2024-25 NHLシーズンのダークホース候補を徹底解説するよ!

現役スター選手紹介

はじめに

 NHLの新シーズンが始まると、ファンは期待に胸を膨らませ、どの選手が主要な賞を手にするかについて考えを巡らせます。特に、得点王やMVP、ゴールテンダー部門のベジーナ・トロフィー、新人王に当たるカルダー・トロフィーなど、注目される賞が目白押しです。

 しかし、毎年のように話題に上るスター選手たちの陰で、実はあまり注目されていないダークホース候補が存在します。この記事では、今シーズンの主要賞において、隠れた有力候補として注目すべき選手たちを紹介していきます。

讃岐猫
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引用元:bleacherreport.com(BLEACHER REPORT1)「Dark-Horse Candidates for Every Major NHL Award In 2024-25

どんな賞にもダークホースがいるものです。

 毎年、NHLのシーズンが始まると、どの選手がリーグの主要な賞を争うかについて、ある程度の予想が立てられます。

 コナー・マクデイビッド、ネイサン・マッキノン、ニキータ・クチェロフ、そしてオースティン・マシューズは、得点王とMVPの争いに加わるでしょう。

 イゴール・シェスターキン、イリヤ・ソローキン、そしてコナー・ヘルブイックは、ベジーナ・トロフィー(最優秀ゴールキーパー賞)の有力候補です。

 ケイル・マカー、アダム・フォックス、クイン・ヒューズ、そしてミロ・ハイスカネンは、ノリス・トロフィー(最優秀ディフェンスマン賞)の有力候補として期待されています。

 全体1位指名選手は、カルダー・トロフィー(最優秀新人賞)の有力候補となるでしょう。

 そのうちの何人かは、すでにこれらの賞を受賞しています。今シーズンも受賞する可能性はありますが、シーズン中、誰かが突然どこからともなく現れて賞を獲得することも十分に考えられます。今日はその点に注目していきたいと思います。

 NHLの主要な賞の中から5つを選び、その受賞候補として、あまり注目されていないダークホース的候補を1人ずつ紹介します。

 ここに挙げる選手たちが必ず賞を獲得するという予測ではありません。プレシーズンで注目を浴びていない、しかし受賞する可能性がある選手の一人を紹介するだけです。

総合力では確かにMVPクラス

ハート・トロフィー:J.T.ミラー、バンクーバー・カナックス

 ダークホース候補のリストを深く掘り下げることになるかもしれませんが、ミラーはMVP候補として多くの条件を満たす可能性を持っています。

 良いチームでプレーしているでしょうか?バンクーバー・カナックスが2023-24シーズンのパフォーマンスを再現する、あるいはそれに近い結果を残し、2年連続でスタンレーカップ・プレーオフに進出すると仮定すれば、その条件を満たすでしょう。

 とても強い攻撃力はありますか?過去3年間、リーグでトップクラスのオフェンシブ・プレーヤーの一人として活躍してきた彼には、確実にその要素があります。

 プレーオフ進出のチームでプレーすることは注目を集めますし、得点をたくさん挙げると、それは注目はもっと集まります。両方の要素を持つことが、MVPの候補として名前の挙がる理由です。

 昨シーズンのMVP投票でミラーは11位に終わりましたが、今シーズンも再び候補に名を連ねる可能性があります。

 彼のカナックスでのキャリアは非常に興味深く展開しています。カナックスが彼を獲得するために1巡目指名権をトレードした際2、多くの批判が寄せられました。なぜなら、カナックスは優勝を狙えるチームには見えなかったからです。

 彼が長期契約を結んだ際3、その契約は単調なプレーしかできない選手に対する過剰な支出や悪い契約だとして批判されました。カナックスは最終的に彼をトレードして、その(チームにとって)重荷のような契約を解消する必要があると考えられていました。

 しかし実際には、彼は素晴らしいコアプレーヤーであり、MVP候補に名乗りを上げる可能性があります。

 彼が受賞するかどうかって?おそらく無理でしょう。しかし、もしあなたが賭けるべきダークホース候補を探しているなら、彼は非常に良い選択肢です。

2シーズン連続最多勝ゴールキーパーだし…

ベジーナ・トロフィー:アレクサンダー・ゲオルギエフ、コロラド・アバランチ

 ゲオルギエフは、今シーズンのNHLで最も興味深い先発ゴーリーの一人であることに間違いありません。

 一方で、彼は非常に優れたチームであるコロラド・アバランチにおいて、最大の疑問符となる存在かもしれません。チームの先発ゴーリーとして昨シーズンは不振(特にセーブ率.897)で、彼が今どのくらいの実力を持つゴーリーなのか、まだ不確実性が残っています。

 しかしもう一方で、彼が今シーズンのどこかでベジーナ・トロフィーの議論に名前を連ねる可能性があると言っても、無茶な発言ではないと思います。

 多くのホッケーの試合に勝つためのポジションに、彼は自らを置くことのできる選手であると、あなたもすでにご存じでしょう。

 アバランチは彼に得点によるサポートを提供し、優れたディフェンスが彼の前面に控えています。過去数年間の不安定さにもかかわらず、彼は過去2シーズン連続でリーグの勝利数(ゲオルギエフ出場試合)で首位を記録しています(22-23シーズン:40勝、23-24シーズン:38勝)。

 ベジーナ・トロフィーの投票者(NHLのゼネラルマネージャーたち)は、その点に注目します。彼らはただ勝つ選手が好きだからです。

 彼がその勝利数を平均以上のセーブ率と組み合わせ、アバランチでの最初のフルシーズンに見せた.915または.918の範囲に戻すことができれば、彼はこの賞の隠れた有力候補になることは間違いありません。

ウィニペグ経由でピッツバーグへ来た新人

カルダー・トロフィー:ラトガー・マクグローティ、ピッツバーグ・ペンギンズ

 カルダー・トロフィーの争いは、全体1位指名のマックリン・セレブリーニ、フィラデルフィア・フライヤーズの若き才能マトヴェイ・ミチコフ、そしておそらくダラス・スターズのフォワード、ローガン・スタンコーヴェンの3人に絞られるでしょう。

 しかし、毎年必ず誰かが突如として現れ、その活躍によって議論に加わることがあります。今年はピッツバーグ・ペンギンズのフォワード、ラトガー・マクグローティがその選手になるかもしれません。

 ウィニペグ・ジェッツが4彼との契約に合意できなかったため、シーズン前、ペンギンズは彼をプロスペクト・トレードで獲得しました。マクグローティは傑出した有望株であり、今や明らかにペンギンズ組織の中で最も優れた選手とも言えます。

 若い才能をラインナップに加えたいチームにとって、彼は重要な役割を果たすチャンスを得るかもしれません。

 ミシガン大学で傑出したキャリアを積んで、マクグローティはNHLへの準備が整っているように見えます。ペンギンズでのトレーニングキャンプとプレシーズンでのパフォーマンスは素晴らしいものでした。

 シーズン開幕時、彼はピッツバーグにいないかもしれませんが、すぐに(下部組織のチームから)ペンギンズに加わり、特にシドニー・クロスビーやエフゲニー・マルキンといったトップ・センターのいずれかと共にプレーする機会があれば、ポイントを稼ぐことができるでしょう。

【追記】
インタビューでは以下のように言ってます。
(問)キャンプの最初の数日はどうだった?
(答)うん、いい感じだよ。初日は確かに調整期間があったけど、全体的に試合内容が日々良くなっている気がする。スケーティング・テストは楽しかったし、仲間たちと一緒に頑張るのも良かった。ただ、確かに疲れたね。

(問)自信がついてきているみたいだね。(スケーティングの)ストライドが少し強くなったり、攻撃ゾーンでパックを扱うのも増えている感じがする。
(答)そうだね、カレッジからNHLキャンプへの移るのは大きなステップだ。最初の数日は良いプレーができたけど、100%の状態ではなかった。でも今日は本当に良い日だったし、キャンプが進むにつれてどんどん良くなっていくと思う。

(問)ドリュー・コナーやサム・ポーランドと一緒にプレーする時間が増えているけど、彼らから何を学べる?
(答)彼らのゲームを観察することで、パックの扱い方や進むべきルートを学んでいる。特にDゾーンでの止まり方や、相手を不利なエリアに誘導する方法が重要だと思う。

 彼らはその点でとても上手だし、ドリューは同じウィンガーとして、彼のプレースタイルが大好きだ。彼は素晴らしい選手で、速さもあるから、彼を見ながら学ぶことがたくさんある。だから、彼らと一緒にプレーするのは本当に楽しいよ。

讃岐猫
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大怪我から復活した男が賞をかっさらう

ノリス・トロフィー:ドギー・ハミルトン、ニュージャージー・デビルズ

 ノリス・トロフィーは、NHLに新たに登場する若手スター・ディフェンスマンたちの次の波によって支配されると予想されており、実際その傾向はすでに見られます。

 ケイル・マカー、アダム・フォックス、クイン・ヒューズ、そしてミロ・ハイスカネンがこの賞の有力候補となるでしょうが、それでもこの争いには経験豊富なベテラン選手も関与する可能性があります。

 ニュージャージー・デビルズには、その一人として入るかもしれないダギー・ハミルトンがいます。

 彼はデビルズと契約して以来、多くの時間を欠場しているため、忘れられがちです。特に2023-24シーズンの5ほぼ全てを欠場したことは痛手でした。

 彼個人にとっては不運でしたが、彼が正真正銘のナンバーワン・ディフェンスマンだからこそ、デビルズにとっても特に不幸なことでした。

 さて、彼は今シーズン6戻ってきました。健康を維持できれば、彼にはまだ一流のディフェンダーとして活躍できる素晴らしい年が残されているはずです。

 彼のプレーには多くの魅力があり、なぜならトップペアのディフェンダーから望むことを、彼はほとんどすべてこなすことができるからです。ゲームのペースをコントロールし、ポゼッションを支配し、自身の守備面でのプレーについて、評価されている以上に彼は優れた選手です。

 彼はキャリアの中で、非常に生産的な選手であるにもかかわらず、ノリス・トロフィーの投票ではしばしば忘れられた存在となっています。デビルズが立ち直り、彼がその一翼を担うことがあれば、今シーズンこそ本格的に注目を集めるかもしれません。

ディフェンスの要が復帰したことにより、デビルズ、開幕2連勝!

監督業には運も付き物です。

ジャック・アダムス・トロフィー:アンドレ・トゥリニー

 年度最優秀コーチ(監督)賞は複雑なもので、必ずしも優れた指導力を反映するわけではありません。多くの場合、この賞を受賞したコーチやファイナリスト(最終候補者)は、1年か2年以内に解雇されてしまいます。

 通常、この賞はプレシーズンの期待を上回り、プレーオフに進出したチームのコーチに贈られます。

 それはコーチングに起因するのでしょうか?必ずしもそうではありません。多くの場合、予想外のチームが、たまたまこの世のものとは思えないようなゴールキーパーのパフォーマンスを発揮している(スーパーセーブで失点を防いで、偶然に勝ちを拾っている)からです。

 まあ、ユタ・ホッケークラブがそのようなゴールキーパーのパフォーマンスを得られるかはわかりませんが、彼らがウェスタン・カンファレンスのプレーオフ争いに影響を与える存在になると確信しています。そして、プレーオフ進出の可能性も十分にあるでしょう。

 彼らには、クレイトン・ケラー、ニック・シュマルツ、ローソン・クラウスといった選手に加え、フォワードには、ローガン・クーリーとディラン・ゲティエという新進気鋭の若手スターがいます。

 また、ミハイル・セルガチョフやジョン・マリノを獲得してディフェンスを強化する重要な動きもありました。これらの補強とフォワードの新たな才能が合わさることで、このチームはプレーオフ進出のチャンスを得るかもしれません。

 もしそれが実現すれば、トゥリニーがジャック・アダムス・トロフィーの候補に名を連ねるのは間違いないでしょう。ひょっとすると、受賞するかもしれません。

まとめ

 今シーズンもNHLの主要賞に向けて、多くの選手が熱い戦いを繰り広げることでしょう。既に評価の高い選手たちが中心となる一方で、J.T.ミラーやアレクサンダー・ゲオルギエフのような地味…失礼、ダークホース候補にも注目が集まります。

 特にペンギンズのラトガー・マクグローティと、「ユタの初代監督」アンドレ・トゥーリニーの名前が出るとは思ってもみませんでした。マクグローティはしっかり水に慣れてから…の方がいいかもしれませんが、ベテラン過多のチーム状況、意外と早く活躍するかもしれません。

 今回取り上げた彼らが賞を獲得するかどうかは未知数ですが、ひょっとしたらサプライズをもたらす選手となるかもしれません。シーズンの進行と共に、これらの選手の活躍に目を光らせ、アイスホッケーの魅力を一層楽しんでいきましょう!

讃岐猫
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【註釈】

  1. 2007年に設立され、様々なスポーツジャンルにわたる記事、動画、ポッドキャストを扱ったサイト。ワーナー・ブラザーズ系列のTurner Sports(ターナー・スポーツ)の傘下にあるため、テレビや他のメディアとの連携も良好。カジュアルな感じが若者中心に受けている。
    ↩︎
  2. 2019年6月22日、2019年NHLドラフト2日目に、ミラーはマレク・マザネック、2019年ドラフトの第3巡目指名権、 2020年NHLドラフトの条件付き第1巡目指名権と引き換えに、カナックスに移籍。
    ↩︎
  3. J.T. ミラーのバンクーバー・カナックスとの契約延長に対する批判の要因は、契約条項内のトレードに関する部分に焦点を当たっていた。延長前は、ミラーはどのチームにもトレード可能だったが、延長となった際、ノームーブメント条項とノートレード条項が発生している。

     ノームーブメント条項とは、選手が特定の条件下でトレードやファームチームへの移動を拒否できる契約上の条項のこと。この条項がある選手は、チームが選手をトレードする際や、別のリーグや下部リーグに移す際に、選手の同意がなければならない。

     ノートレード条項とは、選手が自分の同意なしにトレードされることを防ぐ契約上の条項のこと。通常、この条項には、選手がトレードを拒否できる特定のチームのリスト(たとえば、ノートレードリスト)を設けることが多い。
    ↩︎
  4. 2022年7月、マクグローティはNHLドラフトでウィニペグ・ジェッツに第1巡目・全体14位で指名され、ネブラスカ州出身の最高順位のドラフト選手となる。22-23、23-24の2シーズンはミシガン大学ウルヴァリンズでプレー。

     2024-25シーズン前、マクグローティがウィニペグとの契約を拒否し、チームはトレードを選択。2024年8月22日、マクグローティはブレイデン・イェーガーとトレードでペンギンズに移籍。

     トレード後、大学に残留するという発言を撤回し、ペンギンズと3年間のエントリーレベル契約を結んでいる。契約拒否について理由は不明だが、両チームの本拠地の場所に、マクグローティが不安を覚えていたとも言われている。
    ↩︎
  5. 2023年11月28日、ニューヨーク・アイランダーズとの試合で、ハミルトンは左胸筋を断裂。手術は成功したが、彼は負傷者リストに登録され、そのままシーズン・エンドとなった。
    ↩︎
  6. 10月4日・5日のグローバル・シリーズに出場。出場時間は2試合とも20分を超えており(どちらもチームのベスト3入り)、さらにプラス/マイナス評価は2試合とも+1を記録し、ハミルトンの攻撃的プレーが如何なく発揮されたことになる。 ↩︎
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