はじめに
当たり前のようにドラフト全体1位指名され、シーズン終了後には最優秀新人賞を手中に納めたシカゴ・ブラックホークスのコナー・ベダード。今後、チームは、彼を中心にしたシステムを組むはずですが、そのシステムへの期待値でしょうか、2024年のNHLパイプライン・ランキング1でシカゴは堂々の第1位に輝きました。
チームのシステムは、高いランクの選手が集まることと、持続的な競争力を保つことが特徴です。過去数年のドラフト指名で、多くの有望な若手選手が加わり、その成果が実を結びつつあります。
特に、ベダードとアルチョム・レフシュノフという注目の若手が、その将来性を示しており、シカゴの未来に大いに期待がかかっています。本記事では、ブラックホークスの若手選手たちの特徴と、彼らの今後の展望について詳しく見ていきます。
2024年ドラフト全体2位指名のレフシュノフも、
かなり評価の高い選手なんだにゃ。
ドラフト中継でベダードからジャージを着せてもらってたけど、
レフシュノフは大柄なため、貫禄充分。でも、2人は同い年なんです。
引用元:nytimes.com(The Athletic)「 Chicago Blackhawks rank No. 1 in NHL Pipeline Rankings for 2024」
ドラフト指名の成果、潜在的スターがゴロゴロ
シカゴ・ブラックホークスが2024年のNHLパイプライン・ランキングで第1位にランクインしました。シカゴのシステムは、1) 優れた才能を持った選手達が非常に高いランクに集中して存在していること、2) チーム全体として持続的な競争力のあることが特徴です。
ブラックホークスはここ数年で多くのドラフト指名を行い、その結果、17人の若手有望株が本物のNHLプレーヤーになると予測され、全体No.1のパイプラインとなりました。
彼らは、コナー・ベダードという潜在的なスター・センターと、アルチョム・レフシュノフという潜在的なスター・ディフェンスマンに率いられています。この組織の優れた才能を持った選手達を整備していくため、シカゴはさらに高位の指名を必要とするかもしれません。
しかし、前線でベダードにスコアリング・サポートを提供するためにも、チームは着実に潜在的なポジション争いのできる選手の基盤を築こうとしています。
主な新加入選手:アルチョム・レフシュノフ(ミシガン州立大学)、サシャ・ボワヴェール(マスキーゴン・ランバージャックス)、マレク・ヴァナッカー(ブラントフォード・ブルドッグス)、ジョン・マスタード(ウォータルー・ブラックホークス)
主な大学卒業選手:アレックス・ヴラシッチ(ボストン大学)
2023年のランキング:2位
2024年NHLドラフト評価:A
※元記事は17人の選手を紹介していますが、このブログでは上位8人に限定しました。
神童は新シーズンも絶好調!
選手ランキング
1.コナー・ベダード、C
2005年7月17日生 | 身長5フィート10インチ | 体重185ポンド | 右利き
ドラフト指名:2023年全体1位
ティア(ランク):エリートNHLプレーヤー
スケーティング:NHL平均以上
パックスキル:エリート
ホッケーセンス:ハイエンド
機動力:NHL平均以上
ショット:エリート
分析:ベダードはNHLで最も優れたルーキーでした。彼の元来持っている攻撃能力は桁外れに優れており、パックの周りで一貫して特別なプレーをすることができます。彼はNHLでもトップクラスのパックスキルを持ち、ほとんどのディフェンダーを1対1で打ち破る能力があります。
彼は非常に創造的なプレーを行い、チームメイトへのユニークなパスも得意ですが、そのショットの脅威は(対戦相手にとって)さらに大きいです。彼のミッドレンジのショットは致命的な威力を持ち、40ゴール以上のシーズンを複数回記録する可能性があります。
パワープレーでは多様な方法でディフェンスを恐怖に陥れる能力があります。ベダードは小柄なセンターであり、小柄な選手にしてはエリートクラスのスピードスターではありませんが、動きは良く、狭いエリアであれば非常に回避能力に優れています。
彼は激しく競争し、押し込まれることはありません。NHLでの真のスーパースターとして期待されています。
↑この男に2年目のジンクスはあるのでしょうか。
一番の新顔ですが、期待してください!
- アルチョム・レフシュノフ、D
2005年10月28日生 | 身長6フィート2インチ | 体重205ポンド | 右利き
ドラフト指名:2024年全体2位
ティア(ランク):潜在的なエリートNHLプレーヤーおよびNHLオールスター
スケーティング:NHL平均
パックスキル:NHL平均以上
ホッケーセンス:ハイエンド
機動力:NHL平均
ショット:NHL平均以上
分析:レフシュノフは今シーズンのビッグテン(米国の大学ホッケーリーグ)で最も優れたディフェンスマンであり、ミシガン州立大学がトップチームである理由の大きな部分を占めています。
彼は非常にスキルが高く、クリエイティブで、パックハンドリングとパスにおいて優れた能力を持っています。攻撃的なディフェンスマンとしての技術を持ち、非常に快適にパックを扱えます。彼はスケーティングも優れており、スキルを駆使してアップテンポなスタイルで攻撃できます。
彼にはNHLで(最も強力な)パワープレー・ファースト・ユニットをコントロールする可能性があり、ポイントショット(ディフェンスマンがブルーラインから放つシュート)も良好です。
攻撃的な姿勢が目立つため、ディフェンスプレーはあまり際立っていませんが、運動能力とフィジカルで止めることができます。時には攻撃的すぎて前衛的なプレーをすることがありますが、そのオフェンス力からくるプレーで多くの批評家の懸念を和らげてはいます。
彼はプレミアムレベルで得点し、影響力のあるNHLディフェンスマンになる可能性を秘めています。
新シーズンはトップ4ディフェンダーになるかも
- ケビン・コルチンスキー、D
2004年6月21日生 | 身長6フィート1インチ | 体重185ポンド | 左利き
ドラフト指名:2022年全体7位
ティア(ランク):潜在的なトップおよびミドルシックスの選手
スケーティング:NHL平均以上
パックスキル:NHL平均
ホッケーセンス:NHL平均以上
機動力:NHL平均以下
分析:コルチンスキーは浮き沈みのあるNHLシーズンを過ごしましたが(23-24シーズン、76試合出場、5ゴール・10アシスト)、これはどの10代のディフェンスマンにも予想されることです。コルチンスキーが持っている「ツール」には疑いの余地がありません。
彼は大柄な選手にしては素晴らしいスケーターで、NHLで通用する氷上を滑る速さや機動性とエッジワーク(スケートのエッジを使って氷上での移動や操作をする技術)を持っています。彼の足を使ってパックを前進させる能力が、他の選手との差別化を図る要因となっています。
彼はかなり熟練していて、パックを使って創造的なプレーを得意とし、氷上をよく見て多くの攻撃チャンスを作り出します。彼にはNHLで通用するオフェンス力がありますが、守備に関しては常に疑問がありました。
フィジカルプレーを避け、常に守備面で強い努力をしないことがあります。しかし、彼は非常に優れたアスリートであり、コーチが彼を優れたディフェンダーに育てられると考えられ、質の高いトップ4のディフェンスマンとして期待されています。
↑得点能力の高いディフェンダーです。
既にドイツ代表として大舞台に立った!
- ルーカス・ライヒェル、LW
2002年5月17日生 | 身長6フィート | 体重170ポンド | 左利き
ドラフト指名:2020年全体17位
ティア(ランク):ミドルシックスの選手
スケーティング:NHL平均
パックスキル:NHL平均以上
ホッケーセンス:NHL平均
機動力:NHL平均
ショット:NHL平均以上
分析:ライヒェルは昨シーズンいまいちの成績で、2以前のNHLでの成功を再現するのに苦労しましたが、男子の世界選手権ではドイツ代表として良いパフォーマンスを見せました(6試合出場、3ゴール・4アシスト)。ライヒェルは才能あるフォワードで、まだまだ多くの可能性を秘めています。
彼は個々のスキルが豊富で、強いスケーターであり、スピードを活かして多くの攻撃を作り出すことができます。タフなプレーも厭わず、チャンスをものにすることができます。
ライヒェルの機動力は際立ってはいませんが、十分なレベルであり、時にはリンクの端々に向かうこともあります。彼がミドルシックスのフォワードとして活躍し、パワープレーに貢献する可能性が高いと示唆する指標が多くあります。
ベダードとレフシュノフは計算できるとして、
経験のあるコルチンスキーとライヒェルが
トップ・チームに定着してくれたら、
かなりチームのライン構成は楽になると思うにゃ。
レフシュノフはエントリー契約を交わしているので、
新シーズン早めに出てきてくれるかも。
とにかく打つ!ミドル・シュートが大好き!
- サシャ・ボワヴェール、C
2006年3月17日生 | 身長6フィート2インチ | 体重183ポンド | 左利き
ドラフト指名:2024年全体18位
ティア(ランク):ミドルシックスの選手
スケーティング:NHL平均
パックスキル:NHL平均
ホッケーセンス:NHL平均
機動力:NHL平均
ショット:NHL平均以上
分析:ボワヴェールはここ2シーズン、USHL(米国のジュニアアイスホッケーリーグで、主に18歳以下の選手が参加するリーグ)の選手として高い生産性を発揮してきました(ここ2シーズンで、118試合出場、53ゴール・60アシスト)。彼にはNHLにとって魅力的なツールが多く揃っています。
身長6フィート2インチのセンターで、スケートができ、正真正銘の攻撃能力を持っています。彼はパックの扱いに非常に熟練しており、本能的なプレーを行います。また、スピードでディフェンダーを打ち破ることもできます。
ボワヴェールは素晴らしいショットを持ち、フェイスオフ・ドット(試合中のプレイ再開時、選手がパックを争うために配置される円形のマークのこと)から得点できる脅威的存在です。
彼のプレーメイキングにはあまり魅力を感じませんが、基本的にはシュートを最優先に考えるタイプの選手です。ただし、タフなプレーもこなせます。機動力はまずまずで、その面での評価は高くありませんが、バトルに勝つ力があり、体格を活かしています。
NHLではミドルシックスのフォワードとして活躍できるでしょう。
↑黒ジャージ、9番の選手です。
足技の巧みの選手が多いぞ!
- オリバー・ムーア、C
2005年1月22日生 | 身長5フィート11インチ | 体重188ポンド | 左利き
ドラフト指名:2023年全体19位
ティア(ランク):ミドルシックスの選手
スケーティング:NHL平均以上
パックスキル:NHL平均
ホッケーセンス:NHL平均
機動力:NHL平均以上
分析:ムーアはミネソタ大学で良いルーキーシーズンを送り、アメリカのワールドジュニアチームではボトムシックスのフォワードでした。彼は卓越したスケーターで、NHLでの初シーズンからトップ30のスケーターになるでしょう。
スケート靴のエッジの使い方はエリート級で、両足の巧みな動きから大量のパワーを生み出します。彼はあまりフィジカルに強みはありませんが、一生懸命に働き、ネットを揺らし、ペナルティキルもこなします。NHLの優れた二刀流フォワードとしての成長が見込まれます。
ムーアの課題は、どれだけの攻撃力を持つかということです。スキルは良好ですが、高いレベルで氷上を見ることができず、試合でたくさんのチャンスを作るタイプではありません。彼はサードラインのセンターまたは潜在的なセカンドラインのウィングとしての可能性があります。
- サム・リンゼル、D
2004年6月25日生 | 身長6フィート4インチ | 体重177ポンド | 右利き
ドラフト指名:2022年全体25位
ティア(ランク):ミドルシックスの選手
スケーティング:NHL平均
パックスキル:NHL平均
ホッケーセンス:NHL平均
機動力:NHL平均
分析:USHL在籍時(2021〜23までの2シーズン、ウォータルー・ブラックホークス)、NHLドラフトにかけられ、その翌シーズン、ミネソタ大学でのルーキーシーズンを終えましたが、シカゴファンが期待していた通りの活躍を見せました(39試合出場、2ゴール・26アシスト。世界ジュニア・アイスホッケー選手権にも、米国代表で出場。7試合に出場して金メダル獲得に貢献。)。
彼はたくさんの出場時間を得て、カンファレンスでトップのディフェンスマンでした。リンゼルのツールは明らかで、大柄なディフェンスマンとしてのスケート能力と正真正銘の攻撃スキルを持っています。
ホッケーセンスやディフェンスにはいつも納得していたわけではありませんが、今シーズンはこれらの面が大いに改善されているように見えました。
ディフェンスで知られることはないでしょうが、運動能力の高さを示すツールを持ち、足元の上手さ、攻撃的な創造性を持ち、NHLレベルでも十分な速度や方向を変えたりする能力があります。
KHLでもまれ、攻撃も守備も達人に!
- ローマン・カンツェロフ、RW
2004年9月20日生 | 身長5フィート9インチ | 体重176ポンド | 左利き
ドラフト指名:2023年全体44位
ティア(ランク):ミドルシックスの選手
スケーティング:NHL平均以上
パックスキル:NHL平均以上
ホッケーセンス:NHL平均
機動力:NHL平均以上
ショット:NHL平均以上
分析:KHL(メタルルグ・マグニトゴルスク)での初シーズン、カンツェロフは期待を抱かせる活躍を見せました(53試合出場、8ゴール・7アシスト)。彼は着実にKHLチャンピオンのレギュラー選手となり、プレーオフでも大活躍しました(23試合出場、4ゴール・9アシスト)。カンツェロフはそれほど大きくはありませんが、試合に関する他のすべての面はプラスです。
彼は非常に速いスケーターで、ハイエンドのスキルを持ち、高いレベルでオフェンスを創造する能力があります。努力を惜しまず、厳しいエリアでプレーを創造し、攻撃でも守備でも責任感を持ってプレーします。
彼には得点力と守備の際の対人プレーをこなすためのツールがあり、コーチの信頼を得ることができるでしょう。ミドルシックスのウィングとしての成長が見込まれます。
↑ロシアではすっかりスター選手です。
まとめ
シカゴ・ブラックホークスの2024年シーズンは、若手選手たちの活躍によって大きな注目を集めると思います。まだこれからという選手も多いのですが、ベダードとレフシュノフをはじめとする新星たちは、チームの未来を支える重要な存在です。
ベダードはその圧倒的な攻撃力でNHLのスーパースター候補とされ、レフシュノフはディフェンス面での成長が期待されています。他にも、ケビン・コルチンスキーやルーカス・ライヒェルなどの選手たちが、それぞれのポジションで活躍すれば、ブラックホークスのチーム力はグンと高まることでしょう。
シカゴのパイプラインがもたらす未来のスターたちが、どのように成長し、チームに貢献していくのか、その進展に注目していきましょう。欲を言えば、日本のマスコミが情報を提供して、女性ファンが付いてくれればいいんですけどね。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
Johnny, isn’t this too sudden?
To disappear so suddenly like this is really hard to take in.
My condolences to you and your family.
While remembering your play,
I pledge to continue supporting ice hockey.
From distant Japan, I offer my condolences to you.
Thank you for all the wonderful memories.
【註釈】
- パイプラインとは、将来の成功のために育成している選手たちの流れやシステムを指す。具体的に言えば、下部リーグやジュニアリーグ、大学ホッケーなどで育成している選手たちのこと。ドラフト指名だけでなく、トレードで獲得した選手たちも含む。
パイプラインが強いチームは、将来的に高いレベルで活躍する選手を確保しており、チームの長期的な成功のための基盤を築いていると見なされる。これにより、チームはトレードやFA市場に依存せずに、持続可能な競争力を維持することができる。
パイプラインランキングは、チームの若手選手たちがどれだけ早く、またはどれだけ高いレベルでNHLに適応できるかを示す指標でもある。これには選手のパフォーマンスや成長、プロスペクトの評価が含まれる。
要するに、アイスホッケーの「パイプライン」はチームが未来の競争力を確保するために構築している選手育成の流れや仕組みを指します。
↩︎ - 22-23シーズンの活躍を見込まれ、23-24シーズンの開幕ロースターに入ったものの、プレーにムラがあるため、センターからウイングにコンバート。しかし、50試合でわずか10ポイントしか獲れず、2024年2月18日にロックフォードへ異動。
3月15日、ブラックホークスは彼をリコールし、そこでシーズン残り15試合に出場した。最終成績は、65試合で5ゴール・11アシスト。シーズン終了後、2024年のカルダーカップ・プレーオフでアイスホッグスを助けるため、ロックフォードに再配属された。 ↩︎