はじめに
NHL2022-23シーズンは10月7日に開幕します(日本でも盛り上がって欲しい!)。NHL.comでは間もなく始まるキャンプに備えて、各チームのキー・ポイント、所属選手に関する最新情報、予想ラインアップの記事を掲載しています。
まあ、独力では全チームをカバーしきれないので、パッと思いついたチームから…ということになります(^^;。今回はコロンバス・ブルージャケッツです。 監督は2シーズン目となるブラッド・ラーセン。
昨シーズンは37勝38敗7分け、メトロポリタン・ディビジョン6位に終わり、スタンレーカップ・プレーオフの出場権を獲得できませんでした。勝率が5割を切っていては、なかなか上手くは行かないでしょう。
しかし、ブルージャケッツは、オフシーズンの移籍市場で大仕事をやってのけました。カルガリー・フレイムズの中心選手ジョニー・ゴドローを、フリーエージェントで獲得したのです。これは現地でもかなりの驚きをもって報道されたようです。
そのようなスター選手がブルージャケッツに有益なケミストリーをもたらすのか、それとも他の選手との力量差がありすぎて、空中分解してしまうのか。キャンプやプレシーズン・マッチに注目したいチームの一つです。
どんなロースター(メンバー)になっているのか、早速見てみましょう。
※本記事は、NHL.com「Blue Jackets season preview: Gaudreau to impact offense」などを参照して、編集・作成したものです。
3つのキー・ポイント
ゴドロー加入の影響
今年7月13日、ブルージャケッツはレフト・ウィングのジョニー・ゴドローと7年間6825万ドル (年間平均975万ドル、日本円で約14億円) の契約を結び、フリーエージェントでほぼ間違いなく最高の選手を獲得しました。
昨シーズン、ゴドローはカルガリー・フレイムズでの82試合で自己最高の115ポイント(40ゴール、75アシスト)を記録し、NHL2位タイで終えました。
アルテミ・パナリンが、2017年から2019年までブルージャケッツで2シーズンプレーして以来、ゴドローと同類の選手(レフト・ウィングでアシストも多い)がいません。しかし、パナリンは2019年7月1日にニューヨーク・レンジャーズと契約した際、フリーエージェントで退団しました。
同年夏、ブルージャケッツはゴールキーパーのセルゲイ・ボブロフスキー(現フロリダ・パンサーズ)とフォワードのマット・デュシェン(現ナッシュビル・プレデターズ)もフリーエージェントで失っています。
コロンバスで期待されていることは、ゴドローの契約がこれまでの物語を変え、オハイオの首都がNHLトッププレーヤーにとって「良い目的地」になれると示すことですが、彼とブルージャケッツはそれを氷上で見せていく必要もあります。
それは、昨シーズン、スタンレーカップ・プレーオフ進出を19ポイント差で逃した後、ブルージャケッツにとって必要な攻撃力を、彼がゲームでもたらしてくれると思われているため、ゴドローにプレッシャーがかかっていることを意味します。
※「良い目的地」・・・ブルージャケッツGMがゴドローと契約した際、「どういうわけか、コロンバスが最終的に悪い目的地、悪い都市だとNHLの選手達に言われてしまうんだ。でも、この契約のおかげで、そんなでたらめを取り除くことができると思うよ」と言ったことを受けたものと思われます。
※ジョニー・ゴドロー・・・米国、ニュージャージー州セイラム出身。29歳。ポジションはレフト・ウィング。ボストンカレッジ・イーグルスで大学ホッケー生活4年間を全うし、NCAAで最高の選手に贈られるホービーベイカー賞を受賞しています。
プロ生活開始以降、NHLオールスターの常連ですが、タイトル・ホルダー争いでなかなかトップに立てないのが、やや残念。とはいえ、ここぞという試合には必ず活躍するので、華のある選手に違いありません。自らの愛称「ジョニー・ホッケー」を登録商標出願するくらいですから、そのスター性は自他共に認めるものなのです。
前所属のカルガリー・フレイムスの懸命な引き止め(他チームの提示したサラリー金額よりはるかに上)を振り切って、なぜブルージャケッツを選んだのかは謎のままです。
かなりのスター選手、
上手くチームにフィットしたら、
チーム力は大幅アップだにゃ!
レインをプロデュースするには?
ゴドローは、ライト・ウィングのパトリック・レインに、試合中、常に発揮できる強さとパワープレーの両方で大きな影響を与える可能性があります。彼らはコロンブスのトップラインを形成する2つの翼になるよう設定されており、トップパワープレイユニットのプレイメーカー(ゴドロー)とシューター(レイン)とならなければなりません。
7月23日に4年3480万ドル(年間平均870万ドル、日本円で約12億円)の契約を結んで、ゴドローと共にプレーできるに興奮を表したレインは、昨シーズン、56試合に出場し、56ポイント(26ゴール、30アシスト)を記録しましたが、ゴドローのような選手が彼をセットアップしなくて、それだけの数字が出せたのです。ゴドローのいる今シーズン、レインは50ゴールのスコアラーになるかもしれません。
※パトリック・レイン・・・フィンランド、タンペレ出身。24歳。ポジションはライト・ウィング。2016年のNHLドラフトで、現在、メイプルリーフスの副キャプテンであるオーストン・マシューズとレインのどちらが1位指名されるか、で議論が沸騰したほどの逸材。結局、マシューズが総合1位、レインが2位(ウィニペグ・ジェッツが指名)。
2020年末、ジェッツがレインの放出を考えている、という報道以降、チームとの関係がギクシャクし、2021年1月にブルージャケッツへトレード。その年の2月、お粗末な守備の件でアシスタント・コーチと口論をするなど、メンタル面で落ち着かない時期がありました。
センターを誰が務めるのか?
ブルージャケッツにとって最大の解決できていない疑問の1つは、ゴドローとレインの間のトップラインで誰がセンターのポジションを演じるのかということです。能力を実証済みのNo .1センターは今のところいません。
上位3人の候補者は、ブーン・ジェンナー、ジャック・ロスロビック、コール・シリンジャーです。ルーキーのケント・ジョンソンは、チームがゴドローとレインの間に彼を置くことを試みて、何らかの手応えを与える場合、オプションとなる可能性がありますが、彼はより多くの経験を積まなけれなりません。
いろいろと言っても、ジェンナーが本命かもしれません。29歳の彼はベテランセンターで、守備ゾーン内でパックを低い位置から素早く取り返し、トップラインのゴドローとレインが必要とする効果的な仕事ができます。ジェンナーはすべての汚れた作業(相手からボールを奪い取る)を効果的に行い、得点もできる選手です。昨シーズン、59試合で44ポイント(23ゴール、21アシスト)を記録しました。
過去にレインとプレーしたことのあるロスロビッチは、昨シーズン、81試合で45ポイント(22ゴール、23アシスト)を記録しました。
一方、シリンジャーは18歳の新人で、79試合で31ポイント(16ゴール、15アシスト)を取り好成績を残しました。彼もチャンスを得るでしょうが、3番目のラインが彼のスタートする場所かもしれません。
※ブーン・ジェンナー・・・カナダ、オンタリオ州ドーチェスター出身。29歳。ポジションはセンター。ブルージャケッツのキャプテン。2011年、ドラフトで指名されて以降、なかなか出番に恵まれず、各チームを転々としたが、2013年のトレーニングキャンプで実力を発揮し、そのままトップ・チームに定着しました。
ケガの多い選手ではありますが、それを不屈の精神とトレーニングでカバーしてきた苦労人でもあります。
※ジャック・ロスロビッチ・・・地元コロンバス出身の25歳。昨シーズン、81試合出場45ポイント(22ゴール・23アシスト)を記録。前所属のウィニペグ・ジェッツ時代とは比べ物にならない好成績を挙げており、新シーズン、更なる飛躍への期待を込めて後述「ファンタジー・スリーパー」にピックアップされたと思われます。
※コール・シリンジャー・・・地元コロンバス出身、19歳。ポジションはセンター。2021年のドラフト前、NHLのセントラル・スカウト・サーヴィスの事前調査で、北米で10番目に優勝なプレイヤーとしてランキングされていました。実際のスカウトでは、全体12位。
昨シーズン、記事にあるような活躍を見せ、充分トップラインでも行けそうな気もします。まだ経験値が足りないのでしょうか。ちなみに、デビュー・アルバムが全米アルバム・チャート最高第13位だった、テイト・マクレーと付き合っている噂があります。
センターは、
チームの攻撃と守備のバランスを図るポジション。
キャプテンが第一候補だと思うにゃ。
現時点でのロスターについて
かなり激しいロスター争い
ジョンソンとライト・ウィングのキリル・マルチェンコは、今回のキャンプで最も注目すべき選手です。どちらのルーキーにもポジションの空きがありますが、ブルージャケッツはもっと味付けが必要だと思うなら、アメリカン・ホッケー・リーグでまずはプレーさせるのをためらわないでしょう。
2021年のNHLドラフトで全体5位だったジョンソンは、19歳でミシガン大学2年生のシーズンを終えた後、昨シーズンは9試合で3アシストを記録しました。コンチネンタル・ホッケー・リーグのSKAサンクトペテルブルクで過去3シーズンプレーした後、22歳のマルチェンコは北米での最初のシーズンに入ります。
NHL/NHLPAの薬物乱用および行動衛生プログラムのアドバイスと推奨に従って、フォワードのアレクサンドル・テクシエが今シーズンのプレー不可であるため(今年8月24日、正式発表。NHLでのプレー不可であるが、ヨーロッパでは可能。テクシエはフランス出身)、ブルージャケッツはその穴を埋める必要があります。
マチュー・オリビエ、ジャスティン・ダンフォース、エミール・ベムストロム、リアム・フーディもロスターの座を争うことになるでしょう。
ディフェンスのニック・ブランケンバーグは、トレーニングキャンプでトップ6の役割を獲得することができると思われますが、そうなるためには、彼はジェイク・ビーンやアンドリュー・ピークに打ち勝たなければならない可能性が高いでしょう。
※ケント・ジョンソン・・・カナダ、ブリティッシュコロンビア州ポートムーディー出身、19歳。今年4月8日にチームと契約、その5日後にプロ・デビューしたばかりの選手。「9試合出場・3アシスト」の成績から、どれだけジャンプ・アップできるか。
※キリル・マルチェンコ・・・ロシア、バルナウル出身。22歳。ポジションはライト・ウィング。2018年、NHLドラフト全体49位で、ブルージャケッツに指名されましたが、まだチームでのプレー歴はありません。昨シーズンまで、ロシアのリーグKHLの SKAサンクトペテルブルクでプレーしていました。公式HPには顔写真も背番号表記もありません…。
※マチュー・オリビエ・・・米国、ミシシッピ州ピロクシ出身。25歳。 ポジションはライト・ウィング。 NHL史上初のミシシッピ出身選手。父親の仕事の関係でドイツに居住していたこともあり、ドイツ語も堪能。今年7月、ナッシュビル・プレデターズからトレードで新加入。
※ジャスティン・ダンフォース・・・カナダ、オンタリオ州オシャワ出身。29歳。ポジションはライト・ウィング。アトランティック・ホッケー協会に属しているセイクリッドハート大学で4年間プレーした後、米国内だけでなく、フィンランド、ロシアのチームを転々と渡り歩き、昨シーズンからブルージャケッツの一員に。
※エミール・ベムストロム・・・スウェーデン、ニュシェーピング出身。23歳。ポジションはセンター。母国のリーグで活躍後、2019-2020シーズンからブルージャケッツに加入。COVID-19のパンデミックにより、フィンランドのクラブでプレーをした時期もあったが、新シーズンは北米でプレーできそうか。
※リアム・フーディ・・・カナダ、オンタリオ州トロント出身。22歳。ポジションはセンター。AHLのクリーブランドモンスターやカナダ・オンタリオホッケーリーグのロンドンナイツでプレーしていて、NHLでの出場経験は30試合余り。これからどんな活躍を見せてくれるか。
※ニック・ブランケンバーグ・・・米国、ワシントン州出身。24歳。ミシガン州立大学アイスホッケー部で4年間、選手として活躍。在学中、年間ベスト・メンバーに何度も選出されており、4年時には最高の賞であるビッグテン名誉勲章を授与されています。ドラフト外でブルージャケッツに昨シーズンから加入しました。
※ジェイク・ビーン・・・カナダ、アルバータ州カルガリー出身。24歳。昨年の7月、カロライナ・ハリケーンズからトレードで加入。昨シーズン、NHLではキャリアハイの67試合に出場。
※アンドリュー・ピーク・・・米国、フロリダ州バークランド出身。24歳。ブルージャケッツからドラフト指名を受けていましたが、チームの許可をもらい、ノートルダム・ファイティング・アイルランド男子アイスホッケーチーム(ノートルダム大学)で3シーズンプレーした後(3年時はキャプテン)、加入しています。
昨シーズン、NHLフル出場しており、ブランケンバーグにとってはかなりの強敵。
かなりの数の有望選手がいるにゃあ。
キャンプやプレシーズン・マッチで、
相当絞り込まれるな。
最も興味深い移籍加入選手!
ゴドローがブルージャケッツを選んだのは、オフシーズン最大のストーリーの一つでした。フィラデルフィア・フライヤーズや、彼の故郷のチームであるニュージャージー・デビルズ、ニューヨーク・アイランダーズなどでプレーする可能性を取りざたされていましたが、29歳のフォワードは予想外にコロンブスを選びました。今、彼にはブルージャケッツに勝利を届けなければならないというプレッシャーがかかっています。
最大のサプライズを起こしそうな選手がいます!
ジョンソンは開幕戦メンバーを決定的にしている訳ではなく、トレーニングキャンプでそのポジションを獲得しなければなりません。しかし、もし彼がそれを成し遂げれば、ブルージャケッツのラインナップですぐに活躍する可能性があります。
ジョンソンは昨シーズン、ミシガン・ウルヴァリンズ(ミシガン州立大アイスホッケー部の愛称。チームはビッグ・テン・カンファレンス所属。ビッグ・テン・カンファレンスは大学スポーツの団体名)の選手としてリーグ32試合で37ポイント(8ゴール、29アシスト)を記録していますが、成長にはまだ時間がかかりそうです。
彼は6フィート1インチ(約185センチ)と体重わずか167ポンド(約76キロ)ですが、もしチームに入れば、彼がすぐにチームのための大物選手・大黒柱になれると、ブルージャケッツのチーム全体で信じています。
ジョンソンは、年齢から考えても、
系列チームへ武者修行かにゃあ。
壁を突破する準備完了だ!
22歳のアダム・ボクビストは、NHLのシカゴ・ブラックホークスとブルー・ジャケッツで128試合の出場経験をすでに持っています。シカゴは身長6フィート(約183センチ)、体重189ポンド(約86キロ)のスウェーデン生まれのディフェンスマンを非常に高く評価していたため、2018年のNHLドラフトでは8位に指名しました。
コロンブスは彼に非常に惚れ込んでいたので、2021年7月23日、ディフェンスマンのセス・ジョーンズとのトレードで見返りとして獲得した重要なピースです。ボクビストは昨シーズン、52試合で22ポイント(11ゴール、11アシスト)を記録しており、守備面でより効果的な選手になれることを証明できれば、ザック・ウェレンスキーとトップペアを組むチャンスがあるでしょう。
※アダム・ボクビスト・・・スウェーデン、ファルン出身。 昨シーズン、キャリアハイの出場試合数52でしたので、まだフルに働いた経験がありません。これからのトレーニングやプレマッチでどう化けるのか、といった感じの選手です。
※ザック・ウェレンスキー・・・米国ミシガン州、グロスポイント出身。25歳。チームの副キャプテン。チーム史上、新人年の最多ポイント記録保持者(47ポイント)でもあります。
肩やスポーツ・ヘルニアなどがあり、ここ数シーズンはフル出場できていませんが、昨年チームと再契約した際、「フランチャイズの顔になった」と言われました。
ファンタジー・スリーパー
ロズロビッチ、ポジションはセンター(ファンタジーでの平均ドラフトなし) — 昨シーズンのブルージャケッツで、60分あたり5対5のゴール率1.08(最低50試合出場)を叩き出し、エリートウイングのゴドローとレインを擁し、トップラインの中心に立つ可能性を秘めています。
予想ラインアップ
フォワード
(1)ジョニー・ゴドロー–ブーン・ジェンナー–パトリック・レイン
(2)グスタフ・ナイキスト–ジャック・ロスロヴィッチ–ヤクブ・ヴォラセク
(3)ケント・ジョンソン — コール・シリンガーキリル・マルチェンコ
(4)エリック・ロビンソン — ショーン・クラリー — マチュー・オリヴィエ
(1)が鉄壁。それ以外のラインとの力量差が…。
ディフェンダー
(1)ザック・ウェレンスキー – エリック・グドブランソン
(2)ウラジスラフ・ガヴリコフ — アダム・ボクヴィスト
(3)ジェイク・ビーン — ニック・ブランケンバーグ
(3)にも可能性を感じるんだけどなぁ。
ゴールテンダー
(1)エルヴィス・メルズリキンス
(2)ジュナス・コルピサロ
まとめ
前回紹介したブルーインズ同様、バラエティに富んだ顔ぶれであると同時に、それを活かすも殺すも超スター選手・ゴドローのデキ次第、という印象を受けました。ゴドローが気分良くチームに溶け込み、昨シーズン同様、100ポイントをマークすれば、プレーオフ入りは確実と言えます。
しかし、ゴドロー中心のチーム作りをやり過ぎるあまり、チームのバランスが崩れ、シーズン早々プレイオフ進出争いから脱落する場合も考えられます。
記事にもあるように、誰がセンターを務めるかによって、それでだいぶ変わってくる感じがします。経験値の高いジェンナーがキャプテンシーを発揮して、中盤を引っ張れば、フォワード陣に軸ができて安定すると思います。
謎のフリー・エージェント移籍してきたゴドローがどんなプレーをするか、エースであり、ジョーカーにもなり得るこの男から目が離せません!
ゴドロー、開幕戦で
どんなプレーを見せるのか、楽しみだにゃ。
ここまで読んでくれて、
サンキュー、じゃあね!