ダックス、我慢の4シーズンの末、監督交代へ!明日はどっちだ!

NHLチーム紹介

はじめに

 NHL2022-2023のレギュラー・シーズン全日程が無事に終了しました。開幕当初はまだパンデミック禍が燻っていて、果たしてシーズンを全うできるかどうかでやや不安な状況でしたが、今やそれを打破した安堵感に、リーグもファンも浸っているのではないでしょうか。

 さて、シーズンが終わると、プレーオフ進出を決めたチーム以外は、人事異動に着手します。特に最終盤であまりに負けが込み過ぎて、ずるずると32チーム中最下位に転落したアナハイム・ダックスは、早速ダラス・イーキンス監督と契約更新せずと発表しました。

 今回は、どん底に落ちたダックスの現状をお伝えします。

讃岐猫
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残り10試合をほぼ全敗に近いペースで落とすとは、

チームの誰も思わなかったんじゃないかにゃ。

最後まで、トレバー・ゼグラスという

大スター候補を活かしきれなかったな。

引用元:ESPN.com「Dallas Eakins out as Ducks coach after four seasons」。

さらば、イーキンス!

 4月14日(金曜日)、アナハイム・ダックスは、4シーズン連続で負け越した、ダラス・イーキンス監督の復帰を見送る(新シーズン、チームにいないこと意味する)と発表しました。

ダラス・イーキンス=米国フロリダ州デイドシティ出身、56歳。現役時のポジションはディフェンス。NHL、マイナーリーグのAHL、IHLで1000試合の出場歴を持つ。

 現役時、ラジオ・パーソナリティーと「イーキンスは1シーズンで3ゴール以上取れるかどうか」の賭けをして、見事に6ゴールを記録し、リンクの真ん中でパーソナリティーを剃髪させたという逸話がある。

 アナハイムがNHL総合順位で23-47-12で最下位に終わった翌日、ゼネラルマネージャーのパット・ファーベークは、チーム再建プロセスを継続するため、イーキンスが戻ってくることはないと述べました。イーキンスの契約は今シーズン終了後に満了し、ダックスは契約を更新しません。

パット・ファーベーク=カナダ、オンタリオ州サーニア出身、58歳。現役時のポジションは右ウィング。NHL通算500ゴール以上を記録しているが、通済ペナルティ数も2000と多かった。

 デビルズ時代、1988年のキャピタルズ戦で、ファーベークの試合中のケガが故意か否かで裁定を仰ぐ事態となり、両チームのライバル関係がより深刻になったと言われている。

勝ち越し経験なし

 2019年、サンディエゴのAHL傘下チーム(サンディエゴ・ガルズ、ダックスと提携)のヘッドコーチから昇格したイーキンスは、ダックスで通算100-147-44を記録しています。

 つまり、2010年、NHLの永久的強豪として君臨していたアナハイムが、今シーズン、フランチャイズ最悪の勝ち点58ポイントを獲得したにとどまり、再建クラブへ衰退し始める直前(それが2019年)、元エドモントンのベンチボスは就任したということです。

元エドモントンのベンチボスは就任した=2013年夏、イーキンスはエドモントン・オイラーズのヘッドコーチとなったが、2014年12月15日、わずか18ヶ月後に解雇。ダックスで彼は1度も勝ち越せなかったが、オイラーズでも全2シーズン負け越しており、NHL時代、いまだに勝ち越し経験がない。

讃岐猫
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NHL通算6シーズン、イーキンスは監督の座にいたわけだけど、

一度も勝ち越せなかったどころか、

浮上のきっかけさえ作れなかったのは痛いにゃあ。

若手監督でもないし、今後が心配。

いい人なんだけどな…

 「ダラスには良いところがたくさんあるよ」とファーベークはダックスのトレーニング施設で語りました。「いい人なんだ。彼は困難な状況にあったと言えるね。彼は最高のプロ意識、組織への多大な献身、そして労働倫理をもって対応してくれてたと思ってるよ。

 …今日は誰にとっても楽しい日じゃなかったな。これ(契約更新をしない)をしなければならないのは、決して楽しいことじゃないさ」。

 イーキンス監督の4年間、ダックスはパシフィック・ディビジョンで6位以上になることはありませんでした(最高位は就任初年度の6位)。

 フランチャイズ記録の5シーズン連続でプレーオフを逃しており、終了したばかりの今シーズン中、ダックスはいくつかの点で21世紀のNHL最悪の守備チームと言うべきでした。

イーキンスのコメント

 イーキンスは、ソーシャル・メディアへの投稿で「ダックスの組織に8年間いられたことに、永遠に感謝します」と述べました。「サンディエゴの活性化からCOVIDへの対応、本格的な再建まで、刺激的でやりがいのある挑戦でした。

 スタッフや選手の誰もが私をより良いコーチにしてくれましたが、もっと重要なのは、より良い人間にしてくれたことです。ファンの熱意と忍耐力は決して忘れられません」とコメントしています。

 ダックスの衰退に拍車をかけたのは、2021年11月、ゼネラルマネージャーのボブ・マレーがチームスタッフに対する暴言で告発され、辞任したことでした。

ボブ・マレー=カナダ、オンタリオ州キングストン出身、68歳。現役時のポジションはディフェンス。1975~1990年までシカゴ・ブラックホークスのディフェンスマンとしてプレー。同チームが9年間でプレーオフ準決勝に5回進出へ貢献。

 2021年11月9日、ダックスの選手やスタッフへの暴言について調査の結果が出るまで、マレーはチームの管理下に置かれ、翌日、辞任となる。

 アナハイムで13年間ゼネラルマネージャーを務めたマレーの後任には、2022年2月にファーベークが就任し、アナハイムでの長期的な再建プロジェクトの計画を直ちに発表しました。

讃岐猫
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ここのオーナーは慈善活動に熱心なサミュエリ夫妻なのに、

GMが暴言を吐きまくっていたという矛盾…何か悲しいにゃ。

再建途中であるが、守備は壊滅的

 「私がそれ(チームの状況)を見たとき、3つのことがありました」とファーベークは述べました。「新たなスタートを切りたかったし、チームに語りかける新しい声が欲しかったし、違う方向性が欲しかったんだ。スタイルやアイデンティティだけが重要になると思います。

 自分たちのゾーンで過ごした時間を振り返ってみると…私が懸念していたのは、その道を進んでいたら、これ以上の開発が難しくなる可能性があったということです」。

 アナハイムには、プレーメイキングできるセンターのトレバー・ゼグラス(センター、22歳)と、オールスターに2度出場したフォワードのトロイ・テリー(右ウィング、25歳)のヘッドラインを筆頭とする、有望な若い中心選手がいます。

 しかし、ダックスはNHLワーストの338失点を喫し、得失点差(マイナス129)で最下位、ゴール(209)では31位でした。

 この338失点は、過去26シーズンのNHLチームでは、1995-96シーズンのサンノゼ・シャークス(357失点)以来の最多であり、ダックスの得失点差は1999-2000シーズンのアトランタ・スラッシャーズ(マイナス143点)以来の最悪でした。

アトランタ・スラッシャーズ=ウィニペグ・ジェッツの前身チーム。1999〜2010年まで、ジョージア州アトランタを本拠地として、NHLで活動。ディビジョン優勝1回(2006-2007)。所有権譲渡により、名称等を変更。

 ダックスのオーナー、ヘンリー・サミュエリは「ダックスとガルズの両チームのヘッドコーチとして、ダラスが8年間組織に在籍してくれたことに感謝する」と声明を出しています。

 「スーザン(サミュエリ)と私は、数え切れないほどの慈善事業を含む、アナハイムとサンディエゴ両方のコミュニティへの彼の献身ぶりを特に誇りに思っています。ダラスが今後の活動で成功することを、我々は確信しています、人格者がよくそうであるように」(ファーベーク談)。

スーザン(サミュエリ)=後出する夫のヘンリーと共にサミュエリ財団の共同創設者として、統合医療、青少年サービス、ユダヤ文化など、家族の広範な慈善活動を監督。また、夫妻でダックスのオーナー職を務める。

 ヘンリーは米国のコンピュータ・ネットワーク企業であるBroadcomの設立者、会長。

今回のドラフトで巻き返してやる!

 明るい兆しとして、コナー・マクデイビッド以来、ホッケー界で最も魅力的な将来有望選手と考えられている、コナー・ベダード選択権獲得の確率25.5%と言われており、ダックスは2023年ドラフト1位指名でベダードを獲得できそうなことです。

 来月のドラフト抽選で、ダックスは3位以下に落ちることはありません。

ダックスは3位以下に…=NHLドラフトのユニークな点として、当選確率を平等に設定されていないことである。レギュラー・シーズンの勝ち点の低いチーム、すなわち下位チームが上位指名権を獲得できるよう確率を調整されている。

 コナー・ベダード指名権レースにおいて、ブラックホークスがリードしていたが(全32チーム中最下位)、最終盤になってダックスが全く勝てず、逆転で?指名権レースを制した。

 ファーベークはダックスの将来を楽観視しており、6月28日に行われる次期ドラフトで11人、2024年に9人の指名権を獲得したことに言及しています。

次期ドラフトで11人…=トレード等で、他チームの指名権を有しているため。1巡目指名権に限定して言えば、ダックスには1回しかないが、セントルイス・ブルースは1巡目だけで3回指名できる。

 「若手の何人かがステップアップする時期や正確な期間を、はっきり見極めはできないよ」とファーベークは述べています。

 「ドラフトで指名した選手に安心感を持ってる。これから出てくる選手たちには、将来、プレーオフに向けて挑戦していくだろうという安心感があるってことさ。しかし、経験、時間、技術の開発、それが重要になってくるだろう」。

 イーキンスはチーム史上10番目のヘッドコーチであり、2005年、ディズニーからフランチャイズを購入したオーナーのヘンリーとスーザン・サムエリの下で、常任理事に就任した3番目のコーチでもあります。

 2007年、ダックスはカリフォルニアで初のスタンレーカップを獲得し、2013年から17年まで、パシフィック・ディビジョンのタイトルを5回連続で獲得しました。

まとめ

 ダックスが神童コナー・ベダードを指名するかどうか、これは蓋を開けてみないと分からない、と言っておきます。やはり、守備の立て直しが第一目標でしょうし、早急にそれができる監督を見つけてこなければなりません。

 攻撃型選手の典型であるベダードが、このチームにふさわしいかどうかは、やや疑問です。

 イーキンス政権の4年間、チームの立て直しに全く着手しなかったと言ってもいい状況に、ベダードが飛び込んで行っても、いきなり彼の能力を発揮できるとは到底思えません。宝の持ち腐れにしてしまうのか、それとも現状に即した選手を指名し、チームを再生していくか。

 ダックスが1巡目指名権を一つしか持っていないこと、これが全ての鍵を握っているように思います。

讃岐猫
讃岐猫

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!

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