シリーズ第2戦、パンサーズが延長でマーシャンドの一撃に沸く

アイスホッケー名勝負

はじめに

 37歳のベテラン、ブラッド・マーシャンドが決めた劇的な延長ゴールが、フロリダ・パンサーズに流れを引き戻しました。崖っぷちの第2戦での勝利に、シリーズの行方は再び混沌。

 北米アイスホッケーの頂点を決める戦い――NHLスタンレーカップ決勝は、熱気をさらに増しています🔥

参照記事:Miami Herald1‘He just finds a way’: Panthers’ Brad Marchand, at 37, has another big playoff moment

🏒奇跡の37歳!マーシャンドが再び主役に

 6月7日(金)に行われたスタンレーカップ・ファイナル第2戦、フロリダ・パンサーズとエドモントン・オイラーズの一戦で、37歳のベテラン、ブラッド・マーシャンドがチームを救う劇的ゴールを決めました✨

 試合はダブルオーバータイム(延長2回)にもつれ込む激闘。

 そんな中、ディフェンスゾーンの左サイドでパックを拾ったアントン・ルンデルが数歩スケートを進めると、「彼は速い選手だからね」と語るように、猛スピードでニュートラル・ゾーンへ向かって突進しているマーシャンドへパスを送ります。「彼が空いているのが見えた。ただ、彼にパックを渡そうとしただけなんだ」とルンデルは言いました。

 パックを受け取った瞬間からマーシャンドの全速力独走がスタート🏃‍♂️💨ブレイクアウェイ(相手選手を全て抜いて、単独でのゴールチャンス)を活かし、ゴール前、シュート体勢に入ったところで、レオン・ドライザイトルのバックチェック(後方からの守備)を感じ取りました。ドライザイトルはなんとかシュートを妨害し、試合をさらに延長させようとしていたのです。

 マーシャンドはその場でパックをバックハンドに移すと、ゴーリーのスチュアート・スキナーをかわしてシュートを放ち、見事ゴールを決めました🥅🔥37歳のマーシャンドが、再びヒーローとなったのです。

決勝ゴールの瞬間です!ベテランのポジショニングの良さが光る!

🦸‍♂️勝負強さは健在!シリーズをタイに戻す一発

 このゴールはマーシャンドにとって、この試合2点目2(もう1点は第2ピリオド・12分9秒)。そして、5-4のダブルオーバータイム勝利を決定づける一撃でした。この勝利で、パンサーズはシリーズを1勝1敗のタイに戻し、次戦をホーム・南フロリダで迎えることに✨

この試合、マーシャンドの1点目。氷上の人数が少ない状態でのゴールでした。

 決勝点を決めた瞬間、マーシャンドはジャンプで喜びを表現し、その後チームメイトに抱きしめられながら、歓喜の渦に包まれました。

 試合後には、「チーム全体にとって、純粋な興奮とアドレナリンだった。この試合は僕たちのチームにとって本当に重要だった。あと1点で勝敗が決まるってわかってた。ラッキーだったけど、それが自分たちに転がってきた。その瞬間の興奮は、みんなにも伝わったと思う」と興奮気味に語っています😊

💬“彼はその瞬間を楽しんでる”チームメイトたちの声

 ブラッド・マーシャンドはキャリアを通じて、プレーオフの数々の大舞台で輝いてきた選手。ボストン・ブルーインズに在籍した15シーズンの間に、延長戦での3得点を含む13本の決勝ゴールを決めています。その後、3月にパンサーズにトレードされました。

 今回のスタンレーカップ・ファイナルでは、キャリアで2度目の優勝を狙う中、マーシャンドは7ゴール、17ポイント、そして2つの延長戦決勝ゴール3を記録しています。

 今シリーズの最初の2試合だけで3得点を挙げており、今回のゴールで、スタンレーカップ・ファイナルでの通算ゴール数は10に到達。これは現役選手の中で最多なんです👏キャリアでスタンレーカップ・ファイナルで二桁得点を挙げた歴代37人の選手の一人となりました。

 フォワードのエヴァン・ロドリゲスは、「彼はその瞬間を楽しんでる。怖がることなく、ミスを恐れることもない。ただ自分のプレーを貫いて、試合の中で全力を尽くす。彼は素晴らしい働きをしてくれているし、これからもそうであってほしい」と語りました。

 さらにディフェンスのネイト・シュミットは、「彼はとにかくゴールを見つけ出す。試合を通してネット周りの空いたスペースをうまく見つけていたし、なんていうか、ピッチフォーク4で突き刺すような感じというか、どうやってかはわからないけど、とにかく決めるんだ。僕たちにとっては最高さ」と称賛しています😄

🧠アイス外でも“ポジティブ・リーダー”

 チームは、マーシャンドがもたらすすべてを歓迎しています。彼のアイス上での貢献は、フロリダがスタンレーカップ連覇を目指す上で極めて重要。マーシャンドのすごさは、プレーだけじゃないんです。ロッカールームでも常に前向きで、彼は声が大きく、率直で、偽りのない、チームを鼓舞する存在💪

 ポール・モーリス監督は、「ブラッドは正直者なんだ。だからこそ、うちのロッカールームにうまく馴染んでいる。彼はホッケーを愛しているし、周囲の人々を愛している。とてもオープンで、社交的な人物だから、すぐにチームに溶け込んだよ。完全に受け入れられているし、本当にポジティブな人間だ」とコメント。

 さらに、「ベンチでは常に声をかけて、タイヤを空気で満たしてくれる5(モチベーションを高めてくれる)。“戦い続けろ”ってね。明日の朝食のときも同じだよ。ハイタッチしながら、みんなにエネルギーを送ってるはずさ」と笑いながら語っていました😄✋

⏳年齢を超越した“若さと経験の融合”

 しかも、彼は年齢の壁を打ち破っています。マーシャンドは現在、37歳と26日。それでも、彼のプレーには新人のような喜びと若々しいエネルギーを持ち、とてもベテランとは思えないパフォーマンスを見せています🔥

 彼は、スタンレーカップ・ファイナルで延長ゴールを決めた選手としては史上4番目の高齢記録保持者に。これを上回るのは、イゴール・ラリオノフ6(41歳187日、2002年 第3戦)、スティーブ・トーマス7(39歳322日、2003年 第4戦)、ロン・フランシス8(39歳95日、2002年 第1戦)といったレジェンドたちがいます。

 それでもマーシャンドは、今でも新人のような喜びを全身で表現しながら、1,276試合(レギュラーシーズンとプレーオフ合計)の経験を活かしてプレーしているんです。

 「今の調子なら、47歳までやれるんじゃないか」と語るのは、チームのスター、マシュー・カチャック。「信じられない選手さ。これまでのプレーオフで、彼が決めた2点は間違いなくチームにとって最大級のゴールだよ。この調子で続けてくれたら最高だね」と感嘆していました🌟

讃岐猫
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⚡️マーシャンドのゴールがパンサーズに活力を!

 マーシャンドのゴール、特に第2ピリオドの少人数のブレイクアウェイでの得点は、パンサーズにこのシリーズで息を吹き返す力を与えています🐾。何度も苦しい展開が続く中、彼の活躍がチームの命綱となったのです。

 第1戦ではフロリダが2点リードを持ちながら、第2ピリオドと第3ピリオドに連続でゴールを奪われ、延長戦の残り31秒で逆転負けを喫しました。

 そして金曜日の第2戦、パンサーズは第2ピリオド終了時に4-3でリード。激しい5ゴールの乱打戦となった第1ピリオドを2-3とリードを許して終えたものの、第2ピリオドで2点を取り返しました。第3ピリオドも試合の大半をコントロールしていましたが、残り17.8秒でコーリー・ペリーに同点ゴールを許し、またも延長戦へと突入します。

 マーシャンドは「同点にされたのは悔しいけど、ベンチもロッカールームもいつも通り落ち着いていたよ。経験から学んだことを活かして、今この瞬間に集中することが大切だと思っている。

 チームには大きな場面を乗り越えてきた選手が多く、良いリーダーも揃っている。パニックに陥ることはなかったし、みんな前向きな雰囲気だった。今の時期は動じている暇なんてないからね🧊」と話しています。

 実際、フロリダは動じませんでした。フロリダは第1延長を耐え抜き、エドモントンが13本のシュートを放つ中でパンサーズは8本に抑え、チャンスをうかがい続けます。そして第2延長の8分5秒、マーシャンドのブレイクアウェイシュートで試合が決まり、シリーズをタイに戻しました🎯。

この試合のハイライト映像です!第3戦も熱戦必至!

 センターのサム・ベネットは「本当に重要な時間での大きなプレーだった。彼はこのプレーオフでずっと素晴らしい活躍を見せている。大事な場面で大きなゴールを決める男だ。今回のゴールは間違いなく一番大きかった」と賛辞を送っています🎯

まとめ

 パンサーズの勝利を呼び込んだマーシャンドの活躍は、ベテランの経験と勝負強さの真価を証明するものでした。延長戦での一撃がチームに勢いをもたらし、シリーズの展開はさらに緊迫感を増しています。次戦にも注目です👀

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. 1903年創刊のアメリカ・フロリダ州マイアミを拠点とする日刊新聞。南フロリダの地域ニュースを中心に扱い、ピューリッツァー賞を多数受賞するなど、調査報道にも定評がある。現在は「McClatchy社」が運営しており、デジタル版でも広く読まれている。
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  2. 第2ピリオドの得点はショートハンドゴール(ペナルティキル中に得点)。このゴールと延長戦決勝ゴールを同じ試合で記録した、スタンレーカップ決勝史上初の選手という快挙でもある。
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  3. 現時点で、プレーオフ延長戦決勝に関して言えば、マーシャンドはキャリア通算5ゴールを決めたことになり、殿堂入り選手であるジョー・サキック(8ゴール)とモーリス・リシャール(6ゴール)に次ぐ3位に位置している。
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  4. 牧草をかき集めたり、干し草を運んだりするために使う、長い柄の先に数本の尖った歯がついた農具。
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  5. 原文の「pumping tires」は、スラングや比喩表現として使われることもある。この場合、文脈から考えて、「みんなを良い気分にさせる=モチベーションを高める」の意味か。自分の功績や能力を大げさに語る時とか、「他人をおだてる」という意味も。モーリス監督らしい表現なのかもしれない。
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  6. ロシア出身、現在はコーチやスポーツエージェントとして活動。ヴャチェスラフ・フェティソフとともに、ソビエト政府がソビエトの選手をNHLでプレーさせることを許可する上で重要な役割を果たした。

     1977〜2006年まで活躍し、主にセンターとしてプレー。デトロイト・レッドウィングスではスタンレーカップを3度獲得した。2008年にはホッケーの殿堂入りを果たし、IIHF(国際アイスホッケー連盟)の殿堂にも名を連ねている。

     国際舞台では、ソビエトリーグの「KLMライン」や「グリーン・ユニット」の主要メンバーとしても活躍。引退後は、自身のワインブランドも手掛けるなどしている。
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  7. イギリス生まれのカナダ人、NHLで20シーズンにわたりライトウィングとして活躍。1984-85シーズンにトロント・メープルリーフスとフリーエージェントとして契約し、NHLキャリアをスタートさせた。

     その後、シカゴ・ブラックホークス、ニューヨーク・アイランダース、ニュージャージー・デビルズ、マイティダックス・オブ・アナハイム、デトロイト・レッドウィングスなど、複数のチームでプレー。

     アイランダース時代の1992-93シーズンにはキャリアハイとなる87ポイントを記録し、2003年にはアナハイムでスタンレーカップ決勝に進出するなど、個人としても成功を収めた。選手引退後は、タンパベイ・ライトニングやセントルイス・ブルースでコーチングや選手育成の役割を務めている。
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  8. カナダ出身、現在はシアトル・クラーケンのホッケー運営部門社長。NHLで23シーズンにわたりプレーし、ハートフォード・ホイーラーズ、ピッツバーグ・ペンギンズ、カロライナ・ハリケーンズ、トロント・メープルリーフスに所属した。

     2004年に引退した時点で、キャリアアシスト数(1,249)で歴代2位、ポイント数(1,798)で歴代5位、出場試合数(1,731)で歴代3位、ゴール数(549)で歴代27位。

     1981年のドラフトでハートフォード・ホイーラーズから全体4位で指名され、約10シーズンを過ごし、多くの攻撃記録を樹立した。1991年にピッツバーグ・ペンギンズにトレードされ、そこでスタンレーカップを2度獲得。その後、ハリケーンズに戻り、2002年のスタンレーカップ決勝でキャプテンを務めた。

     選手引退後は、カロライナ・ハリケーンズのゼネラルマネージャー兼ホッケー運営部門社長を務めてもいる。 ↩︎
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