不調のミネソタ、スウェーデンで「正しい方向への一歩」を踏み出した!

NHLチーム紹介

はじめに 

 NHL.TVで各試合のハイライトを見ていたら、「あっ!スウェーデンでのグローバル・シリーズが始まってたんだ!」と気づくお粗末さ^^;。お正月のクラシック・シリーズに気持ちが行っていたし、スウェーデンでよく公式戦を行うので、慣れっこになっていたのも一因。 

 グローバル・シリーズには、デトロイト・レッドウィングス、オタワ・セネターズ、トロント・メープルリーフス、そして今回の主役ミネソタ・ワイルドが参加しました。 

 なぜミネソタ中心の記事をピックアップしたかと言えば、今シーズン、予想外に調子悪いから。これに尽きます。 

 他3チームと比べても、それほど戦力的に見劣りしていない反面、監督のディーン・エヴァソンが、ちょっと…。昨シーズンに就任したもののNHLは初体験、チームをドライブさせる方法にやや難あり、と言われています。 

 しかし、そんなエヴァソン率いるミネソタが、スウェーデンで何かきっかけを掴んだようですが、果たして本当なのか? 

讃岐猫
讃岐猫

引用元:NHL.com「 Wild get 2 points, take ‘step in the right direction’ at Global Series」。

スウェーデンで収穫あり!

 ミネソタ・ワイルドはストックホルムで求めていた勝ち点4を取れませんでしたが、おそらくもっと重要なもの、つまり自分たちのアイデンティティを手にして北米に戻ってきます。

 アヴィーチー・アリーナ1で開催された2023NHLグローバルシリーズ・スウェーデン大会の最終戦、試合中、いつもより強力なディフェンスでプレーし続けたワイルドは、いくつかのタイムリーなゴールを決めながら、トロント・メープルリーフスとの一戦は延長戦へともつれましたが、4-3で敗れています。

 先週の日曜日(11月12日)、ダラス・スターズに8-3で大敗したあとヨーロッパにやってきたワイルドは、11月18日(土曜日)、初戦でオタワ・セネターズに2-1のシュート・アウト(PK戦)で敗れて以降、この遠征で最終的に勝ち点22を獲得しました。

 フォワードのマーカス・フォリーニョ(左ウィング、32歳)は「この遠征から得たものはたくさんあったよ」と語っています。「チームとしてここに来て、氷(リンク)の外で楽しめたし、同時に氷の上で自分たちのゲームが少しうまくいきかけていることに気づけたんだ。

 そのために、ここに来たように思えるね。僕らは簡単に勝ち点4を獲得できたはずだ」。

得点力不足のミネソタ

 最近、ワイルドにとって楽なことは何もありません。スウェーデンに向かう前、彼らは15失点・6得点と失点が上回っており、NHLシーズンの公式戦で3連敗3していました。

 第3ピリオド・4分22秒、メープルリーフスに3-1と劣勢に立たされましたが、同点に追いつくために反撃開始です。

 まず6分10秒、ディフェンスのジェイク・ミドルトン(27歳)がポイントからのリストショットで得点し、次に8分42秒、スロット内でのクロッシングパスが、フォワードのマッツ・ズッカレロ(右ウィング、36歳)のスケートでバウンドして、ネットに突き刺さりました。

 ワイルドのシュート数は36-25とメープルリーフスを上回りましたが、ゴールネットの外側を14回も揺らしており(つまり大きくハズレた)、そのうちのいくつかは得点圏からのシュートでした。

 ディーン・エヴァソン4監督は「我々は素晴らしい状態にあったのに、何らかの理由で今は得点できていないだけだ」と語っています。「そして、今、この瞬間もそうなんだ。今日、去年のことを話すけど、去年も同じような状況で、ずっとずっと得点が入らなかった。

 ライアン・ハートマン(右ウィング/センター、29歳)は一度頭か尻か何かでシュートを打って入ったと思うんだけど、その後、そこからゴールが雪だるま式に増えていったんじゃないか5」。

 「我々はハートマンと同じになると信じなければならないんだけど、まだそうなっていない。

 今夜、我々は明らかにいくつかゴールを決めたが、どうすればゴールを決められるかも明らかにしているんだけど、ゴール前が大きく開いているのに、(パックを叩き込むべき)ネットを見つけられず、外してしまっている。

 我々は素晴らしいポジションニングでパックを持っているのに、ほんのちょっとした差でネットを外してしまっている。シュートもチャンスも相手チームを上回っていたし、ホッケーの試合にとって本当にいいことをたくさんしているのに、報われていないんだ」。

讃岐猫
讃岐猫

トロント戦、チャンスはあったのに…

 ワイルドにとって最高のチャンスは、延長戦の開始30秒、フォワードのジョエル・エリクソン=エク(センター、26歳)がスロット内に一人でいるのを、ディフェンスマンのヨナス・ブロディン(30歳)が、見つけた時でした。

 エリクソン=エクが、メープルリーフスのゴールキーパー、ジョセフ・ウォル(25歳)の周りで得点しようと食い下がりましたが、彼のパッドの下にパックを滑り込ませることはできなかったのです。

 その約2分半後、ウィリアム・ナイランダー(右ウィング、27歳)がメープルリーフスの決勝点を決めました。

ハイライト映像です。延長戦まで行ったので、ちょっと長い。

 「選手たちは、成功するためにどうプレーしなければならないかを知っている。とはいえ、今夜のようなゴールを決めることができるのは素晴らしいことさ。

 我々はネットに向かってシュートを打つことができる、パックをネット前まで運び、ネットの周りに味方の選手を集めることだってできるし、勇気を持って多くのゴールを決めることができるはずだ」とエヴァソンは語っています。

 「でも、その機会があるなら、いくつかの素晴らしいゴールも決めなければならないのに、それらのゴールは入っていないんだ。我々はその素晴らしいゴールを見つけるために努力し続けるよ」。

失点率がやたら高いが、改善の兆しあり!

 しかし、1試合平均4失点とNHLで2番目に高い失点6を許しているチームであるワイルドは、スウェーデンでディフェンスが良くなったようで、得点力の高いオタワ・セネターズを1失点に抑え、60分間の通常の試合時間中にメープルリーフスを抑えて勝ち点1を獲得しました。

 「今夜はスティックからパックを取られないようにしていたし、スティックで相手選手を押しのける技術も格段に上だった」とエヴァソンは語っています。

 「トロントはおそらくリーグでもパックを奪うのが上手くて、優れたスティックさばきと守備の技術を備えたリーグ最高のチームの一つだと思うよ。

 第1ピリオドで、メープルリーフスと同じようなスタートを切れていないと思っていたが、(試合終盤)何とか対等にやれるレベルまで来ることができた。いいかい、ゴールが決まらない時って、無理をしてネットに入れない方が良いんだよ。

 ここ最近のほとんどの試合では、そのテーマを守らなければいけない状態だったし、いずれ攻撃面も軌道に乗ると信じてやっていたんだ」。

讃岐猫
讃岐猫

選手達は前向き、意欲にあふれている!

 ザ・ワイルドは、より良いディフェンスとタイムリーな得点を勝利に変える方法を見つける必要があると述べており、11月24日(金曜日)、次の試合でコロラド・アバランチを迎える時にそれを試みるつもりです。

 フォリーニョは「自分たちのプレーには満足しているし、誇りに思うことはたくさんある。でも、勝ち点2を逃したことは悔しい。2点を奪って、少しずつゲームを組み立て直せたのに」と振り返りました。

 ワイルド(5-8-47)は、ここストックホルムで見せた努力を活かして、5連敗(0-3-2)を止めようとしています。

 「試合での戦いぶりは気に入っているが、延長戦で敗れてがっかりしたね」と、メープルリーフス戦で21セーブを記録した、ゴールキーパーのマルク=アンドレ・フルーリー(38歳)は語りました。

 「明らかに、僕達はもっと多くのものを必要としているし、望んでいるんだけど、そういう状況は正しい方向への一歩だね」。

まとめ

 チームでも超ベテラン格のフルーリーの言葉が、チーム内に浸透しているのであれば、ミネソタの前途は明るいかもしれません。ただ、監督の発言は、ある意味「攻撃面での具体策は無し」と言っているようなもので、監督のポリシーに不安を感じてしまいます。

 次に対戦するコロラドは、前評判通りの攻撃力を見せ、リーグの上位を突っ走っています。攻守両面で煮え切らない(監督も煮え切らない)ミネソタが勝利するのは、至難の業と言えます。トロント戦で見せた粘り腰をどこまで続けられるかが勝敗の鍵となるでしょう。

 今の状況があまりにも続くようだと、フロントがそろそろ重い腰を上げる…、そんな気がするのですが。

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. 以前、このブログで触れた記事がこちら→
    ↩︎
  2. NHLでは勝利チーム(延長戦及びシュート・アウト含む)に勝ち点2、60分での敗戦で勝ち点0、延長戦及びシュート・アウトでの敗戦に勝ち点1。今回のミネソタは2試合とも延長負けのため、勝ち点2。
    ↩︎
  3. 11月9日、ニューヨーク・レンジャーズ戦が1-4(ホーム)、10日、バファロー・セイバーズ戦が2-3(アウェイ)、そして12日、前記のようにダラスに敗北している(アウェイ)。
    ↩︎
  4. 以前、このブログで触れた記事がこちら→
    ↩︎
  5. フィラデルフィアからミネソタに移籍してきたハートマンは、最初の2シーズン(2019-20、20-21)はヒト桁台の得点だった。21-22シーズンになると突如ゴールを量産し、34ゴールを記録している。
    ↩︎
  6. 11月21日現在、ミネソタはコロンバスと並んで3位タイの70失点。2位はシアトルの72、1位はサンノゼの76。しかし、1試合の平均失点でいくと、サンノゼの4.22が1位、ミネソタの4.11が2位となり、4失点を超えているのは、この2チームのみ。
    ↩︎
  7. オーバータイムでの4敗は3位タイ(他はコロンバス、タンパベイ)。1位は5敗で、2チームあり、シアトルとニューヨーク・アイランダーズである。

     この中で、ミネソタとアイランダーズの試合消化は17と遅く、この2チームだけ見れば、攻めきれない・守りきれない試合が多いことになる。 ↩︎
タイトルとURLをコピーしました