はじめに
FA移籍解禁の初日である7月1日、大波乱の一日に。その中でも目立った動きを見せたのが、シアトル・クラーケンとナッシュビル・プレデターズ。前者は、2024年スタンレーカップ優勝チームであるフロリダ・パンサーズから、ブランドン・モントゥールを獲得しました。
そして、さらに驚かせてくれたのが、タンパベイ・ライトニングの至宝、スティーブン・スタムコスのナッシュビルへの移籍です。「まさか移籍するなんて…」と思っていて、ギリギリで踏みとどまって残留と予想したのが、見事に打ち砕かれました。
今回はこの2つのビッグ・ニュースについてお届けします。他のチームもかなり制限なしのFA選手を獲得していますし、さらに来年以降のドラフト指名権込みの大型トレードでの異動もありますから、各チーム、どんな陣容になるかを考えるだけでワクワクしてきます。
シアトルは、2023年度チャンピオン、ベガス・ゴールデンナイツから
チャンドラー・スティーブンソンも獲っちゃって、
まさに「スタンレーカップ祭」状態だにゃ。
勝負弱いチームに「勝利のDNA」を注入するべく、
2人を獲ったと見て間違いなさそう。
引用元:NHL.com「Kraken sign Montour, Stephenson to 7-year contracts」
まさに「スタンレーカップ祭」!
ブランドン・モントゥールとチャンドラー・スティーブンソンは、それぞれ7月1日・月曜日にシアトル・クラーケンと7年契約を結びました。
昨シーズン、フロリダパンサーズでスタンレーカップを制したディフェンスマンのモントゥールは、年間平均年俸714万ドル、7年間・5000万ドルの契約を結んでいます。
「僕を必要としてくれる人の所へいきたかったんだ」とモントゥールは月曜日に言いました。「そしてシアトルからオファーがきて、僕への関心を示してくれてね…
いつから移籍しようと思い始めたかはわからないけど、はっきりしているのは、僕らが考え、行くと決めたチームってことさ」。
2022-23シーズンにベガス・ゴールデンナイツ、2017-18シーズンにワシントン・キャピタルズでスタンレー・カップを制覇したセンターのスティーブンソンは、年間平均年俸625万ドル、7年間・4375万ドルの契約を結んでいます。
「スティーブンソンは、本当に優れた攻守両方をこなせる二刀流で、ペースよくプレーし、ずる賢いスキルセットを持っているね」とクラーケンのゼネラルマネージャー、ロン・フランシスは言いました。
「ロッカールームに2つもカップを持ってきているんだよ。2人は多くの条件を満たしており、彼らをロースターに加えることが待ち遠しくて仕方ないのさ」。
モントゥールは昨シーズン、パンサーズでレギュラーシーズン66試合に出場し、33ポイント(8ゴール、25アシスト)、スタンレーカップ・プレーオフ24試合で11ポイント(3ゴール、8アシスト)を記録しています。
「つまり、今週は(スタンレーカップを獲って)最高でもあり、クレイジーでもあり、(パンサーズからオファーがなくて)最悪でもあった。でも、この1週間全体の浮き沈みは、言葉じゃ言い表せないよ」とモントゥールは言いました。
「でも、少しリラックスして、この新しい旅を始められることにワクワクしているよ」。
フロリダの勝利のDNAを注入だ!
モントゥールは、2022-23シーズンにフロリダで80試合に出場し、NHLのキャリアハイとなるゴール(16)、アシスト(57)、ポイント(73)を記録しています。
「モントゥールの加入により、バックエンド(ディフェンス陣のこと)に攻撃的なピースが加わったな」とフランシスは言いました。「彼はスタンレーカップ優勝チームで(氷上平均)23、24分プレーし、スタンレーカップをロッカールームに持ち込んでいる」。
2014年NHLドラフト2巡目(55位)でアナハイム・ダックスに指名されたモントゥールは、パンサーズ、バッファロー・セイバーズ、ダックスのレギュラーシーズン520試合で252ポイント(66ゴール、186アシスト)、
プレーオフ82試合で35ポイント(11ゴール、24アシスト)を記録しています。
「僕と一緒にいれば、(アイアスホッケーの)楽しさ、(アイスホッケーやチームへの)愛、(チーム内での)競争心を見ることができるよ」とモントゥールは言いました。
「僕にとって大きいのは競争力なんじゃないかな。そしてはっきりしてるのは、僕のいたチーム(パンサーズ)には優勝した選手がたくさんいるってことさ」。
スティーブンソンは昨シーズンのレギュラーシーズン75試合で51ポイント(16ゴール、35アシスト)、7つのプレーオフゲームで1アシストを記録しています。
(通算で)レギュラーシーズン495試合に出場して270ポイント(89ゴール、181アシスト)、キャピタルズとゴールデンナイツ在籍時も含め、プレーオフ95試合で39ポイント(15ゴール、24アシスト)を記録しました。
若手の多いクラーケンとしては、彼らを引っ張っていってくれる
ベテランが欲しかったんだろうにゃ。
昨シーズン中、一時期はプレーオフを狙える位置まで来たのに、
ガタガタと崩れていった苦い経験を反省して、
この2人を迎え入れたんじゃないかな。
引用元:NHL.com「Stamkos signs 4-year contract with Predators after leaving Lightning」
プレデターズ、大量補強作戦を決行!
ナッシュビル・プレデターズは、月曜日、NHLフリーエージェント初日にフォワードのスティーブン・スタムコスとジョナサン・マルシェソー、ディフェンスのブレイディ・スキー、ゴールキーパーのスコット・ウェッジウッドを獲得し、
スタンレーカップ獲得に向けて積極的な攻勢を仕掛けました。
プレデターズ(47勝30敗5延長負け)は、昨シーズン、ウェスタン・カンファレンスから最初のワイルドカードとしてスタンレーカップ・プレーオフに出場し、第1ラウンドでバンクーバー・カナックスに6試合で敗れた後、
(今回のトレードで)チームは大きな得点力を得たと信じています。
「これらの選手がナッシュビルに来ることは、リーグの他のチームに対しての声明だと思うので、これは非常に大きなことだ」とゼネラルマネージャーのバリー・トロッツは述べました。「我々がフランチャイズで何をしているかについて、これらの選手たちは知っている。
我々には提供できるものがたくさんあり、勝つことに強い決意を持っている。我々はそれに全力を尽くしている。それこそが選手たちの望んでいることだ」。
輝かしいキャリアを持ったスタムコス
34歳のスタムコスは、プレデターズと4年・3200万ドル(年俸平均800万ドル)の契約を結んでいます。
2008年のNHLドラフトで1位指名されたスタムコスは、タンパベイ・ライトニングで16シーズンにわたり1082試合に出場し、1137ポイント(555ゴール、582アシスト)を獲得しました。
プレーオフでは128試合に出場し、101ポイント(50ゴール、51アシスト)を獲得しています。
スタムコスは昨シーズン、79試合で81ポイント(40ゴール、41アシスト)、プレーオフ5試合で6ポイント(5ゴール、1アシスト)を記録しました。
彼はポイント、ゴール、試合数、パワープレー・ゴール(214)、ゲームウィニング・ゴール(85)、延長戦ゴール(13)でチーム史上1位となっています。
このフォワードは、シーズン最多ゴール王に贈られるモーリス・「ロケット」・リチャード賞を2度受賞(2009-10シーズンに51ゴール、2011-12シーズンに60ゴール)し、ライトニングの2020年と2021年のスタンレーカップ連覇に貢献しました。
スタムコスの談話
「これは僕にとって間違いなくユニークな経験となる」とスタムコスは語っています。「これまでのキャリアで(移籍を)経験していないからね。どこでプレーするかを決めるとき、そこには確かに多くの要因が関係する。
1つは、競争力のあるチームであること。2つ目は、勝利にコミットしている組織に行くこと。3つ目は、おそらく最も重要なことだけど、自分と家族にとってそれが適切かどうかだ。
僕のように小さな子供がいる場合、適切な都市にいることは、子供にとっても理にかなっていなければならない」。
「そして、それが選手としての自分にぴったり合うものでなければならない。その都度、チェックボックスにチェックを入れていくんだ。いくつかの条件を満たしたチームもあれば、1つか2つしか満たしていないチームもあった。
しかし、このプロセスを経ていく中で、ナッシュビルはそれらの条件の多くを満たしていると感じたんだ」。
マルシェソーも加わり、監督ご満悦
マルシェソーは、ベガス・ゴールデンナイツと契約で合意に至らなかった後、プレデターズと5年・2750万ドル(平均年俸550万ドル)の契約を結びました。
ゴールデンナイツのオリジナル・メンバーである33歳のマルシェソーは、ベガスと再契約できなかったことに失望したとしながらも、TSNに「1時間前にページをめくった。前に進まなければならない。僕と家族にとって、新しい章、新しい挑戦だ」と語っています。
2023年にゴールデンナイツのスタンレーカップ優勝に貢献し、プレーオフMVPとしてコン・スマイス賞を獲得したマルシェソーは、昨シーズン82試合で69ポイント(42ゴール、27アシスト)、プレーオフ7試合で4ポイント(2ゴール、2アシスト)を獲得しました。
コロンバス・ブルージャケッツ、ライトニング、フロリダ・パンサーズ、ゴールデンナイツでレギュラーシーズン638試合に出場し、487ポイント(230ゴール、257アシスト)、プレーオフ102試合で76ポイント(36ゴール、40アシスト)を記録しています。
「私にとって、今日の勝利はチームの勝利だ」とトロッツは語りました。「しかし、我々は紙の上で試合をするわけではない。ラインナップは良くなっているように見えるが、より良いチームにならなければならない。単純明快だ。
昨シーズン、(チーム作りに)時間がかかった。今シーズン(24-25)も何人かは時間がかかるだろう。異なる組織から来た選手たちは、すぐに同じようにプレーできないが、彼らのDNAは我々の望むプレーを可能にしてくれると思う。
彼らに少し時間を与えなければならないが、うまくいけば、我々は地に足をつけてトレーニングキャンプに入ることができるだろう。私は本当にそれを楽しみにしているよ」。
これだけたくさんの選手が来てくれたのは、
昨シーズン後半の巻き返しの印象が鮮烈だったからかにゃ。
新加入選手がその再現を目指して早く馴染めば、
開幕からロケット・スタートも夢じゃない。
監督の舵取りが大いに注目される。
ディフェンス強化もバッチリ
トロッツは、フリーエージェントに向けての最大の優先事項は、5月21日、ナッシュビルがディフェンスマンのライアン・マクドナーをタンパベイにトレードした後、残されたラインナップの穴を埋めることだと語っています。
「A、彼は優れたディフェンダーであり、B、リーダーシップのある人物だ」とトロツはマクドナーについて語りました。「優先順位をつけるとすれば、バックエンドを改善する必要があると言った。なぜなら、私は選手たちにそうするつもりだと伝えたからだ」。
プレデターズは、7年・4900万ドル(平均年俸700万ドル)でスキーと契約し、その目標を達成したと考えています。
30歳のスキーは、昨シーズン、カロライナ・ハリケーンズで80試合に出場し、NHLキャリア最高の47ポイント(13ゴール、34アシスト)を、プレーオフ11試合で9ポイント(1ゴール、8アシスト)をそれぞれ獲得しました。
2012年NHLドラフト1巡目(28位)でニューヨーク・レンジャーズに指名されたスケイ?は、ハリケーンズとレンジャーズでレギュラーシーズン609試合に出場し、247ポイント(68ゴール、179アシスト)、
プレーオフ76試合で25ポイント(7ゴール、18アシスト)を記録しました。
また、プレデターズは、ディフェンスのアレクサンドル・キャリアーと3年・1125万ドル(平均年俸375万ドル)の契約で再契約し、ゴールキーパーのジュゼ・サロスと2025-26シーズンから8年・6192万ドル(平均年俸774万ドル)の契約を結んでいます。
29歳のサロスは、2021年8月16日、ナッシュビルと4年・2000万ドル(平均年俸500万ドル)の契約を結んでおり、残り1シーズンとなりました。
昨シーズン、64試合で35勝24敗5延長負け、失点率2.86、セーブ率.906を記録し、プレーオフ6試合では2勝4敗、失点率2.02、セーブ率.900となっています。
27歳のキャリアーは、昨シーズン、73試合で20ポイント(4ゴール、16アシスト)、プレーオフ3試合で3ポイント(1ゴール、2アシスト)を記録しました。
ウェッジウッドは、サロスのバックアップの座を競うため、2年・300万ドル(平均年俸150万ドル)の契約を結んでいます。昨シーズン、ダラス・スターズでレギュラーシーズン32試合(先発28試合)に出場し、16勝7敗5延長負け、失点率2.85、セーブ率.899を記録しました。
また、プレーオフではベンチから3試合に出場し(勝敗は無し)、3試合で失点率2.28、セーブ率.862を記録しています。–これがウェッジウッドにとって、(現時点で)唯一のNHLポストシーズン経験です。
2010年のNHLドラフトでニュージャージー・デビルズに3巡目(全体84位)で指名された31歳の彼は、デビルズ、アリゾナ・コヨーテズ、スターズでNHLレギュラーシーズン130試合(先発114試合)に出場し、
48勝48敗22延長負け、失点率2.98、セーブ率.899の成績を残しました。
2020年のNHLドラフトで、ナッシュビルに11位で指名されたゴールキーパーのヤロスラフ・アスカロフも、トレーニングキャンプでバックアップの役割を争うことになります。彼はNHLの試合に3試合出場しました。
プレーオフを勝ち抜く準備は整った!
プレデターズは、フリーエージェントでの補強により、プレーオフで戦うために必要な要素が揃ったと考えています。
「私は過去にタンパで、チャンピオンシップを制したチームに所属していた」とスタムコスは語りました。「最近優勝したチームを見ると、いつも本当に優秀なゴールキーパー、エリート・ディフェンスマン、エリート・フォワードが混じり合っているものだ。
今日(7月1日)以前にナッシュビルと契約した選手も、これらの条件を満たしていた。(このチームに)素晴らしいゴールキーパーがいるのは明らかだ。 (ディフェンスマンとしての)ロマン・ジョシは、プレーで彼自身のことを物語っている。
昨シーズン、あのライン(フォワードのフィリップ・フォルスバーグ、ライアン・オライリー、グスタフ・ナイキスト)はダイナミックだった。そして、若い選手たちも、チームにうまくミックスされている」。
プレデターズは、スタムコス、マルシェソー、スキーがラインナップのどこに入るか、まだ決めていませんが、スタムコスとマルシェソーのトップ6フォワード入りの可能性が高いです。
スキーは、ナッシュビルのトップ(ディフェンス)ペアで、ジョシと共にプレーする可能性があります。
「この素晴らしいフランチャイズの一員になれて、とてもワクワクしている」とスタムコスは語りました。「今日、他の選手との契約で何が起こったかを見てきた。ナッシュビル・プレデターズのファンにとっては素晴らしい日だ。
その一員になれて、とてもとても興奮している」。
まとめ
レギュラー・シーズン中から、大物ベテラン選手スタムコスの行き先は取り沙汰されていて、マスコミも「放出前提」で記事を書き立てていました。その周囲のムードが、一気に彼を移籍へと向かわせたのかもしれません。チームへの不信感もかなり募ったことでしょう。
「堅実経営」のプレデターズが、まさかここまで大型補強に踏み切ると思いませんでしたし、割とバッサバッサとチームのベテランを切っていたので尚更です。本当にチームのために献身的に働く柱となる選手が欲しかったんだと思います。
昨シーズン後半の大まくりから、一気にプレーオフ進出を決めたプレデターズ。その勢いを殺すことなく、10月からの新シーズン、最初から飛ばしていくためにも、このオフの過ごし方はかなり重要になってきます。キャンプ初日、どんな感じになるのでしょうか。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!