はじめに
懲りもせず、またやっちゃいます!オフシーズンのお楽しみ?久しぶりのシリーズ物の登場です! 「NHL 各チームの歴史上、最も偉大なヘッドコーチ(監督)は誰でしょうか?」と題して、32チームに栄光をもたらした(中には負の遺産も)監督さんをズラッと紹介します。
記事の基本線として、あまり古い監督さんをピックアップしていない理由は、現在と試合数も、レギュレーション(延長戦の有無等)も違っているからです。どうしてもルールが整備され、厳格に適用される現在に重きを置くのは仕方ありません。
現役の監督さんも登場しますし、「こんな人いたんだ。言われてみれば、それなりに成績残していたんだ」なんて陰の薄い人も。スタンレーカップやカンファレンスの決勝辺りまで、なかなか出て来られないチームで、「名監督を探す」のは至難の業かも。
記事の中でも少し触れられているんだけど、NHLの歴史の中で、
プレーイング・マネージャーって、あまり出て来ないんだよにゃ。
リーグが発足したばかりの100年近い前にはいたみたいだけど、
そりゃそもそも選手少ないわけで^^;。
引用元:YARDBARKER.com「Who is the greatest head coach in every NHL team’s history?」
最高の監督は誰?
NHLでは監督が氷上で活躍することはありませんが(少なくともレスター・パトリック1以来)、それでもコーチはフランチャイズの象徴となることができます。
NHLの各チームの歴史上、最高のヘッドコーチ(監督)は誰でしょうか?これは単に勝敗記録や勝利数だけで測るものではありません。
NHLの全32チームにとって最高のコーチを決定するには、いくつかの要素が関係します。各フランチャイズのベンチに座るコーチの内、誰に決定したのかを紹介します。
ダックスにたった1度の栄冠をもたらしたのは…
アナハイム・ダックス:ランディ・カーライル
カーライルは、レギュラー・シーズンとプレーオフを合わせ、ダックスの他のどのコーチよりも2倍以上の試合を2指揮してきましたが、もちろん、量が成功を測る最良の基準ではありません。
彼の勝率はブルース・ブードローほどでは3ありませんが、カーライルはダックスでより多くの時間を過ごし、チームでの2シーズン目にはフランチャイズで唯一のスタンレーカップも制覇しました。その優勝リングは、彼をトップに押し上げています。
ユタ移転で新たな「最高の監督」が生まれるか?
アリゾナ・コヨーテズ:デイブ・ティペット
まあ、ウェイン・グレツキーでは4ありません。ウィニペグ・ジェッツ時代まで遡っても、コヨーテズのコーチ歴は暗いです。
ティペットとボビー・フランシスの勝率は5似ていますが、ティペットはヨーツ(コヨーテズの略称)でプレーオフ12勝を挙げたのに対し、フランシスはわずか2勝にとどまったため、ティペットが優位に立っています。
賞の名前にもなったレジェンドより上
ボストン・ブルーインズ:クロード・ジュリアン
17シーズンにわたりブルーインズを指導したアート・ロス(そう、あのアート・ロス6です)を選ぶこともできました。
しかし、彼のコーチとしてのキャリアは1924年に始まっており、このリストでは、ご存知のとおり、現在のホッケーの実状を反映したバージョンのNHLでキャリアを過ごしたコーチを優先しています。
さらに、ジュリアンは年間最優秀コーチとして7ジャック・アダムス賞を受賞しており(08-09シーズン)、カップ優勝回数はロスより1回少ないだけです。
名将すら苦労させたセイバーズに、灯りをともした男…
バッファロー・セイバーズ:リンディ・ラフ
NHL史上最も偉大なコーチと言われるスコッティ・ボウマン8がセイバーズを指揮しましたが、それはおそらく彼にとって最も成功しなかったシーズンでもありました。
それでも、彼は210勝を挙げ、プレーオフでは18勝18敗という成績を収め、記憶に残るシーズンがあまりなかったフランチャイズに貢献しています。
しかし、ラフは簡単な選択でした。彼はセイバーズで9レギュラー・シーズン1,165試合、プレーオフで101試合と驚異的な数の試合を指揮し、しかもポスト・シーズンでは勝利を収めています。
これには、1998-99シーズン、セイバーズがスタンレーカップ決勝に進出したことも含まれています(敗れたとはいえ。相手はダラス・スターズ)。
鬼監督以上に炎を燃え上がらせたぜ!
カルガリー・フレームス:テリー・クリスプ
フレームスはチーム史上1度だけカップを制覇(1988-89)しています。クリスプはそのチームを指揮していたのです。カルガリーで過ごしたのはわずか3シーズン(1987〜1990)でしたが、144勝63敗33延長負けという成績を残しています。
ダリル・サッターは勝利数でフランチャイズのトップ(317勝。2003-04シーズン、スタンレーカップ決勝敗退が最高。在籍は2002〜2006年、2020〜2023年)ですが、クリスプは最高のコーチでした。
サッター=フレームスの鬼監督のイメージが付いていて、
良くも悪くもフレームスを代表する監督さんなんだにゃ。
このサイトでは、スタンレーカップをもたらしたのに、
なぜか印象の薄いクリスプを持ってくるチョイスが渋い。
現役監督は相当な切れ者
カロライナ・ハリケーンズ:ロッド・ブリンダムール
このリスト、最初の現役監督です。ブリンダムールはハリケーンズの素晴らしい選手であり、リーグの最高のディフェンシブ・フォワードとしてセルケス(セルケ・トロフィー)を2回獲得しましたが、コーチとしてもかなりの成功を収めています。
ポール・モーリスはさらに多くの試合を指揮し、より多くの勝利を収めた一方で、敗戦数の多さで、彼はカロライナを去ってしまいました。実際、ブリンダムールは10すでにモーリスよりも多くのプレーオフ勝利を収めています。
2005-06シーズンのカップ戦優勝チームの監督であるピーター・ラビオレット(通算167勝)も候補に挙がりました。
あの不祥事さえなければ…
シカゴ・ブラックホークス:ジョエル・クエンネビル
残念ながら、これは厄介なことになっています。
クエンネビルがブラックホークス史上最高のコーチであることは間違いありません(レギュラー・シーズン通算勝利数452。シカゴ在籍は2008〜2019。キャリア全体では969勝、歴代2位)。彼はNHL史上5人か6人いる最高のコーチの1人です。
クエンネビルは、1961年以来の優勝である2010年を含め、シカゴを3つのカップ戦優勝(2009-10、12-13、14ー15。プレーオフ出場9回、プレーオフ通算勝利数76)に導きました。
在任中、ブラックホークスのフランチャイズ内で起きた憂慮すべき状況11について、彼のやってしまったことの一部始終が暴露され、それはクエンネビルをフロリダから追放するのに十分なほどひどいものでした。
彼はNHLののけ者のような存在になってしまったので、ホッケーの殿堂入りは決してないかもしれません。
突然、チーム再建を任されて苦労した甲斐があったよ
コロラド・アバランチ:ボブ・ハートリー
ジャレッド・ベドナーはカップ戦の経験もあり、指揮した試合数でフランチャイズ・リーダーになる日も近いでしょう(341勝は歴代最多)。しかし、再建初期は12少し荒れていました。
ハートリーは4シーズンと少ししか監督をしていませんが、アバランチでの勝率は.618(193勝。ベドナーの勝率は.552)、プレーオフでの勝率は.613(49勝。ベドナーの勝率は.605)でした。しかも、優勝カップも手にしています(2000-01)。
とりあえず、今だけなら、ハートリーがベドナーより上です。
まとめ
今回取り上げた監督の中で、個人的に一番すごいなと思うのは、現役であるハリケーンズのロッド・ブリンダムールです。現役選手時代の実績もさることながら、就任以来、ずっとプレーオフに出場し続けている手腕はもっと評価されて然るべきでしょう(これから?)。
現役時代の実績で言えば、ウェイン・グレツキーの右に出る者はいないのですが、「名選手は名監督になれない」の言葉通り、コヨーテズでの監督経験は苦労の連続で、彼の輝かしいホッケー人生に影を落としています。どのスポーツでも、あの言葉は生きているのです。
この記事、一人ひとりの監督紹介文は短いのですが、それを基にして、いろいろと調べてみると、NHLの歴史の奥深さがよく分かります。久しぶりの連続物、何とか最後まで辿り着けるよう頑張ります!
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- ニューヨーク・レンジャーズにコーチ兼監督として雇われ、チームを1928年と1933年にスタンレー・カップ優勝に導き、さらに3回決勝に進出している。
1928年の決勝で、ゴールキーパーの目の負傷のピッチヒッターとして、パトリック(元はディフェンスの選手)が出場。その当時、パトリックの年齢は44歳99日、スタンレー・カップ決勝戦でプレーした最年長選手である。
↩︎ - 在籍は2005年~2011年、2016年~2019年。レギュラー・シーズン:516試合273勝182敗61延長負け。プレーオフ:36勝11敗 勝率.581。プレーオフ出場5回、06-07シーズン、スタンレーカップ獲得。
↩︎ - 在籍は2011年~2016年。ブードローの成績は、352試合208勝104敗40延長負け。プレーオフ:24勝19敗、14-15シーズン、カンファレンス決勝進出が最高。
↩︎ - 328試合143勝161敗24延長負け。プレーオフ:出場なし。コヨーテズの持ち株会社の破産や、母親の看病による一時離脱などもあり、思ったようなチーム作りができなかったと考えられる。
↩︎ - ティペットの在籍は2009年~2017年。レギュラー・シーズン:622試合282勝257敗83延長負け。プレーオフ:12勝15敗 勝率.444。プレーオフ出場3回、11-12シーズン、カンファレンス決勝進出が最高。
フランシスの在籍は1999年~2004年。レギュラー・シーズン:390試合165勝144敗60引き分け21延長負け。プレーオフ:2勝8敗 勝率.200。プレーオフ出場2回、99-00シーズン、01-02シーズン、第1ラウンド進出が最高。
↩︎ - 偉大なるブルーインズ、ホッケー界全体を代表するレジェンド。現在でも使用されているホッケーパックのスタイルを考案し、ゴールネットの改良スタイルを提唱。1947年、NHLレギュラーシーズンの得点王に贈られるアート・ロス・トロフィーを寄贈。
ロスの在籍は1924年~45年。レギュラー・シーズン:802試合394勝313敗95引き分け。プレーオフ:70試合32勝33敗5引き分け。プレーオフ出場12回、28-29シーズン、38-39シーズン、スタンレーカップ獲得。
↩︎ - ジュリアンの在籍は2007年~17年。レギュラー・シーズン:760試合419勝246敗94延長負け。プレーオフ:57勝40敗 勝率.588。プレーオフ出場7回、10-11シーズン、スタンレーカップ獲得。
↩︎ - スタンレーカップ獲得9回を誇る、史上最高の監督。ボウマンがセイバーズ監督に就任した際、スター選手たちが年令による衰えを見せ始めており、彼のキャリア中、唯一のスタンレーカップを手にしていないチームとなった。
ボウマンの在籍は1979年~87年。レギュラー・シーズン:404試合210勝134敗60引き分け。プレーオフ:18勝18敗 勝率.500。プレーオフ出場5回、79-80シーズン、準決勝敗退が最高。
↩︎ - ラフの在籍は1997年~2013年。レギュラー・シーズン:1,165試合571勝432敗78引き分け84延長負け。プレーオフ:57勝44敗 勝率.564。プレーオフ出場8回、98-99シーズン、スタンレーカップ決勝進出が最高。
↩︎ - 2018年から在籍中。レギュラー・シーズン:452試合278勝130敗44延長負け。プレーオフ:38勝36敗 勝率.514。プレーオフ出場6回(就任以来、継続中)、18-19、22-23シーズン、カンファレンス決勝進出が最高。
23-24シーズン、フロリダ・パンサーズ優勝監督であるポール・モーリスは、1997〜2004年、2008〜2012年とハリケーンズ監督を務めており、プレーオフは25勝28敗の成績を収めている。同チームでのレギュラー・シーズンの勝ち星は320勝(319敗)。
↩︎ - 2021年10月26日、元コーチのブラッド・アルドリッチが2010年のスタンレーカップ・プレーオフ中、有望選手のカイル・ビーチに性的暴行をしたという主張に対し、ブラックホークスがどのように対応したかをリーグ主導で調査。
その結果、クエンネビルとブラックホークスの管理職数名が、スタンレーカップ決勝が終わるまで、アルドリッチに対するいかなる措置も延期するとしたことが明らかになった。さらに疑惑が明らかになった当初、クエンネビルはこの件について「知らない」と主張。
しかし、数々の目撃証言などで黙認していたことが判明し、クエンネビルはNHLコミッショナーのゲイリー・ベットマンとの会議に召喚され、主張を撤回し謝罪。その当時、フロリダ・パンサーズ監督であったが、即時辞任となった。
↩︎ - 2016年8月25日、ベドナーはパトリック・ロイに代わって監督に任命されたが、トレーニングキャンプの1か月未満前という慌ただしさだった。
そのため、独自のシステムを導入したり、独自のスタッフを雇ったりする時間が十分になく、ロイのアシスタント・スタッフを引き留めざるを得なかった。この準備不足がアバランチ史上最悪の成績(チームのポイント数48)へと繋がっていく。 ↩︎