はじめに
アナハイム・ダックスに現在キャプテン不在であることは、以前このブログでも触れた通りです。そのキャプテン前任者であるライアン・ゲッツラフが、先日、NHL選手安全管理部門に新たに加わることが発表されました。
スタンレーカップ優勝や2度のオリンピック金メダルを持つゲッツラフは、その豊富な経験と知識を生かしてこの重要な役職に就くことになります。引退後もダックスの選手育成コーディネーターとして活動しており、さほど現場感覚は衰えていないでしょう。
彼がNHLの選手安全管理部門に新たな視点と価値をもたらすことが期待されていますが、現役時代の「悪友」は新シーズンも現役続行しますので、巷では早速「ゲッツラフのお世話になるんじゃないか」と言われています…。
NHL選手安全管理部門の仕事の一つは、
簡単に言うと「ビデオ判定センター」かにゃ。
非常に速いアイスホッケーのプレー判定について(特にペナルティ)、
審判の眼だけに頼るのは酷なわけで、それをビデオでジャッジし、
異議申し立てがあった場合、証拠にするんだな。
引用元:NHL.com「Getzlaf joins NHL Department of Player Safety」
ダックスのレジェンド、現場に戻る!
元アナハイム・ダックスのライアン・ゲッツラフが、NHL選手安全管理部門1に新たに加わったことを、NHLのジョージ・パロス同部門上級副社長が発表しました。
ゲッツラフはダックスでの華々しいキャリアの中で、スタンレー・カップの優勝、3度のNHLオールスター・ゲーム出場、数々のフランチャイズ記録を樹立し、またカリフォルニア州オレンジ郡内外での慈善活動や、カナダ代表としての2度のオリンピック金メダル獲得など、多岐にわたる功績を残しました。
「ライアンを我々の部門の新しいメンバーとして迎えられることを、心から嬉しく思っています」とパロスは述べました。「彼の氷上での功績は、まさにその実力を物語っています。
彼はあらゆるレベルで成功を収め、その卓越した技術と堅忍不抜な姿勢で広く尊敬されていました。2005年のNHLルーキーシーズンから引退まで、NHLのさまざまな変化を乗り越え、常にプレーし続けてきました。
その経験が、我々のグループに対して独自で貴重な視点をもたらしてくれるでしょう。」
ゲッツラフのキャリア
2003年のNHLドラフトで1巡目(全体19位)でアナハイムに指名されたライアン・ゲッツラフは、全キャリアをダックス一筋で過ごし、キャリア最多シーズン(17)、出場試合数(1,157)、アシスト(737)、ポイント(1,019)などのフランチャイズ記録を打ち立てました。
彼は2006-07シーズンにダックスのスタンレーカップ優勝に貢献し、アナハイムの歴史の中で最も長くキャプテンを務めました(12シーズン、2010-22)。
2021-22シーズンを最後に、レギュラーシーズンとスタンレーカップ・プレーオフ両方でアナハイムの歴代最多ポイント獲得選手として引退したゲッツラフは、10年間同じチームのキャプテンを務め、1,000ポイントを達成したリーグ史上12人の選手の一人となりました。
2023年6月からはダックスの選手育成コーディネーターとして、選手育成ディレクターのジム・ジョンソンを補佐し、アナハイムの有望株の育成に貢献しています。
長年にわたる慈善活動
オレンジ郡のコミュニティにおける彼の長年にわたる慈善活動には、デュシェンヌ型筋ジストロフィー2に苦しむ子どもたちの命を救うために尽力している「キュア・デュシェンヌ3」への支援が含まれています。
第13回ゲッツラフ・ゴルフ・シュートアウト4(2024年9月13日・14日開催予定)では、プロのアスリートやセレブリティ、コミュニティのリーダーたちが一堂に会し、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに苦しむ人々を支援しています。
このトーナメントは13年間にわたり「キュア・デュシェンヌ」の活動を支え、ライアンと妻のペイジはこの活動を通じて、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの研究資金として580万ドル以上を集めてきました。
カナダ・サスカチュワン州レジャイナ出身のゲッツラフは、14年間(2002〜16)のキャリアの中でカナダ代表として9つの国際大会に出場し、2010年と2014年の冬季オリンピック、2016年のホッケー・ワールドカップ、2005年の世界ジュニア選手権、2003年のU-18世界選手権などで合計5つの金メダルを獲得しました。
引用元:NHL.com「Ryan Getzlaf takes on new role alongside Gary Bettman in NHL」
「著名な違反者」と一緒にプレーした経験が役立つ?
アナハイム・ダックスの伝説的フォワード、ライアン・ゲッツラフが、本日(8月15日)にNHLの選手安全管理部門に加わることが発表されました。
2022年に引退して以来初めてフルタイムでホッケーに復帰するゲッツラフは、長年アナハイム・ダックスのキャプテンとして活躍し、コミュニティにも積極的に貢献してきました。今後は、NHLの選手安全管理部門でその豊富な経験を生かし、広範な取り組みに参加します。
NHLの選手安全管理部門は、試合中の違反に対する罰金や出場停止を決定する機関です。ゲッツラフの長年にわたるNHLキャリア、特に「著名な違反者」コーリー・ペリー5との対戦経験を持つ彼の背景は、この役職に非常に適していると言えるでしょう。
2度のオリンピック金メダリストであり、スタンレーカップのチャンピオンである彼は、ゲーリー・ベットマンのリーグが可能な限り公平であることを保証するために、同部門の責任者であるジョージ・パロスに加わることになります。
ペリーの行くチームは、
スタンレーカップを獲れないというジンクスがあるんだにゃ。
昨シーズン、エドモントン・オイラーズもそうだった…。
そんなペリーも39歳、そろそろ一念発起して、
そのジンクスを破らないといけないねぇ。
新シーズン、ドラフト同期と公聴会で会うかも…
ライアン・ゲッツラフがキャリアの次のセクションに向かう中、彼の長年のチームメイトであり、2003年ドラフト1巡目指名同期であるコーリー・ペリーは、エドモントン・オイラーズで新しいシーズンに入ります。
彼らの親密な友情と6コーリー・ペリーが出場停止や罰金に慣れていることを考えると、今日多くの人が冗談を言っているように、2人はいつの日かこのNHL部門で再会するかもしれません。
アナハイム・ダックスは、元キャプテンの新しい仕事にも積極的に関与するでしょう。
アナハイムの内外の多くの人に愛されているライアン・ゲツラフは、ゲイリー・ベットマンのNHLの最も物議を醸す部門の1つに、7はるかに好感の持てる声をもたらすことは間違いありません。
ライアン・ゲッツラフがこの新しいエキサイティングな機会で次に何をするのか、楽しみにしています。
まとめ
ゲッツラフの新たなチャレンジとなるNHL選手安全管理部門は、記事にある通り、チームや選手から見れば「必要悪」なのかもしれません。2度のオリンピック金メダリストであり、引退後、デュシェンヌ型筋ジストロフィーへの支援活動も行っているゲッツラフでどうなっていくのか。
試合中の違反に対する罰金や出場停止を決定する機関は、「乱闘」のあるNHLには欠かせないものですが、感情的になるあまり、話がこじれやすい部分を持っています。ゲッツラフの豊富な経験と知識が、その部分に生かされることを期待されているのでしょう。
特にペリーのように熱くなり過ぎてしまう選手は、どのチームにも必ずいます(彼らは決して悪人ではありません)。そういう選手達に反省と次のチャンスを与えるのが部門の仕事だと思いますので、ゲッツラフの加入が部門にどのような影響をもたらすか注目していきましょう。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 正式名称NHL Department of Player Safety。同部門は、ニューヨークのリーグ本部にある最先端のビデオルームからすべてのNHLの試合を監視。
ビデオルームは、すべてのゲームのホームとアウェイの両方の放送をストリーミングする25のハイテクモニターで構成されている。
試合中、特定のプレーでさらなるレビューが必要な場合、部門は編集ソフトウェアを使用してプレーと関連するすべてのリプレイなどの情報を収集し、ジャッジする機能を持つ。場合によっては試合後に公聴会も開催し、それらの判断材料に基づき、出場停止試合数や罰金額を決定する。
↩︎ - 筋肉を丈夫に保つために重要な「ジストロフィン」というタンパク質が作られないため、筋力が低下する。
初期症状として、幼児期に、運動機能の低下やふくらはぎの肥大化がみられることが多く、病気が進むと肺や心臓などの臓器を中心にさまざまな合併症が現れる。
↩︎ - 本部はカリフォルニア州オレンジ郡ニューポートビーチにある。デュシェンヌ筋ジストロフィーを治すための意識と資金を高める全国的な非営利団体で2003年設立。
以来、この団体は、教育と支援プログラムでコミュニティを提唱しながら、デュシェンヌの研究と新しい治療法を迅速に追跡するための数多くの科学プロジェクトに資金を提供してきた。
↩︎ - 公式HPのアドレスはこちら→☆。この大会の主旨やギャラリー等も掲載されている。
↩︎ - 在籍したチーム(ダックス、ダラス・スターズ、モントリオール・カナディアンズ)で、ことごとく試合中に暴力事件を、シカゴ・ブラックホークス在籍時(2023-24シーズン途中)には薬物乱用事件をそれぞれ起こしている。
↩︎ - 2016年6月、ペリーがバイアウトでダックスから放出される際、ゲッツラフは「ペリーを900万ドルの選手とするのと、100万ドル50セントの選手とするのでは、期待値が大きく違ってくる。
キャップナンバーのような他の要素で判断されることなく、選手が自分らしくいられるのだ」と発言。ペリーの選手としての価値を正当に判断するよう求めている。
↩︎ - 同部門の声明としては、「私たちは、選手にとって可能な限り安全な試合を実現することに全力を尽くし、その一方で、NHLのスポーツ界を保護することを使命としています」とある。
しかし、記事に出てくる同部門責任者ジョージ・パロスに対し、明確な方向性、監督力、一貫性の欠如を言われており、今一つ評判は良くない。 ↩︎