はじめに
今シーズンの特徴として、シーズン中に監督交代をしたチームは、その後、調子良くなる傾向にあることです。その代表例が、バンクーバー・カナックスでしょう。監督交代自体は昨シーズン半ばでしたが、フロントの慧眼か、今シーズン、一気にチームが上昇気流に乗りました。
破竹の連勝記録を打ち立てたエドモントン・オイラーズに然り、プレーオフ出場圏内維持のために、バッサリと切り捨てたロスアンゼルス・キングスに然りです。現在だと、記事中に出てくるオタワ・セネターズも、そのパターンに入ってきそうな感じです。
今回取り上げるミネソタ・ワイルドもNHL未経験監督を切った後、ジワジワと上昇し、プレーオフ圏内を狙える位置まで来ていましたが、ある選手に課された重いペナルティと、新監督の捨て身の采配?が災いし、その上昇曲線にブレーキがかかりそうです。
必死でプレーしているあまり、ついつい感情が爆発してしまい、
後悔の念を残してしまうのは、ありがちと言えばありがちなんだけどにゃ…。
ハートマンの場合、常習犯的要素が強く、同情するのは厳しい感じかも…。
引用元:Sports Yahoo.com「NHL throws book at Wild’s Hartman after he chucked his stick」
スティックは自分の手足同然、大切なものだよ!
先週の土曜日(3月30日)、ラスベガスに延長戦でワイルドが無意味に負けたことで、その代償がどんどん大きくなり続けています。
月曜日、エクセル・エナジー・センターでゴールデンナイツが2-1の勝利を祝っている間、ライアン・ハートマンは審判に向かってステッキを投げたとして、スポーツマンシップに反する行為により3試合の出場停止処分を受けました。
レギュレーションタイム=60分間終了時、ワイルドは同点(1-1)とされ、延長戦でワイルドがゴールキーパーをベンチに下げ、追加のアタッカーをリンクに入れた後、ラスベガスが無人のネットにゴールを決められてしまい、それまで手にしていた勝ち点を失ってしまいました。
NHLの選手安全局1は出場停止処分の説明の中で、ハートマンがベンチに戻る前に(選手入退場用の)トンネルに入り、審判を罵倒しながらスティックを氷の上に投げつけたため、試合終了時に暴言を吐いたとして10分間の反則処分を命じたと指摘・説明しています。
選手安全局は、スティック投げは意図的かつ計画的であり、単にフラストレーションによるものだと説明しました。
ミネソタ監督のコメントとハートマンの「前科」
レギュレーションタイム終了間近、ハートマンはゴールデンナイツのノア・ハニフィンにハイスティックされましたが、ハニフィンはペナルティ・コールを受けていません。
ワイルドの監督、ジョン・ハインズは「明らかに、ペナルティのコールをしてほしい状況だ」と語りました。「しかし、でも、審判からコールがかけられなかったんだから、どうしようもないよ」
リーグによると、ハートマンの主張は、自分のスティックで誰かを傷つけたり殴ったりするつもりはなかったというものでしたが、自身の行為がプロ意識に欠け、容認できないものであることは認めています。
これはハートマンのNHL通算574試合のキャリアで4回目の出場停止処分であり、常習犯であることも考慮されました。
今シーズン初め、11月26日、29歳のセンターはデトロイトのアレックス・デブリンキャットをつまずかせたとして、2試合の出場停止処分を受けています。また、12月31日、ウィニペグのコール・パフェッティへのハイスティックを含め、7回の罰金も科せられました。
今回の処分により、ハートマンは給与62,195.13ドル(日本円で約940万円)を失い、その全額が選手緊急支援基金2に寄付されることになります。
ワイルドが5試合のロードトリップを開始する日曜日(4月7日)のシカゴ戦から、ハートマンは試合出場資格を得て復帰できるでしょう。
ハートマンは、昨シーズンは90ポイント、その前のシーズンは95ポイントを記録し、今シーズンは68試合に出場し、19ゴール・23アシストの成績を収めていますが、ペナルティー・タイム72分も記録しました。
「彼は選手として自分自身をコントロールし、ペナルティによって自分やチームが不利な状況に陥らないようにするために、良い仕事をしてきている。だから、それは彼の功績だ」とハインズは語っています。
「我々は話し合ってきているし、彼は選手として自覚を持って行動したはずだ」。
「しかし、今後は…、ハートマンにペナルティの前歴が多いとなると、(相手選手が彼にペナルティをしても)おそらく審判からコールされるのがより難しくなることもあるんじゃないかな。
私は審判ではないのでわからないけど、これからもハーティー(ハートマンの愛称)と話し合いながらやっていくことになると思うよ」。
ハートマン、何だか監督にさじを投げられている感じするにゃ。
お互い話し合ってきたのに分かってもらえなければ、そりゃ見捨てられるわな。
29歳、最終的なチーム成績によったら、トレード要員?
ミネソタを取り巻く状況は、あまり良くない
アダム・ベックマンは月曜日の練習でエキストラ・フォワードとしてスケートをし、ハートマン不在の火曜日のオタワ戦のラインナップに入ることができました。
マーカス・フォリーニョは過去2試合を欠場した後、練習を欠席し、長引く鼠径部の負傷に悩まされているベテラン・ウィンガーの最新情報を、ハインズは入手できていません。
「まだ、チーム内に評価すべき良い点がいくつかあるさ」とハインズは語りました。
しかし、ワイルドのベガス戦での異例の結果による影響は、ハートマンの出場停止だけではありません。
土曜日午後、セントルイスとロサンゼルスが敗れたため、ワイルドはたとえ勝ち点1でも追加していたら、ウェスタン・カンファレンスのワイルドカード争いで、ライバルに少しずつ近づくことができた可能性があったのです。
それどころか、チームは直近12試合で7勝し、他の3試合で勝ち点1を獲得しているにもかかわらず、その差を縮めるチャンスを逃してしまいました。
「我々は本当に良いホッケーをプレーし、多くの試合でポイントを獲得している」とハインズは語っています。「残念ながら、挽回できていない部分もあるが、このまま踏ん張っていくつもりだ。状況がどんなものであるかは分かっているが、攻めに行かなければならないと思う。
積極的にならなければならない。我々は継続しなければならない。いくつかのチームに圧力をかけ続けなければならない。我々は試合に勝ち続けたいし、ホームでも良いプレーを続けたいと思っている」。
「その多くは、どのようにビジネスを進めていくかという考え方であり、受け身でビジネスを進めるつもりはない」。
(ここから別記事)引用元:Yardbarker.com「Desperate Wild taking risks for points;surging Senators up next」
好調オタワ戦は背水の陣!
ミネソタ・ワイルドは、プレーオフ進出を確保するために、型破りな計算をし始めました。
火曜、ホームスタンド6連戦中のワイルドは、ミネソタ州セントポールで、勢いづくオタワ・セネターズと対戦し、重要な勝ち点2を求め続けます。
ワイルド(35勝28敗10延長負け、勝ち点79)は、ホームで1勝0敗2延長負けで、月曜日にはロサンゼルス・キングスに勝ち点8差まで迫り、ウェスタン・カンファレンスのワイルドカード2位争いをしています。
土曜日のボーナス・セッション(延長戦のこと)で、ミネソタはゴールキーパーを追加のアタッカーと交代させて延長戦に突入しましたが、この型破りな行動は実を結ばず、ベガス・ゴールデンナイツがエンプティネットゴールを決めて2-1の勝利を収め、ワイルドは追加ポイントを失いました。
ワイルドのジョン・ハインズ監督は、「我々の順位と今後の行方が、ホッケーの試合に勝って、チームを最高のポジションに置こうとする意欲になっている」と語っています。
「そして我々チーム内の意見では、氷上での相手チーム3人の選手(ディフェンス2人+ゴールキーパー)に対し、(攻撃的な)キリル・カプリゾフ、(マッツ)ズッカレロ、(ジョエル・エリクソン)エク、(マット)ボルディを配置することが、試合に勝つ最高のチャンスと思っている」。
「我々の状況を考えると、試合に勝って勝ち点2を取らないといけないし、他のチームの助けも借りないといけない。ホッケーの試合に勝つための最高のチャンスをチームにもたらすべく、この決定が下されたんだ」。
ゴールテンダーのフィリップ・グスタフソンは、追加のアタッカーのために氷上から外されることに何の躊躇もありませんでした。
ミネアポリスのスター・トリビューン紙3によると、グスタフソンは「勝ち点1でも満足できなかったと思う」と語っています。「つまり、オール・オア・ナッシングだったんだ」。
(ベガス戦の)第2ピリオド終盤、カプリゾフはチームトップの37点目を決めました。直近12試合で19ポイント(11ゴール・8アシスト)を記録しています。
しかし、11月18日、スウェーデンのストックホルムで行われたNHLのグローバルシリーズ、ミネソタがオタワに2-1のPK戦で敗れた試合では、スコアシートから外されました(PKシュトを外してしまった)。
監督はかなり攻撃的に行けば勝てる!とプラス思考っぽいけど、
実際うまく機能するかどうかは未知数だにゃ。
「勝ち点を取らなきゃ」というプレッシャーのせいで、
思うようなプレーができないかもしれないし…。
好調オタワは余裕の構え
5連勝中で、直近11試合で8勝を挙げているセネターズ(33勝36敗4延長負け、勝ち点70)は、火曜日(4月2日)、ワイルドのかすかなポストシーズン進出の野望を生命維持装置につなごうとしています。
土曜日(3月30日)に行われたオタワvs.ウィニペグ・ジェッツ戦では、キャプテンのブレイディ・トカチュクが第3ピリオド残り1分45秒にパワープレーゴールを決め、オタワが3-2で勝利しました。
ここ9試合で13ポイント(6ゴール・7アシスト)を記録したトカチュクは、「みんながやってきた小さなことの積み重ねだと思うし、それが結果に表れている」と語っています。
「僕らは積み上げ続けなければならないし、好成績を収め続け、勢いをさらに増し続けなければならない。…とても楽しい試合だった。僕らはチームを構築し、努力を続けなければならない。そして願わくば、この先も、そして将来も、今の状況が続くことを願っている」。
土曜日、リドリー・グレイグとボリス・カチュークも得点し、セネタースのヨーナス・コルピサロが28本のシュートを防ぎました。
「確かに、僕らは楽しんでいるね」とコルピサロは語っています。「気分は良い。チーム全体として、我々は現在リーグのトップにいるような感じだ。そして明らかに、選手個々が全員を助けているんだよ」。
ミネソタはフォワードのライアン・ハートマンを欠くが、延長戦でラスベガスに敗れた後、彼は審判に向かってスティックを投げつけたとして、月曜日、リーグは3試合の無給出場停止処分を科しました。
ベガスのディフェンスマン、ノア・ハニフィンが第3ピリオド後半にハイスティックをしたにもかかわらず、ペナルティを受けなかったことに対して、ハートマンは腹を立てていたようです。暴言を吐いたとして、彼は試合中の不正行為に対する10分間のペナルティを受けました。
まとめ
最新の試合結果によると、ミネソタがオタワに3-2で勝利し、ウェスタン・カンファレンスのワイルド・カード争いに首の皮1枚で残っている状態となりました。ワイルド・カード2位のロスアンゼルスとの差は勝ち点6、ミネソタにストップは許されません。
第3ピリオド序盤、オタワに同点に追いつかれた時は、ベガス戦のようなドツボにハマって、逆転されるかもと一瞬不安もよぎりましたが、13分4秒、29歳のセンター、ヴィンニ・レティエリの技ありバックハンド・ショットがチームを救いました。
ミネソタはホーム2試合消化後、アウェイ5連戦が控えています。その最後がロスアンゼルス戦となっており、ここまでにどのくらい差を詰められるか。ロスアンゼル戦の前、ホームとアウェイで1試合ずつ攻撃力のあるコロラドと闘うのが、全ての鍵になりそうな予感がします。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- The NHL Department of Player Safetyのこと。略称はDoPS。氷上での選手の安全に関する懸念に対処するために2011年に設立された部署。
↩︎ - Players’ Emergency Assistance Fund、つまり、必要な引退選手への経済的支援のこと。一般的に、この基金は選手やその家族を数ヶ月間援助するためのもので、1ヶ月あたり最大2,500ドル(日本円で約38万円)が割り当てられている。
↩︎ - ミネソタ州最大の新聞。同紙はミネアポリスだけでなく、ミネアポリス・セントポール都市圏やミネソタ州全域を含む北中西部一帯で販売。紙面は、国内外のニュース、地元のニュース、スポーツ、ビジネス、ライフスタイル関連の記事で構成。 ↩︎