出身。1992年4月死去、享年88歳。1933年12月12日、ボストン・ブルーインズと対戦中、後ろから殴られ、氷上に頭をぶつけ、頭蓋骨骨折の重傷を負った。2度の昏睡状態から脱し完治したものの、プロ・キャリアに終止符を打たざるを得なかった。
↩︎ - 1934年2月14日、メープルリーフ・ガーデンズでオールスターベネフィットゲームが開催され、ベイリーと彼の家族のために20,909ドルを授与し、ベイリーと(彼を殴った選手)ショアは試合開始前に握手し、センターアイスでハグしたと言われている。
これを機会に13年後、NHLは毎年恒例のオールスターゲームを導入することとなる。
↩︎ - 歴史的建造物として知られ、NHLオールスターゲーム第1回の会場であり、NBAトロント・ラプターズのホームアリーナとしても使用された屋内競技場。プレスリーの初海外公演地であることでも知られる。 ↩︎