オフなのに、NHLは移籍や契約交渉、新チーム誕生?で大忙し!

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はじめに 

 23-24シーズンから、NHL.comやESPN.comだけでなく、北米に無数にあるアイスホッケー情報サイトを極力取り上げるようにしました。なかなか全部を網羅できませんが、サイト同士を見比べると、移籍一つ取っても、いろんな見方があるんだなと感じさせてくれます。 

 また、日本のファンにはなかなか信じられないのが、朝(Morning Notes!)から「本当か嘘かわからないレベルのホッケー噂話」や、「NHLでのキャリアの少ない若手選手の移籍」、そして来シーズンへの予想もガンガン報じてくれていることです。 

  今回紹介するPro Hockey Rumors .comも、そんなサイトの一つです。特に驚いたのが、アリゾナ・コヨーテズに去られたばかりのフェニックスの街に、新たなチームが生まれる可能性がもう出てきているのです。NHL、やっぱ金になるんだなぁ。 

讃岐猫
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引用元:Pro Hockey Rumors.com「Morning Notes:Teplý,Swayman,Red Wings,Utah

シカゴからチェコへ!

 チェコのエクストラ・リーガHCオセラジ・トシネツ(23-24シーズン優勝)は、元ブラックホークスのウィンガーで、若手有望株のミハル・テプリーを含む3人の選手と契約したことを発表しました。

 23歳の彼は、2019年にホークスから4巡目で指名され、翌年の夏にエントリーレベルの契約を結んでいますが、クオリファイング・オファーを受け取らなかったため、今年の7月1日にUFA(無制限FA)になっていました。

クオリファイング・オファーについては、こちら↓。

 テプリーは母国チェコ在住時にドラフトされていますが、ドラフト後のシーズンに北米に来て、1シカゴとエントリーレベルの契約を結び、2019-20シーズンはウェスタンホッケーリーグのウィニペグ・アイスでジュニアとして過ごし、53試合で63ポイントを挙げ、ポイントで2位となりました。

 パンデミック中にチェコに短期間レンタル移籍(2020年9月、ブラックホークスからチェコ・エクストラリーガのBKムラダー・ボレスラフへ)したほか、

 テプリーはその後の4シーズンをAHLロックフォードで過ごし、206試合で34ゴール、57アシスト、91ポイント、-29の評価を記録しています。

 堅実な成績ではありましたが、6フィート3インチ(約191センチ)、187ポンド(約85キロ)のウィンガーをNHLに招集するには十分ではなかったようです。

テプリー、試合中のパワープレーについて語る。隣のお姉さんも気になる…。

 彼は、エクストラリーガ5連覇(プレーオフが中止された2020年を除く)を達成し、ヨーロッパで最も成功しているクラブのひとつであるトシネツに向かいます。

 エリート・プロスペクツ誌(選手データベースとトレード情報サイト)によれば、テプリーは母国で3年契約を結んだと報じています。

 ヨーロッパ屈指のチームで活躍すれば、2027年に契約が満了した際、北米への復帰を望むなら、 NHLの国際フリーエージェント市場で注目を浴びる可能性があります。

ブルーインズのGK、年俸が2倍以上に?

今朝(7月24日)、ホッケー界から、より多くの注目事項が届いています:

 来シーズンの契約がないままで残っていて、注目すべきRFA(制限付きFA)ゴールキーパーは4人しかいませんが、その中で最も重要なのは、誰もが認め、新たにブルーインズの先発GKの座に就いたジェレミー・スウェイマンです。

 水曜日の早朝に発表されたメールバッグで、NHL.comのダン・ローゼンは、契約交渉が最終的にフィニッシュ・ライン(契約交渉の締切日)を迎えた時、スウェイマンはシーズンあたり900万ドル以上を獲得するのではないか、と仮定しています。

 25歳のスウェイマンは、この夏、資格があるにもかかわらず、給与調停を選択しなかったことが注目に値します。昨シーズン、1年・347万5000ドルの契約でプレーしており、これは(給与調停で)仲裁人を通じて裁定された額です。

 彼は2023-24シーズンにキャリア最高の43試合に先発し、25勝を挙げ、セーブ率.916、平均失点率2.53という好成績を残しています。

赤い翼の守護神は最悪?

 レッドウィングスのファンが来シーズンのパイプ間(先発GK→リリーフ役のGK)を心配するのは当然だと、『The Athletic』紙のジェシー・グレンジャー、ショーン・マッキンドー、スコット・ウィーラーが書いています。

 デトロイトの現在のゴールキーパーの状況は、「(新シーズンの)NHLのゴールテンディング予想」ランキングで、リーグ・ワーストにランクされています。

  グレンジャーは、昨シーズン、キングスで54試合に出場し、.913のセーブ率と27勝20敗6延長負けの好成績で復活を遂げたジャーニーマンのキャム・タルボットに、開幕スタメンの可能性があると見ています。

 怪我に悩まされているヴィル・フッソ(19試合のみ出場)、平均的だが経験の浅いAHLのベテラン、アレックス・リヨン(AHLとNHLの間を往復)、そして再生プロジェクトにいるジャック・キャンベル2も、自信を持たせるような活躍はしていません。

 しかし、トレイ・オーガスティン(ミシガン大でプレー)とセバスチャン・コッサ(グランド・ラピッズ・グリフィンズでプレー)という将来の先発が予想される2人を筆頭に、リーグ最高のゴールキーパー候補を擁するデトロイトほど、現在と未来の二分化が激しいチームはありません。

2034年の冬季五輪はソルトレイク!

 NHLが冬季オリンピックに選手を送り続けるなら、2034年には地元で開催されることになるでしょう。予想通り、国際オリンピック委員会(IOC)は本日(7月24日)、ソルトレイクシティを正式な大会会場と決定しました。

 ユタ・ホッケークラブは、初年度はNBAのユタ・ジャズと共同で既存のデルタ・センターでプレーする予定ですが、オリンピックを前に、NBAとNHLの両クラブの新たな本拠地となる新しいアリーナ地区を、ダウンタウンに建設しようという機運が高まっています。

 そこは、ホッケー競技の開催地となる可能性が高いと思われます。

引用元:Pro Hockey Rumors.com「NBA Owner Mat Ishbia Expresses Interest In Bringing NHL Back To Phoenix

アリゾナのフェニックスに、新たなチーム?

 元コヨーテズのオーナーであるアレックス・メルエロが不在となったため、フェニックス地域にNHLフランチャイズを復活させる最も可能性の高い選択肢として、ほとんどの人がNBAフェニックス・サンズのオーナー、マット・イシュビア3に注目しています。

※メルエロについては、こちら↓

 Sportico(スポーツ業界のニュース速報、データ、情報、戦略、を提供する高品質デジタル・コンテンツ企業)のバリー・M・ブルームと話したイシュビアは、フェニックスの拡張フランチャイズ獲得に「興味がある」と認めました。

 そうするには新しい本拠地が必要になります。

 結局のところ、コヨーテズがフェニックス都市圏内に適切な常設アリーナを建設できなかったことが、最終的にホッケー事業はソルトレイクシティのスミス・エンターテインメント・グループに売却され、ユタ・ホッケー・クラブとして新たな命を吹き込むことにつながったのです。

※ユタ・ホッケー・クラブについては、こちら↓

 イシュビアはこのことに気づいており、自身のサンズと、同じくオーナーであるWNBAのフェニックス・マーキュリーのために、利己的と言われてでも、この問題に取り組みたいと考えています。

 彼はブルームに対し、「フェニックスへのNHL拡張が実現するかどうかに関わらず、フェニックス中心部の新しい建物は長期計画の一部だ」と語りました。

讃岐猫
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メルエロの心は完全にコヨーテズから離れている…

 メルエロ政権下のコヨーテズに何が起こったのかと尋ねられたイシュビアは、ブルームに「ここにホッケーチームがないのは残念」と語っています。「フェニックスは4つのスポーツが盛んな街だ。…いつかホッケーが復活することを願っている」と彼は付け加えました。

 しかし、コヨーテズが短期間で解散した後、NHLがフェニックスに戻ることは、すでに計画の一部だったのです。4月にユタ州にヨーテズ(コヨーテズの略称)の資産を売却した際、メルエロと交わされた当初の契約では、コヨーテズを再活性化させ、

過去2シーズン本拠地としていた4,600人収容のマレット・アリーナに代わる適切なアリーナを建設させることができれば、拡張ドラフトを開始できる独占的な5年間の猶予が保証されていました。

 しかし、メルエロのグループが事前に適切な区画許可を取得できなかったため、市の土地購入オークションがキャンセルされ、フェニックス北部の土地開発計画は頓挫しました。

※この一連の動きについては、NHL公式HPでも触れられている(英文)↓。

Utah NHL team already a hit in new market | NHL.com
High demand for season tickets after ‘unimaginable’ plan to establish franchise comes together

 ブルームの記事によると、イシュビアは「(メルエロが)NHLとすでに交渉中かどうかも言わなかったし、コメントを求められてもリーグ側は応じなかった」となっています。

 しかし、今後数年間で新アリーナの計画と並行して話し合いが進むなら、今後10年以内にフェニックスの市場がリーグに再追加されても、多くの人が驚かないでしょう。

 今月初めにメルエロがコヨーテズの権利を譲り渡したことで、リーグはコヨーテズのブランド権を保持することになりましたが、これは拡張契約の一環として、イシュビアに売却される可能性があります。

まとめ

 あんなにコヨーテズを愛していたはずのメルエロ、必死の努力虚しくチームを手放し、緊張の糸が切れてしまったのかもしれません。フェニックスの人達の気まぐれさに、彼も呆れてしまったのでしょう。新たに手を挙げたイシュビアなる男、相当な覚悟が必要かも。

 面白かったのは、レッドウィングスGK陣への評価。それぞれの選手の数字だけ見ると、そんなに悪くないのですが、プレーが不安定なあまり、NHLに定着できない選手が多いように思います。やはり、調子に波のない選手をピックアップするんだ、というのがよく分かります。

 フランス五輪も開幕しましたが、アイスホッケー・ファンなら「冬季五輪も面白いんだぜ、早く始まらないかな」と思っているはずです(多分)。「アイスホッケー大国」が揃って出場し、氷上でフェアに雌雄を決する日が来ることを祈るばかりです。

讃岐猫
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【註釈】

  1. 北米に移る前、NHLとは別に、CHLのインポートドラフト(米国とカナダ在住以外の選手を対象としたドラフト)で、クートニー・アイスから全体4位指名を受けている。これは選手のさらなる成長を促すためのものである。
    ↩︎
  2. 2010年ドラフト全体11位でダラス・スターズから指名され、トロント・メープルリーフス時代、2022年のオールスターに選ばれるほど活躍していたが、それ以降は下り坂。

     23-24シーズン途中、自信を失ったようなプレーでエドモントン・オイラーズから契約を破棄され、AHLベーカーズフィールド・コンドルズでプレーしていたところ、レッドウィングスに拾われた。
    ↩︎
  3. 本名はマシュー・ランドール・イシュビア。44歳のアメリカの実業家で、住宅ローン会社ユナイテッド・ホールセール・モーゲージ社のCEO兼会長。兄のジャスティンとともに、NBAのフェニックス・サンズとWNBAのフェニックス・マーキュリーのオーナー。 ↩︎
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