ブラックホークスの再建とベダードの成長のジレンマを考える!

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はじめに

 2023年のNHLドラフトで全体1位指名を受けたコナー・ベダードは、シカゴ・ブラックホークスの若きエースとして大きな期待を背負っています。しかし、今シーズンは思うような得点を上げられず、フラストレーションが溜まる日々が続いています。

 2024-25シーズンが進行する中で、ミネソタ・ワイルドのキリル・カプリゾフがハート・トロフィー(最優秀選手賞)の有力候補として注目を集めています。カプリゾフは、オンアイスでのゴール差(5対5の状況でのゴール差)がリーグ2位にランクインするなど、その重要性が増しています。

讃岐猫
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引用元:nhl.com(NHL公式サイト)「Bedard hopes to get out of ‘frustrating’ stretch for Blackhawks

ベダードのフラストレーションと不調の原因

 2023年のNHLドラフトで全体1位指名を受けたコナー・ベダード(センター、19歳)は自信を保とうと努力していますが、今シーズンの得点力不足に悩んでいます。「(どうすれば不調から抜け出すことができるのか?の問いに対して)100個ぐらい挙げられるかもしれないけど、正直分からない。

 つらい時期が続いていると感じていて、自分に何か足りないように思えてきて、少し自信を失ってるんだ。それがずっと続いていくような感じがする。

 もちろん、今は少しフラストレーションの溜まる時期かもしれないから、ただ毎試合、ベストな自分を目指してプレーし続けるしかないと思っている。そして、きっとそのうち結果はついてくるはずさ」と、ベダードは11月22日・金曜日に語りました。

 シカゴ・ブラックホークスの19歳のセンターであるベダードは、2023年のNHLドラフトで1位指名を受け、今シーズンは20試合で15ポイント(3ゴール、12アシスト)を記録し、チームの中心選手です。

 ベダードは過去6試合で2ポイント(11月19日・火曜日のアナハイム・ダックス戦で2アシスト)を記録していますが、ゴールは10月26日のダラス・スターズ戦(2-4の敗戦)以来11試合連続で決めていません。

 昨シーズン、ベダードはブラックホークスと全NHLルーキーの中で61ポイント(22ゴール、39アシスト)を記録し、68試合で活躍しました。

 これにより、プロフェッショナル・ホッケー・ライターズ・アソシエーション(PHWA)の投票でカルダー・トロフィー(NHLの最優秀ルーキー賞)を受賞しています。 

ポジション変更で見えた新たな可能性

 ブラックホークスは、ベダードの得点力を引き出すためにさまざまなラインコンビネーションを試みており、最近はベダードが左ウィングに、ジェイソン・ディッキンソン(センター、29歳)とジョーイ・アンダーソン(右ウィング、26歳)と共にトップラインを組んでいます。

 この新しいラインでの最初の2試合では、ベダードがアシストを記録(アナハイム戦でディキンソンの2ゴール)するなど、少しずつ成果が見えてきました。

 ブラックホークスのルーク・リチャードソン監督は、「ベダードを責任感の強い選手と一緒にプレーさせることで、オフェンスの面で良い影響を与えることができる」とコメントしています。

 「彼らはパックをキープして、オフェンスゾーンでいくつか良いプレーをしていました。そのスタイルでうまくやっているのを見て、昨夜(フロリダ・パンサーズ戦での3-1勝利)、私たち全員が良いディフェンスをして勝てたと思います。

 これこそが良いチームになろうとしている兆しだし、選手たちが異なる役割で自分たちの新たな一面を見つけてプレーしている証だと思います」。

今シーズン一番のブラックホークス、最高の試合内容でした。

 また、ベダードは、このポジション変更について「センターよりも楽に感じる」と語っています。センターとしての役割であるフェイスオフのプレッシャー1が軽減される一方で、左ウィングではポジショニングを意識しながらプレーできるため、比較的楽に感じるとのことです。

 「そうだね、センターよりはだいぶ楽だ」とベダードは言いました。

 「ポジショニングと自分がどこにいるべきかということに集中できるので、そのポジションをプレーしながらそれをうまく理解していくよ」。この変更は、得点力不足を打破するための一つの試みとして有効と見られています。

ブラックホークスの得点力向上に向けた試み

 若いセンターがウィングでプレーすることについて、フロリダ・パンサーズのポール・モーリス監督は「非常に当たり前のことだ」と述べました。

 「(フロリダのセンター)アントン・ルンドデル(23歳)もそうだったし、アレクサンダー・バルコフ(センター、29歳)がやったかどうかは分からないけど、NHLのゲームにはいろいろな要素があり、異なるポジションを理解することがとても大事だ。

 サイズやパワーを持つチームでは、それが理にかなっていることもある」とモーリスは11月21日・木曜日の試合前に語っています。

 ブラックホークスは、今シーズンも得点力に苦しんでおり、現在は1試合平均2.35ゴール(NHLで30位)と低迷しています(昨シーズンは2.17ゴールでNHL最下位)。

 ベダードがその救世主として期待される中、チーム全体としても得点を増やし、再び自信を取り戻すことが重要な課題です。

 リチャードソン監督は、「昨夜言ったように、チームはベダードを(相手選手への)チェック役、守備要員として連れてきたわけではない。

 でも、チームが得点力不足で苦しんでいる現状では、ディフェンスに力を入れ、パワープレイのチャンスを増やし、ゴールを決めていくことで、少しずつオフェンスの自信を取り戻していくしかないんだ」と話しており、チーム全体で守備を固めながら、攻撃面でも少しずつ改善を図る方針のようです。

【追記】11月23日・土曜日に行われたフィラデルフィア・フライヤーズ戦(アウェイ)、延長戦の末、フライヤーズが新星マトヴェイ・ミチコフ(右ウィング、19歳)のパワープレイ・ゴールで、3-2と勝利。チームは2-0で第2ピリオド終了、このまま行けるかと思われたが、第3ピリオドでまさかの守備崩壊。

 ベダードはギブアウェイ(相手にパックを取られる)を2回、弱点の守備面が安定せず。それが影響したのか、攻撃もほぼ消えていた。

ミチコフ、こりゃ大方の予想通り新人王取るわ。

引用元:espn.com(ESPN公式サイト)「NHL betting: Can Kirill Kaprizov win the Hart Trophy?

カプリゾフの圧倒的なゴール差:最優秀選手の候補としての実力

 2024-25シーズンが進行する中、ミネソタ・ワイルドのキリル・カプリゾフ(左ウィング、27歳)が、今シーズンのハート・トロフィー(最優秀選手賞)候補として注目を集めています。カプリゾフは、毎試合で多くの出場時間をこなし、1試合あたり1.82ポイントを記録しています。

 これはチーム内で2番目に多い選手との差を0.76ポイント上回っており、オンアイスでのプラス16のゴール差2はリーグ2位(アレックス・オベチキン〈左ウィング、39歳。ワシントン・キャピタルズ〉と並ぶ)という素晴らしい成績を誇ります(オベチキンのチームメイトであるディラン・ストローム〈センター、27歳〉はプラス19でトップ)。

 昨年のハート・トロフィー受賞者であるコロラド・アバランチのネイサン・マキノン(センター、29歳)がプラス3のゴール差であることを考えると、カプリゾフの価値は明らかです。もし2021年にカルダー・トロフィーを獲得したカプリゾフが今シーズン80試合に出場すれば、初めての個人賞獲得のチャンスが十分にあると言えるでしょう。

 カプリソフがいなければ、ワイルドは現時点でワイルドカード圏内にも入れないかもしれませんし、ウェスタン・カンファレンスで2番目に多くのポイントを挙げていることもないでしょう。

ハート・トロフィー争いのライバルたち

 カプリソフのように個人で力強い存在感があるとはいえ、マキノンはミッコ・ランタネン(右ウィング、28歳)やケイル・マカール(ディフェンス、26歳)といった優れた選手と共にプレーしています。

 エドモントン・オイラーズは最近、コナー・マクデイビッド(センター、27歳)がいない中で3試合中2試合を勝利しましたが、これもレオン・ドライサイトル(センター、29歳)の活躍(その2試合で6ポイント)によるものです。

 つまり、ハート・トロフィーが「チームに最も価値のある選手」を称える賞であるならば、カプリソフの最大のライバルは、ニューヨーク・レンジャーズのアルテミ・パナリン(左ウィング、33歳)やタンパベイ・ライトニングのニキータ・クチェロフ(右ウィング、31歳)の2人かもしれません。

 個人的には、カプリゾフが今後も安定して活躍し、フルシーズンを通じて健在であれば、ハート・トロフィーの受賞が現実味を帯びると考えています。

 また、ゴールキーパーの中では、ウィニペグ・ジェッツのコナー・ヘルブック(31歳)がハート・トロフィーを受賞する可能性で注目されています。

 ヘルブックは、今シーズンの最優秀選手候補としては異例ですが、もし45勝以上を挙げ、数多くのシャットアウトを記録(すでに3つ)し、シーズン終盤でのセーブ率が.930、平均失点が2.10を切るような成績を残せば、ゴールキーパーとして5人目のハート・トロフィー受賞者になる可能性もあります。

 特に、ウィニペグ・ジェッツがセントラル・ディビジョンのトップに立つようであれば、その可能性はさらに高まります。

 もちろん、シーズンはまだ長いですが、ヘルブックが週末のパンサーズ戦で大敗(11月16日〈土〉、アウェイ、0-5)した後(それは今シーズン2度目の敗北でもありました)、火曜日の同一カードでどう立ち直るかは注目すべきポイントでした。しかし、6-3とチームは持ち直しています。

 さらに、今シーズンの注目選手として、そのフロリダ・パンサーズのサム・ラインハート(センター、29歳)が挙げられます。ラインハートはすでに18試合で13ゴールを決めており、50ゴール達成のペースに乗っています。健康状態に問題がなければ、3月末までには50ゴールを達成するでしょう。

 ラインハートは、昨シーズン同様、18試合終了時に13ゴールを記録していたのは面白い事実です。

ミネソタ・ワイルドの堅固で強力な守備スタイル

 最後に、ミネソタ・ワイルドの次の試合についても注目が集まっています。ワイルドは現在、リーグで最少の失点(1試合あたり2.29)を記録し、10勝3敗1延長負けの好成績を残しています。

 この10勝のうち9勝は、2点差以上で勝利しており(唯一、メイプルリーフス戦で2-1の接戦で勝利)、現在はミネソタのスタイルが強固な守備に支えられていることがわかります。

 特に2日以上の休養を挟んで勝率100%(6勝0敗)を記録しており、次の試合でセントルイス・ブルースに勝利する可能性も高いと予想されています。

【追記】予想通り、11月19日(火)、アウェイでのブルース戦、ワイルドは4-2で勝利。カプリゾフは2ゴールを挙げて好調キープ。

カプリゾフ、キレッキレッの動きしてます!

 一方、ブルースは、木曜日から日曜日まで3試合をアウェイで戦った後の試合であり、調整が必要です(結果は1勝2敗、そのうち2試合は延長戦で1勝1敗)。ブルースのゴールキーパー、ジョーダン・ビニントン(31歳)に、ブルースの歴代最多勝利数に並ぶチャンスがあります(マイク・リウトの記録)。彼のサポートをするためにチームが一丸となって戦う姿にも注目が集まります。

【追記】ビニントンは、11月21日(木)、エンタープライズ・センターでサンノゼ・シャークスに3-2のPK戦で勝利し、勝利数のフランチャイズ記録を樹立した。ビニントンは22セーブを記録し、3回のシュートアウトをすべて跳ね返し、マイク・リウトとタイ記録となる151回目の勝利を収めている。

タイ記録樹立の記念すべき試合です!それにしても、ブルースの試合ハイライトが2つも続くなんて…。

 カプリゾフがどれだけ今後も価値ある活躍を続けるか、そして他のライバルたちがどれほど追い上げてくるかが、今シーズンのハート・トロフィー争いをさらに面白くすることでしょう。

まとめ

 コナー・ベダードが今後の試合で得点力を取り戻すためには、センターから左ウィングへのポジション変更の効果がカギを握るかもしれません。また、ブラックホークス全体の得点力向上にも注目が必要です。ベダードのフラストレーションを解消し、再び得点を量産することで、チーム全体の自信と勢いを取り戻せる可能性が高いでしょう。

 カプリゾフがこのまま安定した活躍を続ければ、ハート・トロフィー受賞の可能性は十分に現実味を帯びます。特に、彼のプレーがミネソタ・ワイルドの成功に直結していることから、今後のハート・トロフィー争いにおいて重要な役割を果たすことでしょう。

讃岐猫
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【註釈】

  1. 今シーズン、ベダードのフェイスオフ成功率は47勝158敗(29.8%)で、ディキンソンは46.3%(138勝298敗)を記録している。
    ↩︎
  2. 「On-ice even strength goal differential」のこと。これは、選手が5対5の状況で氷上にいる間に、チームが得点したゴール数から相手チームに取られたゴール数を引いたもの。

     この指標は、選手やチームの攻守バランスを示し、5対5の状況でのパフォーマンスを評価したもの。プラスのゴール差は、選手が氷上にいる時にチームが効果的に攻守をこなしていることを意味し、マイナスなら逆に失点が多いことを示唆。

     得点力だけでなく、防御力も重要で、総合的なパフォーマンスを見るための指標となる。 ↩︎
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