はじめに
フロリダ・パンサーズ、スタンレーカップ優勝おめでとう!3連勝の後に4連敗なんて、正直ショックで立ち直れなくなって、来シーズンまでチームに影響出るんじゃないか、とヒヤヒヤしていたけど、守備陣が目覚めて、エドモントン・オイラーズの猛攻を抑え切りました。
きっと、フロリダっ子のアリアナ・グランデも大喜びしていることでしょう!23-24シーズンの氷上の戦いもこれでおしまい。次は来季に向けて、いよいよ32チームが情報戦を繰り広げて、補強合戦に入ります。6月28日のドラフト、FA解禁の7月1日に何が起きるのか!
今回は、過去のドラフトで指名された、イキの良い若手の情報2つと、個人的には一番驚いたボストン・ブルーインズの「GKタンデム」解散…のニュースをお届けします。若手の情報も、一方は待望のNHL入り、もう一方は夢破れてトレード?と悲喜こもごもです。
ボストンのウルマーク移籍は、超おったまげニュースだったにゃ!
移籍の噂はシーズン中から出ていたけど、
スウェイマンと揃っているからこそブルーインズの守備の安定があったわけで、
その一角を崩したということは、相当な覚悟の上だと思うのだが…。
引用元:TSN.ca「Off-season Watch: Michkov to soon join Flyers」
亡き父の思いを胸に、いざNHLへ!
ミチコフは、フライヤーズに参加する準備を整えつつあります
マトヴェイ・ミチコフはNHLに向かっています。
TSNホッケー部門記者であるピエール・ルブランによると、コンティネンタル・ホッケー・リーグ(KHL)のSKAサンクトペテルブルクが、6月24日・月曜日にミチコフを放出したことを確認しました。
ミチコフの父親が昨年亡くなったため、1今回のチームからのリリースは、同情的であり、思いやりのある理由によるものだ2と情報筋が彼に伝えた、とルブランは報告しています。
フィラデルフィアは「兄弟愛」にあふれた街
CAAホッケー3のエージェント、J.P.バリーとパット・ブリッソンは数週間前にミチコフの代理権を獲得し、代理人のポール・テオファヌスとともに彼のリリースに向けて動いています。
問題が解決すれば、ミチコフは移民ビザの手続きにもよりますが、1〜2週間でフライヤーズに加わるだろう、とルブランは付け加えました。
昨夏のドラフトでフライヤーズに7位で指名された19歳は、彼のスキルセットを考えると、十分な期待を背負って「兄弟愛の街」4に到着する予定です。
ミチコフは、11月に発表されたTSNホッケーの24歳以下の選手トップ505で16位にランクインし、また、今年2月のTSNスカウティング・ディレクター、クレイグ・バトンによるNHL所属若手有望株トップ506でも5位にランクインしていました。
ロシアのペルミ7出身の同選手は、2023-24 KHLシーズンの大半をレンタル移籍先のソチHC8でプレーし、19ゴールを決め、47試合で22アシストで41ポイントを記録しています。前のシーズンでは、30試合で20ポイント、9ゴール・11アシストを記録しました。
大学生選手、NHLチームと袂を分かつ?
マクグローティとジェッツは分裂の危機?
ウィニペグ・ジェッツが、元1巡目指名のルトガー・マクグローティをトレードする可能性が高い9と、リーグ関係者は今週末に『ジ・アスレティック』のムラト・アテスに語ったそうです。
アテスによると、ミシガン大学のスター選手とジェッツとの関係は、NCAAシーズンの終わりから悪化しており、もはや自分の将来がジェッツにあると彼は信じていないようです。
アテスによると、今年4月、ジェッツはマクグローティとプロ契約を結びたいと思っていましたが、その春または翌年秋のトレーニング・キャンプで、20歳のウィンガーにNHLレベルでプレーする道を約束する気はなくなったと報告しています。
つまり、マクグローティはミシガンに戻ってチームを全米タイトルに導くためでなく、AHLに送られる可能性があったことを意味しています(プロ・レベルの実力ではなかった?)。
大学は、4月に彼がシニア・シーズンに戻ったと発表しました。
「これは、選手がウィニペグに対する自身の考えに基づき、ウィニペグを離れたいというような状況ではありません。
それどころか、ウィニペグの選手育成部門がマクグローティとのプランをどのように考え、伝えているのか、そしてマクグローティが自分自身の将来について、どのように考えているのか、そこに断絶があるようです」とアテスは書いています。
2022年に全体14位で指名されたマクグローティは、ミシガンでの2シーズン目となった昨シーズン、NCAA36試合で16ゴール・36アシスト、52ポイントを記録しました。
ウルヴァリンズ(ミシガン大アイスホッケー部の愛称)はシーズン23勝15敗3延長負けと勝ち進み、フローズンフォーの準決勝で敗退しています。
マクグローティは、前シーズンの39試合で39ポイント、18ゴール・21アシストを記録しました。
ゴーディエの事もあったから、マクグローティ獲得について、
フライヤーズは二の足を踏むんじゃないかにゃ。
もしチームにゴーディエ、マクグローティ、ミチコフと
3人揃った図を想像すると、なんだかゾクゾクっとしませんか?
少しずつチーム力は上がっているんだから、次はスター選手を育成しないと。
ボストンのキーパー・タンデム、遂に解散…
センスがブルーインズから元ベジーナ賞受賞者のウルマークを獲得
引用元:TSN.ca「Sens acquire former Vezina Trophy-winner Ullmark from Bruins」
ボストン・ブルーインズは、6月24日・月曜日、2023年のベジーナ・トロフィー(最優秀ゴールキーパー賞)を受賞したゴールキーパー、ライナス・ウルマークをオタワ・セネターズにトレードし、
セネターズの2024年ドラフト1巡目指名権、フォワードのマーク・カステリッチとゴールキーパーのヨナス・コルピサロを獲得しました。
この取引の一環として、セネターズはコルピサロの残りの年俸の25%を保持することになっています。
これは、来シーズンのゴールキーパーとして誰を起用するか、というブルーインズの抱えていた大きな疑問に答えるものです。
当初の計画では、ウルマークがブルーインズの今シーズン開幕時の第1ゴールキーパーになるはずでした。
しかし、その代わりに、レギュラー・シーズンで43試合に先発して25勝10敗8延長負け、平均失点率2.53の成績を残した25歳のジェレミー・スウェイマンと交互に起用されることになったのです。
チームの計画では、プレーオフでも同じことをする予定(ウルマークを第1ゴールキーパーとして起用)でしたが、ウルマークがトロントとの第1ラウンド・第2戦で敗れた後(スコアは3-2)、スウェイマンが残りの試合で先発し、6勝6敗、平均失点率2.15を記録しています。
ボストンは、イースタン・カンファレンス準決勝で、フロリダ・パンサーズに6試合で敗退しました(2勝4敗)。
30歳のウルマークはボストンで3シーズンを過ごし(前所属はバッファロー・セイバーズ)、2021-22シーズン前、元ゴールキーパーのトゥッカ・ラスク10が股関節の負傷から復帰しようとしていたときに契約しています。
そのシーズン、ラスクのカムバックの試みがわずか4試合で終わったとき、ウルマークが主力として活躍し、NHL最高の平均失点率1.89を記録して、ブルーインズがNHLのシーズン勝利記録(65勝、22-23シーズン)を樹立するのに貢献しました。
スウェイマン+コルピサロ+ブッシってどうよ?
スウェイマンはポストシーズンでセーブ率.933、平均失点2.15を記録しています。ウルマークはポストシーズンの2試合でセーブ率.886、平均失点3.90を記録しました。
ウルマークの数字は、レギュラーシーズンの39試合で記録したセーブ率.915と平均失点2.57より下がりました。
ウルマークは来年500万ドル(約8億円)の報酬を得る予定です。スウェイマンは、仲裁で裁定された347万5000ドル(約5億5千万円)から昇給する見込みです。
ボストンの(選手を入れる)「戸棚」を見ると、ウルマークがいなくなっても、スウェイマンの後ろが完全に空っぽになるわけではありません。
30歳のコルピサロは、2023-24シーズンにオタワで55試合に出場し、21勝26敗4延長負け、平均失点率3.27、セーブ率.890の成績を残しました。
さらに、月曜日早朝、ブルーインズは、控えゴールキーパーのブランドン・ブッシと来シーズンの77万5000ドル(約1億2千万円)相当の2ウェイ契約(NHLのチームに在籍したまま、下部組織のチーム出場可能)を結んでいます。
まとめ
サラリーキャップの影響とはいえ、ウルマークを切ったのは、後々ボストンのチーム内に影響が出そうな予感します。コルピサロって、23-24シーズンのセネターズ不振の原因を作った選手であり、不安定なセービングは数字にも表れています。
ブッシの契約内容から見ても、彼は修行中の身。保険にも何にもなりません(急に覚醒するかもしれませんが)。あるいはドラフトでゴールテンダーを指名するのでしょうか。前線に人の足りているチームなんで、ボストンのドラフト戦略が守備重視になるのか、気になります。
ミチコフの正式加入が発表されたので、フライヤーズの来季は明るいです(多分)。その勢いで、マクグローティ獲得も無くはないですが(実際、そんな記事もある)、大学生選手に振られっぱなしのチームですから、ここは大人しくしといた方が良いのかもしれません。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 父であるアンドレイ・ミチコフは、2023年4月2日に行方不明となり、2日後、ソチ近郊の池で亡くなっているところを発見された。享年51歳。2日の夜、「すぐに戻って来る」と言ったまま戻ってこなかった、とされている。詳細はこちら→☆。
また、ミチコフは移籍発表声明で「NHL移籍は父の長年の夢でした。父は私がNHLでデビューするのを本当に見たかったのです。父のためにも、この一歩を踏み出すことは私にとって非常に重要なことです。父はきっと私を応援してくれるでしょう」と語っている。
↩︎ - サンクトペテルブルクを離れることについて、両者が納得し合っているのは次の声明でも分かる。「熟考の末、NHLに挑戦してみることにした。この問題に対応してくれたSKAの経営陣に心から感謝したい。
私はすぐに、SKAだけでプレーしたいという立場を示した。他のチームへ行く気持ちはない。NHLに進出するつもりだが、KHLのサンクトペテルブルクだけが私のプレーする場所です」とミチコフは述べている。詳細はこちら→☆。
↩︎ - CAAはCreative Artists Agencyの略。ホッケー界で最も評価の高い選手の代理人として、契約交渉に優れた実績を残している。
↩︎ - 「the City of Brotherly Love」は、ペンシルバニア州フィラデルフィア(Philadelphia)のニックネーム。Philadelphiaのギリシャ語の意味から、とされている。
↩︎ - 1位は、コナー・ベダード(シカゴ・ブラックホークス)。ヒューズ3兄弟が2,3,13位に入っているのが目を引く。詳細はこちら→☆。
↩︎ - 1位はフライヤーズに指名されながら、それを拒否したため、アナハイム・ダックスへトレードされたカッター・ゴーディエ(現在はボストン・カレッジ所属)。詳細はこちら→☆。
↩︎ - ロシアの最東端、中央ウラル山脈の西麓に位置する工業都市。人口105万人、これはロシアの都市の中で14番目。
↩︎ - 2014-15シーズンより、KHLに参加。同シーズン、いきなりガガーリン・カップを争うプレーオフ進出を果たしたが、ここ5シーズン、プレーオフの舞台から遠ざかっている。23-24シーズンは23勝38敗7延長負け、ボブロフ・ディヴィジョン4位。
↩︎ - こちらの記事を見ると、評価はそれなりに高い→☆。ジェッツが2025年第3巡目指名権+ミドルシックス・フォワードの有望選手orミッドレンジ・ディフェンスの有望選手を要求してもおかしくない、としている。
あるいは、2024ドラフト第1巡目指名権のうち、10〜14位を持っているチーム=ニュージャージ(10),バッファロー(11),フィラデルフィア(12),ミネソタ(13)そしてサンノゼ(14)から、その指名権とトレードするのも可能と分析している。
↩︎ - フィンランド、サヴォンリンナ出身。37歳。ドラフトではトロント・メープルリーフスに指名されたが、チームの方針から1試合も出場せず、ボストンへトレード。後に「メープルリーフス史上最悪のトレードの一つ」とまで言われる。
なぜなら、ラスクはボストンで長きにわたり成功を収め、最終的には300勝以上を挙げ、ヴェジーナ・トロフィーを獲得し、NHLオールスターチームに複数回選出されたからである。 ↩︎