はじめに
昨シーズンの今頃、ボストン・ブルーインズが無双状態にあって、そのままレギュラー・シーズンを無敵艦隊の勢いで席巻し、あっという間にプレーオフ進出を決めてしまいました。しかし、プレーオフ1回戦で撃沈というまさかの結末に…。
そういうシーズンを送った翌年は、えてしてダメダメになりがちなのですが、ボストンは今シーズンも好調キープです。ただ、実際にボストンの試合を見てみると、イマイチ強さを感じさせてくれないのです。実力的に劣るチームに勝つのは当たり前ですが、強豪となると…。
今回は、「ボストンの強さは本物なのか?」を検証したものです。少し古い記事なので、記事中に出てくる試合は終わったものもあるのですが、その結果と検証を照らし合わせると、やはり「うーん、このままトップでいられるかな?」と疑問符を付けてしまいます。
チームを引っ張ってきた大ベテランが引退して、若手が引っ張るのかと思いきや、
やはり今シーズンも中心はベテラン勢なんだにゃ。
監督は新戦力発掘をしているようだが。
引用元:cbssports.com「Are the Bruins legit? Breaking down Boston’s early success, why the team could slip in second half of season」。
今シーズンも強いのか?ボストン・ブルーインズ
ボストン・ブルーインズは、12月13日(水曜日)の1ニュージャージー・デビルズとの試合を前に、CBSスポーツNHLパワーランキングで1位になりました。
26試合を通して、オリジナル・シックス(リーグ創設時から加入チーム)であるフランチャイズ・チームはリーグ各部門を2リードしており、リーグ順位ではベガス・ゴールデンナイツに次ぐ位置を占めています。
デビルズもブルーインズも2022-23レギュラーシーズンを成功させましたが、ニュージャージーとは異なり、今シーズン、2024年を前にして、ボストンは良い位置を維持することができています。
パトリス・バージェロンとデビッド・クレイチの引退がありながら、NHLシーズン前半のブルーインズの成功につながったものは何ですか?見てみましょう。
スケジュールを見ると、勝ち試合に法則が…
弱いチームとの対戦スケジュールが多かった?
26試合で対戦した相手がボストンの成功に貢献したかどうかについて、疑問に思うのが妥当なところです。オリジナル・シックスであるこのチームは18勝5敗6延長負けで、リーグ順位ではベガス・ゴールデンナイツのすぐ後ろに位置しています。
ゴールデンナイツと同様、ボストンは連勝(6試合)でシーズンをスタートさせました。
しかし、この6勝のうち、プレーオフへ出場しそうな相手と対戦したのは、10月21日のロサンゼルス・キングス戦(4-2で勝利)だけでした。
その9日後、3ブルーインズは2023年のイースタン・カンファレンス王者フロリダ・パンサーズを延長戦の末に3-2で破り、今季7勝目を挙げています。
PowerRankingsGuru.comによると、4これまでのところ、ボストンほど日程が楽なチームはありません(現在は4位。12月23日時点で、最もスケジュールが楽なのはアリゾナ)。
強豪チームに勝てないって印象は無かったんだけど、一覧表で出されると、
「ああ、そうなんだ」と納得してしまうんだにゃ。
でも、取りこぼしはあまりしてないんじゃないかな、
下位チームから確実に勝ちを拾う、みたいな。
精神論を説く監督
ブルーインズにとっては順調なスタートを切ったかもしれませんが、しかし、ベンチ後方(監督をはじめとする現場スタッフ)では、今後の日程がより厳しくなった場合、彼らはどのように対処するのでしょうか?
ジム・モンゴメリー監督は、今シーズンの厳しい時期5を通して、リーダーシップをチームの核とし、それを頼りにしてきました。
12月6日、モンゴメリーはメディアに対し、「(必要なのは)我々のリーダーシップ(チームの目標達成のための行動力)と、練習を再開して、我々がやろうとしている習慣やペースを作れることだと思うよ。でも、一番はリーダーシップじゃないかな」と語っています。
道が険しくなるにつれ(勝てなくなると)、チームもまたそうなる(筆者注:メンタル面に頼る?)と考えていいでしょう。
ボストンは、金曜日と土曜日に、6それぞれニューヨーク・レンジャーズとニューヨーク・アイランダーズのメトロポリタン上位2チームと対戦します。ブルーインズはまた、このレギュラー・シーズン中、パンサーズとゴールデンナイツとあと2回対戦します。
いい選手がずらっと揃ってはいるのだが…
好調なスタートを切っているキープレーヤー
Bは、リーグ最高のペナルティキル(89.9%)とトップ10のパワープレー(22.9%)の能力を持っています。昨シーズン同様、ブルーインズはホームのアイスリンク上で成功を収めています。18勝のうち10勝はTDガーデンで挙げたものです。
キャプテンのブラッド・マーシャン(左ウィング、35歳)とデイビッド・パストルナック(右ウィング、27歳)がゴール数でチームを牽引しています。今月初め、マーシャンは通算6回目のハットトリックを記録しました。
チャーリー・マカヴォイ(ディフェンス、26歳)とパベル・ザハ(センター、26歳)もブルーインズのトップ5スコアラーだが、水曜日のデビルズ戦には出場できません。どちらも上半身の怪我で欠場しており、数日間の治療が必要とされています。
過去2シーズン、シアトル・クラーケンでプレーし、フリーエージェントとなった後、ボストンにやってきたフォワードのモーガン・ギーキー(センター、26歳)は、ジェイク・デブルスク(左ウィング、27歳)とデイビッド・パストルナックとのラインのセンターを任されました。
モンゴメリーは、ギーキーについて、リンクの真ん中を占領し、チームのために重要なパック・バトルに勝利するような、素晴らしい仕事のできる「大きな馬」と呼んでいます。
また、このようなゲーム内の変更を行うことで、プレーヤーがより大きな役割を担う機会を提供できると付け加えました。
モーガン・ギーキーはシアトルの契約提示を蹴り、ボストン入りしたのが、
今んとこ正解と言えるにゃ。
シアトルが今低迷しているのは、彼の抜けたのも原因の一つかもしれない。
埋もれた人材も発掘
その目的のために、ブルーインズは、水曜日のデビルズ戦に先立ち、FWジェスパー・ボクヴィスト(センター、25歳)を呼び戻しました。ボクヴィストは(ボストンの下部組織チーム)プロビデンス・ブルーインズで24試合に出場して14ポイントを記録しています。
モンゴメリーは、ボクヴィストがデビルズの元2巡目指名選手7であると知っていたことも、25歳の選手に声がかかった要因だと認めました。
「私はいつも選手たちの能力を掘り下げて検証し、(移籍してくる選手が在籍していた)他チームに対し、なぜ彼らをボストンにキープできているのか、示したいと思っているんだ」とモンゴメリーは今週初めにメディアに語っています。
しかし、モンゴメリー監督は、ボクヴィストが(デビルズへの)リベンジ戦に出場するかどうかは明確にしませんでした。
「彼は今日良い練習をしていましたが、出場については未定だし、スタッフと話す必要があるね」とモンゴメリーは火曜日に語っています。
キーパーを中心に守備は堅いが…
ボストンのゴールキーパー、ライナス・ウルマーク(30歳)とジェレミー・スウェイマン(25歳)のコンビも、チームの序盤戦の成功に貢献しています。
今シーズン、26試合で65失点(現在は82)と、キングス(25試合58失点、現在は70でトップ)に次いで2番目に少ない数字(ウィニペグと2位タイ)です。
スウェイマンは今シーズン、平均失点(2.08)、防御率(.932)、完封(2)でトップ3に入っています。
しかし、ボストンの残りのシーズンのスケジュールがはるかにハードになることについて、再び言及する価値があります。リーグ最高のオフェンスは、あまり多くのことを克服していません。他のトップ・チームに対して、彼らはゴールの生産性を維持できるでしょうか?
次の大きなテストは、土曜日のニューヨーク・レンジャーズ戦(19勝7敗1延長負け)です。ボストンとニューヨークは、このレギュラーシーズンでそれぞれ勝ち点39でイースタン・カンファレンスをリードしています(現在はニューヨークが45、ボストンが44)。
ブルーインズは、TDガーデンでシーズン中盤戦における最も重要な対戦を迎えるのです。
まとめ
現在3連敗中にもかかわらず、ボストンはトップ・クラスに留まっているということは、他のチームが追いつきそうで追いつけない、つまり、ボストン以上の勢いをキープできていないと言っていいでしょう。
昨シーズンにほとんど連敗のなかったボストンが、いかに「奇跡のチーム」であったかもよく分かります。モンゴメリー監督が精神論(だけ?)を振りかざすのも、もしかすると、チームがほとんど完成しているから、メンタル面だけ補えばいいと思っているのかもしれません。
しかし、ケガ人も多く、発掘してきた人材が使えるかどうかも未知数、という不安要素もあります。リーグを代表するゴールテンダー・タンデムやディフェンス陣に怪我人が出たら、果たしてどうなるか。今後のボストンを見るなら、ディフェンスだ、と断言しておきます。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- この試合は既に終了しており、延長戦の末、1-2で敗戦。第1ピリオド・16分51秒、モーガン・ギーキーのゴールで先制したが、その後、フォワード人は沈黙。上位チームと対戦した際の攻撃力低下が浮き彫りになった試合。
↩︎ - 文中とは異なり、CBSスポーツ攻撃各部門ベスト3に入っておらず、むしろほとんどが下位である。12月23日現在、いまだにアトランティック・ディビジョンのトップにいるのは、守備力の貢献度が高いと考えて良いであろう。
↩︎ - 「今季7勝目」と本文にあるが、「8勝目」の間違い。ロスアンゼルスとフロリダの間に対戦したのは、アナハイムと2試合、シカゴと1試合、デトロイトと1試合となっている。この4試合の勝敗は3勝1敗(アナハイムに延長戦負け)。
今シーズン、調子を上げているデトロイト(ボストンと同ディビジョン5位、ボストンとの勝ち点差は8。ゴール数はディビジョンのトップ、ボストンは5位)に4-1で勝利しているので、得点能力が必ずしも低いと言えない部分もある。
↩︎ - このサイトのNHLパワーランキングは、ウェブ上のコンピューターで弾き出された各ランキングを集計し、各チームの平均順位を決定している。ボストンは平均順位12.5で全体10位、トップはロスアンゼルスで平均順位2.25。
↩︎ - 11月24〜27日の3連敗のことか。デトロイトに2-5、レンジャーズに4-7、コロンバスに2-5となっており、3試合とも5失点以上と守備が崩壊している。やはり、守備のリズムが崩れると勝てないことがよく分かる。
↩︎ - 15日(金曜日)のアイランダーズ戦は勝利しているが、シュート・アウト(PK戦)でのもの。翌日のレンジャーズ戦は延長戦の末、1-2で敗戦。その後のミネソタ、ウィニペグ戦も敗れており、現在3連敗中。
↩︎ - 2017年ドラフト、ニュージャージーから全体36位指名。長らく出場機会に恵まれず、2022-23シーズン、やっと70試合出場と力を発揮し始めたにもかかわらず、シーズン終了後、フリーエージェントで放出。そこをボストンが拾った形となる。 ↩︎