はじめに
北米4大スポーツも地域密着を謳っており、特にカナダのチームは、より明確に打ち出してきます。当然、地元メディアもそれを取材し、的確に報道していますので、地元熱は高まるばかり。カナダのチーム同士の対戦となると、もう盛り上げ方がハンパないです。
今回は、いつものNHL.comをはじめとする全国メディアの記事ではなく、「地元メディア」のものを取り上げてみます。ここはやはり、2ケタ連勝中で乗りに乗っているエドモントン・オイラーズが「対象」として適当でしょう。
注目する地元メディアは、エドモントン・ジャーナル。NHL以外の記事も読みましたが、日本ではほとんど取り上げられることのないカナダや、エドモントンのあるアルバータ州の様子もよく分かりました。たまには「地方紙」を読んでみるのも、面白いかもしれません。
エドモントンの属するパシフィック・ディビジョンは、
開幕2試合でエドモントンに連敗という屈辱をもたらした
バンクーバー・カナックスが独走なんだにゃ(勝ち点差は13)。
2位のベガス・ゴールデンナイツと勝ち点差6、これを早めに縮めれられるかどうか。
引用元: edmontonjournal.com「Oilers turn from NHL’s oldest to newest in search of 12th straight win」
連勝街道まっしぐら!伝統あるチームも撃破!
エドモントン・オイラーズは、さまざまな意味で歴史的な快挙を成し遂げました。
フランチャイズ新記録となる2ケタ連勝を達成したチームは、NHLに新たに加わったチーム(シアトル・クラーケン)に目を向けながらも、(この連勝中、)彼らはオリジナル・シックスチームの大部分を渡り歩いています(対戦しています)。
エドモントンは、(オリジナル・シックスの)シカゴ・ブラックホークス(1月9日、2-1)、デトロイト・レッドウィングス(11日、3-2)、モントリオール・カナディアンズ(13日、2-1)、トロント・メイプルリーフス(16日、4-2)との対戦で(連勝のうち)4勝を挙げており、これまでの9連勝(80年代中盤、プレーオフでの連勝記録)というクラブ記録を塗り替えるべく歴史を刻んでいきました。
同時に、同じディビジョンに属する新鋭シアトル・クラーケンも9連勝をマークしており、1月13日・土曜日の時点で、18日・木曜日(午後7時、Sportsnetで配信)、ロジャース・プレイス(エドモントンのホーム・アリーナ)で両チームが対戦するとなると、(連勝中の)巨人同士の激突が予想されていました。
今週、(シアトルは)ピッツバーグ・ペンギンズに0-3(1月15日)、ニューヨーク・レンジャーズ(16日)に2-5で連敗し、クラーケンの連勝記録は途絶えましたが、エドモントンは調子を上げ続け、現在は12連勝を目指しています。
開幕前の不振から成長
そしてそれは、チームワーストの2勝9敗1延長負けという成績で、シーズン開幕直後12試合を1終えた時と隔世の感がある、と感じざるを得ません。
「僕らは間違いなく自分たちのゲーム内容を成長させたね」とオイラーズのフォワード、デレク・ライアン(センター/右ウィング、37歳)は語りました。彼の第3ピリオドでのゴールにより試合は同点となり、火曜日のトロント戦では4-2の勝利となっています。
「僕らは皆、自分たちの試合内容、現在のチーム状況、試合での勝ち方について、誇りを持っていると思うよ」。
「僕らが間違った方法で試合に勝っているとは思わない。スキンジー(ゴールテンダーのスチュアート・スキナー・25歳)が、僕らのやってる試合中に左右に動いて、完璧に相手のパックを奪っているんだ。ここっていう必要な時に、彼はビッグセーブをしてくれているよ。
(相手チームの)チャンスをうまく制限できたし、(エドモントンがペナルティを取られたとき、)ペナルティ・キルも素晴らしく、第1ラインの選手たちは素晴らしかったし、第2〜第4ラインにいる選手たちもサポートしてくれたんだ」。
開幕直後のエドモントンの状態は、眼を覆うような惨状だったにゃ。
「さすがに、今シーズンはプレーオフに出られないだろ」と言われていたのに、
ここまで持ち直したのは、途中から監督に就任したノブラウシュの手腕に依る所が大きい。
先制されても粘り腰で逆転する試合が続く!
試合開始早々、オーストン・マシューズ(センター、26歳)の最初のシュートによるゴールで主導権を握ったトロントに対して、今まで述べたすべての要因によって、(試合)終了間近、19分19秒の間に2(エドモントンは)4連続ゴールを決めたのです。
「試合に勝てていることに満足しているさ」とライアンは言いました。
もちろん、11月9日の時点で最下位タイだったオイラーズが、ウェスタン・カンファレンス7位タイに浮上し、プレーオフ進出圏内まで押し上げたことについて、最近の勝利数はライアンの言う「クオリティ」と同じくらい役立っています。
しかし、その過程で、オイラーズは、直近の4試合で先制点を許したように3、序盤に劣勢に立たされても、自動的にパニックに陥るわけではないという自信を身につけてきました。
現在の連勝で5度も見せている4ビハインドからの逆転勝利という新発見の能力は、明らかに存在感を示しています。
「それを自信とでも言いたいね。僕らは自信に満ち溢れたグループだ。たとえ劣勢に立たされたとしても、ビハインドを背負った試合もあったと思うけど、おそらくライバルを凌駕しているんだ」とライアンは語りました。
スター選手だけで勝ってるチームじゃない
「だから、僕らの(今の)プレースタイルから逸脱してはいけない、何も変える必要はない、別なチャンスを掴む必要はない、というメッセージを伝えたいね」。
「僕らは同じやり方でプレーし続けるだけだ。55分でも57分でも、(とにかくやり続ければ)僕らはやるべきことにたどり着くことができる。だから、(チームの)威勢がいいし、自信に満ちているんだ」。
そしてそれは、オイラーズの大物選手、スター選手たちだけによって、もたらされるものではありません。
ライアンのゴールは、チームと彼のキャリアの両方にとって大きなものとなりました。
「かなり騒々しい環境だったのは確かさ」と彼は言います。「リーフスのファンやオイルのファンは大声を出していたけど、ゴールを決めた時は正直、同点に追いつくことだけを考えていたよ。
それはとても大きなことだったし、もちろん200ポイント目(通算541試合、80ゴール・120アシスト。カロライナハリケーンズ、カルガリー・フレームス、エドモントンに各3シーズン在籍)ということも意識していた」。
「だから、個人的に、あれはかなり記念碑的なことだったね。身勝手な言い方かな。僕はとてもラッキーで、本当に恵まれている。今の自分がここにいるのは幸運だと思っているよ」。
素人目に見ても、チーム全体でキビキビ動いているのが、よく分かるにゃ。
それまでは、コナー・マクディビッドをはじめとする
攻撃的ポジション次第のチーム戦術だったのが、監督交代後、ガラッと変わった。
選手の動向
選手の動向:火曜日、ベンチで手をアイシングしているのが見られたイベンダー・ケイン(左ウィング、32歳)と、葬儀に参列していたジェームズ・ハンブリン(左ウィング、24歳)は水曜日の練習を欠席しました。
「昨日、ケインはシュートをブロックしていた。明日、彼が戻ってくることを願っている」と監督のクリス・ノブラウシュ5は語っています。「午前中にもう一度診てもらう必要があるが、チームとしては、彼がプレーすることを非常に期待しているよ」。
詳細を公表されていない負傷のため、ここ10試合を欠場していたサム・ガグナー(センター、34歳)に、再びプレーする許可が下りました。
まとめ
最新の試合結果では、1月18日(木曜)のシアトル・クラーケン戦も4-2で勝利し、無敵の12連勝を達成しました。この試合も「逆転のエドモントン」の本領を発揮し、第1ピリオドに2点を先制されても、全く動じることなく、第2ピリオド最初から得点を積み重ねました。
1試合で4ポイントを稼いだドライサイトルが注目されて試合ですが、今シーズン、ブレイク中のザック・ハイマンも渋くチームを支えていたようです。途中就任監督のノブラウシュの総合力重視の戦術と、それにうまくマッチしたハイマンの活躍があってこその連勝です。
今後は手堅く勝利をして、プレーオフ出場を確実にする2位を狙うか、今の爆発力を軸に、無理をしてでも一気に首位獲りを目指すのか。いつ、チーム全体で「天下を取るぞ!」という欲を見せるのか、チームに監督からムチを入れられる時期が気になるところです。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 開幕直後のエドモントンの混乱については、このブログでも触れている。詳細はこちら→☆。
↩︎ - 第2ピリオド・10分52秒、トロントのメープルリーフスのモーガン・ライリー(ディフェンス、29歳)のゴールで、エドモントンは0-2とリードを許す。
その後、15分41秒、レオン・ドライサイトルに始まり、第3ピリオドのデレク・ライアン、ライアン・マクロード、エバン・ブシャールまで4連続ゴール。なお、18分27秒、ブシャールのゴールはエンプティ・ネット。記事中の「19分19秒」については不明。
↩︎ - トロント戦以外では、モントリオール戦:第1ピリオド・1分43秒、コール・コーフィールド(右ウィング、23歳)。パワープレー・ゴール。デトロイト戦:第3ピリオド・3分34秒、アンドリュー・コップ(センター、29歳)。
シカゴ戦:第1ピリオド・5分52秒、ジェイソン・ディキンソン(センター、28歳)。これらが全て先制点となっている。
↩︎ - 前述の4試合以外では、2023年12月30日、ロスアンゼルス・キングス戦(アウェイ)で、第1ピリオド・18分49秒までに2点を先制されるが、第2ピリオドに同点に追いつき、そのままレギュラー及びオーバー・タイムも無得点で終了。
シュート・アウト(PK戦)までもつれこみ、3-2で勝利。
↩︎ - カナダ、サスカチュワン州インペリアル出身、45歳。1997年のNHLドラフトで総合166位指名されているが、NHL出場記録は無し。
2006-07シーズンからWHLでコーチング・キャリアをスタートし、2017-19までフィラデルフィア・フライヤーズでアシスタント・コーチを務めた以外、下部リーグでのコーチ経験しかなかった。
2023年11月12日、エドモントン・オイラーズは、解雇されたジェイ・ウッドクロフトの後任として、ノブラウシュの就任を発表した。 ↩︎