アリゾナ・ホッケー復活プロジェクト最新情報を、地域の動向と共に徹底紹介

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はじめに

 アリゾナにホッケーを取り戻す動きが再び加速しています🏒 2014年のコヨーテズ移転以来、フェニックスはNHL不在の街となっていましたが、今、アンドレア・ドーンやリンゼイ・フライらホッケー界の顔ぶれが結集し、復活へのプロジェクトが本格始動!

 今回は3つの現地報道をお届けします!新チームの設立やアリーナ計画、地域の熱意など、最新情報をわかりやすく紹介します。

アリゾナにNHLチームを呼び戻す動き 🏒

参照記事:FOX 10 Phoenix1Arizona hockey hopes revived with new committee and Doan family at the helm

 アリゾナにNHLチームを再び取り戻そうとする動きが活発になっています。中心となっているのは、新しく立ち上げられた諮問委員会で、ホッケーファンにとって馴染み深い名前がその先頭に立っています。

 9月22日、マリコパ郡監督官のトーマス・ギャルヴィン2は、元アリゾナ・コヨーテズのキャプテン、シェーン・ドーン3の妻であるアンドレア・ドーン4が委員会を率いることを発表しました。この委員会は、バレー地域5に新しいチームとアリーナを呼び込むことを目指しています。

 2024年、コヨーテズはユタ州へ移転し「マンモス」と改名しました。その結果、アリゾナからはNHLチームが姿を消してしまいました。

アンドレア・ドーンの思い 💬

 アリゾナ州立大学(ASU)の卒業生であり、息子のジョシュ6はコヨーテズにドラフト指名され、ASUでもプレーしたアンドレア・ドーンは、これまでに何度もチーム定着を目指した挑戦があったことをよく知っています。彼女は、今回こそ過去の失敗を避けることで成功すると信じています。

 彼女は「これまでは正しい形で実行されていませんでした。持続可能でうまく機能する仕組みが作れていなかったのです。そこには多くの要因が関わっていて、私たちはそれを理解し、自覚しています」と述べています。

 さらに「もし関係者が実現可能だと考えていなければ、この話は進んでいなかったでしょう」とも付け加えました。

委員会の使命と地域の関わり 🤝

 委員会の使命は、新しいスタジアムの候補地やオーナーグループを探し出し、地域の支持を得ることです。過去にコヨーテズが提案したテンピでの新アリーナ計画は住民投票で否決7されており、地域の関与がいかに重要かを浮き彫りにしました。

 また、コヨーテズが去ったあとに、ユースホッケーのプログラムを引き継いだ「マット・ショット・アリゾナ・ホッケー・レガシー財団8」も、この取り組みに関わる地域団体のひとつです。

 財団のギャレット・ニーダーコーン氏は「ファンとの交流や地域でのパートナーシップ作りが、大きな盛り上がりと熱意を生み出す助けとなります。私たちはそれがNHLに対して、なぜアリゾナが素晴らしい市場であり、ホッケーがここに根付くべきかを示す大きなセールスポイントになると信じています」と語り、アリゾナの市場価値を強調しました。

 さらに、ギャルヴィン氏はNHLコミッショナーとも話し合い、チームを呼び戻すために必要な条件について理解を深めていると述べました。ただし、この委員会の活動に具体的なタイムラインはまだ設けられていません。

地元・アリゾナのニュース番組に出演したアンドレア。今回の記事で取り上げた内容とほぼ同じ発言をしています。

ホッケーが砂漠を去った日 🌵🏒

参照記事:SI.com(Sports Illustrated)9Coyotes Legend’s Wife Seeks to Bring Hockey Back to Arizona

 2024年4月18日──この日は、アリゾナからホッケーが姿を消した日として記憶されます。アリゾナ・コヨーテズのフランチャイズはこの日、実質的に二つに分かれることになりました。

 チームの選手やコーチ、フロントスタッフ、ドラフト権などのホッケー関連資産は、新たに誕生したユタ・ホッケークラブ(現在のユタ・マンモス)へ移され、一方でチームの歴史はアリゾナに残されました。恒久的なアリーナが完成するまで、チームは休止状態となったのです。

 数か月後、候補地となっていた新アリーナ用地のオークションは突然中止され、オーナーのアレックス・メルエロはフランチャイズの権利10を手放しました。結果として、チームは宙ぶらりんの状態に置かれることとなりました。

 コヨーテズは決して大規模なファン層を持っていたわけではありませんが、存在していたファンは非常に情熱的でした。そのため、チームが去って以来、NHLを州に取り戻そうとする動きが続いており、最近ではその動きがさらに強まっています。

讃岐猫
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アンドレア・ドーンが委員会の議長に 🤝

 「アリゾナ・インサイダー」11のクレイグ・モーガンによると、コヨーテズの象徴的存在シェーン・ドーンの妻、アンドレア・ドーンが、ホッケーを州に呼び戻すための委員会の議長を務めることになりました。

 今年初めにマリコパ郡監督委員会の議長トム・ギャルヴィンが設立したこの委員会は、「NHLをフェニックス都市圏に呼び戻すことに尽力する政治・ビジネス・地域・スポーツ界のリーダーたち」と協力して活動します。

 ギャルヴィン氏は、モーガンに対し、アンドレアについてこう語っています。

 「アンドレア・ドーンは長年にわたりアリゾナ・ホッケーを支えてきました。夫のシェーン・ドーンもアリゾナのホッケーの歴史を築く上で重要な役割を果たしましたが、アンドレアも過去20年以上にわたるアリゾナ・ホッケーの物語の一部です。

 彼女は自分の人生の多くを地域社会とアリゾナ・ホッケーを支えることに捧げてきました。業界に関する知識や、アリゾナやNHLとのつながりは、我々の使命に欠かせないものです」。

シェーン・ドーンと家族の想い 💬

 コヨーテズの歴代記録保持者12であるシェーン・ドーンは、現在トロント・メープルリーフスでゼネラルマネージャーのブラッド・トレリビングの特別アドバイザーとして活動しており、今回のプロジェクトに自分の名前を直接関わらせることはできません。しかし、アンドレアは喜んでその役割を引き受けています。

 アンドレアはこう語りました。


 「シェーンと私が行うことはいつも一緒ですが、彼は今トロントに専念しています。私もそうですが、この取り組みは別の活動です。NHLと協力し、組織をフェニックスに戻し、ここで繁栄し成功できるようにすることが目的です」。

 このプロジェクトには多くの課題があります。過去のコヨーテズの経営が地域住民の多くを遠ざけてしまったからです。しかし、ドーン家が関わることで、アリゾナへのNHL復帰が近い将来、実現可能であるように感じられます。

アリゾナにホッケーを取り戻すための大きな一手 🏒

参照記事:Axios13Returning hockey to the desert: Andrea Doan to lead Phoenix NHL push

 マリコパ郡監督委員会14の議長、トム・ギャルヴィン氏が、アリゾナにホッケーを呼び戻すために、大物を起用するという大きな一手を打ちました。その背景には、昨年、州内のプロホッケー復活の試みは失敗に終わり、納税者の資金も無駄になった経緯があります。

 ギャルヴィン氏はAxiosに対し、今回は持続可能で賢い方法での復活を目指していると語っています。また、NHLフランチャイズを州に戻すことの実現のため、ホッケー界で著名な人々の力を借りたと明かしました。

 今年初めにはNHLコミッショナーとフェニックス都市圏に新チームを作る話を始め、その一環としてアンドレア・ドーンを「アリゾナ・プロホッケー諮問委員会」の議長に任命しました。

アンドレア・ドーンとリンゼイ・フライの活躍 🤝

 アンドレア・ドーンは、アリゾナ・コヨーテズの伝説的選手シェーン・ドーンの妻で、過去20年間にわたり州内のプロおよびユースホッケーコミュニティに深く関わってきました。ギャルヴィン氏は「アンドレアはアリゾナ・ホッケーの歴史に欠かせない存在で、業界の知識やNHLとのつながりがこのプロジェクトに不可欠です」と語っています。

 さらに、2024年オリンピック米国女子アイスホッケーチームのメンバーで、アリゾナ出身のリンゼイ・フライ15が、地域社会への働きかけを率いることも発表されました。彼女は「マット・ショット・アリゾナ・ホッケー・レガシー財団」の共同設立者としても活動します。

リンゼイ・フライの5ヶ月前の映像。自らも関わる女子ホッケークラブ、アリゾナ・カチナスの女子選手向け育成・参加プログラムについて話しています。

 アンドレアはAxiosに対し、「ホッケーがここでどう機能するかというビジョンを見てきたので、家族としてできる限りのことをします」と語り、「私は1997年からここに住んでいます。ホッケーのないフェニックスを知りません」とも述べています。

コヨーテズの移転とNHL復帰への課題 🏟️

 昨年、フェニックスはNHLフランチャイズを失いました。長期にわたる新アリーナ建設をめぐる争いの末、コヨーテズはNHLの仲介によりユタ・ジャズのオーナー、ライアン・スミスに売却され、チームはソルトレイクシティに移転し「ユタ・マンモス」と改名されました。

 ギャルヴィン氏は、「スポーツチームを失うことは都市としての評判に傷をつける。メトロエリアとしての評価に黒い目立つ印を残すこと16になるのです」と述べ、前オーナーがホッケーの価値を十分に訴えられず、フェニックスの成功の土台を作れなかった17と語っています。

 アリゾナにNHLを戻す熱意はあるものの、プロセスを急ぐことは重要ではありません。

 諮問委員会は今後、チームの所有者と試合会場という二つの課題に取り組みます。ギャルヴィン氏は、NHLを呼び戻すには「世界クラスのアリーナ」が必要だと強調しています。

 アンドレア・ドーンは最後に、「フェニックスの人々は地元チームを応援したいと思っています。私たちは彼らに応援できる喜びを届けるつもりです」と語りました。(1226)

まとめ

 諮問委員会の設立により、アリゾナへのNHL復帰の具体的な動きが見えてきました🏟️ アンドレア・ドーンや地元出身選手の関与で地域の信頼も回復しつつあり、チームの所有者や試合会場といった課題にも取り組み始めています。

 地元の熱意と専門家の知見が合わさり、フェニックスでのホッケー再開は現実味を帯びてきました。これからの展開から目が離せません。

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. アリゾナ州フェニックス都市圏を対象に、ニュース、天気、交通、政治、スポーツなど地元密着の報道を提供するFOX系列のローカルニュースサイト。このメディアは速報とライブ映像中継にも力を入れており、地域ニュースの一次配信源として住民の情報源の一つとなっている。

     また映像コンテンツやSNS展開も活発で、現地のニュースを迅速に発信するプラットフォームとして信頼を得ている。
    ↩︎
  2. アリゾナ州マリコパ郡の地区2を代表する郡監査役(Board of Supervisors)であり、2025年1月に初めて郡監査役会の議長に選出された。彼は、ノートルダム大学法科大学院を卒業した弁護士であり、ローズ・ロー・グループのパートナーとしても活動。

     また、グレーター・フェニックス経済評議会(GPEC)やPHXイースト・バレー・パートナーシップなどの地域経済団体の理事も務めている。

     ギャルヴィン氏は、マリコパ郡の納税者を守ることを最優先事項として掲げ、公共の安全、経済開発、住宅、インフラ整備などの分野で積極的に取り組んでいる。特に、警察や法執行機関の支援、暴力犯罪の撲滅、低税率の維持、経済成長の促進などを重視。彼は、2022年11月に初めて郡監査役に選出され、2024年11月に再選された。

     ギャルヴィン氏は、政治家としての経歴が浅く、保守的な立場から、家族や伝統、私有財産権を重視するアメリカの保守主義を支持。彼は、インフレ対策や公共の安全の強化などを主要な政策課題として掲げている。また、土地利用や水資源に関する弁護士としての経験を活かし、地域の発展に貢献。

     2025年1月には、郡監査役会の議長に選出され、公共の安全や経済成長などの分野で積極的な取り組みを進めている。
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  3. カナダ・アルバータ州出身の元プロアイスホッケー選手で、NHLのアリゾナ・コヨーテズ一筋で21シーズンをプレー。1995年のドラフトでウィニペグ・ジェッツから全体7位で指名され、チームのアリゾナ移転後も活躍。

     2003年から2017年までキャプテンを務め、「キャプテン・コヨーテ」として知られていた。国際舞台ではカナダ代表として複数のメダルを獲得し、2004年ワールドカップ優勝にも貢献。2017年に現役を引退し、2019年には背番号19が永久欠番となる。 その後、2021年にコヨーテズのフロントオフィスに加わり、2023年にはトロント・メープルリーフスのゼネラルマネージャー補佐に就任。
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  4. アリゾナ州立大学(ASU)でホッケーを学び、同大学の女子ホッケーチーム「アリゾナ・ステート・サン・デビルズ」の一員として活躍。彼女はASUで学士号を取得しており、ホッケーに対する情熱と地域社会への貢献の精神を持ち続けている。
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  5. 
アメリカ合衆国アリゾナ州の都市圏を指す通称で、特にフェニックス都市圏を指す際に使われる。この地域は、フェニックスを中心に、スコッツデール、テンピ、メサなどを含む広大な都市圏で、アリゾナ州の経済、文化、スポーツの中心地として知られている。

     「Valley」は、アリゾナ州のホッケーコミュニティにとって重要な意味を持つ。かつてNHLのアリゾナ・コヨーテズが拠点としていた地域であり、現在もアリゾナ州立大学(ASU)のアイスホッケーチームや、アメリカン・ホッケー・リーグ(AHL)のツーソン・ロードランナーズなど、ホッケー活動が盛んな地域。
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  6. ジョシュ・ドーンは、2002年2月1日、アメリカ・アリゾナ州スコッツデール生まれ。現在はNHLのバッファロー・セイバーズに所属する右ウィンガー。

     アリゾナ・コヨーテズは、2021年のNHLドラフトで全体37位でドーンを指名。ドーンはアリゾナ州立大学での大学生活を経て、2023年にコヨーテズと3年間のエントリーレベル契約を結んだ。その後、AHLのトゥーソン・ロードランナーズでプレーし、2024年3月25日にコヨーテズに昇格。

     翌日の試合でデビューを果たし、2ゴールを決めてチームを6-2の勝利に導いた。これはコヨーテズのフランチャイズ史上、デビュー戦で複数ゴールを決めた初めての選手となる。

     2024-25シーズンにはユタ・ホッケー・クラブ(後のユタ・マンモス)でプレーし、51試合で7ゴール・12アシストを記録。その後、2025年6月25日にユタからバッファロー・セイバーズにトレードされた。ドーンはまた、2025年のIIHF世界選手権でアメリカ代表として出場し、9試合で1ゴールを記録し、アメリカの金メダル獲得に貢献。
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  7. 否決された主な理由は、地域住民の懸念と反対運動にある。計画は、テンペ市のソルト・リバー沿いに16,000席の新アリーナを含むエンターテイメント地区を建設するもので、総額21億ドルのうち19億ドルは民間資金で賄われる予定だった。

     しかし、住民の間では、アリーナ建設がもたらす交通渋滞や近隣住宅への影響、騒音問題などへの懸念が高まっていた。また、フェニックス市がスカイハーバー空港の騒音区域内に住宅開発を行うことを制限する1994年の協定を根拠に、テンペ市に対して訴訟を起こしていたことも、住民の不安を煽る要因となっていく。

     さらに、テンペ市が反対意見を持つ住民のSNS投稿を監視していたことが明らかになり、住民の信頼を損ねる結果となる。これらの要因が重なり、住民投票では新アリーナ建設に反対する結果となり、計画は否決されたのである。
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  8. アリゾナ州でホッケーの普及と成長を支援することを目的とした慈善団体。この財団は、アリゾナ州で多くのNHLユースプログラムを立ち上げた先駆者である故マット・ショットの遺志を継ぐために設立された。彼の情熱と献身は、アリゾナ州のホッケーコミュニティに深く根付いており、財団はその精神を受け継ぎ、地域社会にホッケーの機会を提供している。

     主なプログラムとしては、「Shott’s Tots」があり、これは5〜11歳の初心者向けにホッケーの基本スキルを教える「Learn to Play」プログラム。このプログラムでは、スケーティングやパックの扱い、パス、シュートなどの基礎を、経験豊富なコーチの指導のもとで学ぶことができる。

     また、全ての新規参加者にはホッケー用具が提供され、アリゾナ州内の複数のリンクでセッションが行われている。

     さらに、女性向けの初心者リーグや、ボールホッケーリーグ、成人向けの「Learn to Play」プログラムなど、多様な参加者に対応したプログラムも提供。これらの活動を通じて、財団はアリゾナ州内でホッケーの普及と発展を目指し、地域社会との連携を深めている。
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  9. アメリカを代表する老舗スポーツ雑誌「Sports Illustrated」のオンライン版で、NFL、NBA、MLB、NHL、大学スポーツなど幅広い分野のニュース・分析・統計・ハイライトを提供。

     創刊は1954年で、かつては週刊誌として発行されていたが、デジタル化の波を受けて現在は月刊化され、ウェブプラットフォームが主軸となっている。また、近年では出版権や運営体制に変化があり、オーセンティック・ブランドが権利を保有し、デジタル発行を含む事業運営をライセンス契約で委託する方式になっている。

     これにより、サイトには「On SI」など複数のスポーツテーマ別サブサイトが統合され、読者が関心あるチームや競技にアクセスしやすく設計されている。
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  10. アレックス・メルエロは、アリゾナ・コヨーテズの元オーナーであり、2024年7月10日にフランチャイズの権利を正式に放棄した。2024年4月、メルエロはユタ・ジャズのオーナーであるライアン・スミスにチームを売却し、アリゾナ・コヨーテズはユタ・ホッケー・クラブとして再編成され、2025年からソルト・レイク・シティでプレーを開始。

     メルエロは、アリゾナでの新しいアリーナ建設に成功すれば、5年間の期限内にフランチャイズを再活性化する権利を保持していた。しかし、2024年6月21日にアリゾナ州土地局がフェニックス北部の110エーカーの土地のオークションを突然中止し、特別使用許可が必要であると発表。

     これにより、メルエロは新しいアリーナ建設の見通しが立たなくなり、2024年6月26日にNHLのボード・オブ・ガバナーズ会議でフランチャイズの再活性化を追求しない意向を表明した。その結果、2024年7月10日にメルエロは必要な書類に署名し、アリゾナ・コヨーテズのフランチャイズ権利と知的財産権を正式にNHLに返還している。

     なお、オークションを突然中止した理由は その土地の特別使用許可(Special Use Permit)がまだ承認されていなかったため。メルエロはその土地に新アリーナを建設する予定だったが、土地局により、建設予定地がゾーニング規制や環境・交通などの条件を満たしていないことを指摘された。

     そのため、正式な許可が下りる前にオークションを進めることはできず、結果としてオークションが中止されたのである。
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  11. スポーツジャーナリストのクレイグ・モーガン氏が運営する独立系のニュースレターで、アリゾナ州のスポーツ、文化、生活に関する深掘りした報道を提供している。モーガン氏は、NHLのアリゾナ・コヨーテズを長年取材してきた実績があり、「The Arizona Insider」では、コヨーテズやアリゾナ州のホッケーに関する独自の分析やインタビュー、コラムを発信。
    ↩︎
  12. シェーン・ドーンは、2015年12月、コヨーテズの歴代最多ゴール数を記録し(402)、2016年には通算ポイント数でもフランチャイズ記録を更新(972)。

     また、2010年にはキング・クランシー・メモリアル・トロフィー(リーダーシップ賞)、2012年にはマーク・メシエ・リーダーシップ・アワードを受賞している。
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  13. アメリカのデジタルニュースサイトで、2016年に設立され、翌年に正式ローンチされた。ジム・ヴァンデハイ、マイク・アレン、ロイ・シュワルツといった元Politicoの記者たちがメディアの革新を目指して始めたのが出発点。

     Axios の特徴として、“短く、要点を押さえた記事” を志向しており、多くの記事が300語未満で構成され、読みやすさと効率を重視している。また、政治・テクノロジー・ビジネス・ヘルス・環境など多岐にわたるトピックを取り扱っており、それぞれの分野別ニュースレターを発行する形で読者に情報を提供。

     2022年には、Cox Enterprises による買収が完了し、Axios はメディア企業グループの一部となった。また、報道機関の信頼性評価機関 Ad Fontes Media によれば、Axios は「中立的バイアス(中位)」と評価されつつ、信頼性においては「分析/事実報道」に分類されている。

     このような特徴と経歴から、Axios は迅速かつ簡潔に要点を伝えるニュースソースとして、ジャーナリズムの新興形態を体現していると言える。
    ↩︎
  14. アリゾナ州で最も人口が多い郡を統治する主要な行政機関で、5人の監督員がそれぞれ選挙区から選出され四年任期で務める。この委員会は予算の承認、課税政策の決定、郡全域の道路・保健・公園・治安・図書館など公共サービスの運営監督などを担い、郡マネージャーを任命して日常行政を統括させる構造となっている。

     また、議会や予算編成だけでなく、郡域の土地利用、条例制定や選挙管理にも権限を持っており、郡政府の政策決定の中枢として機能。
    ↩︎
  15. アリゾナ州出身。アリゾナ州で女子アイスホッケーがほとんど盛んでなかった時代に競技を開始。5歳でアイスホッケーに興味を持ち、ボーイズチームでプレーしていたものの、高校時代には大学進学を見据えて女子チームでの経験を積む必要があり、コロラド州のクラブチームへ参加していた。

     ハーバード大学では、2010年からNCAAディビジョンIの女子ホッケーチームで活躍し、在学中には2014年ソチ冬季オリンピック女子アメリカ代表として銀メダルを獲得するため、1年間休学したことも。

     大学卒業後は、Lyndsey Fry Hockeyを設立し、米国各地で女子向けホッケーキャンプを展開するとともに、アリゾナ州立大学でMBAを取得。

     さらに、アリゾナ・コヨーテズでは女子ホッケー部門の立ち上げ支援や女子選手育成プログラムの構築に寄与し、また2021年からはコヨーテズのラジオ放送でカラーアナリストを務めており、NHLチームのラジオ解説者としては数少ない女性の一人としても注目されている。
    ↩︎
  16. フェニックス/アリゾナ都市圏がプロスポーツチームを失うことで「ブランド力」や「魅力」が損なわれるという懸念を表している。実際、コヨーテズのアリーナ問題や資金調達の失敗が長引いたことで、地域の住民や行政、企業からの信頼が揺らぎ、将来的な投資や移住・発展の呼び込みにマイナスの影響を与えかねないとされてきた。

     たとえば、NHL コヨーテズの新アリーナの提案が住民投票で否決されたことが、公共支出や市の意思決定に対する市民の懐疑心を強め、地域のプロジェクトの実行可能性が低く見られるようになった、という指摘がある。こうした過去の失敗が、都市圏としての「信用」「見通し」「将来性」に暗い影を落としており、それを取り戻すことがアリゾナでのホッケー再興の重要なステップだ、とギャルヴィン氏は主張しているのである。
    ↩︎
  17. 過去のコヨーテズの経営問題やオーナーの対応への批判が背景にある。報道によれば、アレックス・メルエロ体制下では経営の透明性や公共との信頼性に欠け、支払い遅延、関係者とのトラブル、組織運営の混乱などが繰り返されたと元従業員や報道が指摘している。

     また、アリゾナでの新アリーナ計画(テンペ案など)が住民投票で否決された際、オーナー側が地域住民や地方行政への訴求力を十分発揮できなかったことも、“価値を訴える力”不足と見る論調がある。今回の活動は、こうした過去の失敗例を踏まえ、単にアリーナを建てるだけでなく、地域との信頼関係や支持を築くことこそが復帰成功の鍵だ、という認識を示したものと言える。
    ↩︎
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